平成16年3月
3月31日 くもりのちはれ
昨日の続きのお話だよ。御主人のお話によると、40年近くも昔、我が家に5,6頭の秋田犬が預けられていたことがあったそうだ。御主人のお母さんの実家のおばあちゃんが我が家に来て、その犬たちの世話をしていたという。犬達は、一斉にご飯をもらうのだが。おばあちゃんはそのご飯の中に「にんじんをすり下ろしたもの」を入れていたそうなんだ。その、にんじんをすり下ろす「シャリシャリ」という音が聞こえ始めると、犬たちは一斉に「きゅう〜ん、きゅう〜ん」と鳴き始めるのだったと言う・・・・つまり、にんじんをすり下ろす音がご飯の合図にもなっていて、犬たちはその音を聞いて「お腹が空いた。早くご飯ご飯!!」と鳴いたのかもしれないね。と、こう御主人は思い出にひたりながらお話をしてくれた。悲しい過去でも何でもないじゃないか!!そして、この後驚くべき事実が明かされた。僕が毎日食べているご飯の中にもにんじんが入っているのだという!!「えっ、毎日にんじんをすり下ろしているの?」と驚いたけれど、そうじゃなかった。犬の缶詰の中にいろいろな野菜と肉が入っていて、にんじんもその中に入っているのだという・・・・なぁ〜んだ、にんじんを食べたらウサギさんになるんじゃないかと無駄な心配をしてしまったよ。
3月30日 はれのちあめ
この前(3月4日の日記を読んでね)、御主人からにんじんを食べされられて以来、僕はウサギさんになってしまうのではないかという恐怖に日夜おびえ続けている。夜も熟睡することが出来ないでいる。熟睡してしまって、はっと目が覚めたらお耳の長いウサギさんの身体になっていたなんて事になりそうで恐い・・・・しかし、睡魔には勝てず、ついウトウトっとしたのがいけなかった・・・そのまま朝まで熟睡してしまったよ。でも、目を覚まして自分の身体を見回してみたけれど何ともない。ほっと一息を付いて一抹の安堵を得た僕なのだった。こんな不安な夜が毎日訪れるなんて耐えきれないっ!!僕はそう思って御主人に直訴をした。「どうか、僕ににんじんを食べさせてウサギなんかにしないように、いくらウサギさんの顔がかわいいからと言って犬ほどの働きはしないだろうから、どうか、僕をウサギさんにするのだけは止めてください!!」と、泣きながら切々と訴えた。すると、御主人は笑いながら、「ムツをウサギにしようとは思っていない」と言ったんだ。僕はその言葉を聞くなり、安堵の余り腰が抜けてヘナヘナと地面に座り込んでしまった。実は、このことについては我が家の犬たちの悲しい過去が秘められていたのだった。つづく・・・・
3月29日 はれ
今日は、ものすごい風が吹いた。朝の内は穏やかだったのだけれど、だんだん風が強くなってきた。それでも、日射しが暖かかったので、のんびりと地面に横になっていた。すると、突然、目の前に置いてある洗濯機が風にあおられて「ドド〜ン」と横倒しになった。僕はびっくりして飛び起き、恐怖の余り、尻尾を下げながら横倒しになった洗濯機を見つめた・・・・すると、又「バタ〜ン」とベニヤ板の倒れる大きな音・・・僕は、「ビクン」と身体を震わせて音のする方を向いた。僕は大きな音が大嫌いだ。今日はそんな音を2度も聞かされてしまったのだ。それもこれも、ひどい風のせいだ。こんな恐い思いをするのだったら、人間達が良く行くという見せ物の「お化け屋敷」の方がまだましだと思っている。
3月28日 はれ
今日は、朝からボール遊びをしてもらった。してもらったのはうれしいんだけれど・・・運動量が過激すぎる。僕が舌を出して「ハァハァハァ」といっても、御主人は次から次へボールを転がしてみたり、弾ませてみたりと忙しい。くたびれたなら相手にしなければいいのにと思うかもしれないけれど、犬は本能的に動くものを見ると飛びついてしまう習性があるのだ。だからボールの動きに合わせて僕も目を離すことなく飛びついてしまう・・・夕方散歩は、自転車散歩で必ず全力疾走させられてしまう。ヤレヤレ・・・って感じなんだ。いくら冬の間、運動不足で、僕がぶくぶく太ってしまったからといって、春になって急激に運動させてダイエットさせようなんてあまりにもひどすぎる。機械だって慣らし運転って言うものがあるんだから、犬の運動も徐々に多くしていくって言うのが本筋なんじゃないですかぃ、旦那・・・いやいや、御主人!!
