むつ犬のおまぬけ日記
平成16年9月
9月30日 たいふうがやってきた
またまた台風がやってきた!!午前中はものすごい風と雨が降った。だけどこれまでの台風のように強くはなかったよ。外に置いてある植木鉢をひっくり返したぐらいで去っていってしまった。まずは一安心って処だね。でも、台風シーズンはまだまだだ。これから一ヶ月ぐらいは気をつけないとね。
ところで、御主人は夕方散歩の時に「もっとゆっくり歩け」と僕を叱るくせに、僕がちょっとでも立ち止まって道ばたの草むらの匂いを楽しんでいると「早く来い」とまたまた叱るんだ。まったく御主人ったらわがままなんだからぁぁぁ〜、ぷんぷん!!!

9月28日 くもりのちあめ
今時の雨降りは良い気持ちでお昼寝が出来る。午後から降り始めた雨が本降りになってきた。御主人は小屋の中でお仕事をしていて、その出入り口に寝そべっている僕を邪魔者扱いにする。「犬小屋の中に入って寝ていろ!」と言われたので、素直に従うことにした。ただ寝ているのもおもしろくないので側に転がっていたプラスチックの植木鉢をくわえて犬小屋の中に入り、「よっこらしょ」と横になった。そして、おもむろに植木鉢に噛みつく。こいつは噛むと「バリバリ」とおもしろい音を立てるので大好きなんだ。外はシトシトと雨が降り、犬小屋の中では「バリバリ」という音・・・・こんな心地よい音を聞いていると欠伸が出てしまう。僕はいつしか寝入ってしまったようだ。後で御主人からお話を聞いたら、僕は植木鉢のおもちゃを枕のようにしてぐっすりと眠っていたという。まるで小さな子供のようだったともいった・・・・・そりゃ、そうだよ。僕達犬属は、いくら年をとっても人間の幼児ぐらいの知能しかないんだからね。

9月28日 はれ
いつも、御主人に言われていて、この日記の中でも何度もお話ししたことなんだけど、僕は散歩に連れて行ってもらえるとなると、嬉しくなって大はしゃぎをしてそこいら中をかけずり回る。そして、それがいつまでも続くものだから、御主人は僕に散歩紐をつける事が出来ないのだ。僕が散歩紐を付けてもらうためには、正しい犬座りをして、じっとしていなければいけないのだ。それがこのような状態になるものだから御主人がイライラし始める・・・・・こんな事は止めようと思っているのだけれど、嬉しいものは嬉しいから、どうしようもない。特に犬は本能というか感情で生きている動物だから、自分の身体からわき上がってくる衝動を抑えることが出来ないのだ。そんなものだから、今日も夕方散歩の時にこっぴどく叱られた。稲刈りが始まっているし、今日は暗くなるまでの刈り取りだった。御主人は疲れている上に僕が「散歩だ!散歩だ!」といつまでもはしゃぎ廻るものだから、とうとう、かんしゃくを起こしてしまった。僕の首をわしづかみにして、無理矢理お座りをさせて、無理矢理散歩紐を付け、僕を引きずるように散歩に出かけたのだった・・・・

9月27日 はれ
ついに!!、ついに我が家の稲刈りが始まった。喜んでいるのではない。僕の肩に「番犬の責任」という5文字がずっしりとのしかかってきたのだ。今日は刈り取りをしたので、今は乾燥機が稼働中だ。乾燥機は火を使う。だから今晩は火の用心の見張りをしなければならない。何しろ一晩中、火がついているので目ばなしが出来ない。でも、本当は夜中の2時間だけは乾燥機は自動的に止まることになっている。お米作りのマル秘に属する事項な様で御主人も余り話をしたがらない。でも、僕が思うにはそんなに複雑な事情でもないようだし、御主人も僕に話しても理解してもらえないし、話すのも面倒くさいようだ。最も僕は、そんなことはどうでも良いけれどね。問題は、「番犬の責任」をどう果たすかだ。御主人に知られないように、適当に手を抜いて、それらしく勤勉に勤めるためには、長年この家の番犬を勤めてきて覚えた「要領」が物を言う。大日本帝国陸軍の軍人勅諭で言うところの「軍人は要領を旨とする」と同じだね。「飼い犬は要領を本分とすべし」ってところだね!!

