2001年(7月まで)分
| 01/05/13 北上川をさかのぼる 毎週、地図とにらめっこしてコースを考えるのだが、行きやすいところはだいたい行ってしまったので、迷うようになってきた。 南や西方面は車が多いのでいつもより一層早起きしなければならないし、東の海沿いは行ったばかりだ。北は?と思ったときに目に入ったのが北上川だった。 私の故郷盛岡市の景観は、見方によっては川によって形作られていると言える。繁華街を流れる清流、中津川と、郊外の清流雫石川は水辺で遊べる優しさがある。これに対し、北上川は豊富な水量で人を寄せ付けない感じ、恐れを抱かせる強さがある。北上川には懐かしさや、ちょっとした畏怖の念があった。北上盆地を流れるすべての水を集めて、北上川は岩手を縦断し、宮城県北上町で海に注ぐ。海に注ぐときの北上の流れはどんなものだろう。まずはそれを見に行くことにした。ついで、出来るだけさかのぼってみた。いつか源流まで行ってみるのも良いかも知れない。 |
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| @北上川河口。(北上町) 6:00に家を出発。石巻市街を避けたいので、利府街道から惣の席ダム脇を抜け、大郷、鹿島台、南郷、河南、河北で北上川にぶつかる。ここから川沿いを海まで下った。河口近くの川岸には葦原がひろがる。葦簀を作るあれである。川幅も広い。 河口についた。広い砂州の中、豊かな水量とかなりの速度で海に流れ込む。海も圧倒的な力で川を押し戻すかに見えるが、ぶつかるところで少し波が立つ程度で、海は北上の流れを静かに飲み込み続けるのだった。変なことを言うようだが、こんなに大量の水が流れ込むのに海があふれないのが不思議に思えた。 |
A志津川町のモアイ。 河口からは一端川を離れて志津川まで海沿いを進む。本吉街道を抜け東和町で再び北上川に到達するのだ。 海沿いを北上する道は、車も少なく快適なツーリングだ。10台ほどのツーリング団体とすれ違うが、タイミングが合わずサインを出し損ねる。と、道路脇のパーキングにモアイ発見。予想もしない出来事にビックリ。いわれを探す。どうやらこれは本尊(?)ではないらしいとわかり、町の中心部にある写真の本尊を探す。なかなか見つからなかったが、それも道理。「チリプラザ」という所にあるというので「プラザ」らしい建物を探したが、それは建物ではなく公園だった。 説明によると、このモアイは、チリ沖地震による津波災害の30年を期に、チリの彫刻家に彫ってもらったものだそうだ。モアイの脇には、イースター島・モアイ・ロンゴロンゴ(古代文字)に関わる説明の碑文も添えてある。この碑文がなかなかの名文。詩的なリズム、未知への憧憬、探求心を呼ぶ内容・・・。誰が書いたんですかこれ。一読したらイースター島へ行きたくなること請け合い。目を閉じても情景が浮かぶようだ。皆さんも現地で是非ご一読を。 |
| B志津川からは、本吉街道で東和町へ。途中、小さなお堂を見つけ立ち寄る。源義経が頼朝に追われ、平泉の藤原氏に匿われていた時、義経に従っていた従者に小森某というのがいたそうだ。その奥方(小森御前)が、夫に会うべく子供をつれてはるばるこの地まで来たとき、義経および夫の討ち死にを聞き、絶望して川に身を投げた場所だそうだ。ところがその小森某は義経の命により、名を変えて秋田のほうへ落ち延びていたことが最近までの研究でわかったとか。その子孫と、御前とともに居た子供の子孫が今から10年くらい前に再会(再会なのか?)を果たしたといういきさつが有ったそうである。歴史上、義経や弁慶のことは有名でも、その周辺にいた人間の事などだれも省みないと思っていたが、そこにも人生はあり、物語があるものだなあと妙に感じ入った。 | |
| C左、東陽寺。右、原田甲斐の首塚。その後ろには銀杏の巨木。 さらに北上川を目指して走っていると、「原田甲斐」と言う文字の看板をみつけまたまた寄り道。山本周五郎好きの私としては寄らないわけには行かない。 この人は、伊達家のお家騒動における極悪人と言うことになっている人だが、周五郎の小説「樅の木は残った」では自分が罪を被ることで伊達家をお取りつぶしから救った人として描かれている。真偽のほどはわからないが、密かに江戸から首を持ち帰り、仙台からは(?)釣り鐘の中に隠して船で(北上川経由)運び、寺の裏に埋葬し、目印に銀杏の木を植えた・・・と言うことである。 自分に罪が及ぶ危険を冒してここに運び祭った人の名が刻まれた碑があるが、どうやらこれは偽名らしく、しかも伏せて置かれていたそうだ。原田甲斐を慕っていた人、甲斐の無念を思う人が居たことは間違いない。周五郎もここを見てそんな風に思ったのだろうか。 |
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| D東北の大河、北上。(岩手県に突入。川崎村)(そういや宮城にも川崎町があるな。) 東和町からは川は岩手県に向かいまっすぐ北上する。川の土手を高めのギアでパルス感を楽しみながらのんびり走る。川が見やすいように、川を左手に見る道を選んで走った。車も信号も少ない。道は、広くなり狭くなり、時には民家の裏庭のような所を抜けて続く。川も広くなり狭くなり、田畑や覆い被さるような森の中を、深い緑色をたたえながら滔々と流れていく。 ここが本日の目的地。北上川が大きく曲がるところで、川幅がとても広い。ツーリングマップルにここから見る北上川は絶景と有った。絶景と言えるかどうかは別として、確かに大河の趣。現在大きな橋を架ける工事中。橋が出来ると、(景観の事だけ言うと)この景色もぶちこわしかなと思うが、反面できあがった橋の上から北上川を一望してみたいとは思った。 川崎村内で給油。一関から東北道で帰る。 |
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