『物理探査』に対応する英語はGeopysical Explorationである。日本語に直訳すれば、『地球物理探査』となる。わが国では伝統的に『地球』を省略している。物理探査は、可視光線の届かない地下を人間の眼に代わり様々の物理現象を利用して可視化しようという手法である。手法の原理は、あくまで物理学に則っており、対象として地球があるに過ぎない。可視光線の代わりに使うものには、例として、電磁波、弾性波、音波などがある。弾性波や音波を使う例では、地表面をたたいて、地中に振動する波を送り地球内部の地層からの反射波を地表面で受けて、その反射波の振幅や位相の情報を処理することにより,地球内部の構造が予測できる。 物理探査の範疇には、地中に埋設された物体(埋設物)空洞の可視化も含まれる。とにかく、穴を掘って探り当てるとかしなければ判らないものを地上から電磁波や弾性波を打ち反射波を捕らえることにより、埋設物の形状や位置が予測できるのである。でも実際には、なかなかそう上手くはいかない。地中の減衰が大きかったりする。すると反射波が小さくなるのである。そこで,減衰の少ない長い波長の波を地中に送ることを考える。このとき、波は地中深くに入るが、埋設物や空洞が波長に比べて小さい場合(実際には被探知物であるから大きさが判らないが)、埋設物などの周りを廻り込んでしまう。そうなると反射波が得られない。これを回折現象と言っている。物体からの反射波を多く得るためには,物体に比べて波長の短い波を打たなければならない。しかし、波長の短い波は地中の減衰が大きいので、地上のセンサーで捉えた反射波もノイズのように見えてしまう。そこで,登場するのがアレイ信号処理技術である。アレイ信号処理技術とは? 物体に波を照射すると物体から反射波が発生する(あるいは地震波のように自体が波を発生している場合もあるが)。その波を複数並べられたセンサー群(受波器アレイと呼ぶ)で受けて,波の情報を信号処理して物体の位置形状を再生する方法がアレイ信号処理法である。

図1に,受波器アレイを用いる被探知物の探査説明図を示す。この図に注目して, 以下に物体の位置形状を再生する方法をフローで示す。

 

テキスト ボックス: 受波器アレイの各受波器では反射波を受け,それぞれ強さの違う時間差のある反射波情報が得られる。
各受波器における時間差の情報を利用して、弾性媒質中のある部位に焦点を絞る信号処理(ちょうど光学式レンズと同じ焦点合わせを電子的に処理)を施すことによって,その点での反射強度を求めることができる。
ところで、受波器アレイで受かる反射波は被探知物の形状によって変わる。つまり強い反射を生む部位とそうでない部位がある。すなわち、今の焦点合わせで得られる反射強度は媒質空間の任意の点で異なるということが判る。

テキスト ボックス: このようにして得られた反射強度を媒質中の空間に並べていくと,被探知物の像が得られる。つまり被探知物の認識ができるわけである。これがアレイ信号処理技術である。テキスト ボックス: 媒質中で,異なる物性を持った物体(被探知物)があると,それから強い反射波が発生する。テキスト ボックス: 送波器からパルス波を媒質中に送波する。

 


 探査に関する研究開発は、多方面で行われている。本世紀、環境や防災に対する要望 から,ますます技術革新が必要となってくるのではないだろうか?

 

 

関係ある学会などのリンク先:

米国物理探査学会

 

物理探査学会

 

マチアス氏(物理探査屋さん,インターネットでやリ取りした)

 

国音響学会

 

日本音響学会 

 

海洋音響学会

 

 

お世話になっているアドバイザ:

大垣正勝氏(株式会社,音響リサーチ社長)

 

清水助教授(帝京平成大学,情報システム学科)

 

  

 

メモ: トピックス1(‘01.7.18)
『埋設物の材質による音波反射の度合い』

メモ: NEWトピックス2(‘08.8.3)
『物理探査の仲間−探査,診断,予測』

メモ: トピックス3(‘01.8.10)
『受波器アレイシステムによる土質の識別』

メモ: トピックス4(‘01.8.21)
『アレイ信号処理法による埋設物探査システムの開発』

メモ: トピックス5(’01.9.22)
『高水圧埋設管内におけるピンホール探査第一報』

メモ: トピックス6(’01.12.27)
『高水圧埋設管内におけるピンホール探査第二報』

メモ: トピックス7(’02.5.5)
『地中探査に関する基礎検討−第一報』

メモ: トピックス8(’02.6.29)
『十字型受波器アレイ方式による埋設物探査システムの開発』


メモ: トピックス9(’02.9.8)
『地中探査に関する基礎検討−第二報』

メモ: トピックス10(’02.11.6)
『無限の土で覆われた水槽内における低周波音源の発生する音場解析』

メモ: トピックス11(’03.2.3)
『円筒型低周波音源の指向性−水槽での実測値と計算値の比較』

メモ: トピックス12(’03.5.5)
『円筒型低周波音源の遠距離における送波音圧の予測』

メモ: トピックス13(’03.9.28)
『円筒型低周波音源の送波音圧の検討-1(円筒外半径を変えた場合)』

メモ: トピックス14(’03.12.29)
『円筒型低周波音源の送波音圧の検討-2(円筒筐体高さを変えた場合)』

メモ: トピックス15(’04.4.1)
『有限長弾性円筒による散乱音場の検討』
 

メモ: Topics 16(’04.4.19)
“Analysis of sound field generated by a low frequency sound source in a water tank surrounded by infinite ground”

メモ: Topics 17(’04.4.29)
“Development of buried object exploration system by crossed sensor array”

メモ: トピックス18(’04.7.28)
『有限長弾性円柱の置き方を変えた場合の散乱音場』

メモ: NEWトピックス19(’05.1.2)
『有限長弾性円筒の置き方を変えた場合の散乱音場』

 メモ: NEWトピックス20(’05.8.7)
『回転翼の発生音低減についての検討』

メモ: NEW Topics21(’06.5.6)
"Pinhole exploration of a buried high pressure 
fluid-fill curved pipe"