むつ犬のおまぬけ日記
平成14年7月
7月31日 はれのちくもり
朝、御主人が早くから僕の所にやってきた。僕は散歩に行くのだと思って御主人を迎えたのだが僕を通り越してトラックの方に行ってしまった。「オイオイ、散歩はどうしたの?」というと、「後で...」という。そういって御主人はトラックを洗ったりトラックの二台に乗せて置いたものを洗ったりしている。僕はなかなか散歩に連れだしてくれないので、じれったくなって、犬小屋の上に置いてある「散歩ヒモ」をくわえてきて、これ見よがしに御主人の目の前でじゃれたりかじったりして見せた。すると御主人は言ったよ「もうすぐ連れて行くから待ってろ」ってね。僕はその言葉に安心して散歩ヒモにじゃれつくのを止めて、おとなしくフセの体制で御主人を待った。御主人は手早くトラックを洗い終わると、僕が持ってきた散歩ヒモを僕につけて、めでたく今日の朝の散歩へ出発出来た。

7月30日 はれ
今日は朝早くから「ゴウゴウ、バラバラ」と空の上が嫌にうるさい音がするなと思ったらヘリコプターが飛んできた。田圃に薬剤を散布する仕事をしているらしい。おかげでゆっくり朝寝もできやしない。おまけに、御主人はその仕事のお手伝いに行っているらしくて朝の散歩にも連れて行ってもらえなかった。
昼前にやっと御主人が帰ってきた。どうやら隣の地区を飛んでいたヘリコプターが墜落したらしい。僕は、今朝頭の上を飛んでいたのかな、と聞いたら違うといった。別の会社のヘリで、墜落してバラバラに壊れて運転していた人が大けがをしたらしい。
怖い怖い!!、大体人間が空を飛べるわけがないんだから、あんまり機械なんかに頼って、人間が本来出来ないようなことをやらない方がいいと思うんだけどなぁ。犬は4本足で走ったり歩いたりする。これが一番の基本なのだ。人間も手と足をうまく使って生きていった方がいいと思うなぁ。

7月29日 はれ
ふぁぁぁぁ〜、なんだか空が高くなって、透き通るような青さになった。まるで秋の空のようだ。涼しさと暑さの入り交じったような風が吹いてくる。マツがほんの少しだけやって来て、このまま秋になってしまうのだろうか....ホタルさんや蝉さんなんかは、どうなるんだろうねぇ?

7月28日 はれ
今日は、僕の誕生日だよ!!
朝、御主人が僕を散歩に連れ出しにやって来た。その時、「今日はおまえの誕生日だよ」と言った。前々から、おまえはもうすぐ2才になるんだよと聞かされていたので「えっ、僕2才になったの」と思わず問い返した。すると御主人は「良いなぁ、2才だよ、2才」と何度も僕の頭をなでながら言うのだった。2才になったうれしさと散歩に行けるうれしさで、そこいら中を駈け回った。散歩から帰った後、涼しい風が吹いてきて気持ちよかった。そして一日中何かを期待して待っていた。.....えっ、だれを?...何を?...
言わずと知れた、今日に限ったものだ。去年は確か「青い首輪と散歩ヒモ」....でも一日中待ってもなんにも出てこなかった。普段と変わって良かったと思うことは、涼しい風が一日中吹いてくれたことと、御主人が夜、久しぶりにサッカーボール遊びをしてくれたことだ。まぁ、過大な期待をした僕もいけなかったけど、犬にはこの程度のささやかな幸せがあればそれだけでも、すごくうれしいことなのだ。

7月27日 はれ
昨日、一昨日より大部涼しくなったが、それでも29度だ。小屋の窓から、いい風が吹いてくる。御主人は小屋に来ると「ムツ、涼しくて良いなぁ」という。でも、犬の僕にとっては暑い...半分死んでいるようなもので、御主人が身体や頭をなでたりしてくれても、お愛想の一つも言う気持ちになれない状態だ。おまけに、「毛抜け」が始まっている。僕の場合は平均的な犬に比べて始まりが遅いようで、おまけに長い間かかって抜け替わる。そこいら中に毛が散らばって、御主人が掃除しても次の日にはまた毛だらけになってしまう。
毛抜けは僕の身体任せなので、僕自身が口を使って取り去るようなことはしない。でも、御主人は僕の毛が抜けるのがおもしろいらしく「ムッシムッシ」と引き抜いてくれる。まだ抜けない毛もむしるので「痛い!!」と文句を言ってしまう。
今、4本の足と腹の部分が抜けやすくなっている。今の毛がすっかり生え替わってさっぱりする頃には、夏なんかすっかり終わって秋が来ているかも知れない。もしかすると冬になってるかもしれないなぁ。北国の犬には夏は似合わないよ...

