平成16年8月
8月31日 ぼうふうう
朝から雨が降った。朝散歩に連れて行ってもらう確率は絶望的な数値だ。僕はあきらめて、ふて寝をしていると、急に風が強くなって草木をなぎ倒すように吹き荒れ始めた。「なっ、なんなのこれ?」と、尻尾を下げて呆然と吹き荒れる風を見ていたら、僕のことを心配してきたのかどうかはわからないけれど、御主人がやってきて「台風だよ」と教えてくれた。前に台風がやってきた時は来る前に教えてもらっていたけれど、今回はぜんぜん知らなかったのでびっくりした。でも、この前みたいに猛烈な台風じゃなかったようだ。だけど、いつも近所の猫さんがのんびりしている、小ビニールハウスの屋根が破れたらしい・・・「張り替えかな」って御主人が言っていたよ。今回は風の他に雨が降ったので、「この前よりは作物への影響は少ないようだ」とも、言っていたよ。
えっ僕?・・・僕にはなんにも影響はなかったよ。ただ尻尾が風の勢いで、だらんと下がってしまうのが、ちょっと格好悪かったかなぁ?、あっ、決して台風が恐くて尻尾を下げたんじゃないからね。誤解しないでよね!!
8月30日 はれ
あっ、暑い!!・・・・近頃涼しくなって、めっきり秋らしくなっていたのに、この異常な暑さはなんなのだ!!「ガウン、ガルルルル〜」と怒りの唸り声を上げたいぐらいだ。余り暑いので、トラックの下に潜り込んでいると、御主人から「トラックを使うから、どけ!!」と言われる。無視していると、紐を引っ張って引きずり出された。トラクターは小屋の奥にしまわれてしまったし、僕は何処へ行けばいいの?、この35度の気温の中、僕は生きるミイラになってしまいそうだ。器の中の水もなくなってしまった。御主人以下お母さん、上のお兄さんもお出かけしてしまった。・・・・頼みは下のお兄さんだけなのだが・・これはどうも余り当てにならない。結局僕は転々と涼しいと思われる場所を探して今日一日を乗り越えたのだった。「生きているってたくましいっ!!」
8月29日 はれ
朝、ついに御主人が帰ってきた。お母さんの自動車に乗って帰ってきた。僕は尻尾を大きく振って「お帰り!!」言った。子供の頃のように大はしゃぎすることはしなかったけれど、僕は照れながら御主人に身体をこすりつけた。そして、恒例の「お帰りの踊り」を踊った。嬉しかったよ。夕方散歩はだだもこねないで素直に御主人の行くコースを歩いたよ。そして、鯛のお頭の入った豪華なご飯が出た。「飼い犬は三日やったら止められない」ってことわざは本当だねっ!!!!
8月28日 はれ
これは、まぁ・・・しょうがないことだけれど、御主人がいないので、二人のお兄さんとお母さんと出僕の世話をするんだけれど、朝散歩へは連れて行ってもらえない。ご飯は遅い・・・ナデナデしてくれない・・・のんびり楽しむはずだったのに、不満ばかりたまっていく。それでも、おやつをもらったり、甘やかされたりしているので、それなりにたのしんではいるけどね・・・・だけど、そろそろ御主人に会いたくなってきたよ。たった2日いないだけなのにね。
8月27日 はれ
御主人は、今日から旅行に行くようだ。やっほー!!これで御主人の束縛から逃れて、のんびり出来るぞ!!旅行に行っている間中に、何か楽しいことを考えてめいっぱい楽しまなくちゃね!!・・・と、言っても紐でつながれている飼い犬が出来ることは限られているけどね。
8月26日 はれ
今日は、夕方散歩の時間になっても御主人がお仕事からなかなか帰ってこないので、上のお兄さんが散歩に連れ出してくれた。上のお兄さんと散歩に行くと、いつもラッキーなことに出くわすんだ。それにお兄さんは僕の言うことをたいがい聞いてくれる。「あっちへ行きたい」って言えばその通りにしてくれる。御主人はそうはいかない。何でも自分の思ったとおりに進めてしまうんだ。だから、いつも言っているように、散歩コースのことでいつもにらみ合うんだ。今日の散歩は僕の行きたいところへ行かせてくれた。それは、御主人の叔父さんの家がある方向だ。目的はただ一つ!!!その家に行って、何かおやつをもらうためだ。そして、思った通り、僕はおやつをもらうことが出来た。出来れば、そこの家のリトリバー犬にも会いたかったけれど、こっちの方は徐々に顔合わせをすることにして、まずはおやつをたっぷり戴いて、大満足して我が家に帰った僕なのだった。家に帰ると、すでにお食事の支度は出来ていて、僕は待たずに食事をすることが出来た。でも・・・・少々おやつをもらいすぎたかな?