3月27日 てんきせいろうなれどかぜさむし
ハァハァハァハァハァハァハァ・・・・今日の夕方散歩で400メートルも全力疾走させられてしまったよ。久々に長距離を走ったので、心臓が今にもビックバンを起こしそうだよ。散歩に出かける時は「今日はゆっくり、のんびりと散歩をしよう」と心に決めた僕だったのだが、砂利道からアスファルトの道路に入った途端、いつもの癖で、つい走り出してしまった。御主人も自分は自転車に乗っているくせに「そら、むつ走れ!!」と僕をあおり立てるものだから調子に乗って400メートル・・・・やれやれ・・・の散歩になってしまったよ。野山を自由に駆け回るのだったら、いくら走っても疲れないけど、アスファルトの上を走るのはさすがに疲れるね・・・・
3月26日 はれ
夕方散歩が終わって散歩紐がはずされると、「やれやれ、今日も1日が終わったな」という感じがする。後はご飯を食べて寝るだけだからね。今日もそんな感じで「ホッ」としていると、突然、御主人に前足を踏まれてしまった。「キャウン(痛い)!!!!!」と甲高く叫んでしまった。一瞬、何が起こったのかわからなかった。いきなり御主人からいじめられたのかとも思ってしまった。しかし、御主人は僕の足を踏んだことに気付いていなかったようで、僕が泣き叫んだので初めて自分の飼い犬の足を踏んでしまったことに気付いたようなんだ。つまり過ち、事故って事だね。御主人は、僕にほおずりをしながら「ごめん、ごめん、痛かったか」と僕をなで回した。「痛かったかぁ?・・・痛かったから、キャウンと泣き叫んだんじゃないか!!」と言い返したかったけど、御主人の謝り方が誠心誠意、心の底から僕に対してあやまっているようだったので、文句は言わず、僕はゆっくりと尻尾を振った。ああ〜、なんて心の広い僕なんだろう。自分で自分に感動している!!・・・・・・えっ?それって自己陶酔って言うんだって?何でも良いけど、今日は、自分でも意外な一面を発見してうれしかったよ!!
3月25日 あめのちくもり
夕べのご飯があまりにも多かったので、明日の朝にでも食べようと楽しみにしていた。ところが、今朝、散歩に連れ出しに来た御主人が、それを見つけて「ムツ、捨てるぞ!!」という声とともに食器を持ち上げて生ゴミを捨てるところへ持って行ってしまった。僕はそれを悲しそうな目で見つめながら、ふと、あることを思い出した。それは、・・・・犬の憲法の中での条文だ。犬の憲法・・・日本に住んでいる犬のために作られたもので、僕達は「大日本犬法」と呼んでいる。犬が生活していく上で、各分野にわたり細かく定義がなされている。その中の「健康に関する条文」を思い出したのだ。*第4条 飼い犬は食べ残したご飯を御主人およびその家族に捨てられても文句を言ってはいけない。なぜなら、残ったからといって、だらだらと区切りもなく食べ続けることは犬の健康にとっても、犬自身の躾のためにも有害である。なお、この条文は犬教育法と重複する部分もあるので、そちらも参照されたい*・・・と、ある・・・・のを思い出したのだ。犬法には、犬にとって不可解な事柄が数多く記されている。これは、犬と人間が共存する長い歴史の中で、人間が優位を占め、人間にとって都合の良いような法律を犬に押しつけているという暗い事実があるからなのだ。人間の世界でも某国が強く介入して作られた日本国憲法が未だに存在するのと同じ事なのだ。人間の世界では憲法改正の論議が盛んだけれど、犬の世界では誰もそんなことを言う犬はいない・・・・みんな面倒くさがり屋だし、犬はその日1日が無事に過ごせれば、それにこしたことはないのだ。
3月24日 はれ
今日もぽかぽか陽気で、僕は又、舌を出したよ。御主人とおばあちゃんはお米の苗を育てる箱に土を入れるお仕事をしている。その廻りをうろうろしていたら「仕事を手伝え!」と言われてしまったよ。僕はその言葉を聞くなり、あたふたとその場を離れ、すこし離れた大きな石の側に寝そべった。最近「番犬」のお仕事が忙しくて疲れているんだ。それにお休みの日もなかったしね。二人が忙しそうにお仕事をしている姿を横目で見ながら暖かい日射しを浴びて、僕は、うつらうつらと舟をこいでいた。しばらくして機械の音が止まったので目を開けてみると、お昼休みらしくて、おばあちゃんがおにぎりだとかサンドイッチ、菓子パン、お茶などを出している。僕は、それを見ると、すぐさま飛び起きて二人の側に飛んで行ったよ。そして、さも今まで一緒にお仕事をしていたかのように振る舞い、食べ物を要求したよ。でも、誰も文句も言わないでおにぎりとサンドイッチをくれたんだ。こんな時、飼い犬は得だねっ!!かわいがられているというか、甘やかされているというのか、どっちかは、わからないけれどね・・・・
