むつ犬のおまぬけ日記
平成15年12月
12月31日 くもりのちあめ・・・・
一年の一番おしまいの日は雨になってしまった。雨が降ってくるまでは外に出て寝ころんだり、御主人とボール遊びなんかしたんだけれど、雨が降り始めてからは犬小屋の中でお昼寝だ。夕方になって御主人がやってきた。雨が降っているのに「ムツ、散歩に行こう」と誘う。雨の日に散歩に誘うなんて?と、僕はいぶかしく思いながら、のそのそと犬小屋の中から出てみると御主人は雨傘を持っている。一年の最後の日ぐらい雨が降ってもちゃんと散歩に連れて行ってやりたいと「飼い主心」で思ったに違いない。最初は喜んだのだけれど、散歩に出てみるとザーザーぶりになっている。いくら僕でもこんな雨の中の散歩は嫌だ。でも、御主人が行くからには付いていかなければならない・・・・途中で「チラチラ」と御主人に目配せをして「もう帰ろうよぅ〜」と打診してみたのだが、御主人は帰るつもりはないようだった。それはそうだろう。自分だけ濡れないように雨傘をさしているんだからね。やっとの思いで散歩から帰ってみると僕の身体は雨に濡れてすっかり重くなってしまっていた。やれやれ、これだったら雪降りの方がどんなに良かったことか・・・身体をぶるるる〜んとふるわせて雨の滴を落としながら「今年は暖かい冬だねぇ〜」としみじみ思った。それからタオルで僕の身体を一生懸命拭いてくれた。御主人の気持ちも暖かかった・・・・・

12月30日 はれたりくもったりときどきゆきがちらちら
年末は忙しい。えっ?誰がだってぇ・・・僕に決まっているじゃないか!!年末になると我が家に出入りするお客さんが多くなってくるし、家の前を通る人や車もいつもと比べものにならないぐらい多くなる。今日も宅配便が我が家に2回もやってきて、それからお母さんの従兄弟という人が二人もお魚を持ってきてくれた。外は郵便配達のアルバイトの人とか、見たこともない車が何台も行ったり来たりする。特に郵便配達のアルバイトのお兄さんと僕とは相性が悪いらしく、僕はなぜか夢中になって吠えてしまう・・・・お兄さんごめんね。犬の習性でどうしようもないんだよ。
はぁ〜、今日一日でくたくたに疲れてしまったよ。一生懸命「ワンワン」と吠えたせいで僕をつないでいる紐がすり切れそうになってしまった。それで御主人が直してくれたよ。「わんわん」吠えたせいで喉が渇いたから、御主人が買ってきたウーロン茶のボトルが置き忘れてあったので、ちょっと失敬してカミカミして口を開けようとしているところをちょうどお仕事から帰ってきたお兄さんに見つけられて、御主人に告げ口をされてしまった。ちょっと間をおいて御主人が家の中からものすごい勢いで飛び出してきて「こら、ムツ!!」と僕を怒鳴りつけた。僕は「ビクン」と身体を震わせてカミカミしていたウーロン茶のボトルを口から離して、その場から逃げ去った。だけど、そんなことで許してくれる御主人ではない。僕はラベルがぼろぼろになったそのボトルを頭の上にのせられて、ただはいつくばって許しを請うしかなかった。でも・・・御主人、僕は今日、一生懸命番犬のお仕事をしたんだよ。だいたい、あんな所へボトルを置き忘れる御主人がいけないんだいっ!!お仕事をしたご褒美にウーロン茶ぐらい飲ませてくれても良いと思うんだけどなぁ・・・・・でも、ウーロン茶っておいしいものなの?・・・・・・・・

12月29日 ふうう
**犬の習性と雪についての考察**(日刊犬新聞社)