7月26日 はれ
今日も暑かった!!、夕方の散歩は暑くて嫌だったので途中から帰ってきた。でも食欲は旺盛だ。風かぴたりと止まり気温も30度をくだらない...
御主人は庭木にホースで水まきをしている。この暑さで舌を激しくハァハァ言わせて非常に険しい表情でいる僕に「おまえにも水をかけてやろうか」と言った。僕はイヤイヤをして「それだけはご勘弁下さい。」とお願いをした。何しろ人間と違って犬はふわふわした毛皮を着ているのでいったん濡れてしまうと乾くのに時間がかかる。その分蒸れやすくて、よけい暑くなってしまう。
夕方の散歩は暑くてイヤイヤ行ったけど、夜のホタル見散歩には喜んでいった。でも一匹もいなかった。恥ずかしがっているのかなぁ?帰ったらご褒美にお母さんから「焼き穴子」をご馳走になったよ!!

7月25日 はれ
今日、秋田県内は梅雨明け宣言が発表になった。犬にとっては受難の季節を迎えることになる。今日だって気温が36度近くまで上った。僕は、ただただひんやりとした小屋のコンクリートの床に寝そべるしかない...
御主人がお昼に冷蔵庫というものの中から板のようになった氷を取りだして僕にくれた。僕はそれをぺろぺろなめてみると冷たくて気持ちいい〜!!。御主人が、その氷を割って僕に「食べろ」とさし出してくれる。でも、ちょっと気持ちが悪い...暗い過去を思い出してしまうからだ。それは、僕がまだ生まれて三ヶ月目のこと、この家にやってきてまだ一ヶ月のある秋の出来事だった。僕はまだ、いたずら盛りで、近くにあった燃えないゴミの袋をかき回して遊んでいる内に、割れたガラスのコップで前足の手首を切ってしまったのだ。血がだらだら流れてはいるものの痛くはなかった。幸い御主人がそんな僕を発見してすぐさまお医者に連れて行ってくれたのだが、手術をすることになり、おまけに一泊の入院をする羽目になってしまった。それ以来、ガラスは気持ち悪くてあまり近寄りたくない。この氷もガラスによく似ているので、ちょっと嫌な感じがする。でも、冷たくて気持ちいい...「ああぁぁぁ、トラウマと現実的な爽快感が僕の頭の中で喧嘩をしている....!!
そんな思いをめぐらせている内に、板状の氷は36度の気温の中で生ぬるい水になってしまっていた。...

7月24日 はれ
今日は、この夏一番の暑さだった。なんと気温が34度にまで上がったのだ。毛皮を着ている僕は一日中舌を「ハァハァ」言わせながら涼しい場所を求めてさまよっていた。といってもヒモでつながれている身なので、いける範囲内をうろうろしているだけなのだが...いろいろ試した結果、小屋の奥の床の上と車の下が一番涼しかったのだが、日中になるとみんなでかけてしまって車が一台もななるので小屋の奥に腹を出して寝る事しか出来なくなってしまった。それにしても暑い!!!。そんな僕が何を思ったのか突然、気温34度の日向へのこのこと出ていって、灼熱のアスファルトの上にころんと横になって昼寝を始めてしまった。僕自身の行動でいて僕じゃないみたいな異常な行動を取ってしまったのだ。きっと暑さのために一時的に頭がおかしくなったという他はない....
明日も暑くなると言う...毎日続く暑さのせいで、元々悪い僕の頭が、よりいっそうおかしくならなければいいのだが....
7月23日 はれ
今日はお昼に御主人と「シ゛ャレッコ」をした。それは何かというと、僕も子供の頃、よく兄弟達とふざけて喧嘩のまねごとをしたものだ。それを御主人としたのだ。お互いに相手に攻撃をしかけて体の部分にかみつくのだ。御主人は手を使って僕の鼻や足、ほっぺなどにつかみかかつて来る。御主人の手につかみ取られると僕が「かみつかれた」と言うことで負けになる...僕の有効な攻撃方法は口と前足しかない。御主人が繰り出してくる手の攻撃を口でとらえてかみつけばいいのだが、僕は御主人に対して噛みつけないようにしつけられているので御主人に対する攻撃は前足だけになる。だからもっぱら防御のみになってしまう。ずるいぞ御主人!!。そして何時も僕が負ける。時には胸ぐらや背中をつかまれて、ごろんと横倒しにさせられたりする。「悔しい〜」....でも僕には奥の手があったのだ。それは後ろ足二本で立ち上がり前足を一杯に伸ばしながらしゃがんでいる御主人の上にのしかかっていくのだ。これだと僕の体重で御主人は押しつぶされ僕の勝ちと言うことになる。でも、この有効技は何時もきく訳じゃないよ。時々払いのけられたりする。おもしろいので何度も何度も繰り返していると御主人も疲れてくるのか「もう、終わり」と僕に言葉をかける。すると今まで興奮して「どうやって相手を攻撃しようか」という気持ちがおさまってくるのだ。
結構ハードな運動になるので終わった後や遊んでいる途中に何度も水を飲むことになる。

