むつ犬のおまぬけ日記
平成16年5月
5月31日 あめ
今日も一日雨降りだった・・・・朝散歩は雨が小降りになった時を見計らって行ってきたので、一応は満足した。午後からは「お留守番」を頼まれた。しかしこんなザーザー降りの中、誰がやってくると言うんだ!!犬小屋の中で日頃の不平不満をぶつぶつつぶやきながら毛繕いしたり足の裏をなめてぴかぴかにしたり、かゆいところを掻いたり、日課のお昼寝をしたりしていた。夕方頃、帰ってきた御主人は、雨降りの中を散歩に連れ出した。でも、そんなに降っているわけではない。これで一日の日課は、ご飯をもらう以外すべてすませたので、一応満足した。こうして雨降りの平凡な僕の一日はつつがなく過ぎていったのだった。

5月30日 うすぐもり
今朝まで雨が降っていて日中お日様が顔を出したものだから蒸し暑くってしょうがない。そこで、又トラックの下に潜り込んだ。ところが、御主人が朝早くから「防災訓練」とやら言う行事に参加するために長時間乗り回した直後だったので、僕は「あちちち〜」と悲鳴を上げた。しかし、今のところ僕の居場所はトラックの下以外になくて、しかたなくお昼寝をした。寝ていても暑さのせいか悪い夢ばかり見てうなされっぱなしだった。そこで僕は、どうしたらもっと涼しく快適なお昼寝が出来るか、無い知恵を一生懸命絞り出して考えた。今まで流した汗の量より多くの知恵を絞り出したんだけれど、出た答えは、「紐が届くだけ小屋の奥に入り込んでコンクリートの床の上に寝ころがる」事だった。・・・・知恵でも工夫でもなんでもないって言わないでね!!おかげで快適なお昼寝時間を過ごすことが出来たんだからね。

5月29日 あめ
朝から雨だったので、朝散歩は無しだった。御主人も僕にちょっかいを出しにも来ない・・・僕は犬小屋の中で寝ているしかない。雨はいっこうに止む気配もなく、シトシトと降り続けている。午後になると風も出てきた。「はぁぁ〜、これは夕方散歩も無しだな」とあきらめかけていると、御主人がやってきて「雨降り散歩」に行こうという。はじめは冗談だと思って相手にしなかったけど、御主人が散歩紐を手に取ったので僕はうれしくなって、ひとしきりはしゃぎ回った後、散歩紐を付けてもらったよ。ところが・・・・出かけていった先は目の前にあるビニールハウスの中だった。この前まで稲の苗が一面に並んでいたのに田植えが終り、中にはなんにも無くなっていた。僕はこの中で散歩紐をはずされてサッカーボールをあてがわれた。「そっ、そうなのか!!この広いビニールハウスの中で思いっきりボールを追いかけて走り回れって事なんだ!!」そう納得して、御主人の蹴り上げたボールを追いかけてとらえると鼻先でドリブルをしながらハウスの中を思いっきり走り回ったよ。「はぁはぁはぁ」と息も荒く舌を思いっきり長くのばしたよ。こりゃぁ、自転車で走らされる散歩より疲れるよ。でも、楽しい!!「これからは散歩とは別にここで遊ぼうよ」と御主人に提案したのだけれど、ここはもうすぐ野菜畑になってしまうんだって・・・残念だね。今しかできない場所での楽しいボール遊び。出来れば、今しばらく空き地のままで置いて欲しいなぁ〜

5月28日 はれのちくもってあめ・・・
今日は朝からすこぶる暑かった。いつもはひんやりとしたトラクターの下でお昼寝をするんだけれど、今日はトラックがじゃまになってトラクターの下に潜り込むことが出来ない・・・・仕方なくトラックの下に潜り込んで涼んだ。すると、御主人がお仕事に出かけるというので、「どけ!!」と言われてしまった。勿論!!僕は大喜びでトラックの下からはい出たんだ。トラックさえ何処かへ無くなれば、ひんやりとしたトラクターの下に潜り込めるからね。こうして僕はお昼過ぎまで、ここで快適なお昼寝を楽しんだんだ。ところが・・・・午後になると、今度はトラクターを使ってのお仕事だと御主人が言う・・・僕は渋々とトラクターの下からはい出て日向へと出て行った。「あつい!!」この間まではお日様の暖かさに感謝していたのだけれど、この季節になると、だんだんお日様を敬遠したくなってしまう・・犬って勝手なもんだよね。御主人がトラクターで出かけてしまった後、トラックの下に潜り込んでみた。暑い!!と言うより、熱い!!・・午前中に御主人が乗り回していたトラックだもの、その下はエンジンとやら言う機械の心臓部なので熱いのは当たり前だったのだ・・・