人間の本を読んでいると、犬について書かれた事柄が様々見受けられる。なるほどと思うこともあれば、そんな馬鹿な、完全に犬について誤解をしているというものもある。どちらかと言えば、誤解している事柄の方が多いのは誠に残念だ。その中で、犬と雪についての関係を人間の側からと我々犬の側から考察してみようと思う。「犬は喜び庭駆け回り、猫はこたつで丸くなる」という有名な唱歌がある。これを人間側から言わせると、「雪が降ったために犬が縄張りを主張してあちこちに引っかけたオシッコの匂いが消えてしまうため、犬はかけずり回って賢明にオシッコを引っかけ廻り、自分の縄張りの保持に努めるのだ」という・・・・これを読んで思わず笑ってしまった。犬の嗅覚は人間の何十倍何百倍と鋭い。だから雪が降ったぐらいで匂いが消えるなどと言うことはあり得ない。どうも、人間は物事を複雑に考える性質があるようだ。この雪と犬の習性に関しては犬の側から言わせてもらうならば、もっと単純な行動と言い切れる。それは、犬の知能はどんなに頭の良い犬でも、人間で言えば4歳から5歳程度である。これは生涯これ以上には伸びない。結論を言うならば、「犬は人間の子供と同じである。いつもと変わった風景、つまり一面真っ白になった雪景色が珍しくもありうれしくもあって、単純に喜んでいるだけなのである。

比較犬類研究所 主任研究員 桃山犬太郎 氏(談話) 

ムツの感想・・・なるほどなるほど、犬とはそんなにも単純な生き物なのか、飼い犬としては結構複雑なものの考え方をしているつもりだったんだけどなぁ?・・・・家族に対してだけだけどね・・・

12月28日 くもりのちあめ
朝散歩に出たら雪の上に転々と猫さんの足跡がどこまでも続いていた。僕は、その足跡の匂いに興味がわいて猫さんの足跡がどこまで続いているのか確かめたかった。でも、寒がりの御主人が「散歩はスピーディに!!」と、紐をぴっぱられて泣く泣く足跡の追跡をあきらめた。しかし、猫さんは寒くなるとこたつの中で丸くなっているものだとばかり思っていたけれど、こんな寒さの中を、しかも雪の上を歩くものなんだね。僕は猫さんなんて脆弱の最たるものだと思っていたけれど、ちょっとは見直したよ。これで、いくらか「犬猫の中」が解消されるかなぁ?・・・・・・えっ?「犬猫の中」じゃなくて「犬猿の中」って言うの・・・・へぇ〜

12月27日 ゆき・・・・ふぶき
朝、目を覚ましたら一面真っ白な雪景色だった。僕はわくわくする心を抑えて犬小屋の中で御主人が散歩に連れ出しにやってくるのを待った。だけど、なかなかやってこない。待ちきれなくなって外に出て雪の上にお座りをして待っていると、御主人が寒そうにやってきた。僕は大はしゃぎで御主人の廻りを飛び跳ねながら、あたりをかけずり回った。朝散歩は「凛」と冷えた空気の中で新雪を踏んでポタポタと僕と御主人の足跡が並んでついていく。とっても気持ちが良かったよ。でも・・・・夕方散歩はひどかったよ。吹雪になってしまったんだ。御主人は顔も見えないぐらい防寒具を着込んでいる。僕は顔をまっすぐ上げて歩いていったけど、御主人はすこしでも顔に雪風が当たるのが嫌なのか、最初から最後まで下を向いて歩いている。僕の方は身体が雪で真っ白になるぐらいで平気なんだけどね。ただ、尻尾がすごい風のせいですこしだらんとした感じになってしまうんだ。犬の美学にこだわる僕としては、ちょっと残念だったけど、自然現象には逆らえないよ。御主人はうつむいて歩いているので自分がどこを歩いているのか分かっていないようだ。僕が歩いていく方へ御主人も付いてくるといった感じの散歩だったよ。今日の散歩の主導権を握ったのは僕の方だった。お家に帰ってきてから、しばし優越感にひたる。たまにこんな事があるから「飼い犬暮らし」は楽しいんだよ!!!