8月25日 はれ
今日も平穏無事に一日が終わってしまった。近頃の僕はお利口さんになったので「お間抜けな」事を余りしないようになってきた。御主人は、そのことが嬉しいと思う反面、この日記に書くことが無くなってきたので困ってもいる。鵜の目鷹の目で僕の行動をいちいち観察しているようだけれど、過ごしやすくなってきたこの時期は、ただ一日中寝そべっているだけなのだ。だから子供の頃のように「おまぬけ」な事はしない・・・・今日も柱にぐるぐる巻きになってしまったけど、御主人が「ぐるぐる」と声をかけてくれたので、一人で元に戻れたよ。それから夕方に帰ってきた御主人に「お帰りの踊り」をしたとき、足が滑って転びそうになったけど、何とか立ち直ることが出来たよ。ねっ!!ほら、最近の僕に「おまぬけ」という言葉はないといってもいい・・・・かな?
8月24日 あめ
もぉうっ!!御主人たらっ!!!僕が一人遊びをしていると、いつもじゃまをするんだから!!プンプンプン、ガウンガルルルル〜
今日も小屋の奥にある冷蔵庫の上から空になったペットボトルをくわえてきてフタを開けようと一生懸命カミカミしていたら、御主人が帰ってきて、「そのボトルの中身はおいしくないよ」とか、「ムツ楽しそうだなぁ」とか、僕をナデナデしながらいろいろ話しかけてくる。僕はボトルを開けて中身が「何かなぁ〜」と、舌でぺろぺろするのが楽しみなんだ。開ける前から中身のことがわかってしまったら楽しみが無くなってしまう。それに、僕が嬉しかろうが悲しかろうが御主人には関係ないことだ。それをペラペラと僕の側でしゃべったりして!!「一人遊びのじゃまなんだよ」・・・僕は余りうるさいのでボトルをくわえたまま立ち上がってすこし離れたところに座り込んで、又ボトルに夢中になった。今度は何もしてこない。僕に嫌われたと気付いたらしい。その通りだよ。すこしお利口さんになったね。御主人!!
8月23日 はれのちくもってあめ
この所、平穏無事な日々が続く。つまり平和って事だ。でも、こんな穏やかな日々も、もう一ヶ月余りで破られることになる。稲刈りが始まるのだ。それが始まると小屋の中は籾乾燥機の音がうるさいぐらいに響き始める。それに、小屋の中は出荷間際の米がずらりと並べられるので、泥棒さんが来ないか心配だ。だから僕は夜でも緊張して見張り番をしていなければならない。農家の犬は人と同じで、秋が一年中で最も忙しい季節だ。人間たちは良い。一日お仕事をしたら後は自動の乾燥機に任せてぐっすり眠れるのだから。だが犬はそうも行かないって事はさっき書いたとおりだ。最も、ぐっすり寝ようたってうるさい音で寝ることが出来るわけがない。うつらうつらと舟をこぎ、朝を迎えることになるのだ。しかし、朝になったからと言って盗難の心配が消えたわけではない。僕は昼夜を分かたず、秋の間は、番犬として働き続けなければいけないように定められてしまった飼い犬なのであった。秋だけは猫さんがうらやましい・・・・
8月22日 はれ
今日もさわやかな風が吹いて、僕は軽トラックの下に潜り込んでお昼寝をした。日曜日と言うことで御主人も暇なのか、僕にさわりに来る・・・いつもの事ながら迷惑だ。「クイッ、クイッ」と、僕の紐を御主人が引っ張る。死んでもこの下から出て行くもんかと思って身構えたけれど、向こうも紐を引いたぐらいで僕が出てこないのを先刻承知しているようで、本気になって引っ張っていないようだ。今度は「シャンプー」という言葉を使って僕を脅しに来た。この言葉に僕はとても敏感なのだ。ビクッとして顔を上げて御主人の方を見た。これも本気じゃないようだ。僕がどんな態度をとるかを見て喜んでいる。単なる暇つぶしと言うところらしい。僕は御主人の行動をそのよう見極めをつけたので後は無視をした。とにかく、僕はせっかくの日曜日と言うことで、誰にもじゃまされずにお昼寝をしたかったのだ。ふぁぁぁ〜ぅ・・・・
8月21日 はれ
