むつ犬のおまぬけ日記
平成16年11月
11月30日 はれたりくもったり
11月も今日で終わりだ。人間の暦で言えば明日から冬と言うことになる。今日も冷たい風が吹いて「いよいよ冬だぞ!!」って言う予告編のような一日だった。
話は変わるけれど、午後になって、おじいちゃんの自動車が来たので、僕は尻尾を振りながら降りてくるのを待っていた。すると、中から降りてきたのは御主人だった。「いないいない、ばぁ〜・・・」などと言いながらだ。僕はおじいちゃんの車からはおじいちゃんが降りてくるものだと、てっきり思っていたので、首をかしげながら車の周りをぐるぐる回って中を見たけれど、御主人の他には誰もいやしなかった。「何で、何で?」と御主人に聞くと、「おじいちゃんから車のタイヤを冬用に替えるように頼まれた」のだそうだ。まあ、それで一応、納得はしたのだけれど、人間も冬になると「防寒用長靴」と言ってはいたりする。けれど、自動車も冬になるとタイヤを履き替えるとは思わなかった。僕なんか、夏も冬も同じ足だもんね!!しかも、素足だよ!!

11月29日 はれときどきくもりのち・・・あめ、でも、
        もしかしてゆき?
今日は、お日様が顔を出したものの、風が冷たくて、犬小屋の中でお昼寝をした。それでも午前中は良かったんだ。外でお腹を出して寝ることが出来たからね。午後からは、そうもいかなくなった。15時を過ぎると雨がポツポツ降り始めて、その中に白いものが混じって降ってくる。「あれっ?・・・もしかして雪?」はぁぁ〜、もう雪が降ってくる季節になったんだなぁ〜・・としみじみと季節の移ろいの早さを身にしみてしまった僕なのであった・・・・「早く冬支度を終わらせないと、辺り一面真っ白な雪景色になってしまうよ!!御主人!!」

11月28日 はれたりくもったり
今日は寒い一日だった。昨日の風でお家の屋根瓦が2.3枚はがれたので瓦屋さんが直しにやってきた。僕は、早速番犬の仕事と言うことで「ワンワンワン」と瓦屋さんに吠えてしまったよ。でも、どうと言うこともなかったのか、すぐ帰っていってしまったよ。その後、僕が日曜なのに、早朝から番犬のお仕事に励んだ為なのかどうか知らないけれど、朝から、すごいごちそうを色々もらったんだよ!!。まず、「犬用ビスケットと煮干しの盛り合わせ」これは、いつも御主人とゲームをしながら食べるんだ。御主人が両手で握り拳を作って、その中に隠したおやつが右手か左手の、どっちの握り拳の中にあるか僕が当てるんだ。僕が「有る」と思った方の御主人の手へお手を差し出す。これはたいがい当たる。当たると、中にあるおやつをもらえるわけだ。はずれると、もう一度やり直しなので、よだれがポタポタとこぼれ落ちてしまうけれどね。さて、これはいつもの朝の光景だけれど、今日は、この後、幾分ひからびたジャム付きのトーストの耳・・・有りがたく戴く。その後、そばつゆの出汁を取り終わった後のお肉・・・ありがたくいただく。その後、鶏肉の唐揚げ!!今日はなんという日だ!!人間だったら諸手をあげて万歳をしたいぐらいだ。こんな日は滅多にないので、ゆっくり味わって食べたいけれど、犬の習性で「ペロリ、ゴクン、ペロリ、ゴクン」と飲み込んでしまったよ。後から考えると「はぁぁ〜、もったいない・・・・・」って思ったよ。

11月27日 ぼうふうう
ひえ〜っ!!恐かったよ〜、昨日の夜から今日一日かけて、ものすごい風が吹いた。雨はそんなに降らなかったけれど、台風並みの風が吹いて犬小屋から出ることが出来なかった。御主人が朝3時頃、僕の様子を見に来るまで僕は犬小屋の中で丸まって風の音におびえながら、眠っているような夢うつつのような、中途半端な状態で遅々として進まぬ時間を過ごしていた。明け方の3時に、僕のことを心配してきてくれたことに感激をして、精一杯尻尾を振った・・・・のだけれど、なに、本当はビニールハウスの状態を心配して見に来たついでに僕の所へ寄っただけだったんだ。でも、僕の犬小屋を覆っている防寒用のビニールが風でばたついていたので、それを動かないように直してくれたので、その後は幾分、静かに寝ることが出来たよ。ついででも良いから、何かあったら、この後も僕のことを見回りに来てね!!お願いだよ!!