9月26日 はれたりくもったり
この時期、人間の世界では良く「天高く馬肥ゆる秋」などと言われる。空が青く透き通って高くみえ、実りの秋で食べ物がおいしい・・・と言う風に言われているけれど、実はそうではないという。もっと恐い中国の言い伝えだという。けれど、犬の世界では二通りの言い方があって、複雑な意味はない。読んだそのまんまなのだ。「天高く犬ほゆる秋」と「天高く犬肥ゆる秋」だ。説明するまでもない言葉なのだけれど、あえて説明しよう・・・最初は、空が高くなって空気が澄んできたので遠吠えをすると遠くへ美しく聞こえるような季節になった。と言う意味なのだ。二つ目は、やっと暑い夏が終わって夏ばても回復して食欲が戻って太って来たぞ!!・・・と言う意味なのだ。このような二つのことわざを今日は紹介してみたよ。犬の世界もなかなか奥深い物があるけれど、人間の世界のように複雑じゃないのが良いよねっ!!

9月25日 あめのちはれたりくもったり
やれやれ・・・又、雨降りだよ。夢ともうつつともとれない狭間にいるような朝の目覚めに、すこし憂鬱を覚えてシトシトと降る雨を眺めていた。犬の世界ではこんな状態のことを「秋の長雨とかけてなんと言う」、「犬のオシッコの如し。」、「その心は・・・いったん降り出すとなかなか止まらない」からだそうだ。これは一日中降り続けるのか・・・と思っていたら午前中に止んで青空さえ見え始めた。よかったぁ、晴れたり曇ったりで秋日和とまでは言わなくても、お日様の柔らかい日射しを浴びてお昼寝できる幸せに、僕は愁眉を開いた。

9月24日 はれ
犬は、別にせっかちなわけではない・・・・・何を言っているのかというと、犬は歩く時に小刻みに4本の足を交互に動かして歩く。人間から見ると、せわしなく足を動かして歩いているように見える。しかし、よく考えて欲しい。犬の背丈は約60センチメートル。その半分が足の長さだとすると、足の長さは人間の3分の1の長さでしかない。人間と同じ早さで歩くとしたら3倍の速度で足を動かして歩かなければならないのだ。ダックスフンドなどと言う犬は4倍ぐらいになるかもしれない。チワワなんかもっと小刻みに足を動かさないといけないのかもしれない。つまり、何が言いたいのかというと、犬の飼い主はその犬にあった歩き方をして欲しいと言うことを言いたい訳なのだ。もっとも、秋田犬の僕の場合は御主人の歩き方が亀のように鈍いので、僕の方がじれったくなって速く歩いてしまう・・・さっき言った犬に会わせる歩き方をして欲しいといったけれど、僕の場合は御主人に歩き方を会わせないといけないのかもね。飼い犬もなかなか大変だよ・・・
飼い主の談・・・もっともらしいことをいっているけれど、自己主張の最たる物だ。

9月23日 はれ
きゅうぅぅぅ〜ん・・・僕をつないでいる紐が上のお兄さんのバイクに引っかかって犬小屋の中に入れなくなってしまったよう〜。夕べはひんやりとした外のアスファルトの上で寝たんだけれど、明け方になって冷えてきたので犬小屋の中に入ろうとして、バイクの側を通ってしまったのが失敗だった。なるべく犬小屋への最短距離を歩こうとしてバイクの側を通ったのだ。「犬も歩けば棒に当たる」と言うけれど、飼い犬の場合はつながれているので「飼い犬も歩けば何かに引っかかる」という新しいことわざが出来そうな気がする。と、言うわけで、そこから動くことが出来なくなった。冷たいコンクリートの床の上に寝るのもなんだかおなかが冷えそうだし・・・・すると、すぐ側のトラクターの上に、「天の助け」のようにバスタオルが一枚かけてあった。「ありがたや!!!」と、僕はそれをくわえてコンクリートの床に敷いて、その上に寝たのだった。そんなに大きくはないタオルだったけど、おなかの辺りを暖めるには十分だったよ。飼い犬には野生の犬にはない苦労があることを人間は認識してもらいたいものだと思う。でも、真冬じゃなくて良かったよ。(真冬に紐が引っかかって犬小屋にはいることが出来なかった話はだいぶ前の日記に書いているので「古い日記」の中から探して読んでね)