台風一家・・・・・ちがうなぁ・・・台風一過の青空が朝から広がったよ。強い風も収まって涼しい風が吹いてくる。辺りははすっかり秋の気配だ。だけど、日射しはとても強い。だから涼しい風に吹かれながら日陰でお昼寝したよ。今日はいろいろな人がやって来た。番犬としての僕の腕の見せ所ではあったけれど、電気屋さんはいつも来ているので顔見知りだ。だから「ワン、ワン」と2回ほど軽く吠えただけだ。下のお兄さんのお友達も、何人かやって来たけれど、この人達とは僕がこの家の家族になって以来の付き合いだから吠えるには及ばない。尻尾を振って近づいていくと、僕の身体をなでてくれる良い友達だ。お礼に、お友達が乗ってきた自動車の前に座って見張りをしてあげたよ。誰かがいたずらや盗みに来たりするといけないからね。「でも、誰が?、そんな変なヤツって辺所にいるのか?」と、ご主人は言うけれど、用心に越したことはない。それに、なでてもらったお礼だと言うことを態度で表さなければいけないと思ったんだ。幸い何事もなかったよ。そうしてから御主人に古い毛をくしけずってもらったんだ。毎日やってもらっているので、やってもらうたびに身体が軽くなっていくようだよ。とっても気持ちよかったよ!!!
8月20日 ぼうふうあめつき
わ〜ん!!、恐かったよぅ・・・台風さんがやってきたんだ!!ものすごい風が、ばたばたとハウスのビニールをゆさぶり、風に吹かれた草や木は今にも折れそうなぐらい横向きになって、その身体を震わせている。僕は未だかつて体験したことのない強い台風が恐くて、犬小屋の中に入って身体を丸めて寝ていた。けれど、「びゅう、びゅう、ごぉぉぉぅぅ・・・」と荒れ狂う音は一晩中鳴りやまず、眠るどころではなかった。それどころか、今朝の5時か6時頃、御主人が僕の処へやってきた時が一番強い風が吹いた時だ。僕はあまりに恐かったので御主人の処へ駆け寄った。風速20メートルだったと言う・・・そうしている間にも外に置いてある洗濯機が10メートルもとばされるし、何処かで激しく物が倒れる音がしたりする。もうこの世の終わりかと思ったぐらいだ。雨は降らないのに風だけがものすごい。「こんな台風が一番恐い」とご主人は言った。なぜなら、強い風に海の水が巻き上げられ、塩水が葉っぱに付いてしまい作物が枯れてしまうのだそうだ。なるほど、風がすこし収まった頃、畑の方を見ると、ナスやトマト、ピーマンなどが横倒しになっていて、昨日まで緑色だった葉っぱが茶色く変色している。トマトやナス、ピーマンなんか僕が食べる物じゃないのでどうでも良かったのだが、田んぼのお米の方が心配だった。台風にやられて、僕の口に入るお米が稔らなかったらどうしようかと心配だったのだ。今日一日一杯強い風が吹いたのだけれど、御主人から「峠は去った」と穏やかに言われたので安心して、犬小屋の中にこもってお昼寝をした。昨日からの寝不足も祟ってか熟睡することが出来た。夕方にはお日様も出て、夕日を見ることが出来たよ!!やれやれだね・・・・
8月19日 あめのちはれたりくもったり
ご主人は犬が大好きだ。これは前にも言ったよね。犬という言葉も好きだ。これも前に同じ。だから、毎朝テレビでやっている「今日のわんこ」を欠かさずみている。金曜日は放送がないので物足りないようだ・・・・・以上は今日の僕の行動と何の関係もない。今日は「稲刈り機械(コンバイン)」が点検整備とやらで機械屋に運ばれていったので、小屋の中が広々とした。早速僕は、小屋の広くなった所へいってお昼寝をしたよ。なんか広々としてとても気持ちがいい。そこで、ご主人にまだ抜けきらない古い毛をくしけずってもらったよ。これもまた気持ちがよかったよ。そうして、今朝は雨降りでいけなかった散歩へ夕方でかけていった。すると、宿敵の黒い犬が放し飼いで散歩をさせられているのに出くわした。この犬にはいきなり襲いかかられた苦い思い出がある。だから、なるべく見つからないように身を潜めた。やっと黒い犬が去ったと思えば、県立大学の方から僕と同じ色の犬がご主人とひも付き散歩をしているのが目に入った。やれやれ・・・どこを向いても犬だらけだ。僕のご主人もいつものコースを回るのをあきらめて、田んぼの見回りをして家へ帰ることにしたようだ。僕も仕方なしにそれに付き合う羽目になってしまったよ。今日ばかりは四つ足を踏ん張って抵抗するわけにもいかない・・・・
