むつ犬のおまぬけ日記
平成15年10月
10月31日 はれ
今日は穏やかで風もなく「秋日和」って言う感じのお天気だった。これからはこんな良い天気の日は貴重になってくる。僕も出来る限り日向に出て「お昼寝」にいそしむことにしているよ。でも・・・・・お昼寝していると、小屋の中にいる御主人が時々出てきて僕の体をなでたり、ほっぺをつまんでいじくり回したりするんだ。せっかく気持ちよくお昼寝していたのに・・・・と思いながらいやいや相手をしている。でも、まあ御主人も僕にちょっかいを出しに来るだけお仕事に余裕が出来てきたんだなって思えば、すこしは許してやろうという気にもなる。だから、適当にあしらっておこうと思う僕なのだった。

10月30日 あさはあめのちはれたりくもったり
今日も御主人は小屋の中に閉じこもって「もみすり」だ。僕はおいしい「新米」がいつ食べられるのか期待と不安が入り交じって心配でしょうがない。今日も、もみすり作業が終わった後、御主人がお米を精米していた。僕はいよいよ新米が食べられるのか!!と期待したけれど、まだ去年のお米が残っているので、これを食べてしまわなければならないので精米しているのだという・・・・僕はガッカリして体の力が腰から抜けてしまった。外に出て地面に横たわって、しばらく涙ぐんでいた。犬はおいしいものを食べるのが楽しみなのに、それを裏切る御主人の行為に涙したのだ。僕はふてくされて、地面の上に寝っ転がっていようかと思ったのだけれど、さすがに今日は寒い。こらえ性のない僕は、すぐさま犬小屋の中に入って、その中でお昼寝を決め込んだ。
「ああぁ〜ん、早く新米が食べたいよぅ〜」

10月29日 あめ、かぜ・・・・
今日は朝から一日中雨降りだったよ。それも強く激しく降る雨だ。だんだん風も出てきて、外に置いた稲刈り機械にかけてあるシートがばたばたと風に揺れて恐ろしい音を立てるんだ。僕一人ではどうしようもない。御主人は朝から何処かへお出かけで、夕方暗くなっても帰ってこない。僕はただ犬小屋の中で寝ているしかなかった。夕ご飯はお兄さんからもらったよ。でも、その前に僕のご飯に入れる牛乳がなくなったので買いに出かけてしまったんだ。そんなところへ御主人が帰ってきたけれど、すでに役に立たない状態になってしまっていたので無視することにした。風雨で破天荒な一日だったけれど、僕にとっては実に平凡で退屈な一日だった。

10月28日 はれ、ゆうがたになってあめ
きょうも・・・・・また・・・・・犬小屋の中に閉じこめられた・・・・いい加減うんざりしてくる。また農協からお米を取りに来るというのだ。作業する人の安全確保のためと言うけれど、僕の存在そのものが安全なんだから閉じこめる必要性はどこにもない。以上は犬側からの論理で話しているのだが、人間の側から言うと「よその犬」イコール危険、何をするか分からない。従って、閉じこめておけばいいと言う安直な考えによって僕は犬小屋の中に閉じこめられたのだった。話は変わるが、犬を飼っている家庭では病気になる人の割合が飼っていない家庭より格段に低いという統計が出ている。アニマルセラピストとして、家族の心をいやしているからだ。そんな犬を危険だという認識の元に犬小屋の中に閉じこめるなど「言語道断」であるし「あんこは練りあん」と言わなければならない。この事実を広く知ってもらうためには「日刊犬新聞」の 力が必要であるし、飼い犬の総力を挙げて誤解をとく努力をしなければならないと思う!!!・・・・・・・・・・おおぉぉぉ〜、いつもは頭の回転が鈍い僕が、今日は珍しく論理的なお話をしている〜!!・・・でも、・・・・ハァハァハァハァ・・・・・いつになく力が入りすぎて息切れがしてきたよ。おまけに意味不明な言葉も混じっているようだ。慣れないことはするもんじゃないね。・・・・・