5月27日 はれ
今日は、朝散歩で昨日のワンコに出会った。今日は昨日の失敗を繰り返さないように「ワンワンワン」と吠えなかった。でも、素敵な雌犬なので興奮してしまった。お近づきになりたくて、ぴょんぴょんと跳びはねたりした。それに、ちょっとだけど「ガルルル〜」とつい、うなってしまった。そんな行動を僕がするものだから相手はひるんでしまって、鼻も引っかけてくれないようだった。人間でもそうだと思うけど、ガールハント・・・?、今時の言葉で言うとナンパ?・・・・をする時は、余りにも積極的だと相手にされないようだ。将来に備えて教訓として覚えておくことにしよう。だって、僕ってまだ独身だからね。でも・・・・僕がお嫁さんをもらえる将来っていつ来るの〜・・・?

5月26日 はれ
今日はすっきり晴れて、暑いぐらいの陽気だった。昨日、空きっ腹のお腹を抱えて一晩を過ごした僕だったが、朝散歩から帰ってきて「宮城県の名産 かまぼこ」を3枚もお母さんからもらって食べた。これで、いくらか昨晩からの食事に対する不満も消えて、のんびりしていると、見慣れないワンコがやってきたので「ワンワンワンワン」と吠えた。追い払おうとして吠えたんじゃないんだ。雌犬の匂いがしたので、お友達になれたらいいなって思って吠えたんだよ。後で御主人に聞いたら、御主人の従兄弟の人が飼っているワンコなんだって。余り僕が「ワンワン」と吠えたので、そのワンコはふるえていたそうだ。かわいそうなことをしたかなぁ・・・これに懲りずに又やってきてくれたらうれしいなっ!!!

5月25日 あめのちはれ
午後になって御主人が、良いお洋服を着てお出かけだ。やれやれ・・・昨日やっと家に帰ってきたと思えば、又お出かけだ。忙しくて結構なのかどうかは知らないけれどね。僕はのんびりと犬小屋の中で惰眠をむさぼった。ところが、御主人は夜になっても帰ってこない。僕はお腹が空いてきた。空きっ腹を抱えて、犬小屋の中でじっと待っていると、やっと御主人が帰ってきた。でも・・・御主人は僕を一なでしただけでお家へ入っていってしまった。「わお〜ん、僕はお腹が空いているんだよ〜!」・・・・と声を限りに叫びたかったけれど、お腹が空きすぎて力が出ない・・・無言のまま御主人を見送り、空きっ腹を抱えて一晩を過ごす羽目になってしまった僕だった。

5月24日 はれのちくもり
今日は朝から晩まで、僕一人っきりになってしまった。お母さんと上のお兄さんは、朝、お仕事に出かけていったっきり夜になっても帰ってこない。御主人は、昨日からお家へ帰ってこない・・・・夜もだいぶ暗くなって、雨がシトシトと降り始め僕は心細くなってきた。「わお〜ん、しゅうん、しゅうん」・・・・と鳴き声を上げるのも、子供っぽいので、じっと犬小屋の中で寂しさと空腹に耐えていた。人間の時間で言えば20時を過ぎた頃、御主人の声がしたので、僕は犬小屋を飛び出して御主人に飛びついた。「待っていたんだよぅ〜」・・・御主人は僕のはしゃぎぶりを見て、ご飯がまだだと察したらしく大急ぎで作って持ってきてくれた。「ありがたい、ありがたい」持つべきものは御主人だねっ!!

5月23日 はれ
朝寝散歩に行った後、たっぷりとボール遊びをしてくれた御主人が、何処かへ出かけるらしく「お留守番!!」と言ったきり夜になっても帰ってこなかった。・・・・・・・幸い今日は日曜日なので他の人からご飯をもらうので食いっぱぐれる心配がない。

5月22日 くもりときどきあめ
夕方散歩の時に、近所に来ている職人さんに出会ったよ。「秋田犬ですか?」と御主人が聞かれたので、「そうです、秋田犬です」と答えていた。職人さんは「おとなしそうな顔をしている。何歳?」と、又たずねる。「まだ三歳なんだ」と答える御主人・・・・その問答を聞いて僕は密かにほくそ笑んだ。秋田犬の外見が優しそうな顔をしているのは秋田県人なら誰でも知っていることだけれど、その性質を知っている人は意外と少ない。まず第一に、外面は良いのだけれど、家族にはわがまま放題であること、食い意地が張っていること、気ままであること、頑固であること、等々と欠点を上げたら数限りない・・・でも、弁解する訳じゃないけれど長所も限りなくあるよ!!家族に慣れ親しんだら絶対忠誠を尽くす!!後は、ええ〜と?・・・・他なんかあったかなぁ・・・?