11月26日 はれ
今日も少々風があったものの、いつもの年に比べるととても暖かな一日だった。御主人は、今日も小屋のお片づけ・・・いったい、いつまでかかっているんだ?、本当にお仕事が下手なんだからぁ!!午後になって、やっと、小屋が片づいたと思ったら、トラクターが爆音を響かせて動き出した。僕は恐いので梅の木の根本に避難をして、おそるおそる御主人がトラクターですることを見ていたのだが、なんと!!驚いたことに、夏から今まで慣れ親しんできた土のお山がトラクターで突き崩されて行くではないか!!「むむっ!!、これは一大事!!」・・・しかし僕にはどうすることも出来なかった。春になったら乾燥した状態で使わなければならないお米の育苗用の土だ。これから冬に向かって、外に置くことは出来ない・・・だから、小屋の中に入れなければならないのだ。この土のお山には様々な思い出がある。夏の暑い時に、初めてお山が出来て昇ってみた時の見晴らしの良さ。そして、てっぺんから隣近所の見張りをした時の仕事のしやすさ・・・等々、また来年の夏まで、さようならだ。最も、小屋の中に土のお山が出来ているのだから「昇ればいいじゃないか」というかもしれないけれど、とても、今は昇れるような状態じゃないのだ。なぜかというと、長い間外に置いてあったので、雨水がしみて、べとべとの状態だからだ。僕の自慢である「お腹の白い毛」が泥んこになってしまうよ。土のお山に対する思い入れより、僕自身の姿形の方が、優先するんだよ。

11月25日 はれたりくもったり
御主人が、小屋の中でお仕事をしている。犬小屋の側から、機械やいろいろな道具やものが、すべて小屋の中にしまわれてしまったので、僕の廻りはなんにもない寒々とした光景になってしまった。今日は、すこし寒くなったので北西の風が、少々身にしみる。最も、僕の所へは直接吹いてこないけれど、こいつら(北西風)は回り込んで吹き付けてくるからやっかいだ。でも、北国の犬は、何度も言っているけれど、すこしぐらいの寒さにはへこたれないからね!!これから本格的な冬を迎えるに当たって、犬小屋の中がすこしでも暖かくなるように「冬がこい」でもしてもらいたいね。御主人!!

(厳しい冬を迎えて、飼い犬からの要求が一段と厳しくなっている飼い主の談・・・おまえは、雪国の犬なんだろう。雪の上でも眠ることが出来るんだよな・・・)

11月24日 くもりときどきあめ・・・はれまあり
昨日があんまり陽気が良かったので、今日の天気はすこしショックを受けた。そのせいか気分がすぐれず犬小屋の中で寝ていた。小屋の中でお仕事をしていた御主人が心配して、何度も犬小屋の中にいる僕をのぞき込む。仏頂面をした僕の顔がそれを見返す・・・・だって、お日様が出てきたので、外へ出て日向ぼっこをしようとすると、突然雲がお日様を隠して雨が降ってくる。そんなことが何度か繰り替えされた。仏頂面になるのも当たり前というわけだ。御主人は、そんな僕の気持ちを解きほぐそうと、なでたりマッサージしたりと犬の機嫌を取るのに余念がない・・・この前、御主人は「犬のマッサージ」という本を買ってきて、それを読んだのか読まなかったのかは知らないけれど、御主人が「犬のマッサージ」だと称して僕の身体をもみほぐしたけれど、僕にとっては、ただ痛いだけだった。もっと犬の生態に関して勉強した方が良いと思うよ。犬の心理もね。!!!
今日のことわざ・・・「飼い犬は飼い主の心の鏡なり」だよっ!!

