■ キャメロット・ガーデンというのは町のぐるりを壁で囲んだ高級住宅地のことです。きちんと区画整理された土地に同じような家が立ち並び、どこの家の庭も青々とした芝生が広がり、週末にはそこでホームパーティが開かれるようなリッチで平和な町。ただし住人はゲスばっかり。
ここで芝刈りの仕事をしているトレント(サム・ロックウェル)は、町の外の森で一人暮らししている貧乏人。選民意識の強い町の住人からはあからさまにバカにされてます。中にはトレントの身体目当てで彼のトレーラーハウスに忍んで来る女もいるけど、両親にも友達にも恋人として紹介するはずもない。そんな存在。ところが、孤独だけれどそれなりに気楽な生活を送るトレントの元に、キャメロット・ガーデンに新しく引っ越してきた少女、デヴォン(ミーシャ・バートン)が現れたところから、彼の生活は一変します。というかさせられる。いやあ迷惑だったな、デヴォン!まだ10歳の彼女がトレントの身体狙いだったとは思わんけど、親をだまくらかしてまで勝手に泊まりにきたりしてなかなか侮れないもんがありました。
一方的になつかれてるのはトレントの方だけど、世間はそうは見ない。なんせ相手は町の外の芝刈り男だし(差別)。結局、「うちの娘が変態野郎にイタズラされた!」とそういう誰もが予想する展開になるんですが、ここでただトレントが袋叩きにあって謂れのない罪を負わされるという話で終わらないのが偉いといえば偉かった。それにしても強引なオチではあるのですが。
とにかく大人たちは最初から最後までデヴォンに翻弄されっぱなしで情けない限り。デヴォンは好きなだけ暴れた挙句、トレントに「早くこの町から逃げて!」とか勝手なこと言ってるし。トレントには逃げなきゃならない理由なんかひとつもないんだけどねぇ。むしろ逃げた方がいいのはお前だろうと。でもそうは言わずに黙って逃げてやるトレント。それもデヴォンが「追っ手から必ず逃げ切れる」という魔法のアイテムを受け取って(男前だ)。このくだりはデヴォンもやはり子供であったかと思えるエピソードでした。そしてあれはやはりハッピーエンドなんだろうな。ああでもしなきゃ、トレントはずっと森の中でくすぶってたろうから。それと、ひとりどうしようもなく貧乏くじを引かされた男がいて、もう私は彼が気の毒で気の毒で。あの子、トレントのこと好きだったんだよね〜。デヴォンさえ余計なことしなきゃ、町の住人で唯一の友人以上恋人未満の存在になりえたかも知れないのに!
余談:サムロクさんは本作でも豪快なフルヌードをご披露されてます。何に出てもとりあえず脱いでるよね、この人。偉い。
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