3月23日 はれ
今日は日向に寝ていると舌を出してしまうぐらいの暖かさだった。(犬は舌で汗をかくんだ。)だから、時々作業小屋の中に入って、ひんやりしたコンクリートの床の上に横たわる。これが又、気持ちが良い。御主人なんかビニールハウスの中でのお仕事とはいえ、Tシャツ一枚で働いているよ。
ところで、今頃は暖かい風が吹いて気温もちょうど良い気持ちの良い季節だ。ただ犬にとって困るのは暖かい春風で鼻が乾いてしまうことだ。それにほこりっぽいので目がしょぼしょぼしてしまう。御主人も、もうそろそろ花粉症なのか鼻炎なのか知らないけれど、目がかゆくなったりくしゃみが出たりと大忙しになる頃だ。最も、僕と違って御主人の鼻は大洪水になってしまうんだけどね。
3月22日 はれたりくもったり
今日の御主人はなにやらあわただしい。朝から何処かへ行ってしばらく帰ってこなかったかと思うと、突然帰ってきて作業小屋の中でお仕事を始めたり、午後からも突然、何処かへ行ってきて、これも又しばらく帰ってこなかった。なんなんだろうねぇ〜?、そして帰ってくると犬小屋の側に一杯積んであるお米の苗を作る箱を小屋の中に入れ始めたよ。御主人が余り忙しそうだったので僕は見ていられなくなってお手伝いをしたんだよ。ゴミが入った袋がじゃまなようだったのでくわえてどかしたり、青シートもじゃまだったから別なところへ持っていったりしたよ。御主人にとても喜ばれた。ご褒美に身体をナデナデしてやるといったが、僕は嫌がって逃げた。何度も言うけど僕はべたべたとされるのが嫌いだ。ナデナデするぐらいだったらおいしいものでもおくれっ!!
3月21日 はれのちくもっていちじあめ
午前中はうららかに晴れた。梅の花も一輪、二輪咲いているようで、僕の敏感な鼻にほのかに香りが漂ってくる。そのうち、白やピンク色の花が一杯に咲き始めるよ。見上げるように梅の花を見ると青い空に僕の足跡がたくさん付いているようにも見えたりするよ。まるで、僕が大空を自由に駆け回っているような気持ちになって爽快な気分だ!!
午後からは曇ってきて、肌寒くなってきた。でも、確実に春は一歩一歩のろのろと僕達の所へ近づいているようだ。僕が散歩の時ふてくされて、のろのろ歩いているような進み方じゃなくて、きっと冬がじゃまをしていてなかなか前に進めないんだろうなって思っているよ。春さんも苦労するねぇ〜、早く僕の所へ来ることが出来るように手伝えたら良いんだけどな・・・・・
3月20日 はれたりくもったり
今日は、春彼岸と言うことで僕の家の廻りはあわただしい動きがあって番犬のお仕事で忙しかった。と、言うのは僕のお家の近くにお墓の団地があってお参りの人達が行ったり来たりするからだ。御主人も一家で行ってきたようだよ。僕も、ここのお家の先代犬達に心の中で手を合わせたよ。秋田犬だけで4頭、雑種も合わせると6頭もいる。
ところで、今日の夕方散歩とご飯の時間がいつもよりだいぶ早かった。このお家に三年以上も飼われている僕は御主人達の行動パターンが頭に入っているので、すぐに「きっと、みんなでおいしいものでも食べに行くんだな」って思った。しばらくするとみんな出てきて自動車に乗り込んだよ。やっぱりそうだった。「ムツ、お留守番だよ」と声をかけられ、車は走り去ってしまった。やれやれと思いながら、季候も良くなってきたのでお留守番の見張りも兼ねて外にごろんと横たわった。だいぶたってから御主人達は帰ってきたよ。なんだかお肉の匂いが体中から漂っている。あっ、お母さんが鞄の中から何かとりだしたぞ!!お肉だ!!僕はぴよんぴょんと飛び跳ねながら「早く早く、ちょうだい!!」と催促した。大きな肉だ。しかも牛肉!!お座りをさせられて、それを受け取るやいなや、ペロリ、ゴクン、ペロリ、ゴクンと丸飲みにしてやった。今日は珍しくお土産をもらって大きなお肉のかたまりを丸飲みにしたので「オオカミと7匹の子ヤギ」のオオカミにでもなったような気分だよ。