10月27日 はれ
今朝は、とっても寒かったよ。気温が2度まで冷え込んだんだって!そういえば、田んぼに切り散らかされたわらの上にうっすらと白いものが付いていた。あれが「霜」っていうものなんだと思う。「黒髪に霜の置くまで・・・云々」という言葉があるけれど、犬には縁のない言葉だ・・・・・・
朝は、人間がぶるぶる震えるほど寒かったけど、犬にとってはどうと言うことはない。けれど、日中は、とても暖かかったよ。僕は地面にごろんと腹を出して横たわり、惰眠をむさぼった。今日も御主人は一日小屋の中にこもって「もみすり」とやらのお仕事で忙しい。途中で、お向かいの家のおじいさんがやってきたので「ワンワン」と吠えてしまった。でも、お米を買いに来てくれたんだ。それに、僕は「エビせんべい」をもらったよ。とっても香ばしくておいしかった。「ワンワン」と吠えてしまって悪いことをしてしまったなぁ・・・
夕方散歩は、あたりが真っ暗になってから行ったよ。熟し柿の色みたいな夕日の残りが西の空に残っていて、眉のような細い月がもうすぐ西の空に沈もうとしていた。そんな中を僕は御主人の自転車をぴっぱって、、懸命に走ったよ。はぁぁ〜、いい汗をかいたよ。今は食欲の秋とも言うよね。「ご飯がおいしいぞ!!」、・・・・・・・・あれっ?そのわりには夕ご飯が少ないぞ・・・・・・

10月26日 はれたりくもったり
今日は晴れた。でも大きな綿菓子のような雲が次から次へと西からやってきて東のお山に流れていく。そんなうららかな日和の中で御主人とサッカーボール遊びをしたよ。ちょうど御主人の母校が高校サッカー全県大会で優勝した頃の時間だった。とっても楽しかったよ。久しぶりに御主人とたっぷり遊んだよ。今日の御主人は久しぶりにお仕事を休んだので僕と遊んでくれたんだ。最近の御主人は疲れ気味だったから今日はいい骨休みになったんじゃないかなぁ?僕もとっても楽しい一日だったよ。御主人と遊べてね!!

10月25日 はれたりくもったり
今日は、一日中、御主人は小屋の中で「もみすり」という作業をしていた。僕はかまってもらえないので、「遊ぼうよ」と小屋の中に入っていくと「あっちへいけっ!」と追い払われた。僕はしょうがないので、ちょうど雲の間から顔を出したお日様と遊んだ。お日様はやさしくて、僕を暖かく包んでくれる。御主人のように時々叱ったりしない。僕は、うっとりとしながら、今日一日お日様とともにいたよ。
夕方散歩は、短めコースだった。どうやら御主人は何処かへ出かけるらしく、僕の世話を極力省きたがっているようだ。やがて、お出かけ服を着た御主人が出てきた。ややっ!!お母さんも一緒に出てきたぞ。一緒に何処かへ行くつもりらしい。どうやら楽しいことをしに行くらしい。犬にとって楽しいこととは「食べること」、「野山へ出かけること」、「家族の人に遊んでもらうこと」以外に考えられないけれど、人間には楽しいことがいっぱいあって数え切れないらしい。僕は、一人置いてけぼりにされ、つまらなくなって、犬小屋の中に潜り込んだ。「はっ!・・・あああぁぁ〜、御主人ったら、出かけるのに忙しくて僕に夕ご飯をやるのをすっかり忘れてるぅぅぅぅ〜」・・・・・・・・僕は空きっ腹を抱えて御主人達の帰りを首を長くして待っていたのだった。

10月24日 くもりのちはれ
今日もまた、御主人に犬小屋の中に閉じこめられた。今日も農協からお米を取りに来るんだそうだ。今日はお昼近くになるまでやってこなかった。その間、僕は犬小屋の中で欠伸をしたり寝っ転がってお昼寝をしているしかすることがない・・・・5人ほどがやってきて、僕を眺めたり庭や小屋の中を眺めたりしていた。僕は「ワンワンワンワンワンワンワンワン・・・・」と吠え立てた。やってきた人達の中で「そんなに吠えるなよ」と僕に話しかけてくれる人がいた。ぼくは「うう〜、わおぅぅ〜」とその人に答えたよ。でも、その人は僕の犬語が分からなかったらしい。僕はその人にこう言ったんだ。「吠えるなっていっても、僕はみんなが恐いし、僕は番犬なんだから、ワンワン吠えてお仕事をしているだけなんだよ」ってね。結局、みんながいる間中、僕は吠え続けた。おかげで喉がすこし痛くなってしまった。そして、僕が犬小屋から解放されたのはお兄さんがお仕事から帰ってきてからのことだった。