9月22日 あめ
朝、御主人は交通安全の勤務のため、朝散歩は無し!!
夕方、御主人のお仕事が手間取ったため夕方散歩は無し!!
まさに、まさに、「大義親を滅す」のたぐいである。
夕方散歩は行こうと思えばいけた・・・・、だが、もみすり機械というのが調子が悪いらしく、それを修理するのに大部手間取ってしまった。修理と言うより、ベルトを取り替えるだけの単純な作業だったのだが、御主人は機械が苦手なのか、説明書を見ながらでもよくわからないらしくて、ベルト一本を取り替えるだけで1時間もかかってしまったのだ。ようやく終了した時には辺りはすでに真っ暗になってしまっている。ヤレヤレ、やっと散歩に行ける。と、人安堵しているところへ、お母さんが何処かへ行かなければならないというので、御主人が送っていくことになってしまい、夕方散歩は完全に「なし!!!!!!」と言うことになってしまったのだ。かろうじてご飯だけは戴いたけどね。

9月21日 あめ
犬は良く噛まないで飲み込むようにして物を食べる習性がある。これは大昔、集団で森を駆け回って狩りをした時のなごりだ。他の犬より早く食べないと自分の分がなくなってしまうから、このような食べ方が身に付いてしまったのだ。だから僕もこんな具合にしてご飯を食べている。一頭だけの飼い犬だから誰に盗られるわけではないのに本能がそうさせてしまうのだ。すると、飼い犬の胃袋は野生のときと違って脆弱になってしまっているから、つい食べ過ぎてしまうとおなかを壊してしまう。それに僕は甘やかされているので、時々御主人やお母さんがおやつと言って、肉や魚などを持ってきてくれる。(さすがに甘い物だけは厳禁だけど)犬は出された物をすべて食べるのが本能でもあるし、礼儀でもあるので、これももらっただけ食べてしまう。すると、おなかの中に雷様が宿り、ごろごろと鳴りだして、お尻は超特急の始発駅となってしまう・・・・結局は御主人達家族のみんなが犬の習性を知りながら甘やかし、のべつ幕無しにおやつをくれるのが原因だ。すこしは飼い犬の健康管理に気を遣って欲しい物だ・・・・まったく!!!!

9月20日 くもりのちあめ
朝5時30分、御主人が僕の処へやってきた。・・・・と、思ったら僕のいるところを通り過ぎて小さいハウスの方へ行ってしまった。そして、しばらくハウスを見つめた後に引き替えしてきた。僕は散歩に連れて行ってもらえると思って、尻尾を千切れんばかりに振ったのだったが、「じゃまだからどけ!!」と言われてしまった・・・・やがて、小屋の中から僕がこの前オシッコを引っかけてやったビニールを引きずり出してハウスの処へ持っていったよ。なんだ、ビニールの張り替えをするのか、とガッカリしながら又、眠りについた。猛烈な台風15号の時には大丈夫だった小ビニールハウスだったが、台風16号の時に屋根の部分を破られてしまい、台風の後、すぐにはぎ取ってしまっていたんだ。それへ、ビニールを張り替えるお仕事だったんだ。おかげで僕の散歩は7時過ぎになってしまった。でも、連れて行ってもらえただけでも良かったよ。雨が降り出す前だったしね。

9月19日 あめがふったりやんだり
「秋の天気は三日も持たない」とか「男(女)心と秋の空」等々言われているが、「犬の心と秋の空」とも言い換えられる。このように秋の空という物は犬の気持ちと同じで移ろいやすい物なのだ。雨に降り込められると、犬は寝ているしかない・・・・最も晴れていても寝てばかりいるのだが、晴れていれば寝るのに飽きたら動き回れる範囲を歩いたらいいので退屈しのぎになる。だけれど、雨が降ると濡れるのが嫌なので、そこいら辺を歩くというわけにもゆかない。第一、雨降りは気分も暗く沈みがちになるので、たいていはじっと寝てばかりいる。だから、今日は一日中寝てばかりいた・・・・・