11月23日 はれ
今日は、小春日和の穏やかな日を過ごさせてもらっったのでお日様に感謝しなければいけない。あんまり暖かくて風もないので、御主人とボール遊びをすると舌を長くのばして「ハァハァハァ」と言いながら体温調節をしなければならないぐらいだ。御主人は僕と話をする端々に「シャンプー」という言葉を挟み込む・・・気候がこんなものだから、僕をシャンプーしたがっているようだ。でも、もう良いよ。シャンプーは、来年の春になったらで良いよ。そうだなぁ〜、4月の終わりか5月の半ば頃になるのかなぁ〜
夕方は、玄関の上がり口にお座りをして僕のご飯を作っているところを見せてもらったよ。ご飯を食器に移す音、ドッグフードを入れる音等々・・・そして、それをかき混ぜる音がして、その音を奏でる御主人が見え隠れしている。そんな音に混じってお母さんが夕ご飯の支度をする音も重なって、まるで夕ご飯の協奏曲のようだ。僕のお腹の音と、よだれを垂らす音がご愛敬として、その音の重なりに彩りを添える。はぁぁぁ〜、今日一日を無事に過ごすことが出来て幸せだったと、何かに祈らずにはいられない光景だ。御主人の言う農民画家と言われるミレーの「晩鐘」のような光景だった。今日は時間の過ぎゆくのがもったいないような一日だったよ!!!

11月22日 はれ
「はたらけど、わがしょくじに まてのこえ たえかねて じっとめをみつめる」・・・・禄食
今日は、久々に短歌を詠んでみたよ。それも、生活臭さがにじみ出ている歌だ。いくら番犬のお仕事を一生懸命やっても、ご飯はすぐにはもらえない。「待てにお手 それにお座り よだれたらりん」・・・・はぁぁ〜、これだけでも俳句、いや川柳になってしまうよ。よだれをポタポタ垂らし始めると、やっと「よし」の声・・・だ。待っている時間が、永遠にも感じられる。ひもじさに、耐えかねて「しゅう〜ん、しゅう〜ん」と泣きながら、じっと御主人の目を見つめる僕なのだった。心の中では「早くご飯を食べさせろ!がうん、がるるるるる〜!!!」と思いながら・・・・

11月21日 はれ
御主人と僕の朝の挨拶は少し変わっている。まず御主人が家から出てくる。たいていは、御主人が家から出てくる前に僕は外に出て待っている。これが雨降りだったり、これから迎える寒い冬の時だったりしたら、御主人が犬小屋の中で寝ている僕に声をかけるんだ。そして、僕達は向かい合い、僕は「むつ、ナデナデしてやるぞ」という御主人の言葉で側へ寄っていくんだ。頭をひとしきりなでてもらった後、僕は御主人の両足の間に頭をつっこんで、下半身をマッサージでもするようにナデナデしてもらう。その後は、懸命になって御主人のまたの間をすり抜け、後方へダッシュして逃げ去るのだ・・・・これが、僕達が毎日のように交わす朝の挨拶の一部始終だ。どうしてこんな挨拶を交わすようになったのか僕は覚えていない。御主人も覚えていないだろう・・・・民俗学で言う、風習とか伝説などと言うものは、ある日の、何気ない行動とか行為が習慣的に長い間伝承されてきたのではないかと僕は思っている。だって、犬の行動パターンは、現代の犬にとっては無意味な行動も見受けられるからだ。たとえば、余った食べ物を土の中に埋めるという行為だ。飼い犬の場合は食べ物が余っても、次の日には同じ量の食物がもらえるので保存しておく必要性がない。しかし、この行為はご先祖様である山犬たちが野山で暮らしていた時の行動パターンが、飼い犬化された現代の犬たちにも受け継がれているものなのだ。その行動を現代の犬が訳もわからず、やっていると言うことが不思議でもあり、犬という種を未来永劫に存続させるための尊いご先祖の本能でもあり、血脈のありがたさだなとも思う・・・

11月20日 くもり
昨日の夜から、今朝にかけて、ものすごい霧が発生している。向こう先が見えないぐらいだ。まるで牛乳の海の中へすっぽりと漬かってしまっているようだ。でも、本当に牛乳の海の中だったら好きなだけ呑んでいられるから嬉しいけどね。あまりに霧が濃いので、誰かがやってきてもわからないくらいだ。(人間にはだけどね)犬は目が悪いので、その分優れた耳と鼻を漬かってどんな人物やものが来たのかわかってしまうからすごい!!自分自身で言うのもなんだけど・・・だから霧が深いと言っても番犬のお仕事を怠けるわけにはいかないのだ。昨日も夜遅くなって訪問客があったので「ワンワンワンワン」と吠えたんだけれど、お家の人達はぜんぜん気付いてくれないんだ。僕が一生懸命にお仕事をしているのに、誰も反応しなくてなんの役にも立たないなんてむなしいよねっ!!!