10月23日 くもりのちあめ
朝、御主人が起きてきて僕を一なでしただけで小屋の中に入っていってしまった。まもなくもみすり機械の大きな音がした。そして朝散歩はなかった。夕方、御主人が帰ってきて、僕に一別もくれないで小屋の中に入っていってしまった。まもなくもみすり機械の大きな音がした。そして、夕方散歩はなかった。僕は御主人がかまってくれないので寂しくて、市役所の17時の時報に合わせて久しぶりに「うぉ〜ん、うぉ〜ん」と遠吠えをした。それからそれから・・・・夕方、御主人が小屋の中でお仕事をしていると、誰かがライトを赤々と照らした車でやってきた。そして、玄関に入っていった。僕は恐くて尻尾を下げて吠えることもしないでやってきた人を黙って見ていた。僕のただならぬ様子に気付いた御主人が出てきて、「誰か来たな」といって玄関の方に行くと、その人は御主人に用があってやってきたお客さんだった。僕はその後、ホッペをつねられながら「番犬のくせに尻尾を下げているとは何事だ。おまけに吠えないとは番犬の風上にも置けないやつだ!!」とさんざんに叱られてしまった。でも、その後にやってきた宅配便のお兄さんにはしっかりと吠えてやったよ!!!

10月22日 はれのちいちじあめのちはれ
今日も朝散歩はなかった・・・・昨日の夕方散歩はちょっと歩きコースで終わってしまった・・・・農繁期もだいぶ長く続いて御主人にも疲れが目立ってきたようだ。以前、僕は「散歩に連れて行ってくれないっ!」と不平不満を漏らしていたけれど、御主人の忙しさを見ると、そんなことも言っていられないなぁ〜と思えるようになってきた。ガキの頃の自分はなんだかんだと文句ばっかりいってわがままを通してきたけれど、こんな事を考えるようになったって事は僕も大人になったんだなぁ〜ってしみじみ思うよ。「我、一歳にして学に志し、三歳にして立つ・・・・云々」って所かなぁ?飼い犬の僕にとっては御主人や家族だけが頼りなんだからね。

10月21日 はれ
・・・・・秋の日はつるべ落としにとっぷりと暮れて、西の空には残光が赤黒く消え残っていた。黄昏時、またの名を逢魔が時とも言う。そんな薄暗闇の中、砂利道をシャリシャリと踏み歩く音があたりの静寂を破っていた。まだ残光の残るたんぼ道をよく目をこらしてみると、白く浮き上がった四本の獣の足のようなものが交互に砂利道を踏み歩いているのが見える。「魔物か!!}と息をのんで見守っていると、そこに現れたのは・・・・・

ふぁ〜ぅぅ、秋は読書の季節と言うけれど、人の書いた本ばかり読んでいるのはつまらないので、自分でも書いてみようとやってみたけれど、なかなか筆が進まない・・・・出るのは欠伸ばかりだ、能なし犬には物語の筋を考えるなんて、鼻からうどんを食べるようなものだと言うことが分かったよ。やっぱり、僕は秋の日だまりの中でのんびりと昼寝をしているのが犬らしいと分かったよ。

10月20日 あめのちはれ
今日は御主人もお母さんもお兄さんも夜になっても帰ってこなかった。僕はお腹をすかせてじっと耐えていた。そんなところへお兄さんが帰ってきたので僕は大喜びで飛びついた。するとお兄さんは僕を散歩に連れ出してくれたよ。お兄さんの散歩コースは御主人とは違う。大学のあたりを通って、御主人の叔父さんの家のあたりを通っていくんだ。そこの家の前を通りかかると僕たちは呼び止められた。中に入ると僕は大きなソーセージを4本ももらったよ。もちろんその場でぺろりっと食べてしまったよ。とってもおいしかったよ。たまにお兄さんと散歩すると、こんなにラッキーなことに出会えるんだね。今度、また行こうね。

10月19日 はれたりくもったり
今日、僕の家ではやっと稲刈りが出来たよ。僕もお手伝いしたんだよ。田んぼから稲刈り機械を持ってきた御主人は田んぼにおいてきたトラックを取りに行くために、僕にボディガードの役目を言い渡した。それよりも夕方散歩が主な目的だけれどね。でも、僕たちが歩いている道は、僕たちが来る前に何処かの犬が歩いているらしく、その犬の匂いが「ぷんぷん」していた。僕はその匂いを確かめたくて、せわしなく足早で歩いたので、「ゆっくり歩け!!」だの「せっかち犬」だのと言われて散歩中に叱られてばかりいた。トラックの所についてドアを開けて中に乗るように命令される。素直に乗ると「尻尾がはみ出しているぞ」と、また叱られた。尻尾がドアに挟まれてしまったら、とても痛いと思うので、どうにかしたいけれど、トラックの助手席はとても狭い!!そのまま黙っていると、ご主人が僕の尻尾を後ろ足の股の所に押し込んでくれた。トラックのドアは無事に閉められ、そして、お家へは、あっという間について、僕のお仕事のお手伝いは終わった・・・・・・・・・

10月18日 はれのちあめ・・・

・・・・僕のポエム・・・・・

のほほん〜と御主人と朝散歩に行ったよ

草むらからぴょ〜んとイナゴが飛び出して僕のほっぺに飛びついたよ

僕のほっぺにはふわふわの白い毛が生えているよ

とっても暖かいんだよ。暖かいから僕の所へ来たんだよ。きっと!!