3月19日 ゆきのちはれ
朝にひとしきり雪が降って、一面真っ白になったよ。でも、お日様が昇ってくるとすっかり消えてしまった。今日もお昼寝だ。風が冷たいので、今日はお日様に背中を向けて寝た。いつもはお腹をお日様に向けて寝るんだけど、、まだ「春は名のみの風の寒さや」って感じだから、身体を一杯広げて寝ることは出来ないようだ。
御主人は、早く僕の身体をシャンプーしたがっているようだけど、とんでもないっ!!こんな寒い時期にシャンプーなんかしたら風邪をひいてしまう。いくらお日様ポカポカでもして欲しくないっ!!でも、本当はシャンプーが嫌いだからしてもらいたくないと思っているだけなんだ。・・・僕は御主人が「シャンプー・・・」と言うことをささやくだけでビクンと身体が緊張してしまうのだ・・・・
3月18日 あめのちくもり
今日は、又、馬鹿に寒い1日になってしまった。昨日の暖かさが幻ででもあったかのようだ・・・朝散歩は御主人が忙しいために行かずじまいだった。僕は天候を見ながら外に出て寝そべってみたけれど、とてもとても、長く外にいられるような気温ではない。犬小屋の中に寝ていた方が暖かくて良い。今日も御主人は午後から出かけていったのだけれど、昨日のように「我が世の春」を謳歌するには外が寒すぎる・・・・仕方がないので犬小屋の中でまん丸になってお昼寝をしていたよ。そして夕方散歩・・・御主人は完全防寒の体勢で歩き散歩だった。この所、気候が良いので自転車散歩だったんだけれど、今日は風が冷たくて自転車なんかに乗ったら冷たい風をまともに受けてしまうので歩き散歩になったというわけなんだ。でも、丸1日ぶりの散歩だったから僕としてはうれしかったよ!!
3月17日 はれのちくもってあめ
今日は桜の花でも開きそうな陽気だったよ。御主人なんか腕まくりをして汗を拭いていたよ。そんな御主人もお昼前から何処かへ行ってしまった。御主人はこの所、作業小屋の中でお仕事をしていたので、側をうろちょろされる僕は大迷惑だったのだ。ゆっくりとお昼寝も出来ない。又、ちょっとの暇を見つけては僕にちょっかいを出しに来る。「ああ〜ん、僕はおもちゃじゃないぞ!!それに僕は今、番犬のお仕事中なのだ!!」よっぽど、うなってやろうかと思ったけど、僕も暇だったし、適当に相手になってあしらってやったよ。それで、昼前から何処かへ出かけたので、僕はのんびりと暖かい風を受けてお日様にお腹を広げてぐっすりとお昼寝をしてしまった。所が、よいことは長く続かないもので、御主人が帰ってきた頃には雨が降り出してきて、夕方散歩は中止になってしまった。しゅう〜ん・・・・・
3月16日 はれのちくもり
今日は、昨日よりちょっぴりだけ暖かかったよ。ところで昨日御主人に「骨ガム」のことでからかわれたので、今日は僕が御主人を困らせるいたずらをしてやった。御主人は朝からお米の種の選別作業の準備に大忙しだ。種もみを入れる袋をきれいにしたり品種ごとに分けたり、数を数えたりしている。数え終わるとトラクターの脇に並べ始める。僕はそれをお昼寝をしているフリをしながらしっかりと見つめていた。そして、御主人が側にいなくなったのを見計らって、その並べた種もみの袋を口にくわえて引きずり出した。勿論きれいに並べられた袋はめちゃめちゃのぐちゃぐちゃさっ!!僕は大満足して、又お昼寝をした。やがてやってきた御主人が、僕の乱行を見つけて、乱れた種子袋を片づけながら叱りはしたけど、たいしたお叱りではなかった。それに味を占めたというか、調子に乗った僕は、もう一度同じ事を繰り返してしまった。・・・・「仏の顔も三度まで」と言われているが、「御主人の顔は一度まで」・・・二度目以降のいたずらには地獄のえんま様、牛頭、馬頭もかくやとばかりの憤怒の形相ものすごく、僕は御主人に追い回されてしまった。だけど、僕にも言い分はある。「飼い犬にも三分の理」ということわざが犬の世界にあるようにね。つまり、犬の手(口)の届くような所へ大切な物を置いておく方がいけないんだぃ!!