5月21日 あめのちくもり
台風さんは、僕になんの挨拶もしないで通り過ぎていってしまったらしい。今から思えば朝方ひとしきり雨が降ったのが、それらしいと思われるのだが、台風さんとしてのかすかな気配さえも感じ取れなかった。あれほど、去年は親しくお付き合いさせて頂いたのに、何も挨拶がないなんて犬の世界では考えられないことだ。最も人間の世界では結構あるらしいから、台風さんは犬より人間に近いのかもしれないな。御主人は「あんまり台風なんかと親しく付き合わない方が良いよ。気に入られて何処かへ吹き飛ばされてしまうから」という・・・何処かとは、どこなのか知らないけれど、余り良いところではないらしい。等と、そんな話を御主人としていると、台風さんはいつの間にか改名したらしくて、今度は「温帯低気圧」という名前になったらしい。台風さんも改名しなければならないような複雑な事情があるんだろうなぁ・・・今度から、改名する時は名刺でももらわなければいけないなぁ・・・・

5月20日 くもり、かぜつよし
何でも台風さんという方がいらっしゃるという噂がしきりだ。・・・・こんな出だしで日記が始まったからと言って、犬だから台風なんか知らないのだろうと僕をあざ笑わないで欲しい。だって、僕は、この7月28日が来れば4歳になる秋田犬の成犬だ。台風さんを知らないわけがない。何度もお近付きを賜って、親しい仲になってしまっている。つまり、台風さんというのは「南方海上で上昇気流が発達して、海の水分を水蒸気に変え、渦を巻きながら、ものすごい雨量と風を伴いながら北上する一種の気象現象」と、言うことだね。まぁ、御主人からの受け売りで台風さんを言い表すなら、ざっとこんな具合だよね。ただ、お出でになる季節が、ちょっと早すぎるんだよね。「親しき仲にも礼儀あり」で、いくら僕と親しい関係だからと言って、こんなに早くやってこなくても良いじゃないか!!と、苦情言いたい!!でも・・・・あんまり、そんなことを言うと台風さんが怒ってしまって、強い風や雨をフルに利用して僕達の処へ被害をもたらしかねないので、このことは台風さんには内緒だよ。ほんとだよ!!

5月19日 うすぐもり
御主人は、僕が太っていると思っている・・・冬の間、ろくろく運動もしないで食っては寝てばかりだったし、春になればなったで御主人が忙しくなって、僕の散歩もおざなりになってしまう・・・だから当然、太るのは当たり前だ・・・と言うのが御主人の論法のようだ。違うよぅ!!これが秋田犬の雄の標準的な体型だよっ!!と、主張しても、御主人は首を縦に振らない・・・着々と僕のダイエット計画を実行しようとしているようだ。まず、始めに、自転車散歩を毎日実行して、僕をへとへとになるまで走らせる。そして、ご飯は出来るだけ少なめにする。ゴロゴロと寝転がっているのを無理矢理起こしてボール遊びをやり、舌がこれ以上長く伸びないぐらい出させて汗をかかせ搾り取る。これで、僕の完璧なダイエット計画が達成されるそうなのだ。ひえぇぇぇ〜、炎熱地獄のような計画だ!!秋田犬は、ふっくらとして、堂々とした体型が売り物なんだってばぁ、御主人!!!この計画の実態を聞き、慄然としつつ、涙を流しながら、この計画の中止を切々と訴える僕なのだった・・・