僕は気づかないで、やっぱり、のほほ〜んとお家へ帰ったよ

お家へ帰ってお母さんにおやつをねだるとイナゴは「ぴょぴょ〜ん」と

僕から飛び降りて庭の草むらに隠れてしまったよ

はぁ〜、もうすぐ秋も終わるんだねぇ〜

お・わ・り・・・・・・

10月17日 はれのちあめがふってのちはれっ!!
今朝は朝散歩にも連れて行ってもらえなかったほかに、農協でお米を取りに来るというので犬小屋の中に閉じこめられてしまった。トラックがやってきて積み込みの人たちもたくさんやってくるので僕がその人達に噛みついたりするといけないというのだ。それよりもやってきた人たちが僕を怖がるといけないと言うことなのかもしれない・・・・そんなことは、決してないと思うよ。僕の方がやってきた人を怖がって尻尾を下げながら狂ったように吠え立ててしまうかもしれないよ。やがて御主人が出かけ、お母さんもお兄さんも出かけた後、その人達はやってきた。僕は犬小屋の中に閉じこめられたまま「ワンワンワン」と吠え立てた。でも、その人達は僕を気にすることもなく淡々と作業をこなして「あっ」という間に去っていった。後に残されたのは犬小屋の中に閉じこめられた僕だけだった・・・・・そして僕は、上のお兄さんが夕方帰ってくるまで犬小屋の中に閉じこめられっぱなしだったのだ。オシッコを我慢するのが大変だったよぅ・・・。

10月16日 はれっ!!とおもったらごごになってあめ・・・・しゅう〜ん
朝から良い天気になった。早朝、ご主人がお日様も昇ってこないのに起きてきて小屋の中で機械を動かし始めた。僕は「やれやれ・・・・」とため息をついた。こんな日の朝は朝散歩は無しに決まっている。御主人が「もみすり」というお仕事で忙しいからだ。仕方がないのであきらめて、犬小屋の中でまた寝てしまった。日中はよく晴れたのだけれど、午後も遅くなって雨がポツポツ降り始めてきた。「たいしたこともないや」と思っていたら、夕方前には本降りになってしまった。僕は、今日、2度目のため息をついた。「やれやれ・・・・夕方散歩もこの雨降りで中止になるぞ」ってね・・・・その如く、夕方帰ってきた御主人は、ひとしきり小屋の中のお仕事を終わらせた後、僕にお座りをさせて、懇々と教え諭すように、 「むつ、今日は雨降りで、散歩に行けないねぇ〜」と僕の目を見つめて言うのだ。僕は体をブルぶるんと震わせて「そんなの嫌だ!!」とそこいら中を駆け回って意思表示をしたのだけれど、御主人の惰弱な気持ちは揺らぎようもなく、僕は夕ご飯をもらって、今日の御主人との交流は終わってしまった・・・・

10月15日 はれのちあめのちはれ・・・・そしてまたあめがふってまたはれたよ
今日はおかしな天気だったよ。朝から穏やかに晴れて、残り少ない秋の日差しを思う存分楽しもうとして「ごろん」と横になった。この時期、厳戒態勢で小屋の中のお米を警備をしなければならないのは重々分かってはいたのだけれど、犬にとって、本能の赴くまま、自分が今何をしたいかによって自分の行動が決まってしまうのだ。でも、熟睡していた訳じゃないよ。家に誰もいないと分かっているのに熟睡は出来ないよ。いくら僕が脳天気な犬だからと言って、番犬の職分を忘れてはいないよ。そして、夕方御主人が帰ってくると、僕は忠実な番犬から、「愛玩用動物」に変身するのさ!!

