「みやこのハッピートーク」    

                                SEPT. 2003

★フランス旅行記ーー(1)
「パリの街をスクーターで走る!」

というわけで、うれしがりの旅行記第一回は、なぜかみやこならぬ住職が代筆。というのも、今回の旅行で唯一の希望がグルメでもブランドショッピングでもなく、パリの街をバイクスクーターで走ってみたいということ。

思い入れの強かったアンタが書けということで書いてます。
一応、ベルサイユ宮殿やノートルダムも案内してもらった後、あちらの知人に無理やり「レンタル・スクーター店」をさがしてもらい、ついて行ってもらい予約。(交渉は全てフランス語で何のことやらさっぱり・・)

いよいよ翌日、天気が晴れるのを待って二人乗りで出発。スクーターはべスパの125ccで、こちらでも乗りなれているタイプ。それはいいが、何しろパリは右側通行に加えて、車線関係なしの乱暴運転!おまけに道は入り組んで地図を見てもわからない。

なるべくセーヌ河を離れないようにしながら、何とか勘でエッフェル塔方面を目指す。走っていても、どこから車が飛び出すかわからず、緊張感でいっぱい。途中何度か道端に停まりながら、地図で確かめ何とか凱旋門やエッフェル塔方面へ到着。記念写真などを撮り、また引き返す。

一方通行が多いので、全然違う道に迷い込んだりしながら、ようやく元のバイク屋に帰還。約2時間のツーリングだったが、ほとんどジェットコースターに乗っていたような興奮と疲れが押し寄せていた。

それでも何とか今回の旅行の「最大のイベント」を達成できて満足、満足・・。ちなみにその「レンタルバイク店」を利用したのは、日本人としては二人目だったそう。(もっとも、その翌日には例のパリマラソンの関係で日本の新聞社が予約していたらしいが)

後で聞くとフランスの親戚らはかなり心配していたようで、無茶をすると、かなりあきれられていたようだった。


エッフェル塔をバックに。
あこがれのパリの街のツーリング。
レンタル・バイク店の前にて。
オーナーはカンボジア系のERK氏。可愛い赤ちゃんができたばかりでした。


★フランス旅行記ーー(2)
「フランス家庭でのホームステイ」

関西空港出発から約12時間。うれしい気持ちと不安感が複雑にいりまじりながらシャルル・ドゴール空港に到着しました。
税関の外でホームステイをさせていただくアカマツさん(義父の従兄弟)の出迎えを受け早速メトロに乗り込んでお宅へ向かいました。

アカマツさんは、70代後半ですが、ハーフとはいえダンディーでスマート。かくしゃくとして、ご自分で車も運転されてます。20歳過ぎまで日本で育たれたので、もちろん日本語もペラペラ。あちらで結婚され、お孫さんもおられます。

時差ぼけの目をこすりながら「世界の車窓」なみの雰囲気に「わあー」「へえー」を連発、騒いでいました。着いたとたんに建物や風景に圧倒されてしまいました。

アカマツさん宅は空港からメトロで約45分、パリ中心部から15分ほどとたいへん便利な町にありました。
戦後建てられたアパートですがこれがまた素敵、シャッターが木造で、なんとも落ち着きのある設えです。今は、お子さん達はそれぞれ独立されて奥さんのアンヌマリーさんと2人暮らし、私達がステイすることになったので部屋の模様替えをされたとか。(お世話をおかけしました)

お若い頃に描かれた絵が奥さんの手で額装され、壁に飾られていました。
食事もいろいろお世話いただきました。パンがこんなにおいしいなんて・・・チーズ好きのアカマツさんにやぎのチーズをすすめられ、はまってしまいました。

食事といえば、連日案内してもらったパリ市街のほとんどの建物は、一階がお店で上が住居になっているらしいのですが、お店の中でも特に目についたのがカフェ、いたるところにカフェ、カフェ、いつみても誰かが食べているんです。

お店の外の歩道にまでテーブル・イスを置き、全員が道路に向かって(日本なら向かい合わせ)、食べながら道行く人々をみています。そして昼からワイン・ビールで前菜からデザートまで・・・。

デザートでもちょっと「シャーベット」とかを頼むと、大きいのが3種類もでてきて、最初は私も同じように食べていましたが、ついにパンク、ちょっと控えめにと「サラダ」というと、これまた大皿に何種類もの野菜の上にハム、卵、チキンなどがのっています。これくらいはだいじょうぶだろうと思ったのが大きなまちがいでした。一緒にいたあちらの人たちは本当によく飲んで食べて、びっくり!