5月18日 うすぐもり
今朝、天気が良かったので、洗濯物が外に干された。それに続いて、我が家に「犬注意報」が発令された!!なんだ、それは?と思った人は、最近の「むつ犬のおまぬけ日記」を読めばすぐわかる。
僕のいたずらが最近ひどくなっているからだ。1.洗濯物をくわえて引きずりおろす。2.大切なものにオシッコを引っかける。等々だ。僕は「犬注意報」が発令されたので、しゃくに障って洗濯物を2枚も引きずりおろしてやった。しかも、御主人がすぐ側にいて、ちょっと目を離したすきにだ。おかげですぐ見つかって、随分叱られた。そして「犬注意報」は、すぐさま「犬警報」に切り替わり、「犬ガード装置」なるものが設置された。その装置を洗濯物やオシッコをかけられたくないものの側に置くと犬(僕のこと)が近寄れなくなると言うものだ。僕から言わせると、こざかしい知恵で僕を排除しようとしても駄目だよ。だいたい「犬ガード装置」などと、たいそうな名前を付けてはいるものの、実は単なる布団干しを洗濯物の前に置いてあるだけなのだ。オシッコをかけて欲しくないもの(大豆の種子)にはベニヤ板やビニールなどで囲われてある。これで「犬ガード装置」なんて、僕が顔で笑えるものなら御主人に見せてやりたい!!ワンワン、わお〜ん!!

5月17日 あめぇ・・・
今日は朝から雨だった。小屋の屋根を打つ雨音が心地よくて、犬小屋の中でぐっすりと眠ってしまった。御主人は雨降りだというのに田んぼへ出かけてしまっている。本当は僕、お留守番をしていなければいけないのだけれど、雨音の心地よさと適度な暖かさに、つい、うとうとっとなってしまったよ。そうなると、もう我慢できない。僕は犬小屋の中に入ってゆっくりと身体を横たえると、あっと、いう間に熟睡してしまった。ところが・・・・昼近くになって帰ってきた御主人が、犬小屋の中で気持ちよさそうに熟睡している僕を見て「かわいい」と心の中で叫んだそうだ。そして、僕の寝ている姿を10分ぐらい眺めていたという。寝ている僕は知らなかったけれど、身体をぴくぴく動かしたり耳をぴくぴく動かしたり、口をもぐもぐさせたりして、熟睡している割には忙しそうな動きをしていたという・・・やがて、僕の熟睡姿を鑑賞するのにあきた御主人は僕をつないでいる紐を引っ張った。僕は、びっくりして飛び起きると、わずか数10センチの処に御主人の姿があった。熟睡してしまっていた僕は決まり悪そうに大きな欠伸を2回すると、御主人も合わせて欠伸をした。似たもの主従とは僕達のことを言うようだ。それにしても、御主人も人が悪い。飼い犬の寝ている姿をじっと見ているなんて・・・それに、用がないんだったら、紐を引っ張って起こさないで欲しかったなぁ。

5月16日 くもりのちあめ
陽気がころころと変わるものだから、身体の調節が追いつかない・・・昨日と正反対で、今日は肌寒い。春先は陽気がよかったので桜も早く咲き始め、その性かどうか知らないけれど、僕の毛がわりも随分早くやってきた。犬の毛がわりは衣替えと同じだ。だけど、イヤだと拒否しても、犬にとっては生理現象だから、それはできない・・・御主人は毎年、僕の毛がわりを楽しみにしている。ムッシ、ムッシと僕の身体からおもしろいように毛がとれるのがおもしろく快感らしい。やられる僕の方はたまったものじゃない。まだ生え替わってもいない方の毛をむしられたりして、痛い思いをする。早く生え替わって、さっぱりとした夏の毛皮を着たいものだと思うけど、すっきり生え替わるためには人間の手で抜いてもらわなければいけない・・・御主人!!人間にない生理現象だからって、おもしろがって無理矢理、毛を抜かないでよね!!

5月15日 はれ
今日は昨日に比べて、ずいぶん陽気が良かった。だから昨日の僕の予想通り「シャンプー」をされてしまった。御主人が、朝から田んぼに出かけていったので、昨日からシャンプーされるかもしれないとビクビクしていた僕は安心して、ゆっくりとトラクターの下でお昼寝をしていた・・・・・ところが、お昼前に泥だらけの格好で御主人が僕の処へやってきて、シャンプー専用紐をつけ始めたので、僕は抵抗した。「シャンプー、イヤだ!!」と足を踏ん張ったのだけれど、御主人に抵抗しきれるはずもない。引きずられるようにシャンプー場に連れて行かれ、約30分間、御主人から鼻の頭からお尻の穴まですっかり洗われた。よく見ると、すすぎ湯をかけると真っ黒な、どぶ水のようなものが身体から流れ出る・・・うわぁ、これが六っヶ月間たまっていた汚れなのか・・・と思うとさすがにぞっとした。首輪も垢がべっとりと付いている。御主人は自分の服が濡れるのもかまわず熱心に洗ってくれる。僕が暴れて動かないように、自分の身体をぴったりと僕の身体にくっつけているからだ。三〇分間の間、いくつか無駄な抵抗は試みたものの、シャンプーはどうやら無事に終わり、その、喜びの余り僕は、飛び跳ねながら犬小屋の方に向かった。でも、その後の「身体ふきふき」もイヤなんだ。大きなタオルで執拗に身体をゴシゴシとこするので、「ガウン、ガルルル〜」と威嚇の声を上げて、いったん逃げたものの、すくに捕まってしまい、また「ふきふき」をされた。僕はあきらめて御主人に身体を任せることにしたよ。やっと、すべてが終わってのんびりと地面の上に横たわることが出来た時、くたびれ果てて、舌をハァハァと長くのばしていた。でも、おかげで真っ白な犬に変身できたよ。毛並みもふんわりと柔らかくなって、赤毛と白い毛の境目もすっきりしてきた。御主人から、秋田犬らしくなったとほめられたよ!!でも・・・・シャンプー前の僕って、何犬だったのかなぁ・・・?