12月26日 くもり
飼い犬が年中暇なのは、東から昇ったお日様が西へ沈むのと同じように分かり切ったことだけれど、犬と違うところは、お日様には仕事がない・・・ただ、その存在自体が重要なだけなのだ。だが、犬はその存在自体もさることながら、犬が行う一連の行動も重要な事と位置づけられている。つまり、毎度口を酸っぱくしていっていることなのだが、飼い犬には番犬としての仕事、アニマルセラピストとして家族をいやしてあげる義務、言い換えれば拘束された我が身が、それらを行うことによって幾ばくかの自由を与えられるのだ。だから・・・だから・・・・あれっ?、理屈をこねくり回していたら犬の頭では理解不能の言葉や理論が飛び出てきたぞ。いくら暇だからと言って、妙な理屈をこねて暇つぶしなんかするものじゃぁないね!!犬は犬らしく、何も考えないで惰眠をむさぼるのが一番だよ!!。

12月25日 うすぐもりのち・・・らいうっ!!
クリスマススペシャル長編日記・・・題して「かみなり、こわいこわいっ!!!!!」

午前中は、うっすらとお日様も見えていたお空だったけど、午後になったら雨が降ってきたので僕は犬小屋の中に入ってお昼寝をした。やがて、だんだんあたりが薄暗くなってきて「もうすぐご飯の時間だな」などと思いながらうたた寝をしていた。すると、突然、青白い光がお空に光り、「ゴロゴロゴロ、ドッシャ〜ン」という音が僕のお腹の底に鈍く響いた。「あっ、僕の大嫌いな雷だ。」と犬小屋から飛び出して、尻尾をだらんと下げながら右へ左へとうろたえながら歩き回った。「誰か、助けてぇ〜」などと叫んでも、誰も来ないのは分かり切っている。御主人はこんな程度の雷でうろたえている僕をいちいち気遣ったりはしてくれないのだ。僕はどうしようもなくなって、小屋の奥に置いてあるトラクターの下に潜り込んだ。そして、「フセ」の姿勢で身体を出来るだけ低くした。「やれやれ、これで一安心・・・」人間は雷が鳴った時は蚊帳の中に入ればいいと言うけれど、犬の僕はトラクターの下が一番安心するし安全だよ。外では雷がまだゴロゴロ鳴っている。ややしばらくたって雷も収まり、雨も小降りになった頃、御主人がやってきた。「むつ」と声をかけて犬小屋をのぞき込んだ御主人だったが、僕がそこにいないのを不思議に思って、しきりに僕の名前を呼んだ。だけど、雷の恐怖から抜けきることが出来ないでいる僕は返事すら出来なかったのだ。それに秋田犬のメンツとして、「恐かったよぅ〜」と泣き叫びながら御主人の胸に甘えて飛び込んでいくわけにはいかない。やがて、僕をつないでいる紐をたどり、トラクターの下に潜り込んでいる僕を発見したというわけなんだ。御主人はトラクターの下でふるえている僕を引きずり出すと、僕の身体をなでたり、顔をもみくちゃに引っ張ったりして、馬鹿にした。「あんな雷が恐かったのかぁ」と何度も何度も言った。僕は照れくさいので、堂々とした態度でそんな言葉をわざと無視しようとしたが、身体が言うことを聞かなかった。なぜなら、僕の尻尾は「雷の恐怖さめやらず」で、まだ、だらんと下がりっぱなしになっていたからなのだ。尻尾をクルクルンときれいに巻き上げようとしても、どうしても巻く事が出来ず、しばらくは下がりっぱなしの状態だったのだ・・・・・

12月24日 うすぐもり
僕は数々の場面で御主人から命令される。朝から晩までだ。時には夜、寝ている時も御主人がやってきて、「起きろ」とか「寝ろ」と言っていく・・・・正直言ってうんざりなんだよね。「犬は、飼い主の命令を忠実に実行する賢い動物です。」などと人間の子供が見る「動物絵本」なんかに書かれているけれど、犬の本音は今言ったとおり「うんざり」の一言に尽きる。だから時々、反抗的になる。反抗的と言っても御主人に噛みついたり暴れたりする訳じゃない。わざと命令を聞かなかったフリをする。「えっ?、なぁに・・・・命令?・・・・犬って頭が悪いから、そんなこと分からないなぁ・・・」などと言って、わざと大きな欠伸をしたりするのだ。そうかとおもえば、一度、命令されたことを忠実に実行した後、すぐ別の行動をしたりする。叱られると、「えっ?命令?・・・・今やったじゃないか」と逆に僕の方から御主人に文句を言って、さも御主人を馬鹿にしたように大きな欠伸をしてやる。等々だ。時々、こんな事でもやらないと、、毎日毎日の命令なんか馬鹿馬鹿しくてやっていられないよ。僕は帝国海軍に入隊した訳じゃないからねっ!!!!