10月14日 くもりのちはれ
今日の僕は、昨日御主人が「もみすり」というお仕事をして出来たお米の入った袋を守るために、精根を使い果たした・・・・今日一日、家には誰もいなくなった。「御主人はいつものように「ムツ、お留守番」・・・・とも言わずに何処かへ出かけていった。みんなが出かけていった後、僕は不安でしょうがなかった。だって、この時期は米泥棒が横行しているという噂がしきりに流れている。僕がお留守番している時に、そんな奴らがやってきたらどうしようかと、回転の鈍い犬の頭で考えたのだ。・・・・・・よし!!今まで本気になってうなって、人にかみついたことはないけれど、米泥棒が来たら「ガブリッ!!」と思いっきり噛みついてやろうと決心した。だって向こうだって僕に何をするか分からないような奴らだからね。でも、幸い今日はそんなこともなく、平和に一日が終わったよ。御主人が帰ってきた時は「ホッ」として緊張がほぐれて、腰から力が抜けてしまったよ。

10月13日 あめ〜っ・・・・
今日は朝から雨と言うことで、朝っぱらから犬小屋の中でぐっすり眠っていた。そこへ御主人が忍び足でやってきて、僕のかわいい寝顔をしっかり見られてしまった。しかも、布団やシーツは乱れ放題・・・・あごをシーツの上にのせて、つぶれたあんパンのような顔をして寝ていたと御主人は後から言っていた。
今日の御主人は一日小屋の中でお仕事だったよ。機械の音がうるさいので余り近寄らないようにしていた。それに、小屋の中に僕が入っていくと「あっちへ行け!!」って追い払われるんだ。去年お米に悪さをした前科があるからしょうがない・・・・そうして、お昼休みが終わった後、またもや僕は犬小屋の中で熟睡していた。すると、またまたそこへ忍び寄る御主人の姿が・・・・しかも、カメラを持っている。そしてかすかにシャッターが押される音がした。僕は「はっ!!」として目を覚ましたけれど、半分は寝ぼけたまま首だけを持ち上げて犬小屋の前にいる御主人を見つめた。御主人は僕にカメラを向けたまま黙っていた。僕は眠かったのと、御主人に早くあっちへ行って欲しくて。2回も欠伸をした。ところが、その欠伸をした姿がしっかりとカメラの中に納められてしまったのだ。なんと、今のカメラは写真だけじゃなくて動く姿も撮ることが出来るんだってさ。欠伸をする姿は、熟睡している姿より間が抜けて見えるんだって。美しく端正な僕のイメージが壊れちゃうよ。熟睡する姿が「つぶれたあんパン」のようだったら、欠伸をする僕の姿はなんだって言うのさっ!!ほらほら、御主人言ってごらん!!・・・・・・・・・・・
(カッ・・カエルが大きな牛の姿を見てびっくりして口をあんぐり開けたまま腰を抜かしたような姿?・・・・・かなっ)

10月12日 はれ・・・・・
長く続いた「秋晴れ」も今日になってかげりが見えてきた。西の空に灰色の雲が広がっている。こっちへあの雲がやってくるのかな?と、思っていると別の方に流れていって相変わらずお日様が暑いぐらいに僕を照らしてくれる。はぁ〜・・・明日は雨が降ると言うけど、明日のお昼寝は犬小屋の中でしなければいけないのかなぁ・・・・あっ、そうだ明日は御主人が小屋の中で「もみすり」という仕事をするそうだ。あっ、「もみすり」って言うのは籾殻を取り去ってお米にする作業のことだよ。それを袋に詰めて売るんだよ。それを売ったお金で僕の犬の缶詰やドッグフードなんかを買ってもらえるんだよ。それよりも何よりも、僕のお腹の中に新米を入れることが出来るのがうれしいなぁ!!・・・・・・えっ、家で新米を食べる事が出来るのは年末になってからだってぇぇぇぇ・・・・・・ガッカリ・・・・
でも、とりあえずは明日の小屋の中は犬がノイローゼになるぐらい機械の音がうるさくなるって事だけは事実のようだ・・・・お昼寝が出来ないぐらいうるさいようだ。外は雨が降るようだし。僕の体の置き所がないよぅ!!!これを「四面楚歌」とかって人間の言葉で言うんだよね?