8月18日 あめ
今日も一日雨降りだった。僕は昨日と同じような状態でお昼寝だ。ところがご主人が小屋にやってきて、中の整理やら何やらを始めたので、僕は落ち着かない・・・・やれやれ、と思いながらもお昼寝はしたけどね。しばらく、うとうととしていると、ご主人がにやにやしながら小屋の奥から何か持って僕のところへやってきた。ご主人が手に持っているものをよく見ると、ネタネタベトベトのねずみ取りだった。べとべとの部分に白い毛のようなものが一面にくっついている。僕は首をかしげて「何だろうなぁ?」と考えたけれどわからなかった。「おまえのお友達の白猫の毛だ。」とご主人はいう。僕は、はっ!!としてご近所の白猫さんのことを思い浮かべた。別にお友達ではないけれど、よく僕の家のあたりをうろうろしている猫さんなので顔はしょっちゅう合わせている。僕が思うに、白猫さんは僕の家の小屋に忍び込み、ネズミでもねらっていたのだろうけれど、運悪くというのか、当然というのかねずみ取りに引っかかってしまい、必死の思いで脱出したらしい。ご主人曰く、ネズミの出るところには至る所ねずみ取りが仕掛けてあるのだという。だから、猫さんがねずみ取りに引っかかるのは当然の結果なのだ。幸いなのは、口や鼻がベトベトにくっついて窒息しなかったということだ。よかったね!!白猫さん!!毛が少し抜けたぐらいですんで!!
でも、小屋にはいるためには僕のいる所を通らなければいけないようになっている・・・・不思議だなぁ?と、思っていると、そこへご主人のきついお言葉、「おまえがぐっすりと熟睡している間に猫がすり抜けていったんだろう」・・・・・・そうかも m(_ _)m
8月17日 あめ
珍しく朝から一日中雨が降り続いた。この前まで続いた猛烈な暑さが嘘みたいに消えて、御主人などは肌寒いと言って厚手の服を着ているような状態だ。僕はちょうど良い涼しさで、コンクリートの床の上で久しぶりにゆっくりと熟睡することが出来たよ。でも・・・外は雨・・・寝てばかりいても退屈だし、暑さも去って幾分元気も出てきたので、何かすることはないかなぁ〜と、小屋の中を探検してみた。そんなに楽しそうなものはないようだ。だけど、日頃から遊んでいるペットボトルの大きいのが見つかったので、それをくわえてきた。真っ先にやることは、ペットボトルのフタを開けること。噛んだりなめたりしていると自然にはずれるんだ。はずれたところで中身のチエック・・・・今日はお茶の味だ。最近の御主人は甘い味の入ったペットボトルを買ってこなくなってしまったからつまらない・・・さて、その次はラベルはがし・・・・なんだけれど、今日はペットボトル相手に動き回りたいので、これを獲物に見立てて、ジャンプして飛びついて押さえ込んだり、くわえて牙を立てたりして遊んだよ。ペットボトルは、僕が攻撃するとおもしろい音を立てて泣くのでしばらくは楽しめる。そんなことをしていると御主人がやってきた。一人遊びをしているのを見られて、ちょっと恥ずかしかったけれど、御主人がペットボトルを遠くに投げてくれたので、それを拾ってきたりして遊んでもらった。御主人も雨で退屈なのか欠伸ばかりしている。僕もそれにつられて大きな欠伸が出てしまう。そんなことが3度もあった。でも、これからは、こんな雨の日が多くなってきて秋から冬になってしまうんだろうなぁ〜。退屈に押しつぶされないように、なにか趣味を持たなくちゃいけないかなぁ〜
8月16日 はれ
今日は下のお兄さんの誕生日という。それで、一家四人で僕を置き去りにして、何かおいしいものを食べに出かけてしまった。しかもお散歩もご飯も後回しで、「お留守番」を言いつけて・・・もちろん僕は事情が事情なので、まともに留守番する気などさらさら無くてトラクターの下に潜り込んでふて寝を決め込んだ。
