処刑人/The Boondock Saints

【監督】 トロイ・ダフィー
【出演】
ショーン・パトリック・フラナリー/ノーマン・リーダス/ウィレム・デフォー

■ 『ボストンに暮らす仲良し兄弟にある日訪れた天啓。『悪い奴はみんなぶっ殺してよし!』の教えに従い、マフィアどもを次々と始末していく美形兄弟と彼らを追いかける奇人FBIが大活躍のアクション・ムービー!!

映画を観るまではこの兄弟のことを、自分たちこそ神の使いであると盲信しているイタイ人達だと思っていました。ところがどっこい案外、普通の兄ちゃんたちなんですねぇこれが。

兄弟で同じ服を着て、同じ場所に同じ刺青を入れ、プライバシーもなにもあったもんじゃない部屋にいい歳して一緒に暮らしているこの二人が普通かどうかは意見の分かれるところではありますけど。 (しかも職場まで一緒)仕事帰りに飲みに行くときも一緒にいるし、おそらく24時間365日くっついていそうな彼らがこれまた同時に天啓(幻聴?)を受け、悪い奴らを始末していくのですが、この殺された奴らが特に極悪なことをやった場面が出てこないのでなんで殺されなきゃならんのかがちょっとわかりにくかったりしました。(マフィアってだけでアウトなんでしょうか。それってちょっと酷い)

それと、この2人の計画はかなりいきあたりばったりです。返り討ちにあってあっさり捕まるのもムリはないって感じ。そのへんのかっこよすぎないあたりがまた良かったりもするのですが。ただ決めるときは決めます、この兄弟。マフィアのボスの頭を吹っ飛ばす前に二人そろってお祈りを捧げるのだけど、このシーンはカッコイイ。これと似たようなシーン、どっかで観たことあるなぁと思っていたら、 サニー千葉こと千葉真一主演の『影の軍団』でした。(今の若い人は知らんのだろうなぁ )”『プライベートライアン”でも狙撃する前に祈りを捧げる人いましたよね。これは死んでいく人への手向けなのか、これから人を殺す自分への免罪のつもりなのか、宗教にうとい私にはわからんのだけど。

それはさておき、この映画のみどころはやっぱり主演の美形兄弟でしょう!兄弟愛爆発のシーンはかなりツボです。特に好きなのはロシアンマフィアに連れてかれそうになった弟(ノーマン・リーダス)を助けるために兄(ショーン・パトリック・フラナリー)が便器ごと5階から降ってくるシーン。手錠で便器に繋がれてたのを馬鹿力で床からひっぺがし、自らも飛び降りて相手を倒したもののそのまま気絶している兄を肩に担ぎ、拳銃とか金目のものをすばやく紙袋に入れて逃走する弟のちゃっかりぶりに注目です。(このときの弟の流れるような一連の動き!かなり手馴れたご様子でホントに堅気か?と疑いたくなります)それとマフィアを葬るためにホテルの換気口に侵入したはいいものの、重いロープが邪魔だと突然ごねる弟を小突いている間に本気で兄弟喧嘩が始まるシーンは兄弟の性格の違いが良く出てて、馬鹿らしくも可愛らしいのでございます。

それとですね、ウィレム・デフォーさまがえらいことになってます。最初はちょっとエキセントリックな人なのか?くらいに思ってたのですがどうも違ってて。 あれは彼の役者魂の現れなのかはたまた単なる趣味なのか・・・。 多分後者だろうけど・・・。素晴らしい脚線美にうっとりしてください。

DVD特典映像感想: 弟役のノーマン・リーダスの来日記者会見が収録されているんですが・・・。「ノーマン太ったなぁ・・・」(泣)。(いいとも!にゲスト出演したときはそんなに思わなかったのに)映画の中ではこの兄弟、ほとんど同じくらいの背の高さなのですが、今一緒に並ぶとショーンがかなり小さくみえそうな気配です。 顔はあいかわらず男前だけに惜しい!


リスキーブライド 狼たちの絆/BESTMEN

【監督】 タムラ・ディビス
【出演】 ショーン・パトリック・フラナリー/ ディーン・ケイン/ドリュー・バリモア

■ 『 役者志望のビリー(ショーン)とその友人3人で、刑務所から出所した足で結婚式を挙げる友人ジェス(ルーク・ウィルソン)を迎えに行き、教会に向かう途中、『ちょっと金をおろしてくる』とひとり銀行に向かうビリー。 『先に行ってろよ』と言われたにもかかわらず、なぜか気になって見にきた元グリーンベレーのバズ(ディーン・ケイン)の目に飛び込んできたのは今まさに覆面強盗に襲われているひとたち! 慌てて銃を構え(なぜ結婚式に銃を携帯していくのかこの男)『ビりー!!!』と叫ぶも(人質にされていると思ったらしい/苦笑)なんのこっちゃないその覆面男こそがビリーであり、彼はFBIから指名手配されている 銀行強盗《ハムレット》なのでした!! 二人の帰りが遅いので迎えにきた友人3人も巻き込んで銀行に立てこもるハメになり、 そこへビリーの父親(保安官だったりする)は出てくるわ、田舎町のしょぼい銀行強盗相手にかなり本気のFBIが乗り込んでくるわで、事件はどんどん大きくなっていく・・・。』

