11'09''01/セプテンバー11/11'09''01 - SEPTEMBER 11

【参加監督】 ◇サミラ・マフマルバフ(イラン/「ブラックボード/背負う人」)◇クロード・ルルーシュ(フランス/「愛と哀しみのボレロ」)◇ユーセフ・シャヒーン(エジプト/「炎のアンダルシア」)◇ダニス・タノヴィッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ/「ノー・マンズ・ランド」)◇イドリッサ・ウエドラオゴ(ブルキナファソ/「掟」)◇ケン・ローチ(イギリス/「SWEET SIXTEEN」)◇アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(メキシコ/「アモーレス・ペロス」)◇アモス・ギタイ(イスラエル/「キプールの記憶」)◇ミラ・ナイール(インド/「モンスーン・ウェディング」)◇ショーン・ペン(アメリカ/「インディアン・ランナー」)◇今村昌平(日本/「うなぎ」)

■ 2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ。この事件を風化させないために世界の映画監督11人が集結し、ひとり”11分9秒1フレーム”という時間枠の中で制作した短編映画を集めたオムニバス作品。

当時のニュース映像をそのまま使ったストレートな監督もいれば、恋愛物語に絡める人、アメリカにも責任があるんじゃないかと問い掛ける人、非常に悲しい出来事ではあるけど、自分たちも同じような境遇にいるんだと訴える人、テロなんかうちじゃ日常茶飯事なことだと言う人、それぞれ違ったアプローチで制作された作品は、どれも短い時間の中に監督の思いが凝縮されていていちいち考えさせられる。またその個性の違いが面白くもありました。ショーン・ペンの作品はこの中ではちょっと異色かも知れません。登場人物はお爺さんが一人だけで、彼もテロ事件とは直接の関係はないんですな。ではどういう話かというと。以下ねたばれ↓

そのお爺さんは一人ぼっちでほとんど陽の差さない部屋で生活しています。窓際には亡き妻が大事にしていたと思われる鉢植えが一つ置かれているけれど、花はすでに萎れてしまっていて、それがいっそうその部屋の暗さ、お爺さんの寂しさを強調しているように見える。眠る前には必ず妻の服を自分の隣に敷いて「おやすみ」と声をかけ、「もっと明るいところに住めばヨカッタなぁ」と、そこに奥さんがいるかのように話しかける彼の姿に、「この人は奥さんの死を受け止めきれずにいるんだなぁ」と想像する。で、てっきりその奥さんはテロの犠牲になったのだと思って見ているとさにあらず。ある日の朝、いつもなら暗い窓際から徐々に部屋の中に光が差してきます。眩しさで目を開けると部屋は朝日に包まれていてとても明るい。しかも枯れたと思っていた花までが生き返っているのです。喜ぶお爺さんは、「ほら!」とその鉢植えを彼にだけ見えている奥さんに見せます。ところが、明るくなった部屋で彼の目に映ったのは主を失くした洋服のみで、そこには誰もいないのです。途端に涙に暮れるお爺さんの姿に重なるように、ゆっくりと崩壊していくツインタワーのシルエットが映ります。そうです。彼の部屋に光が差したのはツインタワーが崩壊したからなんですね

これにはやられたと思いました。そういう撮り方もあるかと。世界規模で人々に衝撃と悲しみを与えたテロ事件と、このお爺さんの個人的な悲しさとは規模は全然違うのだけど、大事な人を失った人間の苦しさや寂しさにどちらも変わりはないわけですな。それを二つの場面を重ねることで同時に表現するなんて、ショーン・ペンもやるじゃないか。監督デビュー作の「インディアン・ランナー」では何が言いたいのかさっぱりわからんかったけど、この作品はよくわかったぞ。私の思い違いでないといいけどな。

他の監督の作品からも伺えるけれど、人間ていつからこんなに愚かに無慈悲になって、それがいつまで続くんだろう思うとつくづく怖くなる。アメリカ同時多発テロだけが特別なものじゃないんですな。今も世界のどこかで戦争やら紛争やらテロが起こってるし。いつかイランの子供たちが無邪気に話すように「神様が全ての人間を殺してまた新しい人間を作る」そんな日が来そうな気がします。嫌だよう。