7月22日 くもりのちあめ
毎日のように自転車散歩をやっているおかげで、てっきり痩せたと思っていた僕だったが...昨日のシャンプーで毛がふっくらとしたせいかボテボテの身体に見えてしまう。良く言えばふっくらとした身体と言うことになる。毛がべとべとに汚れて身体に張り付いていたおかげでスリムに見えていただけらしい。「あぁぁぁ...僕は太っているのか痩せているのか誰か教えてくれ〜」、すると御主人は僕の悲痛な叫びにこうつぶやいた。「秋になったらお米をはかる計量器をセットするから、それまで待つと正確な体重が量れるぞ...」、なんと僕は秋まで太っているのか痩せているのか自問自答しながら悩み続けなければならないのか...
「食欲はある(ご飯は残したことがない)...散歩は時によってはそれほど好きではない...おやつは時々もらうが断った試しがない....何時もごろごろして昼寝もたっぷりしている....」
「あっぁぁぁぁ、どう考えても太る要素しか持ち合わせていない...」
誰かダイエットをやっている人がいたら教えて欲しいなぁぁぁ〜

7月21日 はれたりくもったり
すっきり晴れた空と曇り空が交代交代にやってきて、僕は小屋の床の上で手足を思いっきり伸ばしながら「日曜の朝は気持ちいい〜」などと寝ころんだままごろごろしていた。するとそこへ御主人が散歩ヒモを持って現れた。「なんだろう?朝の散歩はとっくに終わったはずなのだが...」僕は不思議に思いながら散歩ヒモをつけられて御主人に付いていった。途中で「シャンプー....」と言う言葉が御主人の口からこぼれた。「しっ、しまったぁぁぁ!!!」今日、晴れたらシャンプーするという約束を忘れてしまっていた。僕は無駄な抵抗ながらイヤイヤをして見せたが御主人はそんな僕を引っ立てた。ところがいつもは風呂場に連れて行かれるのだが、今回のシャンプー場所は風呂場の窓の下...つまり外でのシャンプーらしい。きっとこの前、風呂場でシャンプーするのを嫌がって家の床に爪を立てたのでお母さんが風呂場シャンプーは駄目だと言ったようだ。
そんなこんなで外の柱に散歩ヒモを結わえ付けられて、風呂場からのばしたシャワーのお湯が僕の全身に浴びせられ僕はシャンプー液を身体中に塗りたくられて泡犬になった。それから15分か20分ぐらい、僕は様々な抵抗を試みている内にシャンプーは終わっていた。僕は喜び勇んで自分の何時も寝そべっているところへ帰り、身体をぶるぶる震わせて身体中の水分を吹き飛ばした。そして、横になって毛繕いをし始めたのだった。
そこへシャンプーの後始末を終えた御主人がやってきて僕の身体をバスタオルで拭き始めた。「さっきぶるぶるしたからいいよ」と僕は言ったが、僕が嫌がっているのも気に留めずふいている。たまらず僕が逃げると怒られた。「せっかくシャンプーから解放されてのんびりしているところなのに!!」と僕は怒って御主人に向かってうなったら両方のほっぺをつねられたほかに鼻の頭をはたかれた。そのうえシャンプー記念だと言って、毛並みが乱れてだらしない格好の写真を何枚も撮られた。今日は日曜だというのに踏んだり蹴ったりだよ。それより、晴れているとはいえこんなしめった風の中で僕の毛並み、今日中にすっかり乾いてくれるかなぁ?...

