平成16年6月
6月30日 くもりときどきあめ
今日は、久しぶりに御主人に叱られた。おまぬけ犬の僕はいつも御主人に叱られてばかりいると思っている人は大いなる誤解をしている。いつもはほめられる方が多い・・・と、思う・・・ところで、今日はどんないたずらをして叱られたかというと、御主人がお米を何処かに送るために荷造りをしていた。僕は側で、のほほんとお昼寝をしていたんだ。そんな僕の目にとまったのが白いガムテープだ。どういう訳か僕はガムテープが大好きだ。御主人の隙を見て、それを口にくわえて逃げ去った。そうしてフセの格好でそれをカミカミしながら至福の時間を過ごしていたんだ。すると、そこへ御主人の怒鳴り声!!僕はびくんと身震いをして立ち上がった。「ガムテープ、ちょうだい」と優しい声で僕に手を差し出す。しかし、僕からテープを受け取った途端、僕の頭を押さえつけて「いたずら犬めっ!!!」と何度も何度もしかりつけた。僕はいつものように地べたに、はいつくばって、お叱りが終わるのを待った。まるで雷様が通り過ぎるのを待っているようだ。やっとお叱りが終わって、立ち上がった後、僕はなんのために叱られていたのか、跡形もなく忘れてしまっていた。夕立の黒雲が通り過ぎ、後には一片の雲もなく晴れ渡った夕空のようにさわやかな気持ちだった・・・・
6月29日 くもりのちはれ・・・
「やりきれぬ 怒りの果ての ふて寝かな」・・・禄食
何となく俳句・・・と言うのか川柳というのか、一句詠んでみたよ。
別に、やりきれない怒りなど何もなかったのだけれど、ふとこんな句が浮かんできた。もしかすると、僕の意識の奥底には御主人に対するやりきれない思いが潜んでいるのかもしれない。怒りを抑え込めば押さえ込むほど、後々が恐いという・・・・よい子ほど恐いというのはきっとこんな事を言うんだね。飼い犬はお気楽犬、のほほん犬、気まま犬と思っている人は思いを改めた方が良いと思うよ。犬の心の中に鬱積した物がいつ表面に浮かび上がってくるかわかったものじゃない。いきなり「ガウン、ガルルルル〜」とうなって歯をむき出しにするかわからないからね・・・・以上、蒸し暑い日の一服の清涼剤、犬の怪談をお送りしました!!・・・?
6月28日 はれのちあめ
朝からお日様も見えたので、今日は一日晴れかなって思った。御主人も小さいビニールハウスに植えてあったタマネギが収穫時期を迎えたのでその作業に汗を流している。タマネギは収穫しても何処かに干しておかないと腐ってしまうのだそうだ。御主人は何処に干そうかとあちこち見て回っているようだったけれど、そんな御主人を見て、僕はイヤな予感におそわれた・・・もしや、まさか!!やっぱりそうだ!!御主人は収穫したタマネギを犬小屋の真上につるし始めたのだった。そして、僕のお家の廻りはたちまちタマネギの匂いに満たされてしまった。ちょっと!!みんな信じられる!!犬にとってタマネギは猛毒だよ。犬が食べると血液中の白血球だか赤血球が破壊されてしまうと言う必死の毒薬だ・・・それを大量に犬小屋の上にぶら下げるなんて・・・御主人の常識を疑ってしまうよ。きっと、御主人には「犬の呪い」が降りかかるに違いないと僕は確信した。その如く、午後になると、今まで晴れていた空が、一天にわかにかき曇り、雨がざーざー降り始めたのだった。それは、しばらく止むことはなかった。やっぱり天罰や呪いって有るんだよね!!御主人思い知ったか!!(ただいま、「新耳袋 第九夜」発売中・・・って、それってなぁに?)