恋する惑星/CHUNGKING EXPRESS

【監督】 ウォン・カーウァイ
【出演】 トニー・レオン/フェイ・ウォン/ブリジット・リン/金城武

■ この作品は好きです。可愛い。ストーリーは2部構成になっていて、前半は金城武くん演じる刑事のモウと謎の金髪ヅラ女(ブリジット・リン)の話で、後半は警官633(トニー・レオン)とフェイ(フェイ・ウォン)、二人の不思議ちゃんの恋のお話です。で、この二つが最後に一つに纏まるかというと一切それはないんだなぁ。どうなってんの?って感じですが、もはやツッコむところでもないんでしょう。

まず前半。これはなんだか掴み所のない話でした。モウはエイプリールフールに付き合ってた女の子に振られ、でも自分の誕生日である5月1日が賞味期限のパイナップル缶を1ヶ月間、毎日1個づつ買えば「彼女が戻ってくる」と願掛けするような男。可愛いね。そうかな。ま、結局彼女は帰ってこず、自棄になってパイン缶30個一気食い。ゲボー。口内炎になるよ!と心配しちまいました。腹ごなしに飲みに行った先で出会ったのが金髪でサングラスの謎の女。モウは酔っ払った彼女をホテルに連れて行き、自分は眠っている彼女の側でルームサービスを鬼食い。金城くんの食べっぷりは見事なんだけど、その女はなんなんだ。でもそのうちわかるよねーと思ってたら最後まで謎のまま。これはあれか。金城武の胃は意外とデカイというそういうお話なのか。

面白いのは後半。フェイは毎日のように自分が働く店にやってくる警官633に一目惚れ。でも彼にはスッチーの恋人がいるので片思いなんですな。ところが彼がそのスッチーと別れというか振られ一人になったのを知ったからには黙っちゃいられません。あることから彼の部屋の鍵を入手した彼女は白昼堂々、警官の部屋に侵入します。店では警官633にそっけない態度を取りつつも、せっせと部屋の掃除をしたり模様替えをしたりとかいがいしいフェイ。好きな男の部屋で浮かれまくる彼女を「最高にキュート!」と評する人もいるようですが、よく考えて下さい。こりゃストーカーです。怖いよ。が、そんなストーカー女のさらに上を行く奇行を見せるのが男アメリこと警官633。部屋の中では常に下着姿なのは独身男ならありうる話なのでよしとしても(つうか監督の趣味だろあれ)、問題なのは、この男が何にでも普通に話しかけること。一人暮らしは独り言が多くなると言いますが、もはやそういうレベルではありません。小さく薄くなった石鹸には「お前、痩せたな。もっと自分に自信を持てよ」と励まし、びしょびしょのボロ雑巾のようなタオルには「「泣くなよって言ったのに。情けないなぁ」と言いながら水気を絞ってやります。お友達は白熊のぬいぐるみ。膝に乗っけて真剣に話かける姿にはさすがに引きますな。←絶対変よねこの人。

しかもフェイが部屋に侵入して備品を取り替えたことにも全然気づかず、新品の石鹸に「どうした急に太って。ふられたからってヤケになるな」タオルには「近頃のお前は個性がない。彼女がいないからって変わる必要はない」(それはお前のことだ)。極めつけにトラ(猫か)のぬいぐるみにむかって「どうしたんだ?こんな傷つけて」ってあんた、それ傷じゃなくて模様だから。いやそれ以前にあんたが持ってたのは白熊のぬいぐるみでしょ。大きさ以外全然違うやん。なんでわからんの?!フラれて落ち込んでるのはわかるが、仮にも警官だろうが!気をしっかり持て!!!!(おまけに冷蔵庫の中のミネラルウォーターに一服盛られてあっけなく爆睡。処置なしですな。相手がフェイ・ウォンでヨカッタよ)