出かけていったのは、まだ日が高いうちだったのだが、帰ってきたのはあたりが真っ暗になってからだった。しかもみんな身体からお肉のにおいをぷんぷんとさせながらのご帰還だ。僕へのおみやげはなし!!それでも、まあご主人たちが帰ってきたのだからお出迎えだけはしたよ。そして、やっと、やっと散歩に連れて行ってもらえた。散歩の途中で「もう帰ろうよ」というご主人に、ここは僕のわがままを通さなければ置き去りにされた思いがご主人に通じないと思い、大地に足をしっかりと踏ん張って抵抗した。ご主人は僕に負い目があるので、あっさりとあきらめて、僕のいうとおりの方向に行くことになった。「思った通りになったぞ」と心の中でほくそ笑んだ。実は僕が抵抗した場所からはご主人のおじさんの家が近い。さっきから焼き肉のにおいがそっちの方から漂ってくるのを僕は感じていたのだった。ご主人にはわからない、犬にだけ感じ取れるかすかなにおいだ。おじさんの家にいってみると、ご主人のいとこたちと子供たちがいる。残念ながら、お肉はもう焼き終わってしまっていてお裾分けをもらうことはできなかった。でも、子供たちからは犬ビスケットをたくさんもらったよ!!とってもうれしかったよ!!これで、置き去りにされた恨みは帳消しにしてあげるよ。ご主人!!
8月15日 あさのうちあめのちはれゆうだちあり
ご主人は雲の写真を撮るのが好きだ。と、いうより雲そのものが好きなようだ。とくに夏のもくもくわき上がる入道雲が大好きだという・・・僕は雲なんか毎日のように空にあるからどうって事はないと思っている。夕立が東の空に遠ざかり黒い雲がとぎれとぎれになると、もくもくと白い入道雲がわき上がってきた、それに夕日が当たって犬の僕がみても美しくも怖いぐらいの雲の動きだった。ご主人が僕を夕方散歩に連れ出しにやってきたとき、首に写真機をぶら下げていた。僕の散歩をだしにして雲の写真を撮る気だ・・・・僕はいやな顔をしてご主人を迎えた。散歩の途中に写真を撮ると、僕はじっとその場で待っていなければいけない。たんぼ道の真ん中で退屈しのぎをするものなど何もありはしない。あくびをかみ殺しながら、ボ〜ッと突っ立っているだけだ。そんなことを思いながらご主人につきあっていると、入道雲は真っ白なソフトクリームか綿菓子のように盛り上がり、それに夕日が当たってとても見事のようだった。(のようだった・・・というのは犬はカラーで風景を見ることができないので想像でものをいっている。)ご主人は写真を撮りおわった後も、何度も何度も立ち止まって雲を見上げるのだった。僕はそのたびにつまらなそうに付き合った。本当は早く帰ってご飯をもらいたいんだけどなぁ・・・・
8月14日 あめのちはれ
昨日の夜遅く、下のお兄さんが東京というところから帰ってきたというので、そのお友達が大集合した。自動車の置き場がないほどだった。僕は、知らない人たちがきたので、「お仕事だ!!」とわんわん!!とほえたてたのだが、あまりにも人が多いので疲れてしまってほえるのをやめた。そして、車の前にふてくされたように「ごろん」と横たわって寝たのだった。それでも、出たり入ったりするので、今朝は寝不足だ。朝散歩はいつも通りの時間だったけれど、寝不足で時々足がもつれる。僕があくびをするとご主人もあくびをする。どうやらご主人も寝不足のようだった。最も、御主人は優雅にデーブイデーとか言う丸いものの中に入っている「ろーどおぶざりんぐ3」という映画を3時間も見たせいだと僕は知っている。だって、テレビの音が僕の処まで聞こえてくるんだよ。うるさいったらありゃしない!!ああっ、またあくびが・・・「ふぁぁぁ〜」
8月12日 はれたりくもったり
朝晩はめっきりと涼しくなって、おかげで散歩がはかどる。あの暑かった時はさんざん散歩拒否をしたものだが、今日は足取りも軽く散歩に行くことが出来た。御主人が途中で「帰ろう」と言い出した時は、大地に4っの足をしっかり踏ん張って「嫌だ!!もっと遠くに散歩へ行く!!」と抵抗したぐらいだ。これで食欲も出てくれば「夏ばて」を克服したことになりそうだ。だが・・・日中はまだまだ暑い。当分は「犬の受難」が続きそうな予感がする・・・はぁ〜、雪が降りしきる凍てつく冬の夜・・僕を束縛しているロープが柱にぐるぐる巻きになってしまい、犬小屋の中に入ることが出来なくなってしまった。仕方なく、僕は薄いシーツをくわえてきてコンクリートの床の上に敷き、その上で一晩過ごしたことが懐かしくも楽しくも思える。この暑さに比べれば・・・・