6月27日 うすぐもり
今日の夕方散歩は、久しぶりに自転車散歩だった。最近の散歩は、ちょっとその辺までと言った歩き散歩だった。言ってみれば御主人が散歩へ行くのが面倒くさくて、そんな感じの散歩になってしまったらしい・・・しかし、それじぁ、犬の立場って言うものがないじゃないかと僕が抗議をすると、今日、自転車で散歩に連れ出してくれたわけだ。僕は喜び勇んで出かけてみたものの、どうも自分の身体が重くて思いっきり走る気にもならない・・・しょうがないので早足で歩く。それでも疲れてしまう。御主人はそんな僕に走るのを無理強いしなかった。やっと散歩が終わって家に帰ってくると、御主人がボールを取り出してポンポンと弾ませて僕を誘う・・・・冗談じゃない!!僕は散歩で疲れているんだ。今はそんな気分じゃない・・・・どうやら、僕が太っていると思っているらしくボール遊びをさせてダイエットさせようと言うのがねらいらしい。だから。僕は太っているんじゃないってばぁ〜、ただ、今は梅雨だから体中の毛に湿気がたっぷり吸い込まれて重いだけなんだよ〜・・・・
6月26日 あめ
梅雨に入ったというのに、どんよりと曇った毎日ばかり続いていたけれど、今日は梅雨らしく雨がシトシトと夕方まで降り続いた。御主人は、この一週間のお仕事で疲れたのか、僕の処へ「ご機嫌伺い」にも来ないで本を読んだり寝てばかりいるようだ。最も、僕は年がら年中寝てばかりいるけどね・・・ものの本によると、犬が24時間の内で起きている時間は3時間だけなのだそうだ。犬の寿命が長くて20年ぐらいだとすると、自分が犬だと意識する時間、つまり目が覚めている時間というのは2年半しかないことになる。後の17年半は寝てばかりいることになる・・・・犬の人生?・・・いや、犬の犬生って、いったい・・・・?
6月25日 くもりであめがぽつりぽつり
今日の夕方散歩で、僕はまたも御主人に反抗した。一番目の分かれ道で、御主人は「右に行け!!」といったのだけれど、僕は、その言葉を無視して左の方へ歩き始めた。左の方に行きたかったからだ。別に深い理由はない。なんだか反抗することが楽しくなってきたのだ。人間の子供は、ある程度の年齢になると「反抗期」というものが訪れるらしい。僕も来月の末になると4歳になる。僕にも反抗期がやってきたのかなぁ? 結局の話、御主人は僕を無理矢理、右の方の道に行かせようとして散歩紐を引っ張ったのだけれど、僕は大地に足をしっかり踏ん張って抵抗したのだ。御主人は腹が立ったのか、「それじゃ家に帰ろう」といった。その言葉にあっさりと踏ん張っていた四つ足の力を抜いて家の方に向けた。そして、僕は軽い足取りで家路をたどったのだった。「いったい これって、なぁに?」自分自身の行動が理解できないでいる僕なのだった・・・・・
6月24日 はれているけどぼんやりしたてんき
夕方散歩の時、僕は御主人に反抗した。反抗と言っても、暴れてうなったり噛みついたりしたわけではない。万一そんなことをしたら衣食住はもとより、今までの生活のすべてを失ってしまうことにもなりかねない・・・実は、散歩コースのことで意見の違いが出てきたので、僕は分かれ道のところで足を踏ん張って「絶対こっちのコースへ行く!!」と主張しただけなのだ。一度目は、しばらくにらみ合った後、御主人の方がおれて僕の希望通りのコースへ行くことが出来た。2度目の分かれ道で、もう一度意見の違いからにらみ合った。ここではどうしても、僕の好きなコースを行かせてもらわなければ散歩の楽しみが半減してしまう。ここではかなり長い間自己主張を戦わせたけれど、御主人が無理矢理、散歩紐を引っ張ったので、僕は渋々御主人側のコースを歩くことになってしまった。何度も、その分かれ道を振り返りながら、名残惜しそうにのろのろと歩いた。だって、僕のコースの方に行くと、御主人の叔父さんの家があって、小さな子供達や、メスの子犬がいて楽しいことが待っているんだもん!!つまり・・・それは・・・おやつがもらえるって事なんだ。