3月15日 はれ
今日も寒いけど、お日様ポカポカの1日だったよ。御主人は作業小屋の中でお米の苗を作るために必要な土を細かく砕くお仕事をしている。すると、なんと驚いたことに、その土の中から僕が去年埋めておいた「骨ガム」が出てきたんだ。骨ガムというのは動物の皮を骨の形にして味を付けた物だよ。たしかに僕が埋めたような気もするが、雪が降る前のことで記憶にない・・・御主人は、それを僕の目の前に持ってきて「持って行け」といった。僕は迷惑そうにそれを受取り、混沌とした記憶の中から、その物体を思い出そうと努力した。努力はしたんだけれど、思い出せない・・・けれど、なんだか愛着のような物が心の底からこみ上げてくるんだ。たぶん、以前よほど僕が大事にしていた物に違いない。そう思ったら、もう手放せなくなって、誰かに(主に御主人)盗られないように埋めてしまうことにした。いろいろ考えたんだけど、梅の木の根本に埋めることにした。左前足を使って穴を掘り「骨ガム」を鼻先で穴に押し込むようにして埋め込んだ。そして、丁寧に鼻の頭をスコップ代わりに使って土を埋め戻したよ。「やれやれ、これで一安心」と、ゆっくりくつろいでいると「ムツ、骨ガムはどこへやった?」と御主人が聞きに来た。僕は勢いよく立ち上がって、それを埋めたところへ案内してしまった。本当は誰にも知られたくなかったのに「御主人の命令は絶対的」という飼い犬の性で、つい教えてしまったのだ・・・・しっ、しまった!!僕はあわてて土を掘り返して、「骨ガム」を掘り出し、別な場所に埋めた。そのたびに御主人は埋めた場所を探り当てるんだ。僕はそのたびに掘り返して別な場所へ埋める・・・それを何度繰り返したことか・・・きっと御主人は僕が「骨ガム」のために右往左往するのを楽しんでいたんだね。人の悪い御主人だ。でも、良い運動になったよ。スコップ代わりに使った鼻の頭と、真っ白な前足が泥んこになってしまったけどね。
3月14日はれっ!!
今日は風が冷たかったけど、お日様が一日中「にこにこ」と僕を照らしてくれていたよ。それから御主人とたくさんボール遊びもしたし、とっても楽しい日曜日になった。
ところで、昨日、法事という「おいしい物を食べる会」に行って御主人がもらってきた食べ物をお裾分けしてもらったよ。と、いっても犬は余り複雑な食べ物を好まない・・・だから、卵焼きをもらったんだ。一流料亭の卵焼きだよ。これが、とっても、うまかったんだ!!・・・でも・・・・残念だけど、牛は負けてしまったんだよ・・・・しゅう〜ん・・・・
3月13日 ゆきのちはれ
ところで、遠吠えがなぜ甘やかしにつながるのかという一件の謎を解明するために花咲ポチ教授を訪ねた僕は、そこで驚天動地の事実を教授から聞かされることになった。犬が遠吠えした時にすぐ飼い主や家族が犬の所へ行くと犬は喜ぶ。おまけに散歩に連れて行ってもらえるとしたら、どうなるだろう?・・・・犬はむやみやたらに「遠吠え」をして家族を呼び寄せてしまうに違いない。「遠吠え」すれば誰かがやってきて自分にとって楽しいことをしてくれる。と思いこんでしまうのだ。一度覚え込んでしまうとなかなか元に戻すことが出来ない。無節操な遠吠えがひっきりなしに繰り返されて近所迷惑になってしまうのである。僕の御主人はこれを嫌って、僕が遠吠えをしても出てこなくなってしまったのだ・・・・さすが!!犬の飼い主を何十年もやっているだけのことはある。さて・・・・それじゃぁ、今度はどんな手を使って御主人をおびき出そうかなぁ・・・?犬と人間の知恵比べが始まるよ!!
3月12日 はれのちくもりかぜつよし
最近暖かくなったので、喉を一杯に広げて夕方5時の時報音楽に合わせて遠吠えをするのが楽しくなってきた。この「遠吠え」をすると御主人が飛んできて散歩に連れ出してくれるのだ。ところが、最近は僕が遠吠えをしてもなかなか出てこない・・・どうしてかなぁ?と、考えてみる。春になって日が長くなったので5時ではまだ早いと思っているのかなぁ?・・・・うん、それもある・・・しかし、その後、御主人に、それとなく聞いてみると、犬には思いもつかないような深慮遠謀があったことを知り愕然とする僕なのだった・・・それは・・・「飼い犬を甘やかしてはいけない」の一言に尽きるのだという。悪いことをした時は叱る。良いことをした時はほめる。これは犬も人間も躾の上で重要なことなのだが、たかが犬が遠吠えすることが甘やかしに通じるのだろうか・・・しかし、御主人は多く語らない。余り自分の手の内を飼い犬にさらけ出すのは飼い犬を育てていく上で不都合だと判断したからに違いない。僕はどうしても、そのことの意味を知りたかったので、以前お世話になった比較犬類学研究所の所長である花咲ボチさんの所へ出かけていったよ。・・・・・と、言うわけでこの一件はまだまだ続く!!
