「音楽法要」でのはなし
  〜ソマリアの現実〜

( 私が勤務している女子高では毎月25日、宗祖法然上人のご命日に全校生徒が音楽法要をしています。その際、教員が順にスピーチをすることになっており、10月の音楽法要で私がすることになったのです。以下はその時のお話しの概略です。)

  
 音楽法要で話をするのは2回目になります。
今日は黒柳徹子さん、ユニセフの親善大使ですが、その黒柳さんが7月にソマリアという国を訪問された時の様子を聞く機会があったので、これについて話したいと思います。

ソマリアはアフリカの東の端、動物の角のようにとがった形をしている国です。
内戦や干ばつによって人びとの生活状況は悪化しています。また、テロ事件の影響を受け、経済状態が悪くなっています。とりわけ子供たちの生活はますます悪くなり、助けが必要となってきています。

ソマリアは子どもの死亡率が世界で最も高く、1歳になる前に6人に1人が死んでいきます。
食料不足で慢性的な病気にかかり、肺炎やマラリアにもかかります。ここまでの話は今までにも聞いたことがあったのですが・・。

 ソマリアの女性は、出産する時に多くの場合、病気になります。それはソマリアに古くからある習慣で、女の子の生理が始まるまでの年齢の90%以上が性器を切り落とすのです。

性器をすべてえぐり落として尿と月経血の出る穴を1つ残してすべて縫い合わせてしまうということです。しかも病院でするのではなく、非衛生的な器具を使ったり、するどい石などで切り裂かれ、草のつるなどで縫い合わすのだそうです。

この習慣はユニセフなどの国連機関がやめさせるようにしてきました。しかし、ソマリアでは女の子はこのようにしないと結婚相手が見つからず、結納金ももらえない、すべて男性の満足のためにするのです。

この習慣は女性を肉体的にも精神的にも傷つけてしまいます。こんなことをした女性は、いつも下腹部が痛み、生理の時もつらいらしいです。尿もよく出ないそうです。出産の時には陣痛が始まったら、糸を切って赤ちゃんを出すのです。だから妊婦さんの死亡率が高いのです。

ソマリアでもこの旧い習慣に対して反対するため立ち上がった看護婦さんや助産婦さんがおられます。
助け合って赤ちゃんを無事出産できるよう、設備の整った病院も作ったそうです。
こうした困難の中で現実に向き合い、強く女性の身体を守るために働いておられる方々に感動しました。

日本に住む私たちには、本当に考えられない事ですが、同じ地球に住むソマリアでは現実に起こっていることなのです。
私たちは日常の生活の中で、のほほんと暮らし、どうしたらやせられるかとか、どうしたらきれいになれるかなどと考えているのが現実です。

世界でどんなことが起こっているのか、家族の事も友人の事も考えられない、そして自分のことさえ、きちんと考えられない、不平不満を常に言っている生活ですが、もっと広く世界を見つめていけるようになってほしいと思います。

                      佐々木美也子