デッドベイビーズ/DEAD BABIES

【監督】 ウィリアム・マーシュ
【出演】 ポール・ベタニー/ウィリアム・マーシュ/クリス・マーシャル/チャーリー・コンドウ

■ 10人の男女がドラッグとSEXに明け暮れ、ついでに殺人事件にも巻き込まれてしまう下品でおバカなB級映画。

内容はどうでもいいですが、ポール・ベタニーを見るには最高。掃き溜めに鶴とはまさにこのことなり!ってなくらい一人だけ抜きん出てカッコイイ〜〜♪(他が酷すぎるってのもありますが。特にチビでデブで下品なキース(アンディ・ナイマン)は生理的に受け付けない)。監督もその辺のことをよくわかってるようで、彼だけ妙に衣装チェンジが多い。白のフリフリドレスシャツに革のパンツとかピンクのブラウスに細身のスーツとか、何着せても似合うもんだから衣装係もやりがいあったろうなと思いますね。他の奴らはその辺の服でも着とけ!って感じのおざなりさなのに比べると愛情の深さが全然違う。あんな着せ替え人形欲しいわ〜。

事件自体はなかなか起こらなくて、謎の殺人者ジョニーから殺人予告のメッセージが送られてくるだけ。それが次第に「ジョニーはこの10人の中にいる!」と犯人探しが盛り上がるかというとそれもなく、犯人がわかるとほぼ同時に映画も終わります。謎解きものとしては最低なようですが、犯人がわかってから見直すとなるほどセリフの数々にそれなりに意味があることがわかります。ま、それも大したネタじゃないのですが。殺すのに特に動機らしいものがないのが不気味かな。とにかくベタニー鑑賞映画としてはよくできてました。あわてふためいてタウンページを繰る姿までもがあそこまで絵になる男もちょっと思いつかない。

↑(右上)の画像。同じ人間とは思えないこの二人。キースは「背が高くなりたい!」と自作のシークレットブーツを履いたりしてるんですが、(だいたい秘密でもなんでもないよあの靴)お前が女に相手にされないのは、見た目じゃなくって性格の悪さと下品さにあるんだと誰か言ってやって下さい。


過去のない男/MIES VAILLA MENNEISYYTTA

【監督】 アキ・カウリスマキ
【出演】 マルック・ペルトラ/カティ・オゥティネン/ユハニ・ニユミラ

■ 暴漢に襲われ大怪我をし、記憶の一切を失なったにも関わらず、特にそれを取り戻す努力もせず、並々ならぬ適応能力であっさりと新しい人生をスタートさせる主人公(マルック・ペルトラ)。自分たちだけでもかつかつの生活なのに、道端に転がっていた見るからに怪しげな男(主人公)を拾い世話してやる貧しくも暖かいニーミネン(ユハニ・ニユミラ)の家族。「そんな格好じゃ(就職の)面接にも行けないわ」と男に黒のスーツに赤のシャツとどう見ても堅気でないコーディネイトをしてしまう救世軍の女イルマ(カティ・オゥティネン)。出てくるひとがみんな変です。変なんだけど優しい。

特にニーミネンの家族には久しぶりに「清貧」という言葉を思い出しましたよ。正直、どこの誰とも知れないおっさんの面倒見てる場合じゃないんですが、週に一度の救世軍による食事の配給を「ディナー」だと言い、普段よりオシャレして出かけるニーミネンはとことん根が明るいんですな。陰気くさい主人公を相手に「人生は前にしか進まない。後ろに進んだら困るだろ」なんてあっけらかんと言ったりして。明るいから貧しくともそれなりに人生を楽しめるんだなぁ(なんでも気の持ちようってことですな)。息子ふたりがまたえらい可愛いんだよ〜。

主人公の男の家(コンテナ)も廃品利用ばっかりな割に妙にオシャレに見えたりします。なんせジュークボックスまであるんだもんね(照明もどことなくムーディだ)。イルマが選んでくれた黒のスーツに自前の紫のシャツを合わせたりと、やることなすことちょっとシャレてるこのおっさん。意外と色男だ。


ノックアラウンド・ガイズ/KNOCKAROUND GUYS

【監督】 ブライアン・コッペルマン/デヴィッド・レヴィーン
【出演】 バリー・ペッパー/ヴィン・ディーゼル/セス・グリーン/ジョン・マルコヴィッチ

■ キャスティングのわりに地味な作品。話も退屈。

父親がマフィアのボスなせいで堅気の仕事につけないマティー(バリー・ペッパー)。しょうがないから後でも継ぐか!と大ボスに納める金の受け取りをやらせてもらったものの、これが見事に大失敗。友人の手を借りてなんとか金を取り戻そうとあれこれ手を尽くしてみるが・・・。

まずマティーがマフィアにまったく向いてない。金をネコババしたのはただのガキですよ?普通なら銃で脅すなりなんなりですぐに取り戻せるような相手に、妙に慎重になったせいで横からガキの親が出てきちゃった。しかもそれが腹の黒い保安官だってんだから質が悪い。そもそも、大事な金の受け取りにジョニー(セス・グリーン)ひとりを行かせたのが間違いでした。どう考えても失敗要員やろ<セス・グリーン。

とにかくマティーのやることがいちいちイライラするというかじれったい。段取り悪いしさ。就職できないのは親のせいだけではないのと違うか。このどんくささがそのまま作品に影響してて最後までなんともゆるい話でした。途中で業を煮やしたボスの片腕テディー(ジョン・マルコヴィッチ)が乗り込んでくる辺りは面白くなる気配だったんだけどな(マルコヴィッチの無駄遣いとも言える)。

子供の使いさえまともにできないジョニーをしょうがないかと許してやる甘いマティーを、(お前やっぱりこの世界に向いてないわ・・・)と生暖かく見守ってくれる親友のテイラー(ヴィン・ディーゼル)。ジョニーの従兄弟で男前だがヘタレのクリス(アンドリュー・ダヴォリ)。幼馴染っぽい彼らが、それぞれのキャラなりに友情に殉じようとするのがこの映画の唯一の救いかと。ジョニーでさえそう。友達ってええね〜。

最後がちょっとレザボア・ドッグスに似てると思ったら、製作がローレンス・ベンダーでした。パクってるやん!


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