7月20日 あめときどきくもり
また朝から雨だよ。「もう〜いやだいやだぁ〜、雨なんかもう嫌だ!!」そう叫んでみる。おまけに蒸し暑い!!毎日蒸し風呂の中に入っているような感じだ。僕はあまりの蒸し暑さに止めてある車の下に潜り込んで寝ている。さらには身体がどんどん汚れてあちこちかゆくなってきた。御主人から「明日晴れたらシャンプーをしてやる」と言われているのだが、シャンプー嫌いの僕は今から恐れおののいている。でもこの身体の汚れは我慢できないので、明日は、「歯医者に無理矢理連れて行かれる子供」の心境になってなるべく暴れないようにしようと思う....だが...しかし...?

7月19日 くもりときどきあめ
夕食後、御主人が「家の畑で採れたスイカだよ」と言って僕にひとかけら持ってきてくれた。「わーい!!夏の野菜のスイカだ」と僕はこの前の仕返しに皮肉混じりの言葉を御主人に言った。と言ってもスイカを食べるのは初めての....ような気もする。何しろ犬は忘れっぽいので去年のことは覚えていない。僕がスイカを目の前にして食べあぐんでいると、御主人が赤いところを取って食べさせてくれた。「うう〜ん、甘いことは甘いんだけど....もう少し熟したほうがいいんじゃないの?」と、いっぱしの食通のようなことを言ってみた。良く聞くと、このところ降り続いた雨で独りでに割れたのを収穫してきたそうだ。「御主人、今度は皮まで食べられるスイカを持ってきて欲しいなぁ」と期待を込めていった。
この後、晴れの日が続いて甘いスイカが食べられる日を心待ちにする僕だった。

7月18日 はれ
久しぶりに晴れた。御主人に耳の内側の毛を刈り込んでもらう。でもほんとうは無理矢理刈り込まれてしまったんだ。というのは僕の耳の内側にはびっしりと毛が生えいるので夏場は中が蒸れてしまう。そこで刈り込まれることになったのだが、御主人は小さなハサミを取り出してきて僕の毛を切っていくのだがなかなか切れない...僕は僕でイヤでイヤで必至になって逃げようとする。御主人は何度も刈り込みに失敗したが、とうとうがっしりと押さえ込まれて刈り取られてしまった。両方の耳が刈り込まれすっきりしたような気持ち悪いような....変な感じ...
御主人は、耳の中に風通しを良くするという名目の他に、僕の耳がよく聞こえるようにと思って刈り込んだという。僕が普段から人の言うことを聞かないので毛を刈り込むと、よく聞こえるようになるのじゃないかなと言っていた。僕ってそんなに人の言うことを聞かない犬なのかなぁ?

7月17日 くもりのちあめのちくもり
今日は雨は降らないなと思ったら、また昼前から降ってきたよ。
田圃の稲に栄養をあげに行った御主人が帰ってきた。どうやらこの雨で作業を中断したらしい。僕と御主人はすることもないので「にらめっこ」をして遊んだ。一匹と一人はしばらくにらみ合っていた...3分ぐらいかなぁ...でもとうとう僕が負けてしまった。目を伏せてしまったのだ。勝ったらおやつがもらえるにらめっこだったら絶対負けなかったのになぁ。

7月16日 あめ
夕食後、のんびりと横になっていたら御主人がパンを持ってきてくれた。と言ってもトーストの耳だけどね。でもジャムやバターがちょっぴり付いていたりしてうれしい。お座りと待てを命令されてよだれを垂らしながら待っている。「よし」で夢中になって食器の中のパンの耳にかぶりつく「うまいうまい」食事の後だけれどおやつはまた別腹...だ。あっという間に食べ終わって名残惜しそうにカラになった食器の匂いをかいだりなめ回していると、また違った匂いがする...!!
ジャムとバターの強烈な匂いだ。御主人の方を見るとどうもおかしい...右手を背中に隠すようにしている。きっとトーストの耳の部分だけ僕にくれて中のジャムとバターがたっぷり付いた部分は隠し持っているようだ。僕はおねだりしようと御主人に近づくと僕の行動を察したのか、さっさと家の方に帰ってしまった。....