フツーに考えたら只の変わり者としか言い様のない警官633ですが。なぜか、どうしたことか、これが妙に魅力的なのが困る(笑)。(ヤバイ。私もついにカーウァイ・マジックにはまったか)カッコイイとこは全然ないんだけど、彼のアパートの側を通るエスカレーターに乗ってる時に部屋の中からフェイに声を掛けられて「え?」って感じでかがんで隙間からキョロキョロ辺りを見回すシーンや、誰もいないはずの部屋に誰かがいる!と気づいた時の「?!」って表情がなんともいえず可愛いっす。トニー・レオンって、寡黙だったり疲れてたり困ってたり病んでたりしてなんぼだと思ってたけど、こういう明るい役も似合うのね。警官633とフェイ、どちらも変だけど可愛い二人の恋の行方が一筋縄じゃいかないのもこの映画の楽しいところ。でも最後はちゃんとハッピーエンドに終りそうなのがまたヨカッタです。これをあのごっついおっさんが撮ったってのはなんか信じられないけどな。あと、フェイの足を警官633がマッサージしてあげるシーンはトニーの制服姿(よく似合ってる)とフェイの白くて細い足がなんだか色っぽくて、ちょっとドキドキしました。


待ちきれなくて・・・/ CAN'T HARDLY WAIT

【監督】 ハリー・エルフォント/デボラ・カプラン
【出演】 ジェニファー・ラブ・ヒューイット/イーサン・エンブリー/セス・グリーン/ローレン・アンブローズ

■ 高校の卒業パーティの一夜を舞台にした青春ラブストーリー。主演はジェニファー・ラブ・ヒューイットと誰か知らん男。(ジェニファーの従兄弟役でERのマルッチが出てます。今とほとんど変わらんよ)主演のわりにまったく華のない二人はどうでもいいけど、脇キャラのエピソードが最高に楽しい。

特に、白人のチビのくせに似合いもせんヒップホップ系のファッションに身を包み、童貞を捨てるために片っ端から女の子に声を掛けまくる調子のいい男セス・グリーンと、彼の幼馴染で毒舌家のローレン・アンブローズの気になってるのに素直になれないっぷりが可愛くて可愛くて!ふたりっきりでバスルームに閉じ込められ口喧嘩ばっかりしてたのが、いつの間にかちょこんとひっついて座ってる姿が辛辣な口ぶりと正反対の子供のような愛らしさ。しかもセスはどさくさに紛れて電光石火で彼女にキスしてしまうんですよ。おまけにそのキスがきっかけで、念願叶って童貞を捨てることになるのだけど、どうもその上手くいかなかったようで(笑)ローレンに「また次頑張って」なんて言われて傷ついちゃって逆ギレして酷いこと言って怒らせちゃうんです。でも怒ったローレンを何を考えてそんなデカイ車に乗ってるのか?で追いかけてって許してもらうんですよー!この幼馴染ならではの、嬉し恥ずかしなぎくしゃくした感じが可愛いてたまらんです。セス・グリーン、当時24歳?中学の卒業パーティだと言っても彼なら通じる。

他にも高校の3年間イジメられ続けてきたオタク少年の復讐劇あり、趣味がバラバラのバンドのエピソードありでたった一夜の中に見所満載でよくできた作品だと思うのだけど、なぜか劇場未公開なんすよね。やはり主演が問題か。


72時間/Emmett's Mark

【監督】 キース・シュナイダー
【出演】 ティム・ロス/スコット・ウルフ/ガブリエル・バーン

■ ティム・ロスとガブリエル・バーン共演(主役は誰か知らん男)とくれば観たい!と思う人もいただろうに(数人か)劇場未公開のこの作品。配給会社が二の足踏んだのは地味な話を引っ張る力が主役になかったせいかしら。なんて偉そうに書いたけど、ティム・ロスとガブリエル・バーンの共演シーンはぴりぴりしてていいんだな。