10月11日 はれっ!!
今日は御主人にこっぴどく叱られたよ。と、いうのは僕が小屋の物置から御主人の作業用短靴を盗み出し、口にくわえて大急ぎで小屋の外へ出てきたところを御主人に見つかってしまったんだ。靴をくわえてきて、これから思う存分、この靴をもてあそぼうと思っていたのだけれど、御主人に見つかってしまったものはしょうがない・・・・「こら、待て!!!」と、怒鳴られて、靴を取り上げられ、その靴で頭や鼻先を何度も「駄目!!駄目!!」と言われ続けられながら叩かれてしまった。僕はひたすらはいつくばって耳を伏せ堅く目を閉じながらじっと耐えた・・・人間の難しい言葉で言うなら、「恭順」って所かなぁ?
ところで、僕の所へ夕方になるとコウモリさん達が飛んでくるよ。普段僕の所へ動物たちがやってくることがないので、コウモリさん達には何となく親しみを感じるよ。もっとも、北隣の家の猫さんは時々顔を見せたりするけどね。猫と犬とは昔から仲が悪いと相場が決まっているので、無視することにしている。でも、でも、姿を見ると興奮して追いかけ回したくなるけどね。
えっ・・・・?さんざん叱られてしょげ返っているんじゃなかったのかって?・・・・・犬が御主人に叱られたぐらいでしょげ返っていたら生きていけないよ。叱られた時点で反省は済んでいると思っているし、犬はいつまでも自分のしたことを覚えているほど記憶力の良い動物ではない。だから、叱られてしばらくすると御主人に尻尾を振ったりするんだ。犬の格言に「反省は一時、いたずらは生涯」というのがある。御主人に叱られるのもスキンシップの内なんだと思うよ。

10月10日 はれっ!!
今朝は久しぶりに朝散歩に行ったよ。本当に久しぶりだ。最近は農繁期と言うことで御主人は朝、とても忙しいようだ。朝は6時頃に家から出てきて、小屋の中に入って行ってから、しばらくして出てきて、「ムツ、今日の朝散歩はないよ」と言われるのが常習化していた。ところが今日は朝、家から出てきて小屋の中を「ちらり」と見ただけで、「ムツ、散歩に行くよ」というので僕はうれしくなって、そこいら中を駆け回った。朝のひんやりした空気の中を足取りも軽やかに散歩する気分は実に良い。久しぶりにお母さんからおやつをもらったよ。実は、今まで黙っていたけど、僕は朝散歩から帰るといつもお母さんのいる台所へ直行するんだ。すると、お母さんは僕になんか食べ物をくれるんだ。そんなにたいした量でもないけど、これが僕の朝ご飯の代わりにもなっているんだ。でも、僕のお腹はとっても助かっていたんだ。夕ご飯だけじゃ、ちょっと足りないよいような気がしていたんだ。でも、この所、朝散歩がなかったものだから、お母さんから食べ物ももらえず、僕の不満は爆発寸前まで行っていたんだけれど、今朝、なんとか収まったよ・・・・しかし稲刈りはまだ出来ない・・・明日の朝、また朝散歩に行けるかどうかはお天気と御主人の気分次第だ・・・・よし!!明日の朝、散歩に行けなかったら、「わんわん、わぉぉぉ〜ぅぅぅぅ」とうなって御主人に直訴するぞ!!!

10月9日 はれっ!!
この前、犬には稲刈り仕事のお手伝いは出来ないといったけど、僕にも出来るお仕事があったよ。それは、トラックや稲刈り機械の移動のお手伝いだ。もちろん僕が機械を操縦して移動するわけではない。お仕事の手順を説明しよう。まず、御主人がトラックに乗り助手席に僕が乗って田んぼへ出かけるんだ。田んぼに着くと、御主人は僕をおろして、トラックを田んぼに置いたまま僕と散歩のようにして家まで帰ってくるんだ。その後、御主人は稲刈り機械に乗って、また田んぼに出かける。そして稲刈りのスタートになる訳なんだ。・・・・・えっ?、それのどこが犬による稲刈りの手伝いなんだって?・・・・・・うぅぅぅぅ〜、それは・・・・御主人の仕事具合を監督するために僕がそばに付いていなければいけないんだよ・・・それと、それとね・・・・・うっ・・わっ・・わおぉぉぉ〜ん・・・・

10月8日 はれっ!!
今日の空は雲一つない「日本晴れ」だったよ。ぽかぽかと暖かいお日様とさわやかな秋の風が僕の体を優しくなでながら通り過ぎていく。そんなお昼寝日和の一日だったよ。御主人は家の廻りの田んぼの稲刈りをしているので「お留守番」に気を遣うことなく思う存分お昼寝を楽しんだ。東からはまん丸お月様が上ってきて西には真っ赤なお日様が明日の「はれっ!!」を約束して沈んでいく。「今日も一日無事に終わったぁ〜」と、しみじみいえる一日だったよ。
「それじぁ、おやすみなさい」・・・・・・・あっ、人間にとっては寝るのはまだ早いかもしれないけど、犬は日の出とともに起きて、日没とともに寝るんだよ。