《処刑人》でものすごく久しぶりにショーンを観た勢いでレンタルしてきたのですが、あの映画ではそれなりの兄貴っぷりを披露していた彼が今回は完全にヒロイン いえ実際にはドリューがヒロインなんでしょうが、がたいのよさといい、潔さといい、彼女の方が何万倍も男らしかったのです。とにかくビリーの強盗ぶりがどう贔屓目に見てもなんの迫力もありゃしないんすよ。その証拠にあっというまにバズに銃をつきつけられてるし。よく今まで捕まらなかったもんだと思うのですが、強盗とはいっても盗んだお金は慈善事業に寄付してるし、誰も傷つけたことがないようなので(実はうさぎも撃てないということが父親の話により判明/笑)人質になった人たちが積極的に逃がしてやってたんじゃないかと勘ぐりたくなります。また、結婚式用にとフリフリのブラウスなんか着ているせいで余計に可愛らしくみえるのですが、たまたま居合わせただけなのに否応も無く巻き込まれていく友人たちがそれほど怒ったり、説教したリする様子もないことなどから、おそらく昔からこんな考えナシのお姫様だったのだろうなと推察されます。

しかし全体に漂うのほほん感とはうらはらに、話は意外に深刻で、本気のFBIの前に仲間が次々と倒れていき (て二人だけど)刑務所から出てきたばっかりで、しかも結婚式の当日に事件に巻き込まれたジェスとその婚約者のホープだけはなんとか逃がすことに成功したビリー(これもまわりのサポートによるところ大)と『俺はゲイだ〜〜〜!!』と明るくカミングアウトしたバズの二人が鬼のように銃撃されて死んでいくラストシーンは可哀想でなりませんでした。なにも殺されなきゃならんほどの悪さなんかなにひとつやってないんだよね、よく考えるまでもなく。救いは逃げ切ったジェスとホープの幸せそうなその後の姿でしょうか。リーとバズにも幸せになって欲しかった、なんて。でもバズ的には思い残すこともないかも。グリーンベレーで培った射撃の腕を披露する場を与えられた上にビリーと《俺たちに明日はない》ばりに死ねたし。大往生か。


不滅の恋 ベートーヴェン/IMMORTAL BELOVED

【監督】 バーナード・ローズ
【出演】 ゲイリー・オールドマン/イザベラ・ロッセリーニ

『ベートーヴェンのかつての弟子であるシンドラーは、彼の死後、「すべての財産を捧げる相手」として遺書に記されている《不滅の恋人》を、唯一の手がかりであるホテルの宿帳に残されたサインをもとに探すことに・・・。』

ィーンでにわかクラッシックファンとなった勢いでレンタルしてきたのですが、これがなかなかの当りでした! 生涯独身を通したベートーヴェンの不滅の恋人とは一体誰なのか・・・ この恋人を探す過程がちょっとしたミステリー仕立てでなかなか楽しめます。

ベートーヴェンといえば、学校の音楽室に必ず肖像画が飾られていて、その絵から受ける印象というのが子供心にも『神経質な頑固親父』といった感じだったんですが、この映画の中の彼もまたかなりの変人ぶりです。(他人と上手く付き合えない理由のひとつとして)聴力を失っているのを知られたくないばっかりに『”耳が聞こえないのでもう少し大きな声で話してもらえませんか”とどうしても言えないのだ・・・。』という彼の独白はそれなりに気の毒だとは思うのですが、それにしてもこの人、あまりに口が悪いのです。 自分の大事な弟が結婚したいと連れてきた女性に対して、ほんの挨拶がわりに『こんな売女との結婚なんか絶対に許さん!』ですからね。これはもう誰だって怒りますな。

しかもその女性が弟が亡くなってすぐに、違う男と暮らし始めたことに我慢がならない彼は 『母親失格だ!』と訴え出て息子まで奪う始末。 果たしてこんなろくでもない男に父親のかわりなんか勤まるのかと思いきや、意外なことに甥のカールにだけは愛情の限りをつくします。またこのカールが大変可愛らしい上に実に聡明で、権利を奪い返そうと母親が起こした裁判の席で『母親と伯父さんのどちらと暮らしたい?』の質問に『叔父さんは耳が悪く、僕のことを必要と しているので叔父さんと暮らします。』と健気に答えるんです。泣ける。