12月23日 はれ
今日はお日様がポカポカで、とっても暖かくて気持ちの良い日だった。僕は朝からお日様の光をいっぱい浴びながらのんびりとお昼寝を楽しんでいた。すると突然、御主人が早足で僕の所へやってきた。何事かと驚いて立ち上がり、警戒態勢をとった。こんな時の御主人は、どんないたずらやちょっかいをしてくるか分からないからだ。・・・・だけど御主人は僕を通り越して、犬小屋に行って、屋根の上に乗っている犬用の櫛とブラシを両手に持って僕の所にやってきたよ。「何で今頃ブラッシングなんかするのだろう?」と、思っていたら、お正月に、僕の親元の所へ出す年賀状とやら言うものに僕の写真を印刷するのだそうだ。だから、きれいにブラッシングして、いくらかでも「立派な秋田犬」に見えるようにするのだという。普段、ろくろく僕の身体を手入れしてくれていないのに、今ブラッシングしたからと言って、急に毛並みや毛づやが良くなるとは思えないけど、気持ちが良いので黙ってやらせてあげた。その後がまたうるさかった。デジタルカメラを構えた御主人が「立っていろ。すわったら駄目」とか「あっちを向くな、こっちを向け」だのと注文がうるさい。そのうち面倒くさくなってきたので、だだ、ボ〜ッと立っていたら、その姿を写真に撮られて「良し、これで言い!!」と言われた。いったいどんな格好の写真になっているのか非常に不安だ・・・・

12月22日 くもり、はれまあり
昨日の夜は、御主人とお母さんが二人で何処かへおいしいものを食べに出かけたようだけど、今朝、散歩から帰ると「昨日のお土産だよ」と言って大きな肉のかたまりを僕にくれた。僕は、皿にのった大きなお肉を目の前にして、お座りをさせられ、「待て!」の命令で待つことしばし・・・よだれがポタポタと落ち始めた頃にやっと「良し」の声がかかり、お皿にかぶりついた。うう〜ん、おいしいっ!!柔らかいっ!!出来れば皿ごと食べてしまいたいぐらいのすばらしいおいしさだ。しかも牛肉ときている。こんなものを食べることが出来るのは僕の生涯でそう何度もないだろう。出来ればじっくり味わってよく噛んで食べたいところだが、犬の悲しい習性で、よく噛まずに胃袋の中へすとんと落としてしまった。・・・・・・・生涯最良の日ぐらいはと、犬の習性を今日だけは恨めしく思う僕なのだった。

12月21日 くもり
今日の夕方散歩はいつものコースを自転車じゃなくて歩き散歩だったよ。ゆっくりとあちらこちらの匂いをかぐ楽しみがあって、とても良かったよ。でも、今日は嫌に散歩に行く時間が早い・・・・何かあるなって思っていたら、僕にご飯を食べさせた後、御主人とお母さんが良い服を着て出てきた。「どこへ行くのだ」と聞くと「、忘年会と言うところへいって、おいしいものをたくさん食べてくるのだ。」と言った。僕は、うらやましくて、今ご飯を食べたばかりなのに、またまたよだれをポタポタとこぼした。だけど、僕は飼い犬・・・・ご主人達がいそいそと出かけていく姿を「しゅぅ〜ん」と鳴きながら見送ることしかできなかった。

12月20日 ふぶきがあったりはれまがあったり・・・
昨日から降り積もった雪がいくらか融けて、ざくざくのシャーベット状になった。それが今朝の寒さでガチンガチンに凍ってしまって、道路はツルツルの状態になった。僕と御主人は朝散歩に出かけたものの、滑るのでいつものように颯爽と歩ける状態ではない・・・
でも、僕は足の爪ががっちりとはいかないけれど、氷をつかんでのそのそと歩ける状態だ。けれど、御主人はおっかなびっくりと変な格好になりながら歩いている。僕はそんな御主人を笑いたかったけれど、飼い主を笑うなんて礼に反すると思って笑いをかみ殺していた。砂利道でもこんな状態だから、舗装道路の上はもっとツルツルに違いない。どうにかこうにか亀のようにのろのろした散歩が終わろうとした途端、御主人が滑って転んでしまった。僕はびっくりして、「大丈夫?」と声をかけて駆け寄ろうとしたんだけれど、毎朝、家に帰るとお母さんから食べ物がもらえるので、そっちの方ばかり気になって御主人を置いてきぼりにして、僕は一目散にお母さんの元へ走り去った・・・・・・