3月11日 ふうう・・・
明け方から朝にかけて台風並みの風が吹いた。これを人間世界では「春一番」とか「春二番」なんて言っているようだが、犬にとってはどうでも良いことだ。風がものすごい音を立てて吹き荒れるのでその音が恐くて、なかなか外にも出られないでいる。御主人は昨日風邪で元気がなかったけど、今朝は起き出して僕を散歩に連れ出してくれた。元気になったのかなと思っていたら、そうでもなさそうだった。つらい顔をして黙々と歩いている。ありがたいことに飼い主としての義務から僕の散歩をしてくれたらしい。朝散歩の後、とうとう御主人は寝込んでしまったと風の噂に聞こえてきたよ・・・・いったい夕方散歩はどうなるんだろう・・・・それよりご飯はちゃんともらえるのだろうか・・・御主人だけが頼りの我が人生・・・イヤイヤ犬生なのだ。
3月10日 はれっ!!
わ〜い、わ〜い、春だ、春だ!!春がやってきたぞ!!雪もすっかり消えて道路も乾いてきた。小さな虫さんも飛んでいるよ。僕は暖かいお日様に白いお腹を向けて出来るだけ広げてお昼寝をしたよ。ところが、御主人はと言うと、風邪でダウンしてしまったようだ。午前中はそれでもトラクターで土を小屋の中に運び入れたりするお仕事をしていたんだけれど、午後になったら元気がない・・・作業小屋へはやってきたんだけれど、なんにもしようとしないで、普段の僕のように、だだ「ボ〜ッ」と立っているだけだ。心配になってきたので、僕の真っ黒な鼻先で御主人の額を触ると「熱い!!」(注・犬の鼻先はいつも冷たいので温度を敏感に感じ取ることが出来る。但し冷たい雪などが鼻に付いたままになっていても平気なんだよ)と、言うわけで、御主人は完全に病気でお仕事が出来る状態じゃないと言うことがわかった。元気がない理由がわかったので僕は安心して又お日様にお腹を向けてお昼寝をした。えっ?あまりにも素っ気ないって?・・・だって風邪だかなんだか知らないけれど、人間の病気を僕が治せるわけはないし、一応、熱まで測ってあげたんだから良いと思うよ。これで!!
でも、なんだって今頃、風邪をひくんだろうねぇ〜冬の寒い時期、あんなに風邪が流行っていたのに?、僕の御主人は流行にうといのかもしれないなぁ〜・・・・?
3月9日 はれっ!!!!!
今日はお日様、ポカポカ!!昨日までの真冬状態から一足飛びに春になったって感じの今日一日だったよ。僕は大喜びで地面に寝転がってお昼寝を楽しんだ。ところが・・・・今日も御主人が作業小屋の中でお仕事をしているんだ。・・・御主人に気を遣うのは昨日で懲りたから、今日は堂々とお腹をお日様に向けてお昼寝をしていたんだ。すると、小屋の中の機械を移動するらしくて、朝から、がらがらがら・・・と、物を引きずる音や機械のけたたましいエンジンの音、うるさくってゆっくりお昼寝も出来やしない。エンジンの音にビクビクして、仕事のじゃまだと言われ続け・・・・はぁぁぁぁ〜今日一日、春を味わうどころじゃなくて、気ぜわしくて寿命が25日ほど縮まった感じたよ・・・
3月8日 くもりときどきゆき
この前から御主人は小屋の中でお仕事だ。僕のすぐ近くにいるので緊張する。誰かがやってきたら、すぐさま吠えなくちゃいけない。と、言うわけで、今日の僕は外に出てみたり犬小屋の中に入ってみたりとせわしなかった。でも、一生懸命お仕事をしたので御主人にほめられたよ!!今日は二度ほど訪問客があって、僕はそれに吠えたんだ。すると御主人が小屋の中から顔を出してお客さんに応対していたよ。お客さんが帰った後、「ムツ、お利口さんだなぁ〜」と僕にほおずりをしたり身体をなでなでしてほめてくれた。こんな時が番犬として一番うれしい時だ。ところが・・・・御主人は、どうも風邪をひいているらしい・・・鼻水をだらだら垂らしている・・・そんな状態で僕に近寄って欲しくないんだよね。ほんとうは・・・人間の風邪が犬にも移るのかどうかは知らないけれど、「君子危うきに近寄らず」って言葉もあるぐらいだから用心に越したことはないよね。でも、あからさまに御主人を拒否するのも飼い犬として具合が悪いし・・・・困ったなぁ〜