11月19日 あめのちくもり
犬は寒くなると丸くなって寝るのだ。これは犬だけとは限らない。他の動物たちも普通にやっていることだ。身にまとっている毛皮が布団代わりになって寒さを防いでくれるからだ。でも、最近は暖かいせいか、腹を出して寝ることが多い。つまり4本の足をまっすぐに伸ばして背中をまっすぐにして横たわった状態を言う。夏などには普通に見ることが出来る姿勢だ。人間は夏でもこんな格好で寝ていたらたちまちお腹を冷やして身体の調子が悪くなってしまうだろう。何しろ軟弱な人間達には毛皮なんか無いからね。と、言うわけで、今頃の季節もこんな格好で寝ているので、すこし不安になってしまう。「果たして、冬はやってくるのだろうか?」こっちにも少々の心づもりがあるので、「いきなり冬っ!!」って言うのだけは勘弁して欲しい。出来るならば、徐々に寒くなっていって欲しいものだと思う今日この頃の僕なのであった。

11月18日 くもり
僕が「うらやましいなぁ」と思うことは、その家庭が飼い犬中心に廻っていると言うことだ。何でも犬を優先的に扱って、その家の子供のことより犬の方が優先するという、犬にとっては理想郷ともいえる家庭だ。我が家は・・・・残念ながら、その限りではない・・・犬中心の家庭どころか、御主人の心次第、気分次第で、その日の犬の扱いが天国と地獄のように違うのが日常的だ。気分次第で犬を扱うなどと言うことは「飼い犬の教育上」非常に良くないことは「犬類学比較研究所」の研究で十分にわかっていることなのだけれど、まだこの研究結果は人間達の間に広まってはいないらしい。ともかく、犬たちが艱難辛苦の上、犬と人間が優しく共存できる環境を研究しているのだから、人間達もそれなりに犬の気持ちになって努力してもらいたい物だと思う。

11月17日 くもりときどきあめ
僕は、基本的には「はしゃぎ犬」なので、「待て!!」と言われるのがつらい。僕には「犬としての作法」が決まっていて、ご飯の前には、必ずお座りをする・・・というか、させられる。そして、じっと待つこと数十秒から数分、よだれをポタポタとこぼしながら耐えて待つのだ。その間に、「おて」だの「ふせ」だのをさせられ、挙げ句の果てには「タッチ!(フセの状態からお座りの状態に戻ること)」と号令をかけられ、やっと食事にありつくことが出来る。散歩に出かける時は、お座りをして散歩紐を付けてもらわなければいけない。基本のかたちは「お座り」と「待て」なのだ。何もかも犬の行動を制限して様式化してしまうのが御主人のねらいのようだ。平安時代や江戸時代じゃあるまいし、今時すべての行動を様式化するなんて時代錯誤も甚だしいよね!!

※ 自由主義、あるいは利己主義を愛する飼い犬の談

11月16日 あめふり
きょうは、一日中雨降りで退屈だったので犬小屋の中にいろいろな物を集めては楽しんでいたよ。まずは、大のお気に入り「牙の跡がすさまじいプラスチックの植木鉢」、そして「飲み残しがすこし入ったリンゴジュースの空き缶」、おしまいは「ぼろぼろの青色シーツ」・・・・こうして普段、何気なく見かける物も、頭に「ぼろぼろの」とか「飲み残しが・・」とか言う言葉をつけると、なにやら秘密めいた道具に思えてくるから不思議だ。3つとも特に必要を感じて集めた物ではない。近場にあったから犬小屋の中に運んだだけなのだ。それに、それらの道具で遊んだ物と言えば「プラスチックの植木鉢」ぐらいな物だ。もちろん「かみかみのなめなめ」っていう遊び方だよ。まぁ、言ってみれば「飼い犬の暇つぶし」って言うところかなぁ・・・・?