5月14日 あめのちくもり
肌寒い一日だった・・・人間にとっては、だよ。毛皮を着ている僕にとってはちょうど良かったよ。でも、犬小屋の中でお昼寝していたけどね。御主人の話だと、こんな気候が平年並みなんだという。肌寒い気候の中、我が家ではライラック(リラ)の花が満開だ。リラ冷えと言うぐらいだから、今の季節は肌寒くなるのが普通なのかもしれない。そのリラが、ちょうど僕がいつも寝そべっているすぐ側にあるものだから、リラの良い香りが僕の鼻をくすぐる。こんな良い香りがすると、シャンプーを思い出してしまう・・・今年はまだシャンプーされていない。いつシャンプーされるかと思うとビクビクし通しだ。御主人は折に触れて僕の耳元で「シャンプー・・シャンプー・・」とささやく・・・そのたびに僕の身体か緊張して御主人の目を見つめてしまう。犬は水の中の生き物ではないので水は嫌いだ。ちなみに犬は火のなかの生き物でもないので火も又嫌いなのだ。僕のシャンプーの時はいつも暴れる。おとなしくシャンプーをしてもらっているとすぐ終わることはわかっているのだが、本能が水を怖がっているのでどうしようもない・・・はぁぁ、今年もシャンプーの季節が始まってしまうのか。一番危ないのは明日かあさってだと僕はにらんでいるのだが、これも天気が良くて暖かくなくてはいけないので、僕は今から天気が悪くなることを望んでいる。でも・・・・自分自身の身体が臭い匂いを放っているのは自覚しているんだよね。毛がわりの時も近づいているしね。シャンプーをしてもらい気持ちが20%だとすれば、したくない気持ちは150%だね!!

5月13日 くもりのちあめ
今日は朝からすっきりしない空だった。でも、そんなに寒くはなかったよ。午前中はのんびりとさせてもらった。昨日終わった田植えの後始末やら機械の掃除やらで御主人がいるからだ。午前中にあまりにのんびりとしすぎたので身体がなまってしょうがない。それよれよりも何より退屈過ぎたのだ。すこし仕事でもしようかなぁ・・・と思っていたら見知らぬ軽トラックが我が家に入ってきたので「ワンワンワン」と吠え立てた。僕の吠え声で御主人が家の中から出てきて、トラックの人に挨拶をしている。良く話を聞いてみるとお母さんの実家のお兄さん夫婦だった。稲の苗を取りに来たらしい。でも僕はさらに吠え立てたよ。御主人から「こら!!」とお叱りを受けて、やっと吠えるのを止めたんだ。でも、あんまり稲の苗を持っていかないでね。僕の食べる分がなくなっちゃうから・・・僕は稲の苗を食べるのが大好きな犬なんだ。なんと言っても苗の緑色の柔らかい葉っぱはおいしいからね。それに秋にはおいしいお米が出来る元となるものだからおいしくないわけがない。今年も御主人にお願いしてたらふく食べるぞ!!

