住職「ややマジ感話」 ーー(8) |
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「平和をつくりだしてゆく」のお話を聞く この4月から国際アムネスティー京都支部というところの例会が、2ヶ月に一度大善院の本堂を会場にして開催されている。住職は直接運営に関わっていないが、会場をお貸ししている関係で、毎回顔を出して一緒にお話を聞かせていただいている。 6月は上記のタイトルで、神戸の高校の先生で、1996年に息子さんを沖縄で米兵による交通事故で失われた海老原大祐さんがお話された。 元々、海老原さんも特に沖縄の問題に関心を持っておられたわけではないが、息子さんのことを通じて、沖縄における米兵や軍属による事件の被害者がおかれている状況に関わりを深めていかれる。 息子さんが亡くなられた時、見舞金を兵士が1万円、上司が2万円持ってきただけだったという。 そして、今なお沖縄においては、年間1000件以上の、米軍関係者による事件が起きているという。 そんな中、海老原さんたち、日本に駐留する米軍関係者の事故の被害者達が集まって「被害者の会」を結成され、「米軍関係者の損害賠償法」の制定を求めておられる。 海兵隊員の経験のある元米軍人によると、日本へ行く前に上官から「沖縄に行ったら何でもやり放題だ。」と言われてくるのだそうだ。だから、たまたま事故や事件を起こしても、何とかなるという発想があるのだそうだ。 そもそも、安保条約の中で日米の軍と国民の関係を具体的に決めた法律の「日米地位協定」自体に矛盾があって、公務内か公務外かによって大きく扱いが変わってくるのだが、それ自体がその時々の判断で都合よく決められているのだそうだ。 このあたりの問題はTBS「ニュース23」などでも系統的に取り上げられてきているという。 もちろん大きくは「日米安保条約」そのもののあり方にまで発展する論議になってしまうが、海老原さんはあくまで「生活者の視点」ということを強調されていた。 そこで生活している者が、たまたま事件や事故に遭う。もちろん遭わないに越したことはないが、もし遭ったとしても、日本人同士の事故に準じるような、最低限の保証なり納得のいく事後処理などをしてほしいということだ。 日本国内において日本人が事故にあっても、相手が米軍なら泣き寝入りをしなければならない。その不条理こそを問題にされている。 そのスタンスが国会内においても、今、自民党議員までも巻き込んでの運動にも発展しつつある。 一人一人の人権を無視したところで決して「平和」はつくり出されていかないのだろう。 冗談で「元右翼」?と名のられる海老原さんは、決して声高に話される方ではないが、息子さんを失ったという悲しみを感じさせないほど、そのことを乗り越えて運動に邁進されてきた強さを感じさせる人でもあった。 子供ができても夫が全然興味を示さず、抱いてもくれないという相談事を受けに、定時制高校の卒業生の家まで家庭訪問にいくのだと帰っていかれた。 (2002年6月19日) |