11月15日 くもりのちあめ
先週の土曜日で「秋の火災予防運動」というのが終わってしまった。毎日、夜の8時になると「火の用心」のサイレンに会わせて遠吠えをするのを楽しみにしていたのに、終わってしまってがっかりだ。・・・・もう、遠吠えをする機会は夕方5時の時報音楽だけだ。あとは、事件や事故、火事などの突発的なことが起こった時に鳴る緊急車の音だけだ。でも、こんな事は起こって欲しくないので、遠吠えをみんなに披露する機会は少なくなる。楽しみでもあり、ストレス発散にもなる「遠吠え」だったのだけれど、これからは別のストレス発散方法を考えないといけないなぁ・・・たとえば、御主人の長靴を食い破るとか・・・

11月14日 はれ
今日は、久しぶりに御主人から叱られた。しかも、こっぴどく・・・・だ。どんなことをやったのかというと、御主人の長靴を片一方、小屋の奥からくわえだしてきて、布で出来ている部分を食い破った。さらに、同じ所から御主人のスニーカーをくわえてきて、食いちぎった長靴の脇に添え物として置いた。堂々と地面の真ん中に置いたので、すぐに発見され、怒り狂った御主人はスニーカーを振り上げ、「バン、バン、バン!!」と何度も何度も、僕がはいつくばってふるえている側の地面をたたいた。こうなると僕としてはどうしようもない。さっきも言ったような格好で身動きもならずにふるえているしかない。御主人が「お叱り」を止めた途端に疾風の如く、御主人の側を離れ逃げ去るのを待つだけだ。
最近、「お利口犬」との評判を取っている僕ではあったが、御主人はそれを喜ばない・・・・前にも言ったとおり、この日記のネタが無くなるからだ。だから、今回の事件で御主人は、表面上は僕を叱りながら、心の奥底でほくそ笑んでいるはずなのだ。「やっとお間抜けな日記を書くことが出来るぞ」ってね。でも・・・、こんなにも飼い主の心理状態を飼い犬に見抜かれているなんて、すこし単純すぎるんじゃないの?、それに飼い犬の教育上としても悪いと思うよ。飼い犬をつけあがらせることにもなりかねないからね。・・・・御主人!!

11月13日 くもりときどきこさめ
今日は、上のお兄さんがお休みなのでボール遊びをたくさんしてもらった。しばらく遊んだ後、ゆっくりと休んでいると、今度は御主人がボール遊びをしようと言った。僕は疲れていたので丁重に断ると、プラスチックの植木鉢を蹴って僕を誘った。思わず僕は転がったそれに飛びついてしまい、植木鉢を転がしながらしばらく遊んでしまった・・・・と言うより遊ばされてしまったといった方が良いかもしれない。さらに、夕方散歩に連れ出され、御主人がものすごい早さで歩くので、僕は4本足を素早く交互にせわしなく動かさなければならなかった。これから冬になるので、体力をつけておかなければいけないと思っているのだが、いっぺんに大量の運動は良くないと思うので「飼い犬管理」の面で御主人には一考を促したい!!!

11月12日 くもり
今日は一日中曇りのお天気で風もすこし強い。こんな日は一日中犬小屋の中で寝ていた方が良い・・・御主人も事務の仕事がたまっているとかで午前中はいすに座りっぱなしのようで家から出てこない・・・なって思ったら、「出てきた!!」まるでお化けか幽霊のように・・・・なんでも、細かい字を見たりパソコンに向かって数字を打ち続けたりしていると、頭が痛くなると言うので、僕の頭をなでに出て来たのだそうだ。僕は寝ていたのを起こされ、迷惑そうな顔をしながらも、一応尻尾を振ったよ。だいたい、御主人というものは、
1.飼い犬の所に現れる時は飼い犬が御主人を必要とする時に限る  べし(散歩、食事、おやつ等)
2.犬をおもちゃのようになで回したりしてはいけない。
3.飼い犬が寝ている時は速やかに立ち去るべし
4.飼い犬に芸(お座り、お手等々)を無理強いしてはいけない

等々、もっといろいろと細かく書きたいのだけれど、基本的にはこれぐらいのことを守って欲しいものだと思う。「飼い犬が安全で快適に暮らせる環境改善の会」って所でパンフレットを作って欲しいなっ!!!