9月18日 はれ
今日は暑いぐらいの一日で、犬にとってはシャンプー日和になるな・・・・と、朝から戦々恐々としていた僕だった。果たして、10時になると、御主人が「シャンプー、シャンプー」と、やたらに言うようになった。僕の不安は最大になり、心臓がぱくぱくと言い始めた。やがて上のお兄さんが家から出てきて僕をシャンプー場に引っ張っていった。この時点で僕の不安はいくらか解消された。「お兄さんにシャンプーされるのなら、されてもいいな」と思ったのだ。何しろ御主人のシャンプーは荒っぽい上にしつこい。これでもかこれでもか、とばかりに僕の隅々まで洗い立てるんだ。でも、お兄さんは優しく丁寧に洗ってくれるので安心して身体を任せられる。・・・・やっとシャンプーが終わり身も心もすっきりして、解放された時にやる踊りを踊ったよ。何、ただ、そこいら辺をかけずり回るだけなんだけど、嬉しくて嬉しくて空にでも飛び上がりたい気分だった。何しろ一ヶ月ぶりぐらいのシャンプーだったからね。御主人は10月になったらもう一度したいなんていっている。不精者の御主人が果たしてその通り僕をシャンプーすることなど出来るのだろうか。大いに疑問だ。

9月17日 あめのちはれたりくもったり
最近の御主人は忙しい。僕の朝散歩も行ったり行かなかったり・・・・これからは「秋の交通安全運動」が始まるので、まず朝散歩は望めないだろうなぁ。僕が一人で散歩してきても良いのだけれど、どうやら人間の法律とやらで、犬の放し飼いは禁止されているのだという。こうなると、犬の欲求不満はますます募っていく。誰か言い気晴らしがあったら教えてくれないかなぁ?

9月16日 はれ
今日も、散歩の時にだだをこねたよ。お散歩の時に僕がだだをこねる話はこの日記でも何度と無くお話をした。つまり、僕は行きたいところを目指して歩いていく訳なのだけれど、必ずしも目的とするところは御主人と一致するわけではない。僕は向こうの方に行きたいのだけれど、御主人は駄目だという・・・すると、そこに意見の不一致が生じるわけだ。すると、お互い、にらみ合いが始まり譲り合おうとしない険悪な状態になる。「4才の成犬にもなって、人間の子供がデパートやスーパーマーケットで欲しい物を買ってもらえるまで泣きわめくようなことは止めろ!!」とご主人は言う。けれど、犬は本能で生きている動物なので、そんな理屈を言われても理解できないのだ。とうとう、犬には理屈を言っても駄目だと悟った御主人は(気付くのに遅かったのだけれど)、強硬手段に訴えてきた。僕がだだをこねると、僕の鼻先をぶつのだ。最もぶつと言っても軽くなのだが、僕にとっては恐怖である。結局、僕は行きたい方向を未練たっぷりに振り返りつつ、渋々、御主人の後をとぼとぼと付いていくのだった。

9月15日 かいせい
「梅は咲いたか〜、桜はまだかいなぁぁぁ〜」と、歌の一つや二つ歌いたく今日この頃なのだ。こんな事を言っていると「普段からおかしいと思っていたが、とうとう本当におかしくなってしまったんだな」と言われそうだけれど、おかしくなったのは僕ではない。庭の植木達だ。この前の台風15号によって草木や稲が枯れる被害に遭ってしまったのだが、やがて裸になってしまった木に新芽が出始め、ライラックの木等はつぼみを持ち、もうすぐ花が咲きそうな具合だ。それよりも驚いたことは、梅の花が咲き始めたのだ!!・・・前代未聞、驚天動地、犬が西向きゃ尾も西・・・と言うぐらいの驚きだ。50年以上生きてきた御主人も見たことがないと言っている。そんな現象をたかだか4年しか生きていない犬の僕が見ることが出来たなんて、感激・・・とも違うけど・・・なんか言い表せないような複雑な気持ちだよ。