3月7日 ゆきのちはれたりくもったり
午前中にすこし雪が降ったけれど、昨日までのひどい天気はやっと収まったようだ。お日様もすこし出てきたけれど、ほとんど曇り空だった。しかも寒い!!地面にはまだ雪が残っている。もうすぐ春が来るって言うのに・・・・実は、早く乾いた土の上に寝ころんで軟らかい土の感触を味わいたいなぁ〜・・・と、毎日のように思っているんだ。すると、ある日、天才的なひらめきが僕の頭の中に浮かんだ!!それは・・・・冬が来る前に御主人が小屋の中に入れた土のお山・・・これは春になった時にお米の苗を作る時に使うものなんだ。そして、そのお山に上り下り禁止を僕は言い渡されている。だまってお山に登ったりしたら後でご主人のお叱りが恐いけれど、「春の乾いた土の上に寝ころびたい」という本能からの突き上げるような欲求に打ち勝つ事は出来なかった・・・僕は思いついたらすぐ行動に移るタイプだから、すぐさまお山に駆け上がって、フセの格好で座った。「ハァ〜気持ちが良い。おまけに見晴らしも良い!!」こうして僕は春の楽しみをいち早く手に入れて悦に入っているのだった。お断りしておくが、この件に関してお山に登ったことに対するご主人からのお叱りは全くなかった。
3月6日 ふぶきのちふうう・・・
やれやれ・・・朝から猛吹雪だ。一寸先も見えないぐらいあたりの風景は真っ白に塗りつぶされてしまっている。吹雪ぐらいだったら、ある程度我慢が出来る。この冬、何度もそんな目に遭っているからね。ところが、ところが、午後になると一転して雨が降ってきたんだ。しかも台風並みの風速13メートルとやらの風を伴っている・・・犬には風速何メートルと言ってもちんぷんかんぷんだけれど、その風がただごとではないのがよくわかる。だって、建物自体が風で揺れるんだ。最初は列車が通って揺れるのかなぁと思っていたけど、頻繁に揺れが来るので強風のために揺れているんだなってわかったんだ・・・ああぁ〜早く行きすぎて欲しい・・・犬にとって何よりも苦手なのは雷だけど、風雨も嫌いだ。雷は心理的な恐怖だけど、風雨は物理的な恐怖だよ・・・早くお日様が顔を出さないかなぁ〜この所しめった天気ばかりだからなぁ〜
3月5日 ゆきのちくもり
**今日も、昨日も、雪〜のぉ〜空〜・・・**と、唱歌の「早春賦」にある通りの天気になってしまった。ただ、すこし昨日と違うところはお日様が今日は顔を見せなかったことだ。昨日、積もった雪の上にさらに降り積もり、真っ白なキャンバスを作っていく・・・僕は、それに毎日足形で絵を描いていくんだ。最も自分自身どんな絵が描かれているのかわかりようもないのだけれど。・・・ただ気持ちのおもむくままにそこいら辺をうろうろしているだけで雪の上のキャンバスに足跡が付いて自然に絵のようになるってわけさ。題して、「無節操な放浪」・・・・うん、これは良い!!「雪の上に絵を描く犬」として本気で画家にでもなろうかと思った。ところが、夕方散歩の時、家の廻りに猫さんの足跡があちらこちらについているのを見つけたんだ。その足跡の優雅なこと・・・小さな足跡が転々と形良く、緩やかな曲線を描いてどこまでも続いている。題して、「密やかなる移ろい」・・・・まっ、負けた・・・僕のただ、でたらめに雪の上に足跡を付けただけの絵とは比べものにならない。猫さん、あんたは偉いよ。ほんとに・・・ただ、負け惜しみを言わせてもらうなら、あんたには身柄を拘束している紐が無くて自由だって事だ。僕だって自由だったらあんたみたいな、いい絵を雪の上に描けるもんね!!