12月19日 くもりのちあめゆき
雨の日が続くと、御主人が嫌がって散歩へ出ない。僕も外へ出ることが出来ないので、することがない・・・一日、寝てご飯を食べるだけになる。当然、太ってくる。太ると言うことは身体によけいなものがたまると言うことなんだそうだ。これから寒い季節を乗り切らなければいけないので、犬としても、森の熊さんのように食いだめをしてある程度太るのは当たり前のことだ。だけど、森の熊さんはこれから「冬眠」という仕事をこなさなければならない。冬の間じっと洞穴の中でなんにも食べずに眠ってばかりいなければならないんだ。犬は冬の間、寝てばかりいるほかに食べ続けているんだから、そこら辺が森の熊さんと大違いだよね。僕がもし、熊さんみたいに「冬眠」して犬小屋の中から出てこなくなったら、御主人や家族のみんなが心配したり寂しがったりするのかなぁ?・・・・・・

12月18日 あめがふったりやんだり
御主人が夕方帰ってきて、僕とボール遊びをしてくれたよ。とってもうれしかったんだけど、僕はすぐボールを抱えたまま床の上に座り込んでしまった。その理由を御主人に告白できないまま、僕は座ったままボールに身体をこすりつけて「告げるべきか、告げざるべきか、それが問題だ。」と、ハムレットのような心境で真剣に悩んだ。真実を告白すると、せっかく遊んでくれている御主人に気の毒だ。しかし、真実を告げないと、御主人が妙な誤解を僕に抱くかもしれない・・・・等々と疑心暗鬼に駆られながら悩むこと、数秒・・・・僕はついに決心して、真実を御主人に打ち明けることにした!!
「あのね、御主人。・・・御主人より早く帰ってきた上のお兄さんとたくさんボール遊びをしたんだ。だから、本当に申し訳ないんだけど、疲れているんだ。だから、御主人とは遊びたいけど遊べない状態なの・・・・・」・・・・・・・おわり

12月17日 くもり
お日様が出ていない日の楽しみは、散歩とご飯しかない。たまに御主人が遊んでくれたりするけど、普段の日はこの2つしかない。今日も、薄暗くなったたんぼ道をのんびりと散歩に行ってきた。「はぁ〜、今日もいつもと同じご飯か・・・・」とため息をついてみたものの、ご飯を毎日もらえるだけでも幸せだ。「多くを望まず、多くは尽くさず」と言うのが昔から飼い犬の間で言われていた格言だ。ほとぼほどで良いのだと、自分自身を納得させて、ご飯が運ばれてくるのを待ちわびる。ややしばらく待っていると、ほかほかのご飯が新鮮な水と一緒に運ばれてくる。もちろん僕の食事係は御主人だ。やっぱり、いつもと同じメニューだ・・・・と、思ってご飯に口を付けた途端、「ムツ、魚を入れるのを忘れた」と家に戻って、ハタハタという魚を焼いたのを持ってきてくれたよ。しかも雌のハタハタだ!!雌はごちそうの中のごちそうだ。犬如きが滅多に食べられるものではない。お腹にははち切れんばかりの卵を抱いていて、これがぷりぷりしてとてもおいしい。あっという間に平らげてしまった。しあわせ、しあわせっ!!

12月16日 くもりときどきあめ
最近は雨ばかり降って道路がぬかるんでいる。まるで春先の道路のようだ。こんな泥んこ道だから散歩に行って帰ってくると白い毛で覆われた僕のお腹からお尻にかけて、足で跳ね上げた泥で真っ黒けの泥犬になってしまう。でも、帰ってくると御主人がバスタオルで僕の身体をきれいに拭いてくれるんだ。こんな時「僕は愛されている。大事にされている。」と実感する。・・・・・でも・・・・言いにくいんだけど・・・このバスタオルが汚いのなんのったらありゃしない・・・泥水の中で一ヶ月も煮染めたような色をしている。元々は白いバスタオルだったと、かすかな記憶として残っているけど、今はそんな面影など、跡形もなく、茶色というのか灰色というのか表現しようのない、実に芸術的な色合いに仕上がっている。でも、お願いだから、僕のバスタオル、時々洗濯してよねっ!