9月14日 はれたりくもったり
****望飼犬方生(望ましい飼い犬の生き方)****

雨にも負けず風にも負けず
大雪や吹雪の散歩時は御主人より先を歩き
道がなければ雪に埋もれながら道を切り開き
雨の日は顔を正面に向けて堂々と歩き
夏の暑い散歩時には御主人を引き留め
「日射しが強いから行くのを止めようと」言い
よその犬に出会った時は尻尾を下げずににらみ返し
遠吠えは透き通るように歌うように吠え
ご飯やおやつは多くは望まず
御主人やその家族に忠誠を尽くし
その人達が悩み落ち込んでいる時は
そっと側に寄り添い「大丈夫だよ」と声をかけてやり
舌でペロリンとなめていやしてやる
僕はそんな飼い犬になりたいなりたい

飼い主の談・・・80%は無理だろうなぁ〜

9月13日 はれのちくもり
うえ〜ん・・・・置き去りにされたよ〜、捨てられたんだ!!夕方暗くなっても誰も帰ってこない。夜になっても帰ってこない・・・みんなで夜逃げをしてしまったんだ。ぼくをひとりおいていったんだ・・・・・散歩にも行けず、おなかもぺこぺこになって心の中で泣き叫んでいたら、上のお兄さんが帰ってきた。でも・・・泣き疲れていたので、お兄さんにご飯をちょうだいという気力も残っていなかった。夜の10時になって、やっと御主人が帰ってきた。それでも、ご飯時をはずしてしまったので、食べたいようないらないような感じでうろうろしていると、御主人が察してくれて、やっとご飯にありつくことが出来た。さすが御主人!!僕が何も言わなくても僕の気持ちをわかってくれるんだね。これからも頼りにしているよ!!

9月12日 はれ
拝啓
残暑厳しき折、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
ついこの間までは、3度の台風襲来などがありまして、めっきり秋らしくなり、涼しげなお昼寝が楽しめると喜んでいたところでしたが、真夏が舞い戻ってきたような近頃の陽気には犬の身として苦しんでおるところでございます。この上は、食べ物がおいしく、涼しく風が吹き、犬にとっては快適な秋が一刻も早く訪れるのを願って止みません。また、空が高く透き通り、空気が澄んできたからと言って、決してむやみに遠吠えなどをいたさぬよう心がけて頂きたいものだと思い、ここに僭越ではありますが一言ご忠告申し上げます。最後になりましたが、食べ物がおいしい季節、食べ過ぎなどにも留意され、快適な秋をお過ごしになれますようにお祈りいたします。
                      敬具

9月11日 はれ
秋日和の一日だったよ。朝晩はめっきり冷えて。夜は犬小屋の中で寝るようになった。今日なんかは日中は日射しが強くて汗ばむぐらいの陽気だった。(人間達はね)僕なんかも、日中は作業小屋の中に入ってのお昼寝だよ。でも、9月とはいえ、さすがに秋だって思うのは、空が高くなって、そこにうろこ雲って言うのか、いわし雲って言うのか、そんな雲が浮かんで、どことなくのんびりした風景に心が和む。赤とんぼさん達も、夏の避暑が終わって山から下りてきたようだ。夕方に群れ飛ぶ姿が見られるようになった。これから結婚して卵を産むんだろうなぁ。手の早いトンボさんはもう相手を見つけて、そこいら辺の水たまりに卵を産み付けている。それに比べると、僕なんか独身歴4年・・・・先輩犬のまるさんなんか生後八ヶ月で結婚して子供を産んだというのに・・・・
そこで一句「独り身に空高くして秋刀魚食う」・・・禄食