11月11日 はれのちあめ
今日、僕の家に「恐怖の大魔王」がやってきた。「大豆刈り用コンバイン」だ。僕の家の「稲刈り用コンバイン」の2倍は大きい。だから音も大きい・・・・そして操縦席から降り立ったのは御主人だった。こんなすごい機械はいままで見たこともない。何処かから借りてきたらしい。(去年もこんな物を見たはずだ、とご主人は言っているが、そんな遙か昔のことを犬が覚えているわけはない。忘れてしまったことは2度と思い出さないので、この機械も初めて見た、と言うことになる・・・)この機械が僕のすぐ側で前に行ったり後に行ったりするものだから、僕は今までにないぐらいのパニックに陥り、梅の木の根本に逃げ込んでぶるぶる震えていた。そこへ突然パラパラと雨が降り始めた。御主人はあわててコンバインにシートをかけようとするが、図体が大きいものだから、なかなか思うようにいかない。やっとかけ終えると、今度は洗濯物の取り込み・・・・そしてトラックを小屋の中に入れる。なかなかすることが多いようだ。でも・・・・梅の木の根本に紐が絡まってしまい、身動きも出来ず雨に打たれている飼い犬をどうしてくれるんだい?・・・・御主人。

11月10日 はれ
最近、僕がお利口さんになったので御主人が困っている・・・「人の言うことを聞かない犬」という噂が広がり始めたので、最近は努めて御主人の言うことを聞くようにしているし、お間抜けなこともしないように気をつけてはいる・・・のだが、天然ぼけの僕なのでいつ何処で失敗をやらかさないとも限らない。幸い、この所大きな失敗はないので事なきを得ているのだが、御主人は「ムツ犬のおまぬけ日記」の題材が無くて困っているようだ。時には、僕に罠を仕掛けて、わざと僕が、お間抜けなことをするように仕向けることまで考えているようだ。そこまでやられると、僕も意地になってしまう。「絶対お間抜けなことはやらないぞ!!」と、固い信念を持って日々の暮らしをしのいでゆかなければいけないと思っている。「こけの信念、岩をも通す」って言うぐらいだからね。えっ?、こけ・・・それって「愚か者」って言う意味だったの「物を知ざる事ほど恐ろしき物は無かりけり」ってところだね・・・「しゅぅぅぅ〜ん」

11月9日 はれのちらいう
今日は、薄雲がかかったものの穏やかな日和だった。僕は外でのんびりとお昼寝をしたかったのだが・・・・。御主人は稲刈り機械のお掃除をしている。時々エンジンの音を響かせるので、僕はおちおちお昼寝も出来やしない。それでも、まあ午前中はどうにかのんびりすることが出来たのだけれど、午後になって黒雲が見えたなと、思ったらたちまち空が暗くなり、稲妻が光り「ゴロゴロゴロ・・・」という不気味な音が鳴り響いた。御主人は大あわてで掃除していた機械を小屋の中へ運び入れる。ちょうど家にやってきていたおじいちゃんは洗濯物を取り込んだり、外にある濡れてはいけない物を小屋の中に入れたりする。「ぼっ、僕も何かしなくては・・・」と思うのだけれど、すでに雷嫌いの僕は音と光で腰が抜けてしまい、小屋の中に入ってぶるぶる震えている始末だ。情けない・・・・こんな時こそ御主人に対する忠義のしどころで、何か役に立たなければいけないのに本当に情けない・・・逆に御主人に慰められてしまったよ。「ムツ、ふるえているな。犬小屋の中に入っていろ」ってね。雷のすさまじい光と音、それにあわせてすさまじいほどの豪雨は夕方になっても止むことはなかった。かくして、僕の夕方散歩は「お流れ」になってしまったのだった。

11月8日 はれ
昨日から「秋の防火週間」が始まっている。僕は、いつもこの季節を楽しみにしている。「春の防火週間」もあるので、そっちも楽しみだ。なぜ楽しみにしているかというと、夜8時の「火の用心」のサイレンにあわせて歌うことが出来るからだ。僕の言う「歌う」というのは「遠吠え」のことだ。特に、良く晴れて星空がきれいな夜は澄み切った空気を通して、より美しく聞こえる。我ながらほれぼれする歌声なんだ。夕方5時の時報に合わせて、今まで遠吠えをしてきたが、この季節になって日が短くなり、ちょうど散歩の時間と重なってしまって時報に合わせて歌うことが出来ないのが残念だ。なぜなら、散歩は、いつも御主人と一緒なので、御主人が居る側で歌うのは恥ずかしいからだ。でも、この一週間は心おきなく「遠吠え」をすることが出来る。ストレスの発散が出来るとともに、「芸術の秋」のフィナーレを飾るにふさわしい、すばらしい歌声をご披露できるものと僕は確信している!!!!