こんなこともあって戸惑ったのがトイレ。教会の出口すぐのところに有るトイレに入ろうとして断られ、公衆トイレは「クローズ」の印、別のカフェのトイレを頼み込んで(すべてフランス語での交渉で私はあせるばかり)やっと落ち着いたのです。とりあえず「食べ過ぎたらたいへんなことになる」と自分に言い聞かせました。(持っていった胃腸薬が役に立った)

アカマツさんのお子さん達のご家庭にも招かれました。挨拶はもちろんフランス風に、左右のほっぺとほっぺをくっつけて「チュッ」、そんなことを急にできるはずがありません。ニコッと笑って握手するのが精一杯。

たどたどしい英語と、ほんの少しのフランス語(?)「ボンジュール」「ボンソワール」「メルシー」・・・アカマツさんに通訳してもらったりして気持ちも和み、「チュッ」もできるようになりました。赤松さんのお孫さん達は我が家にやってきたこともあってすぐに「遊んで」しまいました。ここでも手作りの家庭料理がでて満足のはずでしたが、やはりお腹が・・・。
ダンディーなアカマツさんと一緒に。ベルサイユ宮殿にて。
アカマツさんのお孫さんたちと。抱っこしている3歳のオクターブのヤンチャで可愛いこと。

★フランス旅行記ーー(3)
「ノルマンディへの旅」

旅行に出発する前にフランスについての本を買い込み読んでいたのですが、歩いて自分で確かめていろいろわかるものです。アカマツさんの案内でパリを歩きました。ガイドブックにはあまり載っていないような場所まで説明してもらって、めっちゃ感動!セーヌ河にかかるポンヌフ・ポンデザールなどの橋も素敵だったです。

フランスは六角形をしている国で、パリは北部に位置します。実は旅行前に「地中海をみてみたい」という希望をアカマツさんに言ったら「ちょっと遠すぎるのでは」という返事、海は無理かなとあきらめていたのですが・・

なんとアンヌマリーさんのご実家のある北部のノルマンディに1泊2日の小旅行に連れていってもらったのです。車で約4時間のドライブ、広大な亜麻、とうもろこし、てんさいの畑に乳牛、何本ものりんごの木に囲まれたおうちで、家の前の池には自然に集まったカモが・・・モネの絵画を思い出しました。

亜麻がどのようにしてできあがるか、今年は異常気象で他の地域は被害を受けたがここ周辺は少しましであったことなど説明していただき、元社会科の教師としては農業国フランスの勉強をした気分になりました。ここでも手作りのアップルケーキをいただき(ほどほどにと言い聞かせながら)、「セ・ボン」(おいしい)!

ご実家を後にしてアカマツさんは私が見たがっていた「海」まで車を走らせてくださったのです。
「ああ、これが英仏海峡か・・・」大西洋です、海のむこうはもうイギリスです。頭の中に地図が浮かびあらためて今自分が立っている場所を確認、そして感動、その時突然アカマツさんの声が・・・
「美也子さん、あなた地理の教師ならわかると思うけど、あの地層は白亜紀の・・・」わかったような顔で説明を聞くのが精一杯でした。

セーヌ河下流の小さなホテルに1泊し、次の日はセーヌ河口のオンフルールへ、ちょっと南仏を思わせるような風景に「美也子、満足」。ここでまた巨大な(?)クレープとりんご酒をいただいてしまったのです。この地方ではムール貝がとれますが、注文するとボールいっぱいのムール貝がでてきます。

この後どうなったかはご想像におまかせするとして、めずらしい木造教会の見学やボートでのクルーズを楽しんだりして「海」を満喫しました。多くの絵描きさんがここにやってくるとか、絵を描かなくてもここでのんびり過ごしたいと思ったのは私だけではないはず、まるで時間がとまっていたようで・・・。

アカマツさんは(私が知っているだけでも)十数回来日されて、その都度「フランスに来てください」とおしゃっていただいていました。フランスに住む人々は夏に「バカンス」として2週間から1ヶ月くらい休みをとるそうですが、今年は私達のために少し短めに、そして今回「夢実現」(どこかで聞いたことある?)、フランス旅行はアカマツさんをはじめ親戚の皆さん、知人の方々のご協力により無事終了、感謝感激す。留守をしてくれた子ども達、ありがとう。 (完)

ノルマンディーの農場にて。まわりには亜麻畑が広がり、鴨や牛もいる。
アカマツさん夫妻と。ステイさせていただいたアパートにて。


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