6月23日 うすぐもり
台風さんが行ってしまったら、急に梅雨らしい空になってしまった。空気も湿気を含んでいて、気温はそんなに高くはないんだけれと御主人は汗だらけになってお仕事をしているようだ。僕の毛皮も、なんだかしっとりと湿り気を含んでいるようで自分の身体が重く感じられる。基本的にはシャンプーは大嫌いなんだけれど、この時期ばかりはシャンプーをしてもらって、ドライヤー?・・・なんて言う乾燥機のような物でしっかりと毛を乾かしてもらいたいような気持ちになってしまう。犬の気持ちなんて勝手な物だとご主人は言うけれど、身に降りかかる火の粉(湿気とべたべた)は払わなくちゃね。おっと、飼い犬の場合は、払ってもらうと言い換えなければいけないのだ。
6月22日 あめのちくもりかぜつよし
夕べから今朝にかけて、ものすごい風が吹いて恐かったよ。僕はじっと犬小屋の中で寝ていたよ。台風さんは確実に我が家を訪問したようだ。でも、そんなに暴れなかったらしくて、今朝起きて辺りを見回してもそんなに昨日と変わってはいなかった。ただ、御主人が畑に植え付けた野菜がみんな横になっている。トウモロコシ、なす、ピーマン・・・・犬にはどうって事もないものなんだけれどね。ほっておけば、又立ち上がってくると思うよ。とにかく、たいした被害もなくて安心したのか、御主人は午前中から何処かへ行って一日帰ってこなかった。僕は今日一日、一人でお留守番だったよ。台風一過の青空とはいえない曇り空・・・それでも台風さんが去っていったという安心感からか、ぐっすり眠れたよ・・・・イヤイヤ、のんびりとお留守番をすることが出来たよ。
6月21日 はれ、かぜつよしのちくもってひどいかぜ
昨日、台風さんにはなんのおもてなしもいらないと言っていたご主人だったが、今日になって、急いでハウスのビニールをはぐやら、細かい道具などを片づけるやらで、お迎えの準備に大わらわだった。それを僕は冷ややかな目と大きな欠伸で見ながらお昼寝をした。何しろ午前中から気温30度を軽く超えてしまったものだから、毛皮をまとっている僕は、もうたまらない・・・トラクターの下に潜り込んで息も絶え絶えといった有様だ。なんとか、午前中に台風さんをお迎えする準備が整ったようで、午後からご主人様は何処かへお出かけしてしまったよ。夕方になって御主人が帰ってきた途端、東からの風が猛烈に強くなって、僕達の夕方散歩は前にのめり込むような形で歩かないと進めない状態になった。僕と御主人は合意の元で散歩を早々に切り上げて家に帰ったのだった。だが、台風さんはまだお出でになったわけではない・・・今行きますよ・・・と言う挨拶代わりに強い風を吹かせているに過ぎない・・・これから、どうなるのか?ハラハラ、ドキドキ、わくわく!!の夜が始まるのだ。でも・・・台風さんって、随分失礼だと思わない?だって僕の家へ真夜中に訪問するんだよ。常識はずれだよね。ちなみに、台風さんのお名前は「台風6号」さんというらしい。
6月20日 あめ
今日も雨・・・・今日は昨日よりだいぶ多く降った。おかげでどこにも出かけられないので、お昼寝をして過ごした。「遣らずの雨」・・・と、言ったところかな?最も、飼い犬の僕は紐でつながれているので普段の日でも何処へも行けはしないけどね。夕方になって雨が小降りになってきたので、御主人は意を決して僕を散歩に連れ出した。僕に散歩をさせたいという気持ちより、この前、種をまいたばかりの大豆畑が水浸しになってやしないかと気になるかららしい。そこへ行く途中の水路はあふれんばかりにゴウゴウと音を立てて水が流れていく。幸い、僕の家の大豆畑は水浸しにはなっていなかったけれど、廻りに堀上げた排水路からは勢い良く水が流れてきて、排水溝に落ちていった。散歩に行けたのは良かったけれど、おかげでお腹が跳ね上げた泥で真っ黒になってしまったよ。後、気になることがある。台風さんがこちらにお出でになるらしい。「大変だ、何かお迎えの準備をしなくちゃ」という僕に、「余り丁寧なお迎えをすると、台風がつけあがるので普段通りで良いと」言われた。でも・・・・反論をしたかったけれど飼い犬には決定権はないので、そのまま黙っていた。「果たして、台風さんはやってくるのか!!待て!!明日、明後日という日を!!」語気激しく言う僕に、御主人は「待たなくて良い」と言い捨てた・・・