しかし年月ってのは恐ろしいですね・・・。あんなに可愛らしかったカールがわずか5年の間に、とんでもないブサイクに・・・。いえこれは好き嫌いで評価が分かれるところなのであまり多くを語るべきではないのでしょうが、それにしてもあんまりです。ベートヴェンは彼を一流のピアニストにするべく情熱を傾けるのですが、この成長したカールのどこにも芸術家の繊細さが感じられないんですよ! 案の定カールにはピアニストとしての才能がまるでないらしいのですが、それにもかかわらず『カールは天才だ!』と演奏会を開くと言い出します。無茶です。これにほとほと困り果てたカールは、シンドラーに『僕には才能がない(見ればわかります)なのに叔父さんは僕を縛りつけようとする』と相談に。 しかしベートーヴェンは間に入った人のいいシンドラーにまで『昔からキミは鈍くて!!』と罵倒し、必死で愛したカールとも結局分かれることになります。もういろんなモノを失いすぎですこのひと。

音楽家としては天才でも、人間としてあまりにダメな彼に完全に愛想がつきかけた私ですが、この後シンドラーがついに見つけ出した《不滅の恋人》とベートヴェンとのあまりに気の毒なすれ違いによる悲しい結末を知った瞬間、『ごめん。悪かった・・・』謝らずにはいられませんでした。ホント悲しいんですよ。誤解が誤解を生みってやつなんですけどね。いまからでもなんとかしてあげたいくらいです。ムリだけど。


バロウズの妻/ BEAT

【監督】 ゲイリー・ウォルコウ
【出演】 コートニー・ラヴ/ノーマン・リーダス/キーファー・サザーランド

■ ノーマン・リーダス目当てで借りました。内容は『だからどうしたいんだよあんたら』ってことに終始していてどってことない話なんですが、 ノーマン扮するルシアンがどうにも隙だらけでね。正直、そこだけがこの映画のツボかと。

このルシアン(後のUPIの記者)、本人ノーマルらしいのですがやたら男に好かれてます。特にお熱なのがデイブって男で、こいつがもうしつこいったらありゃせんのです。元々はルシアンのボーイスカウト時代の指導員だったのですが(一体何年越しの片思いなわけよ?) 彼と一緒にいたいから!と教職を辞めて(怖すぎ)NYまでついてきたりするイヤぁな粘着体質なんです。で、ルシアンの方も好かれてるのをいいことに、けっこう利用していたらしく当然見返りを要求されるわけです。(このへんわからなくもない) でもそれはやっぱり困るし、うっとうしいからってんでいったんはフランスへ逃げようとするのですが 「船に乗り遅れちゃったーvv」なんてお馬鹿な理由であっさりバロウズの家に戻ってきたところで、デイブと鉢合わせ・・・。もうこっから先はツッコミどころ満載です。

友達のアレンとお酒を買いに行こうと話しているところへ現れるデイブ。 とっさに『1ドルか2ドル持ってない?』と言ってしまうルシアンに、ポケットからくちゃくちゃの紙幣を取り出し押し付ける姿が早くもそうとう気持ち悪い。 そこへよりにもよってアレンに電話が入ってしまい、なぜかデイブと2人で買いに行くハメになるルシアン。 半ぺそで「デイブとお酒買いに行って来る…」とバロウズの妻に伝言する姿はあまりに哀れで涙を誘われます。もう誰が観たってヤバイ展開が待ち受けているというのに、そこは隙だらけのルシアン。ちゃっちゃと帰ってくればいいものを、何故かひとっこひとりいない公園(てか森)に行っちゃうんですよ。この少し前にバロウズから『いい加減ケリつけないとえらい目にあうぞ』と忠告されるのですが、それは「誰もいない夜の公園で見るからにやばい男と2人っきりで話をつけろ」という意味では決してなかったはずです。もしかして頭悪い子ちゃんなのでしょうか?