5月12日 はれ 
僕は、今日「おいぬ様」と言われた。どうしてかというと、夕ご飯の時のことだ。家族が食べるご飯を削ってまで僕の方に回してよこしたのだ。おかげでご飯入りのお食事をたらふく食べることが出来た。ありがたさに涙がこぼれてくる・・・・でも、こんなのはたまたまだ。そんなに毎日ある訳じゃない。御主人に聞いた話だと、人間の歴史の中で犬がたいそう大事にされた時代があったのだという。どんなに大事にされたのかというと、飼い犬は一家の主人より偉くて、犬をぶったりいじめたりすると、人間がお役人に捕まってしまうと言うのだ。上げ膳据え膳はもちろんのこと、犬が望むことはすべて人間がお膳立てをしてあげなければならないのだ。飼い犬だけではない、野良犬を追っ払ったり、いじめたりしたら、これも捕まってしまう。野良犬達は「おいぬ屋敷」と言うところへ集められて、何不自由なく暮らしたという・・・犬にとってこんな桃源郷のような生活が何十年も続いたのだという。ところが、犬にとっての理想的な法律が、やがて廃止され、今まで大事にされてきた犬たちの運命は・・・・はぁうぅぅぅ、平家の没落のような末路をたどったのだった「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り、・・・威きものもついには滅びぬ・・・・ただ春の夜の夢の如し・・・」うぅぅぅぅ、なんてひどい!!。僕が今、のんびりとお昼寝をして「春の夢」を見ているのと大違いだ!!

5月11日 あめ・・・
いよいよ我が家の田植えは佳境に入ってきた。今日はお母さんの他に上のお兄さんも田植えのお手伝いだ。僕ものんびりとしてはいられないぞ!!・・・と思って、緊張しながら、はりきってお家の留守番に精を出した。ところが張り切って仕事をするぞ!!と思っていると仕事が来ないものなんだ。今日は誰もやってこないので僕は欠伸をしながら、降る雨を見つめて家族の皆さんが田植えにいそしんでいる姿を思いやった。寒くはないだろうか、お腹は空いていないだろうか、水路に落ちてびしょぬれになっていないだろうか・・・等々、みんなが苦労して僕が食べるご飯の元であるお米を作ってくれているかと思うと、いてもたってもいられなくなる。そこで僕はすこしでも自分自身が田植えをしたような気分になるために、夕方散歩の時、できるだけ、早足で歩いて、お腹から足のつま先まで泥んこになった。家族みんなが泥んこになって田植えのお仕事をしているのに僕だけ真っ白な毛並みじゃ具合が悪いからね。散歩から帰ったら、思った通り身体の下半分がどろどろの泥んこになってしまっていた。よかったよぅ〜、これで家族のみんなと一緒だよ!!

5月10日 あめのちくもり
朝、ビニールハウスの中に怪しい人影がふたつ見えたので、「ワンワン、ワゥゥゥ〜」と吠え立てた。でも、まったく無視された。どうも、この二人は僕に吠えられていると言うことに気付いていないようだ・・・しばらくして、ハウスの中から一人の人が僕の処へ近づいてきた。僕は恐くなって「ワンワンワンワン」とまた吠えた。すると「ムツ、何を吠えている」と御主人の声・・・あれっ?御主人だったのか。今日は雨降りなので白ずくめの雨合羽を着ていたのでわからなかったよ。ごめんね・・・でも、ハウスの中にはもう一人正体不明の人物が・・・もしやあの人ではと一瞬思いはしたものの、怪しいと思ったら吠え立てるのが番犬の鉄則なので「ワンワンワン」と吠え立てた。やはり、この人も僕に吠え立てられていることに気付いていないようだった。御主人がその人に声をかけるとやっと僕の方を向いて「むっちゃん、おかあさんだよ」といった・・・・やはり、お母さんだったのが!!僕は家族に吠えてしまったのだ。叱られると思って耳を横にして伏せると。お叱りの言葉を待った。しかし御主人は、「家族に吠える」という僕にあきれたのか頭を一なでしただけで終わってしまった。まぁ、犬にもたまたま間違いはあるってことさっ!!

5月9日 うすぐもり
今日から我が家の田植えが始まった。御主人もお母さんも一生懸命動いている・・・・?はたらいている。僕は「お留守番」を言いつかった。ところが、あんまり暑いのでトラクターの下で寝ころんでしまった。そんなところを御主人に見つけられて「おまえは、ちゃんとお留守番をしているのか?」と、疑われてしまった。「やっているよぅ〜、でも、おじいちゃんがやってきて、家の廻りでお仕事をしているようなので、ちょっと休ませてもらっているだけなんだ」と言い訳をした。トラクターの下はなんと言っても、僕のオアシスだ。雷が鳴った時も、暑い時も、御主人に叱られた時も、この下に潜り込めば安心なんだ。ちょっと機械油の匂いがするけど、この下にいる幸福感に比べたら気になるほどのものではない。外敵にもおそわれにくいしね!!・・・・って、外敵ってなんだ?