6月19日 あめ
久しぶりの雨・・・僕は雨音を聞きながらコンクリートの床の上に横になった。御主人は雨降りだというのに雨合羽を着てお仕事に出かけていったよ。そしてお昼前に帰ってきたと思ったら、雨合羽を着ていったというのに服やズボンなど、全身ずぶぬれになっていた。これって、どういう事なのかなぁ・・・・?こんな変な出来事を見せてもらえる僕としては退屈しないのでうれしいのだけれど、本人にとっては不便なことだろうと思う。でも、いつも僕が、お間抜けなことをして、この日記の題材になっていることを思えば、たまには、御主人のおまぬけぶりも話題にしても良いと思うよ。
6月18日 はれのちくもり
夕方になって、御主人がお仕事を終えて帰ってきた。疲れたような顔をしている。「どうしたの?疲れたの?一生懸命お仕事をしたんだね」と、僕はねぎらいの言葉をかけた。そして、この後で「早く散歩に行こう!!」と催促したのだった。御主人は心底、疲れ果てているようだったけれど、人のことばかり考えてもいられない。犬にとって散歩は生きていく上で欠かすことの出来ない重要な日課なのだ。御主人は、仕方なく僕に散歩紐を付けると、のろのろと歩き始めた。散歩の途中で猫さんの姿を見つけたので、追いかけようとしたけれど、こんな御主人と一緒じゃどうしようもない。僕も、のろのろと歩いたよ。亀さんだってこんなに遅くは歩かないよ。なんて思いながら、距離にしては、たいしたことはなかったが、時間は長くかかってしまった。家に帰り着くと、「早くご飯をちょうだい!!」とさらなる要求をした。ヤレヤレ・・・と言うような顔をして御主人は食器を持って家の中に入っていった。「立っている者は御主人でも使え」という犬のことわざがあるけれど、ほんと便利だねっ!!
6月17日 はれ
今日は、すこし胃の調子が悪いので薬を飲んだ。薬と言っても人間が作った犬用の薬じゃなくて、犬が本能で知っている薬になる雑草をちぎって食べたのだ。そして、しばらくたってから、飲み込んだ草を吐き出すのだ。すると胃の中がすっきりして、普段通りご飯が食べられるようになる。ご先祖であるオオカミさんはものすごい知識を本能として持っていた物だと今更ながら感心する。それを受け継いでいる僕達犬族は、そんなご先祖に感謝の気持ちを持たなければいけないと思う。でも・・・・出来たら夏には毛皮ではなくて裸になれるような遺伝子を残して欲しかったなぁ・・・ハァハァハァハァ・・・・暑いっ!!!!!
6月16日 はれ
今日は犬にとっては暑い一日だった。だから、ひんやりするトラクターの下に潜り込んでお昼寝をしていたら「むつ犬、出てこい」と、御主人の声がする。こんな暑い時に誰が出て行くもんか・・・と、頭では思っているのだけれど、飼い犬の習性で「呼ばれたら御主人の側に行かなければいけない」という犬にとっては誠に都合が悪い行動をとってしまうのだ。今日もトラクターの下からはい出て御主人の所へ行ったのだけれど、大して重要な用があるわけでもない・・・頭を一なでされてそれで終わりだった。僕はしゃくに障ったので、お日様がカンカン照りつける日向に出て行ってごろんと横になった。勿論、御主人に対する嫌がらせだ。「僕は暑くてトラクターの下で涼んでいたのだけれど、たいした用もないのに呼ばれて、迷惑しています。」という意味のことを行動で表したのだ。犬は人間の言葉がしゃべれない分、行動で訴える動物なのだ!!!