あんまり説明がない作品なので、細かいところとか裏設定みたいのは自分で想像して勝手に埋めさせてもらいますが、主人公のエメット刑事(スコット・ウルフ)は病院の誤診により「白血病で余命わずか」と宣告されてしまう。多分、白血病なのには間違いないみたいなんだけど、実は命には別状なかったにもかかわらずに。病院で苦しんで死ぬのは嫌だと思いつめてるところに話しかけてきたのが「元FBI」だと名乗るジャック・マーロウ(ガブリエル・バーン)。初めて会ったうさんくさい男なのに、なぜか心情を吐露してしまったのは「誰かに話さずにはいられなかった」のだろうと思う。一人で抱え込むには怖すぎるもん。自分があともう少しで死ぬなんて。そこでジャックが提案したのが「誰かに殺してもらうってのはどう?相手の顔も場所も時間も知らされずに」ってんだから唐突です。が、エメットはそれを受け入れてしまう。それほど追いつめられてたんだなと思うと物凄い初歩ミスで彼に死の宣告をした病院の責任問題を追及せずにはいられないところです。

エメット殺害の計画を持ち込まれたのが冴えない私立探偵もどきのジョン(ティム・ロス)。かつて警官だった彼は刑事になるのが夢だったのだけど、それが叶わず、しかも自分より年下の刑事を半殺しの目に合わせて退職したようです。その時に彼の弁護をしたのが悪徳弁護士のバーン。「俺だから無罪にできた」なんて恩着せがましいことを会うたびにねちねち言ってそうなジャックと、彼のことを睨みつけるようにして話すジョンのやりとりがたまりません。ジョンはジャックのことが大嫌いなのに、なんとなく漂う共犯者めいた雰囲気。「お前のことなんかお見通しさ」と言わんがばかりのバーンに対し、一歩弱い立場にいるティム。こういうティムも珍しいです。

で、案の定「お金がいるから」と殺しを引き受けてしまうジョン。やるとなったら徹底してるのがちょっとオモロイです。わざわざピッキングのハウツー本みたいのを読んでるし(笑)。元警官だけあって、尾行やなんかもお手の物でじわじわとエメットに近づいていくジョン。自分の死の影から逃れるように連続婦女暴行殺人犯を追うエメット。この平行するふたつのエピソードをもっとスリリングに絡ませることができたら、もっとエンターテイメントぽく仕上がったと思うのだけどなぁ。でも絡んでない分、余計に「最後どう決着つけるの?」みたいな妙なハラハラ感があるのも確か。

そういうわけで、ストーリー的には地味なことこの上なしだし、正直「なんでティムとガブリエル・バーンはこの仕事を引き受けたの?」と思わないでもない。二人はすごく雰囲気あるんだけどね。ガブリエル・バーンはメガネをかけたり外したりするそれだけの仕草がなんとも言えず色っぽい。ジョンのことを勝手に自分と同じ側の人間、でも俺よりちょい下くらいに位置づけてるのがありありでその辺のいやらしさとかがたまらんです。ティムはもうやばいくらい孤独な男。一人でガードマンの仕事をしている時の、店で(逆ナンで知り合った)彼女を待っている時の尋常じゃない孤独感。それはもう、「生まれてこのかた誰にも愛されたことがないんじゃなかろうか」なんて邪推するほどです。それ故、彼はひととして大切な何かが欠けてるんじゃないかと思えるような部分もあるんだけど、彼女に「私立探偵なの?すごいじゃない!」なんて無邪気に絶賛されて少しだけ嬉しそうな顔をするのを見ると「そこのあなた。彼を大事にしてやって下さい。愛してあげて下さい」と切実に願ってしまう。でも結局あれなんだけど。エメットを彼の家で待ち伏せしてるのに帰ってこないなんてひにゃ、殺す相手にまで振られてるんかと可哀想で泣けてきましたよ。

