「みやこのハッピートーク」    

                              MAY. 2004

★ミュージカル「銀河鉄道の夜」のつどい

宮沢賢治没後70年を記念して制作された秋田のわらび座ミュージカル「銀河鉄道の夜」が、京都でも来年秋に公演される予定です。その準備のつどいが本堂で開かれました。

記念講演は三上満氏、東京で中学校の教師をしておられ教育活動などに熱心に取り組まれて、教師の間だけではなく幅広く名の知れた方、今は看護学校の校長先生をされ「賢治の研究」に力を入れておられます。

実はこの方がうちに来て下さるので楽しみにしていて、気持ちが昂ぶって(ウキウキ?)いました。到着されて早速「記念撮影」をお願いするなど興奮状態・・・。

三上満氏は「明日への銀河鉄道ーわが心の宮沢賢治」という著書で岩手日報文学賞(賢治賞)を受賞され、わらび座の劇場や賢治ゆかりの地」などをまわる「賢治ツアー」の案内もしておられるとか・・・。

講演の中心は「銀河鉄道の夜」、貧しく孤独な主人公ジョバンニカンパネルラと銀河鉄道に乗って様々な人々とふれあう中で「本当のしあわせ」を求めることに目覚めていく物語。

「人間も木々も草花も鳥も壮大な地球で生かされていて、生命の尊さを分かち合い慈しみながら生きていけるような優しさと愛にあふれた人間を描いたい」との脚本担当の市川森一氏の言葉、劇中の音楽は甲斐正人氏です。CDで聞きながらみんなで口ずさみました。

私が1番印象に残ったのは「二十六夜」という話です。梟の村の話、梟の子どもが人間の子どもに捕まりいじめられて足を折られ放たれたところを梟たちに助けられるが後に死んでしまう、それに対して梟たちが人間に復讐しようということになるのですが・・。

梟のお坊さん(いったいどんなお坊さんなの?)が説教のなかで「いやいや、みなの衆、それはいかぬのぢゃ・・・必ず仇を返したいのはもちろんの事ながら、それでは血で血を洗ふのぢゃ・・・」と説いていきます。

梟たちは怒りや悲しみでいっぱいの声をあげて鳴き続けます。生き物が生きる苦しみを声に出して表現する有様を現在の社会情勢と結びつけながら、三上氏の話はどんどん味わい深くなっていきました。賢治はここで「お坊さん」を登場させたので私は興味を持ったのだと思います。

「雨ニモマケズ」は知っていましたが、賢治の作品は男性的であまりよくわからなくて敬遠していたというのが正直なところ、今回のお話でちょっとわかったかな・・・
ミュージカルが楽しみです。参加者の方々は熱烈な「賢治ファン」もおられで圧倒されてしまいました。

最後に何故か私がご挨拶(住職は地域の会合で留守だった)、2年前に共同制作(?)した「注文の多い料理店」の紙芝居を披露(絵だけお見せしました)しました。「力作」と思っていただいた・・・かどうかはわかりませんが、「次はぜひ、やってぇー」と声をかけていただきました。

★「解夏」

最近、私はテレビにむかって怒っているらしい、「やっぱりあんたも?」。続々未納議員が出て辞任やら陳謝やら・・・「国民に大きな不信感を与え・・・」そんな陳謝をするのなら年金法案を「廃案」にしたらどうなのでしょうか、首相も払ってなかったの?

今、難病や障害をあつかったドラマが多いですが、その中のひとつで月9ドラマ「愛し君へ」さだまさし原作の映画「解夏」(げげ)をドラマ化したものです。小児科医の菅野美穂とカメラマンで難病を患う藤木直人主演の「月9」ドラマですが、なんと主題歌は森山直太朗の「生きとし生けるもの」、あの歌声を聴くだけで涙が出てきます。

原作を読んでみると・・・東京で教師をする隆之は「ベーチェット病」にかかり3ヶ月後には失明すると診断され、婚約者陽子と別れ、ひとり暮らしの母の住む長崎に戻ります。そして目が見える間にと、子どもの頃遊びなれた坂の多い町を歩きまわりますが、そこへ陽子が追いかけてきて・・・。

隆之は陽子と散歩中にお寺で老人に会い、自分の病気について告白するのですが・・・修行僧が雨期の90日間お寺で共同生活をし座禅をしながら過ごす、これを雨安居(うあんご)とか夏安居(げあんご)という、そしてこの修行が終わる日を「解夏」(げげ)といって僧達はそれぞれ托鉢や辻説法に散っていくのだそうだ・・・老人はふたりにこんな話をしました。