8月11日 はれ
今朝は御主人が忙しいらしくて、朝も夕方も散歩はなしだった。かろうじてお母さんからはご飯はもらったのだけれど・・・・だいたい飼い犬の世話をしなければならない立場なのに、いくら忙しいからと行って飼育放棄は困る。さらに、留守番まで言いつけていくのだから横暴だ。そして、帰って来るなり「ちゃんと留守番をしていたか?」と聞く・・・・「誰が、そんな理不尽な言いつけを聞くもんか!!」と心の中で叫びつつ、上辺は「今日も一所懸命留守番に相務めました」と、すました顔で御主人に応対する僕なのだった。
8月10日 はれ
昨日の夜、ものすごい雷が鳴り続いて雨が降った。僕は御主人の薦めで、打ち水をしたアスファルトの上に「ゴロン」と横になって寝ていたら、突然の雨、しかも大粒の雨がボツボツと落ちてきた。
あわてて小屋の中に逃げ込んだ。通り雨とは言いながら、なかなか立ち去ってはくれないようだ。
しばらく小屋の中に寝ていると、ようやく雷様と雨雲は東の空に去っていってしまった。「やれやれ・・・」と、ほっと一息を付いていると「 コロコロコロ・・・」という虫の声、コオロギさん達の声だ。もう秋が来たって言うのかなぁ〜?。でも、今日御主人と行った夕方散歩でお空を眺めていると、何となく秋めいた雲に夕日が当たって涼風が僕の身体に心地よい。日中はとても暑かったけど、朝晩めっきり涼しくなったような気がするのは、僕が毛皮を着ていて気温に敏感なせいかなぁ〜。そこで一句
「大空の 果ては涼しや あかね雲」・・・禄食
8月9日 はれ
この前、台風崩れの雨雲が僕達の住んでいるところにたっぷりと雨を降らせて走り去ってしまった。御主人達は「恵みの雨だ!!」などと言って喜んでいたけれど、僕にはなんの恵も、もたらしてはくれなかった。あの後、連日30度を超える気温が僕をさいなんでいる。・・・御主人は「盆が、はよくれゃ、はよもどる・・・」・・・じゃなくて涼しくなると言っているけれど、御主人の言うことだから、余り当てには出来ない。でも、「盆」ってなぁに?丸いものなの?・・・丸いものに涼しいものでも乗っかって僕の処へやってくるって言うのかなぁ・・・・ご主人も犬に理解できないことを言うので困る。とにかく、はかない期待でも、御主人の言ったことを0.5%から10%の間で信じることにしようと思う。「信じるものはすくわれる」って事だよね。
「迎え火をたいて すずかぜ 招き入れ」・・・禄食
8月8日 はれ
昨日は僕達の住んでいるところの「花火大会」だった。のんびりと横になっていると、「どんどん、ひゅるる〜ん」という音がしきりにする。僕は、又雷様がやってきたのかと、尻尾を下げた。お空が晴れているのにおかしいなぁ・・・と思いながら西の空を見上げると、とってもきれいな花火だ。最も犬はカラーでものを見ることが出来ないので残念なのだが・・・花火はのべつ幕無しに光と音を出し続け1時間半も続いた。僕は大きな音は恐いのでトラクターの下に潜り込んだ。御主人は花火の警備でいないので、お散歩やご飯はどうなるのかと思っていたら、上のお兄さんが世話をしてくれたよ。それと、お母さんの実家のおばあちゃんも花火を見に家にやってきていたよ。僕も、花火に大きな音がなかったら、おとなしく見物できるんだけどなぁ〜・・・・・夜の9時過ぎまでうるさかったので、今朝は少々寝不足気味だよ。
8月7日 はれ
上のお兄さんは、今ボクシングにこっている。小屋の中に大きなウインナーソーセージのようなものをぶら下げ、大きな手袋の様なものをはめて、それを殴りつけている。何でも、グループとかグローブとか言うものらしい。僕もちょっと興味があったので、お兄さんの使っている手袋のようなものを見せてもらうことにした。誰もいないのを見計らって片方の手袋をくわえると、妙にふわふわして良い感触だ。それに皮で出来ているらしい。なんか獲物でも生け捕ったみたいな感じだ。「はぁぁ〜、オオカミだったご先祖の血が騒ぐ〜!!。」僕はその手袋をしばらくカミカミしたりなめたりして楽しんだ後、地面に穴を掘って埋めた。