案の定、「僕はきみのためになんでもしてきた!だからきみの愛情が欲しい!!」とぎらぎらと迫ってくるデイブ。それに対し、いまだに自分の置かれている状況を把握していない模様のルシアンは「きみのことは好きだけど、同性愛者としてじゃない」とそんなこといまさら言ったところで通じるか!!言うならせめて逃げ道確保してからにしろ!!とどやしつけたくなるような直球勝負に出ちゃうわけです(もう泣けてきます) もちろん、はいそうですかと引き下がるわけもなく、一気に逆上して襲いかかってくるデイブ。 揉み合う2人。そしてルシアンの手にはナイフが!!場面暗転(笑)。

ぼろぼろになって家に戻ってきたルシアン。驚くバロウズ夫妻の間にちんまり収まり 「デイブを殺しちゃった…と告白。 「だーかーらー言ったじゃないか!」と叱責され涙目になりながらも、そこはきっちり「彼が突然襲いかかってきて…」と正当防衛を主張するルシアンです。(だから何度もいうけど、あんたが隙だらけなんだよ!!) 「どうしよう…」とすがってくるルシアンがそんじょそこらのブサイクだったら私も「知らんがな!!」で一蹴してやるところですが、なんといってもノーマン・リーダスなのでね。やっぱりね。なんとかしてあげたくなるんですよ不思議と(笑)。男前って得よね←そんな問題か(結局、「両親に相談していい弁護士を雇ってもらえ」という大人なバロウズの勧めに従い大人しく出頭したようで、おまけに人ひとり殺しといて2年くらいで出所したみたいです)

と、ここまで長々と書いてきましたが、映画でいうと最初の20分くらいの話なんですこれが。あとはまぁ出所してきたルシアンがバロウズの嫁に横恋慕してみたり、バロウズがウィリアム・テルごっこで誤って嫁の頭を撃っちゃったりと。そんな感じっす。ちなみにこれみんな実在の人物です(デイブはどうか知らんけど) 。そういや昔、バロウズの小説《裸のランチ》が映画化されたのをビデオで観ました。昆虫(カブトムシとかカナブンとかあんな類)の形のタイプライターが出てきたことだけはおぼえてますが、あとは全部忘れました。なんかけったいな話だった。


リトル・ストライカー/THERE'S ONLY ONE JIMMY GRIMBLE

【監督】 ジョン・ヘイ
【出演】 ロバート・カーライル/ルイス・マッケンジー/レイ・ウィンストン

■ 主人公のジミーはマンチェスター・シティが大好きな高校生。しかし学校ではユナイテッドサポが幅を利かせ、ジミーは毎日イジメにあいます。そんな学内アウェー状態のジミーが登校拒否にもならずに通い続けるのはひとえにサッカーの試合に出たいからなんですな。彼の通う高校のサッカー部員はわずか12名。誰かが怪我でもすれば補欠のジミーにも出場の機会があるのです。元々ジミーは身体こそ小さいものの(最初、小学生かと思いました)サッカーは上手。ですが、惜しいかなそれは誰も観ていなければの話で、ギャラリーがいるともうダメ。あがっちゃって持ってる力の半分も出せません。その情けなさときたら、後ろからケツでも蹴り上げてやりたいほどです。本人もなんとか克服しようと鏡の前で「お前はターミネーターだ。リーサル・ウエポンだ。連続殺人鬼だ」と自分に喝を入れるのですが、やっぱりダメなもんはダメ。(←ここでレザボアドッグスのMr.オレンジが鏡に向かい「お前はスーパークールだ」と言い聞かせるシーンを思い出したり)

そんなダメ少年ジミーにある日、転機が訪れます。いじめっ子に追いかけられ、逃げ込んだ廃屋で出会った謎の老婆がくれたボロ靴。お婆さんが言うにはそれは”魔法の靴”らしいのですが、とてもそうは見えません。こんなのいらないやい!と一度は捨てたものの、結局拾ってきて履くはめになるジミー。ところがそれは本当に魔法がかかっているかのような奇跡を彼にもたらすのです。初めて出してもらった試合のファーストタッチで初ゴールを奪うジミー。喜んで報告に行く彼にお婆さんは言います。「それは元プロ選手、マン・シティのロバート・ブルーワーが履いていた靴だよ」

マン・シティの選手名鑑を遡っても見つからないロバート・ブルーワーとは一体誰なのか?といった謎解きもあるものの、ストーリーはいたって単純です。普段なら「ひねりがない!」と怒るところですが、ジミーが可愛いので許します。チームのコーチ役にロバート・カーライル。あのトロそうな人が元シティのプロ選手とは笑かしますな。ライン際であれこれ指示を出す姿がまるでサマになってなくて痛々しいほどでした。

サッカー(英国式だとフットボールですね)が少しでも好きなら可愛いと思える映画です。笑ったのがスタメン発表の際に、自称エースの男の子(ジミーいじめの首謀者でもあります)にコーチが「お前はベッカムをやれ」と言うシーン。FWしかやりたくない彼はむきになって「金髪だからってベッカムと一緒にするな!俺はコールだ!」と反発。しかしそんな彼の髪型はかなりベッカムを意識しているようでした。


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