6月15日 くもりいちじぱらぱらあめ
最近の御主人は忙しそうだ。何をそんなに動き回らなければいけないようなことがあるのかと不思議に思う・・・おかげで、僕の朝夕の散歩はおざなりになってしまう。こんな御主人を見ていると、「僕は犬で良かったぁ!!」と心底思う。一方、御主人は次から次と発生する雑用にうんざりして、心の底から犬になりたい!!と思っているのではないかと思う。それは当然だ。朝散歩に行っておやつをもらい、日中は昼寝をしながら時々、番犬の仕事をこなしていればいいのだから、人間から見たら、こんな気楽な生き方はないと思う。出来れば御主人にも犬になって欲しいと思うけれど、我が家の犬になりたいなんて言ったら断固お断りをする。我が家の犬は僕一頭でたくさんなのだ。また、僕の身体と御主人の身体と入れ替えて欲しいと言われたら、これも断固拒否をする。毎日が忙しくてあくせく動き回る人間になんかなりたくないもんねっ!!!
6月14日 はれっ!!
今日は海からの風が、海から4キロメートルも離れた僕達の住んでいるところまでふいてきたので気温が高かった割には涼しかったよ。でも・・・・御主人はこんな天気になると、花粉症なのか単なる鼻炎なのかわからないけれど、鼻水を垂らしながらお仕事をしている。今日は大豆の種まきだったけれど、お昼に帰ってきた時は鼻のあたりが真っ赤になっていた。午後は、どうにもたまらなくなって薬を飲んだらしい。話は変わるが、飼い犬は御主人に似るという・・・僕も最近くしゃみがやたらに出ることがある。もしかしたら御主人の花粉症がうつったのかもしれない!!良いところが似るのなら大歓迎なんだけれど悪いところだけ似るんじゃどうしようもない・・・ところで、御主人の良い処って、どこ?、なに?・・・・
6月13日 はれ
今日は御主人に追い回された。僕はなんにも悪いことはしていない・・・・ただ、朝散歩が終わってのんびりとくつろいでいると、御主人がやってきて「身体をナデナデしてやる」という。僕は大急ぎで立ち上がって御主人の側から逃げた。すると、そんな僕の行動が気に入らなかったのか、僕を追いかけ回した。必死になって逃げたのだけど、とうとう捕まってしまい「身体をナデナデ」されてしまった。御主人は僕をかわいがるつもりで「身体ナデナデ」をしているのだろうけれど、やられる方はたまったものではない。身体をしっかり押さえ込まれて、痛いぐらいに強く身体をこする。梅雨のこの時期、湿気が多くてべとべとした空気の中にいるというのに、さらに、御主人のべたべたの僕に対するかわいがり様は実に迷惑千万の一言に尽きる!!!
(シャンプー直後の僕のビデオが公開されたので見てねっ!!)
6月12日 あめのちはれ
明け方、ひとしきり雨が降って晴れたものだから、朝から「アツアツのムシムシ」だ。・・・・つまり蒸し暑いと言うことだ。ご主人は大豆畑の関係で、こんな天気を喜んでいる。僕はと言えば、朝から涼しいところを探し求めて、あっちへうろうろ、こっちへうろうろと、さまよっている。時々、何を狂ったのか日向に出て、熱々になったアスファルトの上に寝ころんでみたりする。おまけに御主人は、思わせぶりにボールを「ぽんぽん」と床に弾ませる。犬の習性で動く物に反応してしまう僕は、それに飛びつき、この暑いのに、思いっきりボール遊びをしてしまった。汗が滝のように舌から流れ落ちる・・・極めつけは自転車による夕方散歩。これで、僕のエネルギーは、ほぼ使い果たされてしまったと言って良い。「はぁ〜、炎熱地獄みたいな一日だった。」でも、夕方はすこし涼しい風が吹いてきたのが唯一の救いだったけれどね。地獄に仏とはこのことだと、身をもって体験したよ。えっ?すこしはやせるのに役立ったろうって?・・・・だからっ!!、僕は太ってなんかいないんだってばっ!!