獲物が余った時は土の中に埋めるのが犬の習性だから、頭の中では埋めてはいけないとわかっているのだけれど、本能が僕を動かしてしまうのでどうしようもない。・・・・そして、さらにもう片方を持ち出して、それも密かに別の処へ埋めてしまったのだった。これが、約1週間前のお話、上のお兄さんは「僕が何処かへやったに違いない」と僕を問いつめるけれど、白状はしなかった。でも、片方だけは、自力で見つけたようだ。しかし、もう片方はどうしても見つけることが出来ないようだった。僕は、そんな上のお兄さんが一生懸命探すところを見ながら密かにほくそ笑み、楽しませてもらっているのだった。ところが、とうとう、もう片方も発見されてしまう日がやってきた。今日のことだ。犬の習性をくわしく知る御主人に見つかってしまったのだ。残念!!しばらく楽しめたのになぁ〜。実は、あれを埋めたのは記憶にあるんだけれど、もう埋めてからだいぶ日にちもたっているので何処へ埋めたのか僕自身あまり覚えていないんだ!!!
8月6日 あめのちくもり
昨日の夜は、とっても恐かった。空がぴかぴか光るんだ。それがいつまでもいつまでも止まなかったんだよ。そのうち「ごろごろ・・・」という音が聞こえ始めたので「あっ、雷様だ!!」と、やっとわかった。僕は雷様が大嫌いだ。僕はふるえながら尻尾をお尻の方に垂らしてトラクターの下に潜り込んだ。なぜか雷様がやってきた時はトラクターの下にいるのが安全なんだ。やがて、雨も降り始め、雨音が小屋の屋根をうるさいぐらいにたたき始めた。まるで、へたくそな楽団が無理矢理、僕の家にやってきて耳のすぐ側で音楽をはでに演奏しているみたいなものだったよ。僕は耳をふさぎたくても両手ではふさげないような肉体的構造になっている。でも、無理をすれば出来るかなぁ?まず、両前足を頭の上にのせて、それを左右にずらすようにしていけばお耳は足の重みで自然にふさがることになる・・・・よし、今度雷様が来たらやってみようっと!!?、と言うわけで昨日から今朝にかけて「眠れない一夜」を過ごすことになってしまった。おまけに雨が降ったからといってぜんぜん涼しくならない。そういうわけで、今日は朝からトラクターの下で「ボーッ」としているよ。
8月5日 はれ
今日も小屋の奥深くに潜み、ひんやりとしたコンクリートの床の上でべったりとお昼寝をした。お昼寝をしたと言うより、半分仮死状態みたいなものだった。身体が動かないのだ。動かしたくないから動かないのだけれど、何をするのもだるくて頭が「ボーッ」としている。※注(飼い主)・・・普段から「ボーッ」としているので素人目には判断が付かない。・・・
御主人が、声をかけても反応無し、「動きたくないだってばっ!!」と、声を荒げたいけれど、そんな気力は何処にもない。ただひたすらべったりと床の上へ、まるで焼いてふくらんだ餅が、冷えてしまったように「だらり、ぐにゃ〜ん」とした格好になってしまっている。御主人は、何とか僕の気をひこうと「おやつ」、「散歩」、「ボール」などと僕が喜びそうな単語を並べ立てるんだ。そのたびに身体を起こして御主人の方を見る。でも、みんな嘘なんだ。ただ、僕が反応するのを見たいだけなんだ。本当に迷惑っ!!
8月4日 はれ
御主人が僕に言うのには、「今日、仕事をしながらラジオ子供科学相談というのを聞いていたら、犬や猫は色という感覚はないそうだ。すべて白黒の世界しか見えないんだ」という。今頃知ったのか・・・と忌々しそうに心の中で舌打ちをしながら,御主人の話を聞いていた。犬や猫にカラフルなお洋服を着せたり帽子をかぶせたりしているけれど、みんな飼い主の自己満足でしかないのだ・・・もっとも、「着ろ」と言って無理矢理着せられても噛んで破いちゃうけどね。だいぶ前のレインコートの一件もあるしね。(御主人が僕に買ってきたレインコートを「着ろ」、「嫌だ」で争った一件)こんな服などに何万円も払うつもりなら、おいしいものでも買って欲しいと思う。でも・・・なぜ犬は白黒でしかものを見ることが出来ないのだろうか?、鳥さん達はものがカラーで見えるって話だよ!!