9月10日 はれたりくもったり
最近御主人がうるさいことは、この日記の中でたびたび訴えている。僕がのんびりお昼寝をしていると、身体を突っついたりして安眠を妨げるのだ。人間の世界の言葉に「人の恋路をじゃまするヤツは馬に蹴られて死んじまえ」というのがあるそうだが、犬の世界には「犬の夢路をじゃまするヤツは豚に蹴られて死んじまえ」という言葉は・・・・・無い。誠に残念至極なのだが、犬の至福の一時をじゃすると、それ相応の仕返しなり祟りがあることは事実だ。それは・・・・「番犬としての任務をサボタージュされてしまう」と言うことなのだ。えっ?寝てばかりいるんだからすでに番犬の仕事を放棄しているんじゃないのかって?・・・・・そう・・言われると「ガウン、ガルルルル〜」とうなるしかない・・・

9月9日 はれ
台風一過の秋日和、秋日和は犬日和でもある。ゆっくりと、のんびりとお昼寝を楽しむか・・・・と、思ったらこの前、故障したコンバインという稲刈り機械の修理人がやってきて、落ち着かない時間を過ごした。やっと直ってごろんと横になると、今度は御主人がやってきて、コンバインを動かし、トラクターを動かし、田植機を動かし、トラックを動かし・・・・と、小屋の中にあるすべての機械のエンジンをかけて、あっちこっちへ移動を始めた。僕は大きな音が苦手なので、あちらこちらへ逃げまどっては見たものの、何処へ行ってもじゃまになるらしい。結局、庭の隅っこの草むらへ安住の地を見いだしてお昼寝をした。まるで今を盛りに鳴き声を上げるコオロギさんになってしまったような気がしたよ。

9月8日 ぼうふううのちはれたりくもったり
ひえぇぇ〜、恐かったよ〜ぅ・・・まさか毎週の様に台風様がやってくるなんて思いもしなかったよ。8月20日、8月31日、そして今日だ。3っとも暴れに暴れて、日本全国あちらこちらに被害の爪痕を残したらしい。幸い、家は台風15号の時のように作物にも建物にも影響はなかったらしい・・・・?僕はとても恐かったので犬小屋の中に潜り込んで寝た。今頃の季節はひんやりしたコンクリートの床の上に寝るのがとっても気持ちが良いのだけれど、激しい雨風が吹き込んでくるので、そんなこともしていられない。少々暑苦しかったけれど、大工さんが建ててくれた犬小屋はとても頑丈に出来ていて、安心して寝ることが出来たよ!!

9月7日 あめのちはれ
僕の自慢はお腹から足のつま先まで覆っている真っ白な毛だ。純粋な秋田犬なら背中側の毛色が赤色であろうが虎色であろうが、お腹側の毛色は白というのがほとんどだ。最も背中側が白い犬はお腹側も白くて、全身真っ白なので格好が良い。でも全身真っ白な秋田犬は鼻の色がピンクだったりする。これが真っ黒だったらすごく格好良い!!秋田犬の毛色で今、流行なのは、僕のような赤毛の犬だ。だから僕は流行の先端を行っていると同時に何処にでもいる普通の秋田犬なのだ。そんな当たり前の毛並みを自慢してどうする・・・と、言われそうだが、僕が自慢できるのはこれしかないのだ。情けない・・・・

9月6日 はれのちあめ
朝散歩の時は晴れていたのだけれど、終わってのんびりしていたら雨が降り始めた。降ったり止んだりと、優柔不断な僕とそっくりな降りようだったよ。御主人は外のお仕事が出来ないので小屋の中の整理をしていたよ。機械をあっちへやったりこっちへやったり・・・僕はそのたびに「じゃまだ」と叱られる。「だって御主人の近くにいたいんだもん」・・・・「犬小屋の中へ入っていろ」と言われてイヤイヤ入ってみたけれど、布団の上に横たわってみると、なかなか気持ちが良い。たちまち眠気が襲ってきて、ぐっすりと寝込んでしまった。これで、機械の移動する大きな音がなければ天国だね。幸い、午後になって御主人は何処かへ行ってしまったので、僕は深く深く熟睡することが出来たよ。