5月8日 はれ
今日は、5月の風がさわやかにそよいで、とても気持ちの良い1日になるはずだった・・・・ところが、朝から叱られてしまったのだ。しかも御主人とお母さんと二人からだ。何をそんなに悪いことをしたのかというと、洗濯物をくわえて物干しからはずしたのだ。この前もそんなことをして叱られたのにまだ懲りないのか!!とあきれている人もいると思うけど、今日のは別の目的ではずしたんだよ。いくら犬の僕だって干したばかりの洗濯物がすぐに乾くはずがないし、乾いていない洗濯物を取り込もうとするほど僕は常識はずれの犬じゃないよ。実は、さっきも言ったと思うけど、今日は5月の気持ちいい風が吹いていて、洗濯物の良い香りが漂ってくる。僕はあまりの香りの良さに、洗濯物をくわえてはずし、地面の上に置くと、それにごろんごろんと身体をこすりつけたのだ。洗濯石けんの匂いを僕の身体に移そうと思ったのだ。そこを御主人に見つけられてしまった。「こら、ムツ!!!!何をしている!!」とね。幸い御主人は手が離せないお仕事をしていたので、それ以上のお叱りはなかったよ。だけど、その後にお母さんからも見られてしまっていたんだ。お母さんからはくどくどと叱られたけど、ご主人のお叱りよりは恐くなかったよ。ご主人のお叱りは恐い。本気で怒ると、僕は身体をぶるぶる震わせて、ひたすらはいつくばって謝るしかないんだ。でも、今日はそんなに叱られなかったからラッキー!!と思っている。

5月7日 はれ
今日の僕はあちらこちらにオシッコを引っかけたので叱られてしまった・・・自分でもどことどこだなんて余りにも多くていえない。でも、僕は雄犬だからオシッコを引っかけてしまうのは習性で仕方がないのだ。とくに、散歩の途中でのオシッコは大切な自己表現方法の一つだ。それはどういう事なのか説明しよう・・・それは、結局・・つまり・・あの、その・・・僕が説明すると訳がわからなくなるので、犬立大学で犬行動学を研究している先生が書いた本、[犬にもわかる優しい犬の行動学]から抜粋してみようと思う。「雄犬にとって、オシッコを引っかける行為は大切な自己表現方法の一つです。特に散歩時におけるオシッコは他の犬にも自分という存在を知らせる役目を持っています。そのため、犬は片足を大きく、より高く上げて、たとえば電柱などへオシッコを引っかけます。これは、自分自身をより大きく力の強い犬だと主張したいからに他なりません。より強く身体が大きいと知らせることによって、オシッコを引っかけた場所は自分のテリトリー(なわばり)を強烈に保持できるのです。たとえば、そのオシッコの匂いが弱々しいものであれば、他の犬からその場所にオシッコを引っかけられテリトリーを失ってしまうことになります。より自分を大きく見せるという行為は、魚のふぐなどが敵に出会った時に身体をふくらませる行為に似ています。」・・・・・だって、さすが、犬にもわかるとうたっているだけにわかりやすいよ。まぁ、そういうことなんだってさ、だからあんまりおこらないでね。御主人!!

5月6日 はれ
僕は、我が家の歴代秋田犬5頭の内で二番目に「頭の良い犬」と言われている。・・・・・・な〜んだ、「一番頭の良い犬」じゃないのか・・一番はなんと言っても初代である「ブチ」という犬だそうだ。ブチは耳が長かったそうだ、まるでロバの耳のようだったという。僕も子供の頃は耳が異常に長くて、耳だけは成犬並みの大きさだと言われたことを覚えている。御主人の言うことには「耳の大きな犬は頭が良い」と言うことらしい。まぁ、これは御主人の経験上から言うことなのだけれど、僕も頭の良い犬と言われて悪い気はしないよ。でも一番じゃないのがちょっと悔しい。「ねえねえ、僕が歴代の中で一番になれることはある」と御主人に聞いてみた。御主人は、すぐさま「人の言うことを聞かない犬では一番だなぁ」と断定的に言い放った。そんなぁ〜、服従訓練では、ちゃんと言うことを聞いているじゃないか・・・

5月5日 はれ
今日は「こどもの日」、いわば、ぼくはこの家のこどもみたいなものだから、今日は大いばりで、言いたい放題、やりたい放題をしようと決めた。やりたいことと言えば、「野山を思いっきり駆け回ること」、言いたいことと言えば、「もっと食事を豪華にしろ」等々、声を大にして訴えた。でも・・・ことごとく無視されてしまった。今はとても忙しい季節なので犬の言葉が耳に入らないらしい。仕方なく、今できることをした。それは「お昼寝」だ。でも、楽しいことが三つあったよ。一つ目は、近所の猫さんとにらめっこ、4〜5分ぐらいにらめっこしていたかなぁ、二つ目は御主人とサッカーボールで遊んだよ。舌がこれ以上伸びないぐらい「ハァハァハァ」と出したよ。最後は、お母さんと夕焼けを見ながらのお散歩だったよ。僕の主張はかなえられなかったけど、平凡だけどとっても楽しい一日だったよ。