「行ですな」
「失明する恐怖・・・という行ですか?」
「辛い、辛い行ですな」
「失明した瞬間に恐怖から解放される・・ということですね」
「その日があなたの解夏ですなあ」
「失明するっていうのは・・・闇に突き落とされると思っていたんだ、だがねえ・・ちょうどねえ、そう・・乳白色の霧の中にいる、と思えばよい、光が見えるから暗闇が見える・・・」

隆之は体験者の言葉を思い出しながら、もうすぐ自分が乳白色の世
界に入っていくことへの恐怖をおさえきれません。

ひとり墓前で「怖くて逃げ出したい、何故こんな目にあわなければならないのか、どれほどの悪い事をしたのか、ばあちゃん、親父、助けてください」、「助けて」と絶対言わないと決めた言葉なのに、泣いてしまいます。

ドラマでも藤木直人が「この目はもうすぐ飾りになってしまうんだ」と言うシーンがありましたが、とても強い絶望を感じるせりふです。恐怖とともに孤独感や自分に対する哀れみ、腹立たしさなどが混ざり合いながら心に住みついていくような気がします。

「○○を食べたからおなかが痛くなった、寝不足で頭痛が・・」とつい原因を見つけては「ああ、そうか」と自分を納得させていますが、突然前触れもなく原因のはっきりしない病気になったら「なんで私が・・」と拳で地面をたたきながら泣き叫び、ついには「死んでしまう」ことさえ考えてしまう、そしてその「行」がいつ終わるかわからない・・・私の「解夏」はいつ来るのかわからないとしたら?

病気や死は、本人の努力でどうこうできるものではないし、闘病の期間もわからない、「治るよね」と感じられなくなった時、「辛い、辛い行ですな」と誰かに言って欲しい・・・。

ドラマは原作とは少し違ったかたちで展開していきます。これからが楽しみです。(映画を観てないのでよくわかりませんが)とにかく「仏教」と深くかかわる作品、法話度は高いよぉ!!

★「新しい仕事その他ー」

▼GWは、毎年のことながら「実家に帰らせていただきます!」、新緑の美しい美山へ、移り住んでおられる芸術家を訪ねたり、山菜のてんぷらでちょっといっぱいとのんびり過ごしています。

今年は雨の中知人の方々と芦生方面へ行ってきました。炭火で焼いた地鶏や肉厚のしいたけなどいただきながら歓談、かなり激しい雨でもバーベキューの勢いは衰えず・・・なつかしい「芦生山の家」を見たり、(?)年ぶりかに高校時代の友人に再会、夜は実家で同行したHさん御夫婦と「宴会」、またまた楽しいひとときでした。

▼「何んでやの?」年金未納について続々と国会議員の方の名前が出てきています。ちょうど1年前私も仕事を辞めて「社会保険事務所」に行って「国民年金」の手続きをした・・・ほとんど収入のない主婦が「13300円」支払うのは結構きついのに・・・なんとこの議員さん方には何億という資産があるらしい!! 

「未納・・・」と報道されている間に「年金改革法案」が十分審議されないまま可決されていく、ウッカリ(?)議員さん達が国民には「値上げしますよ」という、これもまたおかしな話です。
実家で「私が学生だった時年金を払ってもらってたのかな?」と聞いてみたら、母は「???・・・えっ?」、ひょっとして・・・。

4月から北区にある小規模授産施設「第2アイアイハウス」で働いています。作業所は古い民家を少し改造した建物で障害のある仲間達が紙漉き封筒作り梅干ローリエコロン作りなどの作業をしています。

その2階の小さな部屋の事務室が私の仕事場、週1,2階事務的な仕事を手伝っているのですが最初は仲間職員の方の名前を覚えることから始まり、1日の生活の流れがやっとわかってきたところです。
7時すぎには家を出るという以前の生活からくらべるとゆとりがあるのだけど、出勤する日はかなりの緊張感です。新しい職場だから何でも「聞きまくり」、失敗あり、うっかりあり! 

先日はタオルをかたづける場所をまちがえ「違うわよ!」と言われてしまいました。まだ北区の地名が理解できずに、銀行へ行く時も地図を片手に自転車でウロウロ、「あれ? 迷子になってる?」

20年ほど前大善院に「下京みやこ共同作業所」ができた頃から少しは作業所のことが少しはわかっていたつもりだったのですが・・実際に働くと「福祉現場」が経営面でも運営面でも大変で、職員の方々の並々ならぬ努力が見えてきます。仲間のなかには私より年上の人も・・・今後の生活を思うともうちょっと現場をささえる「資金」が欲しい・・・。
新しい仕事に「働く感覚」を取り戻し新鮮な気持ちになっているのですが、施設の理事長が住職なのがちょっと・・・が中学生の時「PTA会長」の父親を嫌がっていたことを思い出し苦笑い(^^;)です。



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