11月7日 はれ
今日は大変良い天気になったので、外に出てごろんと横になり全身でお日様の光を浴びていた。すると、そこへ日曜日と言うことで暇なのか御主人がやってきて、僕の身体をなでたりほっぺをつまんでみたりと色々いたずらをするんだ。僕は、しばらく我慢していたけれど、とうとう、うるさくなってきたので立ち上がり逃げた・・・すると今度はボールを持ってきて僕を誘うんだ。何度も言っているけれど、僕は動く物を見ると飛びつきたくなるので、ひとしきりボールで遊ばされてしまった。御主人も暇だったら冬支度でもすればいいのに・・・・僕は、昨日のシャンプーでとっても疲れているんだからっ!!

11月6日 はれのちらいう
午前中、とうとう御主人の悲願だった僕のシャンプーが実行された。実行者は上のお兄さん。お手伝いは御主人。この前のシャンプーがいつ実行されたのかわからない、御主人は9月頃と言っているけれど、犬にとって一ヶ月以上の時間の流れは、ほぼ無限の時の流れと言っていい。自分がシャンプーされたことなど記憶の彼方に流されてしまっていて、きれいさっぱりと忘れてしまっている。それが、今年最後と思われるシャンプーが実施されたのだから御主人の感慨もひとしおと思われる。実行者が上のお兄さんとあって、余り暴れることもなく比較的にスムーズに終えることが出来た。しかし、その後、すこし肌寒いこともあってかドライヤーで僕の身体を乾かそうとしたのだ。僕は今までドライヤーなどと言う物を使って身体を乾かしてもらったことなど無い。だから僕は「ぶぉぉぉぉ〜」という音を出すドライヤーが恐くて逃げ回った。ところが、上のお兄さんと御主人との二人がかりなものだから、身体をがっしりと押さえ込まれて乾かされた。でも、すっきりしたよ。御主人は「秋田犬らしくなった」とほめた。それは当然のことだ。元々秋田犬なのだから・・・・できることならば、今年度のシャンプーはこれで終わりにしてもらいたい!!!!

11月5日 くもりのちはれたりくもったり
僕の食料がのこり少なくなったので、御主人は緊急に買い出しに走った!!残るは4日分の犬の缶詰のみ・・・・ホームセンターへ行き、取り急ぎ買ってきたものを、買い物袋の中に鼻をつっこんでチエックしてみた。すると、ロータイプと称する犬の缶詰が混じっている。「これって、なぁに?」と聞いてみると、御主人もよくわからないながらも、手当たり次第に買ってきたらしい。そして、言うに事欠いて「もしかして、老犬用の犬の缶詰なんじゃないの」とのたまった・・・・その言葉に「老犬用!!!!がうん、がるるるる〜」と、僕はうなったぞ!!僕は、まだ四歳の青年犬だ!!。何をトチ狂ったのか老犬用を買ってくるなんて・・・・僕は唸り声を上げた後、声もなくその場に立ちつくした。御主人こそ「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢まぼろの如くなり・・・・」って言う老年期にさしかかっているんじゃないの?と、密かに悪態を付いたんだ。もっとも織田信長って言う人は49才ぐらいで暗殺されたらしいけどね・・・