5月4日 あめ
一日中、雨がざーざー降り続けていた。僕は犬小屋の中で欠伸をかみ殺しながらウトウトと居眠りをしていた。今日は家族がみんな家にいるけど雨が降っているせいか誰も僕の処へやってこない。御主人も雨で暇なようだ。この人だけは僕の処へやってきて、眠っている僕を無理矢理起こして、「ゆっくり、ねんねんだよ」とやさしく僕の身体をぽんぽんとたたきながら言う・・・・「だから、いままでゆっくり寝ていたんだって!!」もう、しょうがないなぁ・・・御主人の行動は矛盾することばかりだ。おまけに僕のことを赤ちゃん扱いだ。もうすぐ4歳になる成犬である雄の秋田犬に向かって「ねんね」もないもんだ・・・・ただでさえ憂鬱な雨なのに、よけい気が滅入ってくるよ・・・

5月3日 はれのちくもりときどきあめ
農繁期にはいると御主人はいっさい僕の世話をしなくなる・・・今日も朝出て行く時に僕の頭をなでて「お留守番だよ」と言い捨てていってしまった。それからお昼に帰ってきて、又出かけていった。それっきり夜暗くなっても帰ってこない・・・御主人は田んぼに行っているって言うのはわかっているんだけれど、他の家族はどこへ行ったのか姿形もみえない・・・僕の散歩は・・・イヤイヤ、それより大切なご飯はどうなってしまうんだろうか?無事食べることが出来るのだろうか・・・危うし!!秋田犬、睦号・・・・!!

5月2日 はれ、かぜつよし
わ〜い、わ〜い・・・・と、みんながゴールデンウイークだの大型連休だのと言っているので、僕も浮かれはしゃいでみたものの、「えっ?、それってなぁに?」状態なのだ。御主人のお話によると、お休みの日が何日か続くらしいのだ。でも・・・これで関係あるのはお母さんぐらいかなぁ?、御主人は農繁期に入ってお休み無しだし、お兄さんも余り関係はないようだ。今日もお仕事で出かけていったしね。勿論、犬の僕にとっては無縁そのものだ。だけど、飼い犬、特に番犬にとっては毎日がお休みのようでもあり、毎日が仕事なようでもある・・・・番犬は人間の世界のお仕事で言うとお店屋さんみたいなものかなぁ?お客さん(我が家に侵入してきた人のこと)がやってきたのへ吠え立てるお仕事だからね。それとも、警察官かなぁ、うん、警察官がぴったりのように思う!!そうだ、前に御主人から「犬のお巡りさん」という歌があると聞いたことがある。ええっと?たしか「子猫ちゃんが迷子になって泣いているので犬のお巡りさんが困って、わんわんわん・・・・」駄目だ、僕は警察官にはなれそうもないよ・・・僕は猫さんと相性が悪いから、子猫が迷子になってやってきても面倒を見ることが出来ないよ・・・

5月1日 はれ
「はぁぁ〜、気持ちいい〜」、腹の中までしみ通るような暖かさ!!これぞまさしく春爛漫、イヤ、もう夏に近いのかもしれないね。ごろんごろんと横たえた身体を地面にこすりつけて、一匹で、その気持ちよさにひたっていると、御主人がうらやましそうに僕の方を見ている。御主人はビニールハウスの中で汗を拭き拭き稲の苗にお水をかけるお仕事をしている。時々、僕の処へやってきては、鼻を突っついたり、身体を揺り動かしたりして、お昼寝のじゃまをして意地悪をする・・・・僕が余り気持ちよさそうにお昼寝をしているので嫉妬しているに違いない。でも・・・・犬にだって、たまには、こんなにも素敵な一日があっても良いんじゃないのかと思うよ。ご主人!!・・・・えっ?おまえにとっては毎日が素敵で、最良で、すばらしくて、自堕落で、惰眠をむさぼる日々だって?・・・・・・そこまでいわれると、思い当たる節もなきにしもあらずだけれど、飼い犬って、たいがいそんな生き方なんじゃないの!!