9月5日 はれ
今日はボール遊びをしてもらったよ。別名「殿様のボール遊び」とも言うよ。もちろん僕が殿様で御主人が家来だ。家来は殿様のためにボールを弾ませる。それに僕が飛びついて押さえ込むんだ。当然押さえ込みに失敗すると、ボールは変な方向へ飛んでいってしまう。普通はボールを受け取る方が失敗した場合、それを取りに行くんだけれど、僕の場合は絶対取りに行かないのだ。全部家来(御主人)に取りに行かせる。僕は、ただ黙って又、ボールが飛んでくるのを待っているだけなのだ。僕は、とっても楽で楽しい思いをしている。実は、それは御主人の為なのだ。70キロ以上ある体重を何とか60キロ台にしたいと思っている御主人が、すこしでも動くことによってやせることが出来たらと言う、忠犬としての思いからだ。だから心の中では涙を流して、「済みません、ご主人様」と断腸の思いでいるのだ。でも・・・・だけど、やっぱり僕って甘やかされてわがままになっている忠犬の格好をした、ただの飼い犬なのかもね・・・・

9月4日 はれ
涼しい季節になってきたので、眠るのが楽しくてしょうがない。そして、とっても眠いのだ。御主人とお話をしている時も自然にまぶたが重くなって「こっくり、こっくり」と居眠りを始めてしまうような状態だ。普通は「春眠暁を覚えず」なんて言って春が一番眠くて気持ちの良い季節なんだけれど、僕の場合は反対に今の方がとっても眠い。「犬の秋眠は泥棒を喜ばす」って処だね。そうはいっても、番犬のお仕事をしなければいけないん・・・だけど、ほら、そういっている今も、又まぶたが重くなって・・・・おやすみなさい。

9月3日 はれ
やっと涼しい風が吹いてきて、犬の敏感な鼻に秋の匂いがかすかに流れてくる。「もうすぐ秋だなぁ〜」と、思いながら鼻をうごめかせていると、「おるすばん」の声がかかった。御主人だ。せっかく気持ちよく秋めいた風を身体一杯に感じ取っていたのに・・・・僕は、「はい、はい、はい」と生返事をして、御主人がトラックで走り去った後、ごろんと地面に身体を横たえ、大きな欠伸をして気持ちよくお昼寝に入ったのだった。そこで久々に一句
「お留守番 引き受けて後の 昼寝かな」・・・・禄食  字余り

9月2日 あめのちくもり
今朝は雨が降り出す前に散歩に行けて幸運だったよ。出かける時、家の生け垣の前にご近所の白猫さんが寝そべっていた。僕を見るとうさんくさそうに鋭い目でにらみつけて来て、何処かへ走り去ってしまった・・・・ふん、いつも挑戦的で無愛想なヤツ!!
帰りは、道の真ん中に首が長くて白く大きな鳥が立っていたので鶴じゃないかと思った。用心しながら近づいていくと、そいつは羽を大きく広げて羽ばたくと「ツ〜」と飛び立って「ル〜」と何処かへ飛び去ってしまった。いやいや、これは御主人の好きな落語での話、実際は音もなく優雅に飛び去ってしまっただけなのだ。御主人の話によると「あれは鶴ではなくサギという鳥」なのだそうだ。なんだ、鶴だとばかり思っていたよ。すっかりだまされてしまったね。サギにサギされたようなものだ・・・・・??
いけない、いけない、ダジャレは御主人が最も嫌う物だ。お叱りを受けないうちに退散することにしよう。

9月1日 はれたりくもったり
昨日の台風さんは、御主人がこの前、旅行に行ったという北海道の遙か彼方の海へと遠ざかった。だけど、すこし強めの風はまだ吹き止まない。気温の方は大部すずしくなって、僕はのんびりとお日様とお話しすることが出来たよ。
ところで、今日は久しぶりに近所の「とら猫さん」が我が家にやってきたよ。僕は退屈していて、相手になって欲しかったので「ちょっと、ちょっと」と呼び止めたのだけれど、とら猫さんは台風のような猛スピードで逃げていってしまった。御主人が昨日の台風で破れたハウスの側にいたので、「とら猫さんを見なかった?」と聞くと、ハウスの裏の方にいるという、そっとのぞいてみると、今度は幽霊でも見たように驚いてウサギが跳びはねるようにいなくなってしまった。猫と犬は永遠に相容れない動物なのだろうか?