8月3日 はれ
今日は涼しい風が吹いて、小屋の奥でお昼寝するには最適の一日だったよ。でも気温は30度を超えたらしい。夕方散歩は、御主人が気を利かせて日が落ちて、あたりが薄暗くなってから連れ出してくれるのでだいぶ楽になった。ご飯も、この所の暑さで食が進まなかったのだけれど、なんと!!ご飯の中に氷を入れてくれるようになった。「ひえひえ、ひんやり」のご飯はとても食べやすくて、とても食がはかどる。この所の暑さでやせたんじゃないの?・・・なんて御主人を心配させていたけれど、今度は大丈夫だと思うよ。これから太って寒い冬を乗り切るぞ!!!
ご主人の談・・・暑さ対策もままならないって言うのに、今から冬の話かい?・・・犬はそんな先まで考えなくても良い!!
むつ犬のつぶやき・・・お言葉ですが、御主人!!犬は常に先々のことを考える動物なのです。その証拠に、もらったおやつを食べきることが出来なかった時は穴を掘って土の中に埋めてしまいます。そして、この先ひもじくなった時に掘り出して食べるのです。僕は、昨日、ずっと前に埋めたお肉を掘り出しました。柔らかお肉がひからびて干し肉になってしまっていました。でも、ひもじかったわけではなく、埋めた肉を確認してみたかったのです。つまり人間達が時々やっている在庫調査・・・いわば棚卸しのようなものです。(御主人には面と向かって異論を唱えることは出来ないので、今までしゃべったことは、僕のお腹の中で考えたことに過ぎないんだよ・・)
8月2日 はれ
毎日、暑い日々を過ごしている飼い犬の僕であったが、ふと、遠い目をして猫さんのことを思いやってみた。「猫さんは、こんな暑い日はどうしているのだろう・・・」と、きっと家の中にいて、「えあこん」とか言う空気の温度を調節する機械のあるお部屋で「ひんやりっ〜」なんて、腹を出してお昼寝しているに違いない。飼い猫に比べ飼い犬は、暑い外で舌を出して汗をしたたらせている。お腹をなるべくひんやりした床に着けて死んだようになっている。お腹は毛皮が薄いので直接涼しさが感じ取れるからだ。はぁ〜、それにしても猫さんのヤツっ!!恵まれた環境でのほほんとしているなんて許せないっ!!いくら犬より人間達とのつきあいに歴史があるからと言って(エジプト文明時代から)調子に乗るんじゃないぞ!!日本の犬だって、日本の犬だって!!縄文時代から人間達とのつきあいがあるんだぞ!!・・・・えっ・・?似たような長さの歴史だって・・・?はぁぁぁ〜、それにしても飼い猫と飼い犬のこの違いはなんなのだ。誰か教えて〜
8月1日 はれ
今日は、昨日よりはだいぶしのぎやすかった。なにしろ昨日は、僕達の住んでいるところで観測史上初めてという36.7度の気温を観測した・・・・らしい。それを知ってか知らずか、我が御主人は、またまた僕をシャンプーした。「いいようぅ、毎週シャンプーしなくても・・・」と僕は言ったのだけれど、どうでもこうでも、御主人は僕をシャンプーしたいらしいのだ。年に2回か3回もシャンプーすれば、それで精一杯だったのに、今年はどういう風の吹き回しなんだろうなぁと思った。シャンプー場では、暑さと日頃からの御主人への不満もあって、暴れに暴れた。・・・・御主人もイライラしてきて、僕の鼻先を叩いたりする。僕は僕で御主人から逃げようとコマネズミのように動き回る。するとせっかく洗ったところが泥んこになったりする・・・等々、てんやわんやだったよ。しかもシャンプー後の濡れた身体が暑さで熱を帯びてムシムシすることこの上ない。「地獄巡りツアー」の様な一日だったよ。メインは、やっぱり灼熱地獄かなっ?。それで、今日の御主人は昨日の僕への仕打ちを反省したのか、なんと扇風機を持ってきて僕に風を当ててくれたよ。でも・・・・、「あのねぇ〜、御主人・・・今、開け放った窓から自然の涼しい風が入ってきているんだけどなぁ〜」