7月15日 あめ
朝起きたらまたまた雨だった。「また御主人は散歩は中止って言うだろうな」と思っていると、御主人がやってきた。どうやら散歩に行くようだ。僕はうれしくなってそこいら中を駈け回った。するとコンクリートの床で滑って転びそうになった。
散歩ヒモをつけられて足取りも軽く出かけたのだが...ざぁざぁ降ってくる雨に途中から嫌気がさして足取りが重くなった。御主人の後をとぼとぼ付いていくようになってしまった。とうとう僕はぴたりと足を止めていつもの「イヤイヤ」ポーズを取った。「もうこれ以上一歩も前に行きません」と言うわがままモードだ。御主人も雨が降っているので嫌になったのか「帰ろう」と僕に声をかけた。僕はその言葉に急いで方向転換をしてさっきまでとはうってかわって足取り軽く家に向かって歩き始めたのだった。

7月14日 あめ
今日も朝からざぁざぁぶりの雨だ。いつまでたっても御主人は朝の散歩にやってこない...僕は哀しくなっていじけて、ふて寝してしまった。「いいんだ..僕はどうせ大事にされていないんだ..散歩は犬の最大の楽しみなのに...」
7時頃になってやっと御主人がやってきた。そこで僕は死んだふりをすることにした。御主人は僕のしっぽを踏んだりお尻をつついたりして起こそうとするが僕はじっとして死んだふりを続けた。御主人は心配になったのか、僕の身体を激しく揺すった。「まぁ、ここらで勘弁してやるか」と思ってゆっくりと体を起こすと御主人は安心したように僕の頭をなでた。
でも、雨の中の散歩には連れて行ってもらえなかった。.....

7月13日 うすぐもり
今日は気温が30度にもなった。日中は暑いので作業小屋の中に寝ている。コンクリートの床がひんやりして気持ちがいい。夜になると少し涼しい風が吹いてきたので外に寝る。御主人はしきりに犬小屋の中で寝るように言うのだが、冗談じゃぁない。こんな暑いときに犬小屋の中に寝ていたら「ゆで犬」が出来上がってしまう。
夜中になって御主人が物置に来てごそごそしていたと思ったら何かを出してきた。「それはなんだ」と聞いたら扇風機という物だと言った。こんな暑い夜に電気の力で風を起こして涼しくする道具らしい。暑かったら僕みたいに外に寝ればいいのにわざわざ家の中に籠もって電気で風を起こすなんてばかばかしいよ。外はこんなにいい風が吹いているのに...
7月12日 くもり
このところまじめに番犬の役目を務めている。今日やって来たのは電話工事の人だけだった。帰るときだけいつもより力強く吠えてやる。というのは御主人が「えーでーえすえる」とかいう電話回線に替えるために電話工事の人が来たようだ。それは何かと御主人に聞くと、電話とパソコンで僕の恥やおまぬけぶりをより早く全世界に広めることが出来るという仕掛けなのだそうだ。だから恥ずかしさのために吠え声がいっそう力強く...と言うよりはいままで公表されたネタに恥ずかしさがつのった嘆きの吠え声になったのかも知れない。

7月11日 あめときどきかぜつよし
今日は台風さんが来るかと思って玄関の方を一日中見張っていた。今朝、散歩に行くとき「台風は昼頃来る」と言っていたので見張っていると昼頃来たのは郵便屋さんだけだった。郵便屋さんは怖くないので僕はいつも吠えないことにしている。
一日中見張っていたが、それらしい人は来なかった。夕方御主人が帰ってきたので「台風さんは来なかったよ」といったら「良かったね。来なくて」と言った。「台風さんってどんな人だ?」と聞くと「台風さんは人じゃない」という。よく聞くと強い雨と風が一度にやってくるのを台風が来るというのだそうだ。なんだ、雨と風ぐらいなら僕だった大丈夫だよ。今度来たら「わんわんわん」と言って追い払ってやるよ。だって僕は猛吹雪の中でも散歩に行けるんだもん!!