12月15日 はれ・・・のちくもり
「お日様、いいな、いいなっ!!」と浮かれて喜んでいたのだが、昼過ぎには曇ってしまって、肌寒い天気になってしまった。朝散歩に行く時はそんなに良い天気ではなかったけれど、西の空が明るくなって青空が見えたから、「今日は良い天気になるぞ」と期待していたんだ。でも・・・・さっき言ったとおりになってしまって残念だったよ。まぁ、北国で今頃お天気が良いなんて奇跡に近いんだけどね。犬は猫さんのように家の中のこたつに潜り込むことは出来ないので、お日様が顔を出してくれるのが、何よりもうれしいことなんだ。でも、今日はすこしでもお日様の光を身体に浴びることが出来てうれしかったよ。

12月14日 はれときどきあめ
今日は変な天気だったよ。雨が降ったと思うと晴れてくるんだ。おかげで僕は外に出たり犬小屋の中に入ったりと忙しかったよ。
ところで、最近、御主人とお母さんと二人でお出かけする事が多くなった。今日も明るい内から出かけていって、真っ暗になってから帰ってきた。僕はお迎えを装って、さりげなくお母さんに近づくと、持っていた袋の中にお魚が入っていたよ。僕は猫さんと違って生魚は食べないから、焼いたのがいつか僕の所にご飯として出てくるのを楽しみに待つことにした。御主人は帰ってくると、すぐに僕をお散歩に連れだしてくれたよ。はぁ〜、今日も平凡だけど一日無事に終わった。「狭いながらも楽しい犬小屋」でゆっくりとくつろぐことにしよう。あっ、でも、もし僕が結婚して、もし一緒に奥さんと暮らすことになっても、僕の犬小屋には2頭が入って寝るだけの余裕は十分にあるよ!!
奥さん募集中っ!!・・・・むつ

12月13日 あめ・・・・
昼過ぎになってやっと上のお兄さんが帰ってきたけれど、また何処かへ行ってしまった。しばらくして御主人とお母さんが帰ってきたよ。僕は「こんなに長い間どこへ行ってきたんだ!!」と自動車が止まるのも待ちきれずイライラと車の廻りを歩き回った。御主人は、危ないと言ってクラクションを鳴らすんだけど、そんなことはどうでも良いんだ。「なぜ一晩帰ってこなかったんだ」と聞いているんだ!・・・・・・・・・と、声を荒げて聞きたかったけれど。車から降りてきた御主人達の姿を見たらうれしくて目が潤んでしまい、その潤んだ目で、御主人の顔をただただ見つめるだけの僕だった。

12月12日 あめぇ〜・・・・
まさか、また置いてきぼりにされるとは思っても見なかった。御主人とお母さんが夕方の4時半頃に出かけていって夜中になっても帰ってこなかった。それどころか、上のお兄さんも帰ってこない。御主人達が出かける時、「お留守番だよ」と言っていたのだけれど、どうせ、そのうちに帰ってくるだろうとのんびりしていたら、3人とも一晩中帰ってこなかった。あおぉぉ〜ん、また捨てられたぁ〜、うぉぉぉぉ〜ん・・・・・・

12月11日 はれっ
今日はとっても良い天気だったよ。この前、雪が降り積もった事なんて嘘みたいだ。僕は日だまりの中にごろんと横たわってお昼寝をしたよ。
夜、何処かへ出かけていた御主人が帰ってきたので、僕はうれしくて飛び跳ね、ついでに御主人にも飛びついてしまった。いつもは飛びついたりしないんだよ。常々飛びつこうとすると「駄目!!」と言われているからね。今日は、とってもうれしかったので、つい飛びついてしまった。すると、「飛びつき禁止!!」と言い渡されてしまった。「禁止」と言われたのは初めてだ・・・僕はただ、御主人が帰ってきたうれしさを身体で表したかっただけなのに・・・・この所、僕に対する各種の禁止事項が増えている。でも、禁止を言い渡されるたびに右の耳から左の耳に抜けていって頭の中には残っていないけどね。なんだか、「やれやれ・・・・・」って言う感じだよ。