10月7日 はれっ!!!
稲刈りで忙しい御主人に代わって、僕の夕方散歩の相手は上のお兄さんだったよ。御主人と散歩に行くと、自転車を夢中になってぴっぱるあわただしいお散歩なんだ。御主人はただ自転車に乗っていれば、僕が引っ張るからラクチンなんだ。でもお兄さんは歩き散歩で、ゆっくりとお散歩が出来たよ。こんなにのんびりと散歩したのは久しぶりだ。もうすぐ満月になりそうなお月様とその側に最近話題になった火星も見えたよ。はぁ〜、秋晴れの空!!夕日が西の空に沈んだ後の空は青い色とオレンジ色が微妙に混じり合ってとてもきれいだ。生きていて良かったぁ〜!!と思える一時だね。

10月6日 あめのちはれ
地域の稲刈りが最盛期を迎えたので、僕の家の前をよその家のトラックや稲刈り機械が行ったり来たりする。おかげで僕の仕事が急に忙しくなってしまった。しょっちゅう「ワンワンワン」と吠えていなければならないのだ。普段の日でも忙しいのに、この時期となるとなおさらだ。まあ、御主人たちも農繁期で忙しいし、犬の身体では稲刈りのお手伝いも出来そうにないので家で番犬のお仕事に精を出しているほかにない。猫さん達だったら稲刈りも出来るかもしれないね。だって「猫の手も借りたいぐらい忙しい」と言うからね。・・・・・・そうそう、昨日の犬新聞の社説によると、「稲刈りの北上に合わせて米泥棒が横行しているらしい。飼い犬の皆さんは力を合わせて米泥棒を撃退しよう。そのためにはお互いに情報交換をして、連絡を密にするようにしなければならない」とあった。うう〜ん、責任重大だぞ!!

10月5日  はれのちいちじあめ
朝、御主人がおいしそうに何か食べているので、愛想を振りまいて近寄っていったらすこし分けてくれた。すこしあんこの味がするけど、食べてみたらくちゃくちゃしてなんだか気持ちが悪い。初めて食べる物のような気がする。何度も何度も口の中で噛んでは吐き出して、またそれを口の中に入れ、やっと安全な物だと納得してから喉の奥に飲み込んでやった。そんなにおいしい物ではないようだ。御主人に「これはなんだ?」と聞いたら「まんじゅうという物だ」という・・・・そんな名前の食べ物を遙か昔にもらって食べたような気もするが、こんな変な口当たりじゃなかったと思う。あんこがたっぷり入っていたような気がする。今日もらったのはあんこの味はするけどあんこなんか入っていない。さらに厳しく御主人を追求すると「まんじゅうの皮だけおまえにやったのだ」と言った。はぁ〜、僕はまんじゅうの皮をもらうために御主人に愛想を振りまきながら尻尾を振って近づいていったのか・・・・我ながら情けなくなる・・・・わおぅ〜んんんん

10月4日 はれたりくもったり
今日から稲刈りだよ。夕方散歩はお母さんと一緒に行った。さてと、後のお楽しみは夕ご飯だ。あれあれ?御主人が水とご飯の入った食器を持ってお母さんと一緒に僕の所へやってきたよ。お母さんは右手になんか持っている。二人して僕を見ながらニヤニヤしているぞ・・・・はっ!もしや二人して僕をだまそうとしているに違いない・・・でも、何をする気なんだろう・・・御主人がいつもの位置に食器を置いたので僕は「お座り」の姿勢をとった。するとお母さんが僕に近寄ってきて、手に持った物を僕に差し出したよ。あっ、あんパンのかけらだ!!僕は大喜びで「食べて良し」と言われて口の中に入れると、ろくに噛まずに飲み込んでやった。うっうれしい!!犬にとっては禁断の味である甘い物・・・でも・・・・でも?なんかおかしい・・・・たしか先月に甘い物をもらった時は・・・・はっ、そうか!!甘いお菓子の中に薬を仕込んで僕に与えたんだ。先月は「金萬」というお菓子の中にこの薬が仕込んであったっけ・・・今日は?・・・そうか、今日はあんパンの中に仕込んであったのか。でも、たぶん今年、この薬を飲むのは今月で最後だと思うよ。だって恐ろしい病気を媒介する蚊がいなくなる季節になってしまうからね。そうすると禁断の甘いお菓子もしばらく食べられなくなる訳なのか・・・・・・しゅう〜ん