3月4日 ゆきのちはれ
午前中は、雪が一杯降って真冬に逆戻り状態だった。午後からは晴れてお日様も出てきたので、僕は外に出て雪の上に座ったりしたよ。
ところで、今日は御主人に恐ろしい目に遭わされた。!!御主人は僕をウサギさんにしようとしたんだ!!、と、言うのは・・・御主人がビニールハウスの中から一本のにんじんを抜き取ってきて、自分でぽりぽりかじって僕に見せたんだ。それに僕が興味を示したものだからたまらない・・御主人は持っているにんじんを細かく砕いて僕の口元に差し出した。僕はなんだか嫌な匂いがするので、イヤイヤをしたんだけれど、御主人は僕に口を開けさせてにんじんのかけらを放り込んできた。仕方なく、カミカミしたんだけど「やっぱり駄目だ」と、吐き出したんだ。だけど御主人は、又僕の口に強引に押し込んで吐き出さないように僕の口を押さえるんだ。仕方なく僕はカミカミして飲み込んでやったよ。とうとうにんじんを食べてしまった・・・僕はウサギさんになってしまうんだろうか・・・?
ウサギさんになると、野菜や雑草を食べなければいけないんだろうか?犬だった時、大好きだったお肉は食べることが出来ないのだろうか?・・・・しだいに不安が募ってくる。そして・・・御主人が僕を「ウサギにする計画」を実行していると確信したのは夕ご飯の時だった!!いつものご飯の中に大量の白菜が入っていたのだ!!僕は、いつウサギになってしまうのだろう・・・秋田犬としての僕という存在は消滅してしまうのだろうか・・・みんなの力で「僕をウサギにしない運動」を展開して欲しい!!お願いだよ!!!いつも言っている事だけど物理的には手を合わせることは出来ないけれど、心の中ではみんなに手を合わせて祈っているからね!!本当だよ!!
3月3日 ふぶきのあいだにはれまあり
おひな祭りの日だというのに吹雪き・・・・だけど晴れ間も見えている、けれどひどい寒さだ・・・今日は「弥生三月桃の節句」という人間世界の行事がある日だ。何でも、きれいなお人形を飾ってごちそうを食べたりするらしい・・・だけど、これは人間の女の子のお祭りで男は関係がないという。そういえば、我が家は僕も含めて男が3人・・・・お母さんは?・・・女の子って言う訳じゃないようだから、我が家にはおひな祭りは関係ないと言うことになる・・・「きゅう〜ん、それじゃつまらないよ〜・・・お祭りやってなんかおいしいものを食べたいよぅ〜」・・・・・・心の中で悲痛な叫びを上げた。しかし御主人は、すべてお見通しだ。「結局、何か食べたいって言う、それが本音なんだね」という、つぶやきが聞こえてきた。
3月2日 ゆきがふったりやんだり
ひえ〜、雪が降ってきたよ。春が来たと浮かれていたら、思った通り冬が巻き返しを図ってきたよ。最初の内は穏やかに、名残雪のように降っていたんだけれど、だんだん調子に乗ってきて、モソモソと降ってきてやがて積もり始めてしまったんだ・・・困ったねぇ〜・・・「お日様の光を浴びながら毎日、地面に横たわってお昼寝をしたい」という僕のささやかな希望が又遠くなってしまったよ・・・
そこで一句、詠んでみたよ。場違いな句もあるけど気にしないでね!
紅梅に 雪のひとひら 泊まりけり・・・・禄食
雨雪も 恋しくなりし 夏日照り・・・・・禄食
3月1日 くもりのちゆきがふったりやんだり
最近食欲が出てきて、夕食が待ちきれなくなった。散歩から帰ると、僕は外に出て御主人がやってくるまでじっと待つんだ。やっと持ってきたと思えば、ご飯を目の前にして僕に芸をさせるんだ・・・「おて」だの「ふせ」だのってね。僕はひもじくて切なくて、つい「きゅう〜ん」と泣いてしまうんだ。それが終わるとやっと待ちかねたご飯だ。今日のご飯の中にキャベツの油炒めが入っている。最初は変なものだなぁ・・・と思ってこわごわ口に入れてみたけど、これが意外においしいんだ。冬キャベツの甘みと油で炒めた香ばしさ、そして卵が入っている。シャキシャキしたキャベツとふわふわした卵の食感が絶妙でとてもおいしい。「もっと、もっと〜」とおねだりしたいぐらいだ。
ところで、最近、白鳥さん達が家の真上を飛んでいくようだ。そこで、一つ詠んでみたよ
白鳥の 甲高き声 こだまして 南西の空に 春を呼びゆく
・・・禄食(俳句じゃ字余りになるので今日は短歌を詠んでみたよ。あっ、白鳥はしらとりって読んでね!!)