7月10日 あめ
朝からざぁざぁあめが降っている。こんなに降っては朝散歩も中止だ。ゆっくり朝寝をしていると御主人やお母さん達は「台風がやってくる」と心配している。どうやら台風という怖い人が家にやってくるらしい...僕は番犬なので、そんな怖い人が来たら「わんわん」と吠えて追い払う義務があるんだけど、果たしてそんな怖い人を僕が追い払うことが出来るだろうか...?かえってしっぽを巻いて犬小屋に入ったり、車の下に隠れてしまいそうだ。でも、こんな時こそ僕の番犬としての存在価値が問われるのだ。ガンバロー!!

7月9日 くもりときどきはれ
朝、お母さんが生ゴミを捨てにやってきたので、無理矢理中をのぞいたらスイカの皮が入っている。「わぁ、もうスイカが食べられる季節になったんだ」と思うと同時に腹が立った。なぜ僕にお裾分けしてくれないんだ!!いくら犬が甘いもの禁止と言ってもスイカぐらい食べさせてくれてもいいじゃないか...そう思って御主人がやってきたときに文句を言ったら「スイカは野菜なので犬は嫌いだと思っていた」と変な理屈をつけてごまかされた。去年野菜であるミニトマトを食べさせたくせに〜....

7月8日 くもりときどきあめ
毎日雨ばかり降っているので退屈になってきた。「何かひまつぶしのおもちゃでもないかなぁ」と思っていると園芸用のハンドスプレーを見つけた。プラスチックで出来ていて固さもちょうどいい。カミカミするのには絶好のおもちゃだ。
まず、シュッ、シュッと霧が出てくる部分を取り外して、下の水を入れる白い部分をなめたりかじったりする。上の部分をはずすのに手間取る。この道具の中で一番複雑な作りになっていて白い部分にねじ込んである。一生懸命かじったりじゃれたりしているとはずれた。後は白い部分をなめたりかじったりする。丸い形をしているのでじゃれたりするとおもしろい動きをする。意外と楽しいおもちゃを見つけたものだと思って楽しんでいると...御主人がやってきて、そのおもちゃを取り上げた。花に薬を散布する道具だったらしい。だが、御主人が取り上げた時はすでに遅く、それは僕の鋭い牙で穴だらけになっていたのだった。でも、珍しく叱られなかったよ。

7月7日 いろいろなてんきがつぎからつぎと...
今日は人間の世界では「七夕」」と言う行事だそうだけど、暑い!!と言うより蒸し暑い...雨が降ったかと思うとお日様が照ってきてまた雨が降ってと忙しい天気だった。こういう日は小屋のコンクリートのひんやりした床の上でのお昼寝が一番!!
「ところで七夕ってなんだ?」と御主人に聞くと「星になった恋人同士が一年に一回会える日なのだという」、「なんだそんなことか...」でも、その人達は一年に一回でも会えるからいいよね。僕なんか別れたお父さんやお母さん、兄弟達に一生会えないかも知れないんだよね...そんな「たなばた」なんかより、僕は「たなぼた」のほうがいいなぁ。黙って昼寝をしていると誰かがおいしいものを持ってきてくれるって言うのがね。

7月6日 くもりのちあめ
この前、白い猫を見たと思ったら今度は虎色のしましま猫を見た。一体どこからわいて出てきたのか....。前は全然見かけなかったのに...このしましま猫が上のお兄さんの友達の車にオシッコを引っかけようとしていたので「わんわん」と吠えてやった。しましま猫は「はいはいわかりました」とでも言うように悠々と家の後ろに姿を消した。全くここをどこだと思っているんだ。このムツ様が守る小川家の敷地内だぞ!!
姿が見えなくなっても何度も「わんわん」と警告信号を発して敷地内から立ち退くように言った。でも、もしかすると僕の見えないところに隠れていて僕を馬鹿にしているのかも知れない....と思うと腹が立つ!!