6月11日 はれ
朝、起きたら、もう洗濯物が干されてあったので、早速、靴下を3足と、御主人のパンツを引きずりおろした。すっかり満足して寝ころんでいると、しばらくたって、御主人が僕の行状を見つけて、又、こっぴどく叱られ、「今日の朝散歩はなし!!!!!」と、言い渡されてしまった。御主人は、朝散歩に費やすはずだった時間を洗濯物乾し場の移動に費やすことにしたようだ。僕の手(口)の届く範囲から、遠いところへ物乾し場は移動されてしまった。僕は洗濯物を引きずりおろす楽しみが無くなった事への一抹の寂しさと、御主人へのあざけりの言葉を心の中で言った。「もっと早く移動すれば、僕のいたずらは防げたのに・・・」
今更ながら、御主人に主張したいことは、犬の辞書には反省という言葉がない!!と言うことだ。犬は常に自分の行動を正しいと思っている。そして、自分にとって都合の悪いことは、常に他の人、あるいは物が悪いと思っている。だから、いろはかるたにも有る通り「犬も歩けば棒に当たる」という、かるた札は犬が歩いている時に犬の不注意で棒に当たったのではなく、他の人がそこに棒を置いたためにぶつかってしまったという、犬にとって実に都合の良い責任転嫁のことわざなのだ。
と、いうことで明日から洗濯物を引きずりおろす楽しみを奪われた、哀れな飼い犬の義憤を吐露してみた・・・・
6月10日 はれたりくもったりいちじあめ
僕は、人見知りが激しいので、よその人に出会った時は尻尾を下げて顔を伏せ、なるべく相手を見ないようにする。目を合わせると恐いからだ。そうして、明後日の方を見ながら「うぅぅ、わんわんわん・・・」と力無く吠え立てる。家にいる時、怪しい人や物を見つけた時は、元気よく吠え立てるのだけれど、道で他人にあった時は、いつもこんな調子だ。この前、上のお兄さんと散歩に行った時、向こうからトラックが来たので、僕は尻尾を下げて警戒した。「いやだなぁ〜、又よその人と行き会ってしまったよ」と思っていたら、「むつ犬!!」と僕を呼ぶ声がする。こんな呼び方は御主人しかないと思い、尻尾を振ったのだけれど、まだ遠くにいるので確信は持てない。何しろ犬は近眼なので、人物を特定できない。トラックから降りてきて、ずんずん僕の処へ向かってくる。一瞬身構えたけれど、やっぱり御主人だったよ。僕は尻尾を千切れんばかりに振って挨拶をした。と、言うわけで、みんなが僕と出会ったら、とりあえず僕の名前を呼んでみてね!!そうするとそんなに悪い反応はしないと思うんだけど・・・でも、その日の気分に左右されるからわからないけどね。なんと言っても犬は気まぐれだから・・・でも、いつも言っているけれど、猫さんほどではないよ!!。
6月9日 はれ
久しぶりに晴れたので、「なんか楽しいことはないかな」と犬小屋を飛び出した。すると、御主人が洗濯物を干している。この所、雨の日が続いたので洗濯物の量もかなり多い!!僕は「しめしめ、楽しみが出来たぞ」とほくそ笑んだ・・・ところが、以前この日記でも紹介した。「洗濯物を犬から守る犬ガード」なるものが、すぐさま設置されてしまった。でも、大丈夫、僕はこの前、この犬ガードのセキュリティシステムを破って洗濯物を引きずりおろしたことがあるのだ。御主人も甘い甘い、と思いながら洗濯物を引きずりおろす機会をねらっていた。すると、御主人は大きな段ボールを小屋の中から持ち出して「犬ガード」の前に立てかけた。ううぅぅっ、防御が二重になってしまった・・・WindowsXpのようなこざかしいセキュリティシステムだが、今のところ僕の知能では、この防御を破れそうもない・・・仕方なく、トラクターの下に潜り込んで思案に時間を費やしたが、とうとうこれを破る方法は考えつかなかった。かくして、今日の洗濯物は無事お日様の光を一杯浴びてぱんぱんに乾き、御主人の手によって再び洗濯物かごに取り入れられたのであった・・・・・残念無念!!いつか、きっと!!!・・・・
6月8日 あめ・・・