12月10日 くもりときどきゆきがちらちら
今日の僕は仕事の鬼になった!!今まで怠けていたその反動もあるし、恐い御主人が目を光らせているせいもある。とにかく有りとあらゆるものに吠え立てた。家の前を通る自家用車、トラック、それに道を歩く人達や自転車、それに猫さん、スズメさん、そしてアリさんやキリギリスさんにまで吠え立てたんだよ!!偉いでしょう!!・・・・・・えっ?何処かおかしいって?・・・・そうかなぁ?、アリさんとキリギリスさん?あっ・・・・まあ細かいことは気にしないことにして、・・・・さて、夕ご飯はっと、おや?今日は豆ご飯だ。ご飯の中にまめと昆布が入っていて香ばしい匂いがする。昨日はきっとなんかの行事でこんなごはんをつくったんだろうなぁ、まぁ犬には関係のないことだけど。いっただきまぁ〜す!!

12月9日 ゆき
昨日、降り積もった雪はだいぶ消えて、あちこちにまだら模様に残雪がある。解けた雪が朝の寒さで氷になって。朝散歩へ行くとつるつる滑るんだ。今日は一日雪がチラチラと降って強い風に吹かれながら舞い踊っている。僕は御主人と「植木鉢ごっこ」をして遊んだよ。植木鉢ごっこと言ってもどうと言うことはない。僕が気に入って、いつもカミカミしているプラスチックの植木鉢を御主人が放り投げて、それを僕が拾って来るという遊びだ。だけど久しぶりに御主人と遊んでとても楽しかったよ!!!だんだん生きる張り合いが戻ってきたよ。

12月8日
今日は雪が降ってだんだん積もり始めた。寒い寒い・・・・・今日も一日犬小屋の中にいる。おじいちゃんやおばあちゃんがやってきてもうれしくなくなってしまった。外へ出て行くのが億劫になってしまったのだ。起きてご飯を食べて寝るだけの単調な生活になってしまった。生きる張り合いも薄れがちだ。御主人達家族が有っての飼い犬だと言うことがつくづく分かったよ。
もう帰ってこないのではないか、捨てられたのではないかと思い始めたら、夕方になって御主人達が帰ってきた!!!僕は大喜びで飛び出してぴょんぴょんと飛び跳ねてお出迎えをした・・・・・・いのだけれど、はしゃぎ回ると子供みたいで照れくさいので、のそのそと犬小屋から出て、さも詰まらなそうに「お帰り〜・・・・」とぶっきらぼうにお出迎えをした。思えば2年前も御主人とお母さんがいなくなったことがあって、帰ってきた時は大はしゃぎでお出迎えをしたものだ。今では僕も3歳。あのころはまだまだ子供だったなぁ〜と思い出にひたりながら、つくづく家族といる幸せを感じるのだった。

12月7日
今日もまだ御主人達は帰ってこない。・・・・・・今日は急に寒くなって風もすごかった。今頃御主人達は春のような東京というところで行動しているんだろうなぁと思うとうらやましくなる。これで雪でも降ってくると外へ出る気力もなくる。ああ〜御主人達がいないと番犬としての張り合いもなくなって、人が来ても「わんわん」と吠える気力もなくなってしまう。じっと犬小屋の中で寝てばかりいる。・・・・・・・・
早く帰ってこないかなぁ〜

12月6日
いったい御主人達はいつまで帰ってこないのか、いや、それよりも帰ってくるのだろうかと思いながら、おじいちゃんとおばあちゃんのお世話になって番犬のお仕事もしないでごろごろしている。そういえば、今日は結婚式とやらが行われる日らしい。犬の結婚式とはだいぶ違うと聞いている。犬の結婚式はお見合いからいきなり結婚してしまう。そして、60日後に子供が生まれるという誠に合理的なものだ。
まぁ、僕には当分縁のない話しなので、今日もごろごろと仕事をさぼってお昼寝をしている。