11月4日 くもりときどきあめ、はれまあり
今日は、かなりこっぴどく、強引に、力ずくで叱られてしまった・・・・というのは、作業小屋の中にある機械の角にオシッコをしたからだ。物にオシッコをかけるという行為は、僕が日常的にやっている行動なので、この日記を読んでくれている人はみんな知っていることだと思う。ところが、今日の御主人は怒った!!大魔神のような形相で怒った・・・その理由は、この機械には僕が今朝、オシッコをしたばかりなのだ。それを御主人がきれいに拭き取って、消臭殺菌剤まで振りかけてきれいにしておいた。この時は叱られなかった。そして、夕方・・・これへ、また僕がオシッコを引っかけたものだから、御主人は怒髪天をつくような勢いで僕を叱った。まず、僕の両方のほっぺをぎゅっと握り、件の機械の側までそのまま僕の身体を引きずって、無理矢理オシッコの匂いを嗅がせた。僕は精一杯足を踏ん張ってイヤイヤをしたのだけれど、御主人の力にはさすがの僕でもかなわなかった。そして、その後、地面の上にはいつくばって、ふるえながら「ごめんなさい」のポーズを取ったんだ。「オシッコ犬めっ!!」と何度も何度も言われてからやっと解放してもらったよ。反省!!・・・でも、明日になったら、きっと、こんな事忘れてしまっているよ。

11月3日 くもりいちじあめ
雨が降ったので、朝の散歩はお腹を泥だらけにして行ってきた。まったく、自慢の白い毛が台無しだ・最も、この所シャンプーをしてもらっていない。だから身体全体が垢だらけなので、今更白い毛の部分が泥だらけになろうがどうしようが、余り気にはしていないのだ。御主人は、寒くなる前に、僕をもう一度シャンプーするのが悲願だという・・・・別に、僕如きのシャンプーに悲願を込めるより、もっと大切なことに悲願を込めるべきだと僕は思うのだが、御主人は特に今やりたいと思っている重要な事はないようだ。それだけ世の中が・・・と言うより御主人が、のほほんと平和な生ぬるいお風呂の中にどっぷりとつかってしまっている様なものだと思う。犬は、常に危機感を持って日々を暮らしている。番犬のお仕事がそれだ。僕は御主人に、もっと日常的に危機感を持てよ!!って、声を大にして訴えたい!!「わんわん、わお〜ん!!」

11月2日 くもりときどきあめ、はれまあり
今日は灯油の宅配がやってきた。僕は、あの灯油運搬車のエンジンの音がものすごく恐い・・・だから、「わんわんわんわんわんわんわん」と終わるまで吠え続けた。途中で上のお兄さんが帰ってきて僕の所へやってきたけれど、お兄さんに向かっても「ワンワンワンワン」と吠えてしまった。それぐらい、家族を判別できないほどのの恐怖におびえていたのだ。灯油運搬車が恐い理由は御主人だけが知っている秘密事項なのだ・・・ここで、あえてその理由を公表する。僕が、この怖さを克服するために!!つまり、灯油運搬車のエンジンの音は、コンバインやトラクターの「エンジン」音と同じなのだ。子犬の頃、これらの農業機械のあまりの大きな音におびえふるえていたトラウマが僕の心の中に深く根付いてしまい、今でもこの音を聞くとトラクターの下に逃げ隠れてしまう僕なのだ。でも・・・・?最も嫌いな音を出すトラクターの下に潜り込んでしまう僕の心理って、いったい何なの?・・・

11月1日 くもりいちじあめ
今日の御主人は一日中お米の殻、つまりもみ殻をトラックで田んぼに運ぶお仕事をしていたよ。トラックが我が家を出たり入ったりと繰り返すものだから、地面の上に寝転がってお昼寝をしているとひかれてしまいかねない。そこで、前にお話ししたことがあると思うけれど、土のお山の上に昇ってお昼寝することにしたんだ。ここは見晴らしが良くて気持ちが良い。ここに立って辺りを見渡していると、断崖絶壁に堂々と立つライオンになったような気がする。最もライオンは猫なので僕とは相性が悪いけれどね。ライオンじゃなければ断崖絶壁に立って満月に向かって遠吠えをする山犬・・・と言った方が良いかなぁ?・・・でも、このお山のただ一つの欠点は、僕が日頃から自慢している、お腹一面の白い毛が泥だらけになってしまうことだ。それでも、このお山の上の爽快さは少しも損なわれることはないけどね!!
ところで、上のお話とはぜんぜん関係がないけれど、今日のご飯は「キャベツの油炒め卵入り、いつものご飯」だったよ。ちょっと変わったメニューなのでお話ししておくよ。