この作品でのティムはかっこよくも、エロくも、可愛くもない。なのに「最後のティムの行動の意味は?」 なんて主役そっちのけで彼のことを考えてしまうのは、単なるティムファンの業なのでしょうか。←いややっぱりそういう行間を読ませる芝居をする役者だからだと思いたい。だから監督、ティムとガブリエル・バーンの馴れ初めみたいなとこから始まる短編を作って下さい。エメットも悪くはないんだけど、特に興味もないんだよね。ただ「あんだけ仕事ができるのに、なんで署内じゃおみそ扱いなんだ?」ってことだけは気になります。気になるといえばフィラデルフィア署のあまりのやる気のなさも。けっこうな大事件だと思うよ。早よ捕まえてくれ。


裏街の聖者/Mack The Knife

【監督】 チー・リー
【出演】 トニー・レオン/アンディ・ホイ/アレックス・トゥ/ラウ・チンワン

※ネタばれしてます。

■ 日本の漫画が原作らしいですな。香港の下町で診療所を営むマック先生(トニー・レオン)は、「医は仁術」と思っているような様子は微塵も感じられない女好きでだらしない男。でも街の人は男も女もみんなマック先生が大好き!おまけに彼はちゃんとした病院の中でも密かにアイドルだったらしく、「あなたがあのマック先生!」と研修医どもはきゃあきゃあきゃあきゃあ。その中でもちょいとばかりみんなの前で誉められたソウ先生(アンディ・ホイ)は、マック先生を追いかけて病院を辞め、診療所で働かせて下さい!と血迷う熱狂ぶりです。一度会っただけの前途ある若者をここまで狂わすとはおそるべしマック先生。(しかも今回は得意の捨犬芸を披露していないにもかかわらず!)トニー・レオンをかっこよく見せたくてあれこれ必死で仕込んだ設定がことごとくスベっていた「ロンリー・ウルフ」とは大違いのよくできた作品でした。

話も変に暑苦しくなかったのがよかった。マック先生は金のない人から診察代は取りそうにないけど、払うと言われれば受け取るだろうし、「なんなら身体で払います」と言われても喜びそう。←ちょっと言い過ぎ。そんくらいのほほんとしてるんだけど、いざメスを握ればあっという間に天才外科医に早変わり!←嘘!実は大事なオペの間でもふざけっぱなしで、この辺はERを見慣れた目からすれば「それはない」と冷静につっこみたい。ロマノもたいがいしゃべくり倒してるけど、さすがにスティービー・ワンダーの物真似はしないと思うよ。それとオペの方法がいちいち独創的なことに「やはりあんたもぐりなのでは?」という疑惑を抱かずにはいられません。天才なのか単なるいちびりなのかは微妙なとこ。ま、結果がよければ過程はどうでもいいんだろうけど。

この映画がすっきり後味がいいのは悪い人間が一人も出てこないところにあるんですな。マック先生の医大時代の親友であるロジャー先生(アレックス・トゥ。←最初、レオン・カーファイかと思った)は女は寝取られるわ、せっかく自分の手柄にしたオペの方法が実はマック先生のアドバイスによるものだったと暴露されるわで、一時は錯乱して彼を窮地に陥れようと画策するけれどそれもつかの間。最終的にはマック先生の代わりにアフリカに医師として出向するとまで言い出す始末です。愛されすぎだなマック先生。本人ひとっつも気付いてなさそうなとこがまた罪深し。

マック先生の幼馴染っぽい刑事にラウ・チンワン。仕事もせずに恋する娼婦に客が寄り付かないよう見張ってるのがゴツイ顔に似合わずいじらしい(営業妨害とも言えるがな)。でもマック先生は友達の気持ちを知ってか知らずか彼女の部屋から堂々の朝帰り。これにはちゃんと理由があってのことで、たとえ友達にでも守秘義務は守るマック先生は適当に見えて実は口が堅かったり、「医者は鞄屋(靴屋だったかも)と同じ。直せる鞄もあれば直せないものもある」と割り切る素振りを見せながら、ひとりこっそり救えない患者を思って泣いてみちゃったりする人情家。ベタっちゃベタだけど、「同じ死ぬなら自分もマック先生に看取られて死にてぇよ」と思わずにはいられないわ〜。でもあの診療所はちょっと。なんか別の(下の)病気に罹りそうなんで。


>>>Back