7月5日 はれ
ホタルを見たよ!
夕食後、御主人から夕涼みに誘われた。誘われたと言うより強制された。僕は行きたくなかったのだけれどさっさと散歩ヒモをつけられてしまったので、仕方なく付いていくことにした。あたりはすっかり暗くなっている。暗いたんぼ道を歩いていくと「ムツ、見てご覧」と御主人が言うので指さしたあたりを「なんだろう」とのぞき込むと田圃にぴかぴか緑色に光るものがあった。気持ち悪いのでちょっとのぞき込んだだけで後に引っ込んでしまった。「ホタルという虫だよ」と御主人が教えてくれた。「去年も見たはずだけどな」と言われたが、去年のことなどすっかり忘れてしまっている。「どうしてぴかぴか光っているんだろう」と興味がわいてきたのでホタルに鼻先を近づけてよく見てみることにした。電池や火が入っているわけでもなさそうだ。鼻先でちょんと触れるとホタルは草むらの中に落ちてしまった。それでも光っていた。
お友達になってずっと見ていたいなぁと僕が思っていると御主人が「ムツ、ホタルいいねぇ」と言った。僕もうなずいて他にもいないか探してみた。3匹見つけたよ。「きれいだねぇ〜」
今度、夕涼み散歩に来る時は嫌がらず、またホタルさんに会いに来ようと家路についた。

7月4日 はれ
ひまわりがいつの間にか御主人の背の丈ぐらいに伸びて、花が開き始めた。アジサイの花も緑色だったのがうす紫色に変わった。庭のすべての木や草の緑が色濃くなってそこあたり中に花が咲いている。すっかり夏だねぇ〜、僕が舌を出して「ハァ、ハァ」言っている時間も長くなった。
そういえば7月は僕の誕生月なんだね。28日が来ると僕も2才になるんだもの、木や草が大きくなって花を咲かせても不思議じゃぁないよね。でも御主人やお母さんは年を取ってもあまり変わらないなぁ、去年とおんなじだよ?

7月3日 くもりのちあめ
今日は久しぶりに雨が降らなかったので、地面が少し濡れているけど、ごろんと横たわって昼寝を始めた。
御主人はお仕事で出かけてしまって、今日は僕一人、番犬の勤めをがんばるぞ!!...と思ったけど、上のまぶたと下のまぶたが妙に仲良くなってしまって、たちまち熟睡モードに入ってしまった。するとお昼頃になってぽつぽつ雨が落ちてきた。「しょうがないなぁ」と思いながら小屋の軒下に引っ込む。そこへ御主人が帰ってきて「今日の天気予報は雨が降らないって言っていたのに」と僕にぼやいた。その言葉に僕は、あまり人の言うことを信用しない方がいいよって御主人に言ったんだ。犬は何時も用心深くしているので簡単に人を信じないんだよ。この点は人間も犬を見習って欲しいと思う。そんな僕の言葉に対して御主人はびっくりするようなことを言った。「今朝干した洗濯物がずぶぬれじゃぁないか、取り込んでくれればいいのに」....そんなことを言われても僕は洗濯物の番まで言いつけられてはいない。御主人が出かける時に言いつけられたのは「留守番」と言うことだけだ。僕はそういいたかったけれど御主人の言葉が聞こえなかったふりをして、側にあるサッカーボールにそっとじゃれついたのだった。

7月2日 あめ
雨ふりで少し寒いので犬小屋で寝ていたら、御主人が全身ずぶぬれで帰ってきた。僕は「ご苦労サン」と犬小屋の中で寝転がったまま言った。天気が悪いので寝るのに飽きたからと言って時々外へ出てひまつぶしのネタ探しをするわけにも行かない。もう今日は寝過ぎて寝過ぎてあくびばかり出るよ。「ふわっっっ、ふわぁぁぁぁぁ....わんわんわん!!」誰か来たようだ。番犬の出番だぞ!!「わおーん、わんわん」
ところで今日の散歩はどうなるのかなぁ、雨も強い降りになっているし....

7月1日 はれのちあめ
夕方、変な鳥を見つけたよ。空を飛びながら鳥のくせに「にゃぁ、にゃぁ」って鳴くんだ。僕は猫が空を飛んでいるんだと思ってびっくりした。そいつは鳴きながら僕たちの上を何回かぐるぐる回って遠くへ行ってしまった。御主人に聞くと「ウミネコと言って普段は海の方で餌をとったりしているのだけれど、たまに田圃の方まで餌を探しに来るんだ」と言うことだった。僕の住んでいるところから海までたった4キロしかないんだ。僕の足だと全速力で30分ぐらいかなぁ。でも空を飛ぶともっと早いんだろうなぁ...
散歩から帰ったら、真っ白な本物の猫が山茶花の垣根のところで空を見つめているのに出くわした。きっと明日の天気の心配でもしているんだろうなぁ..