とうとう、僕達の住んでいるところも「梅雨入り」って事になってしまった。毎日こんなうっとおしい空が続くのかと思うとうんざりするけれど、この「梅雨」って言うのがないと、山の草木は勿論、田んぼや畑の作物も困るらしいんだよね。どうやら、今のこの時期に降るたっぷりの雨で作物達がぐんぐん成長するらしい。けど、困ったことに僕は毛皮を着ているので、この時期は身体が蒸れてしまう。皮膚病に気をつけないといけない季節でもあるのだ。自然のこと、自分の身体のこと、等々を思いながら、今日一日、犬小屋の中で欠伸ばかりしていたのだ。「ふぁぁぁ〜うぅぅぅ〜・・・・」
6月7日 あめ
今日は一日雨降り・・・御主人はビニールハウスに野菜の苗を植え付けるお仕事をしている。スイカ、メロン、トウモロコシ、オクラ、
インゲン、ピーマン、シシトウ、トマト、なす・・・・・僕が食べることが出来る野菜は一つもない!!御主人は苗を植えるのに飽きると、お昼寝している僕の所へ来てちょっかいを出す。ほっぺを軽くつねったり、身体を突っついたり、なで回したり・・・・とにかくうるさくってしょうがない。僕が大好物の野菜でも植えてくれるのなら、愛想の一つも振りまきはするけれど、僕には関係ない野菜ばかりなので、御主人からのちょっかいを一切無視した。つまり、知らんぷりしたって事だ。そしたら、僕の身体の毛を抜き始めた・・・抜けかかっているのを抜くんだったら気持ちも良いのだけれど、まだ、しっかりと身体にくっついている毛まで引っ張るので痛くてしょうがない。とうとう、僕は立ち上がり御主人から逃げ回る羽目になってしまった。こうして、雨降りの穏やかで平凡な一日とは言いながら、僕に対して何をしてくるかわからない御主人に戦々恐々としながら、一日は暮れていくのだった・・・・
6月6日 はれ
今日、僕の御主人は予告無しにシャンプーを実施した。僕は一生懸命抗議したんだけれど認めてもらえなかった。なにやら人間の政治の世界でも強行執行というのがあったようだけれど、僕の御主人もこのまねをしたのかもしれない。僕に有無を言わさず、足を懸命に踏ん張って抵抗する僕をシャンプー場に引き立てた。飼い犬の世界ではシャンプー条約なるものが御主人と取り交わされる仕組みになっている。
第一条.飼い主は飼い犬をシャンプーする場合、一週間から2日前までに飼い犬に、それを通告しなければならない。なお、シャンプー当日に天候、その他の事由によって実施できない時は、あらかじめ通告しておいた当日の朝までに飼い犬に中止通告を言い渡さすこと
第2条.シャンプーを実施するにあたり、飼い主は犬の感情に配慮し、シャンプーを強要してはならない。又、犬が気持ちよくシャンプーを終わらせることが出来るように犬をおだて上げ、暴れたり、嫌がらないように気をつけなければならない。
と、言うわけで、御主人は、今日、本条約の第1条と第2条に違反した。罰則は・・・・・無い・・・この条約は飼い主と飼い犬の間で何度も話し合われて、すこしずつ改正されつつあるけれど、まだ犬にとっては不平等条約と言わざるを得ない。
「はぁ〜、でも、さっぱりした!!毛も真っ白になったよ!!」
6月5日 はれ
今日は暑い一日だった。犬にとって、最も苦手な季節がやってくる。そう、夏なんだ。僕の毛がわりも一時停止の状態で、なかなか、すんなりと夏毛に衣替えというわけにもいかないようだ。人間達は6月のはじめから「衣更え」で涼しそうな服を着ている。僕は・・・と言えば、まだ冬の毛皮なんだ。早く抜け手欲しい!!今日は暑いので一日トラクターの下に潜り込んで過ごした。
6月4日 はれ
今日は、なんだかわからないけれど御主人に叱られた。両方のほっぺをぎゅっと握られて、左右に引っ張られた・・・僕のほっぺはあぶったお餅のようにビロ〜ンと広がり、他人様には見せられないぐらいみっともない顔になってしまった。こうして御主人は、洗濯物がどうのこうの、引っ張って泥だらけだの、いたずら犬だのとさんざん小言を僕に言い続けた。でも、僕には全然心当たりがないので平気で聞き流していた。そんな僕にあきれたのか、御主人がほっぺを引っ張っていた手を放したので、僕は安全なところへ逃げていったよ。御主人が言ったようないたずらを、もしかすると僕がしたかもしれないけれど、記憶にないものは反省のしようがない。犬の記憶は、すぐ薄れて消えてしまうので、僕の記憶がまだ残っている内に叱って欲しいなぁ、御主人!!でも・・・・叱られたからといって、一時は反省するかもしれないけれど、そのいたずらが止むかと言えば、それは保証の限りではない!!