10月3日 はれたりくもったりいちじあめ
今日の僕は、とってもお利口さんで、とってもお間抜けだったよ。と、いうのは家に宅配便がやってきたので「ワンワン」と吠えて小屋の中でお仕事をしているご主人にお知らせをしたら、とってもほめられた。その後、しばらくして郵便配達の人が来た・・・・・郵便配達の人は毎日来るし、特に家の人に知らせる必要もないので「ワンワン」と吠えなかった・・・・そこへたまたま外に出てきたご主人が郵便屋さんのいる玄関の方に向かったよ。どうやら郵便屋さんはご主人に用があるようだ?・・・・・ご主人は家の中からハンコを持ってきて郵便配達の人に渡してお手紙を受け取ったよ。今日は郵便屋さんに吠えても良かったのかなぁ?・・・・と思ったので、郵便屋さんが帰っていく時に「ワンワンワン」と吠えてやったよ。僕としては、知恵を巡らせて吠えたつもりだけど、ご主人から、「帰っていく時に吠えてもなんにもならない!!」と言われてしまった。番犬の仕事って案外難しいでしょう。簡単な仕事なんてそうそうはないもんだよ。犬の仕事ですらこんなに難しいんだから、人間の仕事はなおさらだね!!

10月2日 あめのちはれときどきあめ
「犬の気持ちと秋の空」なんて事をよく言うけれど、今日の天気はちょうどそんな具合だった。犬は自分の気持ちに正直なので、思いついたことはすぐ実行しなければ気が済まない。たとえご主人からの命令を実行中でも、犬の頭の中で何かやりたいことが浮かび上がってくると、まずご主人の命令を無視してでも自分のやりたいことをやってしまう。人の言うことを聞くというのは全神経を使って行わなければいけないんだ。だから犬にはそれだけ集中力はないんだね。食べ物でも目の前にあれば言うことも聞くんだけれど、それさえ目の前の物を食べたいという犬自身の欲求がそうさせているだけなんだ。そんな気まぐれな犬の行動が「犬の気持ちと秋の空」って言われる由縁だけどね。でも、猫さん達の気まぐれさにはとうていかなわないけどね。
ところで、今日ご主人がいない時、農機具の修理をする人がやってきたよ。僕は尻尾を下げながら警戒したけれど「ワンワン」って吠えなかったよ。昨日も来た人で、ご主人のためになる人だって僕が判断したからなんだよ。なかなか偉いでしょう!!でも、これで一週間も間をおいて同じ人が来たんだったら吠えるかもしれないなぁ・・・・・でも、何度も家に来てくれたら後は忘れないんだけどね。

10月1日 はれのちくもっていちじあめ
今日は楽しかったよ。だって、僕のお間抜けじゃなくてご主人のお間抜けをご披露することが出来るからだよ。その一部始終を目撃した僕ならではのおはなしだ。
今朝、お日様の光が降り注ぐ中を「稲刈りだ!!」といって、僕にお留守番を言いつけておいて、大きな稲刈り機械に乗って田んぼへ出かけていったご主人だったが、ややしばらくたって同じ機械に乗って家に帰ってきた。「どうしたの?」と聞いてみたら「刈り取り機械の一部が動かない・・・」と言うんだ。ここまでは僕も同情したんだ。やがて農機具を修理する人がやってきて、僕が「ワンワン」と吠えたら、犬小屋の中に閉じこめられた。仕方なく、ご主人と修理する人の会話を密かに盗み聞きしていると、「どうやら、ネズミに電気系統をかじられて動かなくなったようです。」という声が聞こえてきた。僕は驚いた。僕でさえ出来ない大きないたずらをするネズミに対してだ。それと同時に、いつも僕に命令したり威張ったりしているご主人の困り果てている姿を想像して笑ってしまった。「数万円はかかるかなぁ〜」というご主人の声が聞こえる・・・・「僕一匹の値段2万円・・・・・・」あぁぁぁ暗い過去がよみがえってくる。僕はたったの2万円でこの家にもらわれて来たのだ・・・僕の住む犬小屋が5万円・・・・はぁ〜、僕ぐらいの秋田犬の子犬だったら、10万から20万円ぐらいすると思うんだけど!!・・・・・・まぁ・・・まぁ、それはおいておいて、何匹のネズミの仕業かは知らないけれど、小さなネズミが大きな人間に一泡吹かせるって言うのも痛快な話だね。
あっ、まずい!「おまえはどっちの味方なんだ」!!というようにご主人がこっちをにらみつけているよ。僕・・・どっちの見方でもないよ。僕は日和見主義の飼い犬なのさっ!!