12月5日
御主人とお母さんと上のお兄さんが横浜というところで行われる結婚式とやらに行った・・・・・下のお兄さんとは東京というところで待ち合わせるらしい・・・・僕はひとりぼっちで家に取り残されてしまった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しゅう〜ん、しゅう〜ん
さてと、うるさい御主人はいなくなったし、のんびりとしようかな。よいしょっと、ごろん・・・・
12月4日 はれたりくもったり
最近御主人とその家族の動きがあわただしい・・・・どうやら密かに探りを入れてみると、みんなで何処かへいなくなるらしい・・・「夜逃げか!!」と、一瞬思ったけど、どうもそうではないようだ。横浜と言うところに住んでいるお母さんのお姉さんの娘さんが結婚するらしい・・・・・?・・・・なんだか、そこら辺の関係と事情が複雑すぎて犬の頭では理解できないけれど、とにかく一家中がいなくなるという。その事情を説明しがてら御主人とお母さんがおいしい食べ物を持って僕を説得しに来た。「明日からしばらくいなくなるからお利口さんにするんですよ」といってポンと僕の口の中にチャーシューを放り込む・・・・「でも・・・だって、だって、誰もいなくなったらお散歩やご飯はどうするの?、柱にぐるぐる巻きになったら誰が助けてくれるの?」等々と、チャーシューをもぐもぐと食べながら今まで有りとあらゆる僕の犯したお間抜けな行動を言い立てて一人になる不安を訴えた。だけど、おじいちゃんやおばあちゃんが見てくれるから安心なのだそうだ。そうなると、後の心配は、未だかつて無かった「一人で数日間家を守らなければならない」という責任が僕の頭の上に丸太ん棒のように落ちてきて、頭が割れるように痛い・・・・・

12月3日 はれのちあめ
最近のお天気は犬の意表をつくようになってきた。つまり今日のような天気だ。朝散歩に行った時は「今日は一日晴れ!!」って約束したようにお日様がまぶしいぐらいに照っているんだけれど、僕が大きな欠伸をしながら地面に横たわってお昼寝をしようと思った途端、一変にわかにかき曇り灰色になった空から雨がポツポツ・・・・・お天気が人間の世界で言う芸人だったら、人の意表をつくような芸で人気者になるんだろうけれどね。犬を相手じぁねぇ〜、どうって事はないよ。

12月2日 はれのちあめ
今日も良い天気!!おまけに暖かな一日だった。御主人は汗だくになって夏の時と同じ格好でティシャツ一枚でお仕事をしている。驚いたね!!僕はいつも通り地面の上に腹を出して横たわってお昼寝だ。こんなに暖かく良い天気が続くとこの後ものすごく寒くて大荒れの天気がやってくるんじゃないかと心配になる。今日だって、朝から良い天気で朝散歩も足取り軽く行ったのに、夕方には雨が降ってきて、夕方散歩が中止になってしまった。余り運動をしないと、ぶくぶく太ってしまう。すこしぐらい太るのは冬だからしょうがないけど、余り太りすぎて身体が風船のようになったらどうしよう・・・・春にならないうちに「パ〜ン」とはじけてしまったらどうしよう・・・・・等々と心配になっている今日この頃なのだ・・・・犬もいろいろ悩み事がたくさんあるものだなと思っていたら、御主人の今日の一言=杞憂・・・・

12月1日 くもり
近頃、どうもお腹が減ってどうしようもない・・・・たぶん冬が近づいているせいだと思う。もちろん今は12月だからとっくに冬になっているんだけど、今年は気温が高くて冬という感じがしない。だから僕の体の中のシステムはまだ秋だと思いこんでいるようだ。どうやら秋の内に冬に備えてたくさん食べ物を食べておかなければいけないという仕組みが体の中で働いているようだ。まるで熊さんと同じだね。これは僕が頭の中で考えていることじゃなくて僕の本能が要求しているのだ。だから僕自身どうすることも出来ない・・・今日も、御主人が、ご飯を目の前にして、フセだの立てだのとうるさいから、うなってやったら鼻先を叩かれた。しょうがないなぁ御主人、僕のお腹の中は、いま冬支度の真っ最中なんだからあんまりじゃまをしないでよね!!