6月3日 はれ
最近、自転車散歩をしていないので、体力が落ちているようだ。御主人とボール遊びをしていても、すぐ息が上がってしまって舌をダラ〜ンとのばしてしまう・・・これから夏場に向かうので、少々太り気味の僕の身体では夏を乗り切ることが出来ない・・・だいたい御主人がいけないんだ!!!僕の散歩を怠けてばかりいる。僕の散歩をお手軽にすませようとする考え自体が間違っている。!!だから自分の体重も増え続けているんだ!!僕の散歩をないがしろにして、75キログラムの体重をあと5キロから7キロ減らしたいなどとのたまうことこそ、おこがましい考えというものだ。身の程を知るが良い!!!!ハァハァハァ・・・つい、興奮してしまって御主人に対して過激な考えを口走ってしまったよ。これって御主人には内緒だよ。
6月2日 はれ
夕方5時の時報に合わせて、久しぶりに遠吠えをしてみた。廻りに誰もいないと思って「うお〜ん、うお〜ん」と2度遠吠えをしたよ。とっても気持ちよかった。それに、どうやら今夜は満月のようだ。東の空から、まん丸お月さんが空高く昇っている。犬が人間の友となってから何千年もの月日が流れたけれど、僕達のご先祖が太古の奥深い森の中で遠吠えしていた頃の野生の血が、いまだに沸々とたぎるのを感じる。よし!!もう一回遠吠えをしようと、顔をまん丸のお月様の方へ向けて、「うお〜・・・・」と、吠えようとした、その時「むつ、散歩の時間になったか」と御主人の声。はっ、として辺りを見回すと、御主人がビニールハウスの中から僕の方を見ていたよ。僕は遠吠えしたのが急に恥ずかしくなって、知らんぷりをした。やっぱり、気持ちよく遠吠えするのは、あたりに誰もいない方が良い。人間達が、そっと歌を口ずさむのと同じだよねっ!!!
6月1日 はれ
夕ご飯の時、この前、御主人が旅行に行ってきた時のお土産をもらったよ。「温海温泉」って所へ行って来たんだって、僕がもらったお土産には「温海まんじゅう」と書かれていたよ。行って来た処がはっきりしていて、とてもわかりやすいね!!僕の足の裏ほどもある大きさのおまんじゅうを丸ごともらった。でも・・・甘いお菓子のようなものは犬にとって禁断の食べ物じゃなかったの・・・?こっ、これは何か裏がある!!僕はとっさにそう判断して、いったん口の中に入れたものを吐き出して、様子を見ながら端からすこしずつ食べ始めた。御主人は調子の良い言葉を並べて、僕に早く食べるように催促する。「ガリッ!」あれっ?柔らかいおまんじゅうのはずなのに中に何かが入っている・・・?・・・はっ!!今日は月初め!!ヒィラリアの薬を飲まされる日だ!!みんなも、ご存じの通り、ヒィラリアは犬などに寄生する恐ろしいものだ。それを一ヶ月に一回薬を飲むことによって防御される。つまり、この薬は、御主人が使っているインターネットなどを通じてコンピューターに侵入するウイルスなどをブロックするプログラムのようなものだ。そうと気付いた時は、すでに遅く、薬はおまんじゅうとともに僕の胃袋の中へ直行してしまっていた。早い話が、僕は御主人にだまされて薬を飲まされたって言うわけなのさっ・・・僕の命を守ってくれることにどうこう言う訳じゃないけれど、飼い犬と御主人の信頼関係をこんなだますような形で傷つけて欲しくないなぁ・・・!!