むつ犬のおまぬけ日記
平成16年12月
12月31日 ゆき
今日は朝起きた時から「今日はなんか特別な日なんだ」と直感した。別にいつもと変わらない風景、御主人達もいつもと変わらない様子だけれど、犬の鋭い感性は「特別な日」を感じ取っていた。それで、いつもの日だと犬小屋の中でお昼寝をしているんだけれど、今日は一日中雪の上で遊んだり、ふせの格好で雪の上に寝ころんだりしていたんだ。どこか落ち着かないんだよね。後で聞いたら、今日は「大晦日」なんだって、すると明日は「お正月」だ。子犬の頃は「お正月さん」という人が家にやってくるものだとばかり思っていたのだけれど、大人になった今はさすがにそんな馬鹿な思い違いはしない。つまり、「お正月」っていうのはおいしいものをいっぱい食べて一つ歳をとるということなんだよね。と、いうわけで、僕の夕ご飯は「お正月料理」だった。おいしくいただいたよ。でも・・・・どう考えても、これは「正月料理」とは言い難い。いつものご飯の上に、年越しそばの汁を作るときに使った煮干しと鰹節がのっているだけにすぎなかったのだ。
来年も、「むつ犬のおまぬけ日記」をよろしくね。良いお年をお迎えください!!

12月30日 ゆき
雪が昨日よりも積もっている。10センチぐらいも積もっているのかなぁ〜。そんな中を朝散歩に出かける。相変わらず北西の季節風が肌を刺すようだ。それに雪も混じって吹き付けてくる。でも、僕は平気だよ。平気じゃないのは御主人だ。こういう風に、寒い季節に散歩へ出かける、寒がりの御主人をあざ笑ったり馬鹿にしてきたけれど、今日ほど「偉いっ!!」と思ったことはなかったね!!・・・・と、言うのは、今朝の吹雪のような中を僕と御主人は歩いていったんだけれど、向こうの方に自動車が走っているのが見えた。よく見ると、車の前の方をワンコが走っている。そのワンコの御主人は車を運転しながら、ワンコを離して散歩をさせているようだ。やれやれ、御主人は楽をしてワンコだけが雪の中を走っている。「犬の苦労は御主人の苦労」と言う言葉が犬の世界にはある。飼い犬と飼い主は苦労も楽しみも分け合わなくちゃいけないのだ。だから、こんな寒い日でも飼い主と飼い犬は一緒に歩いて散歩をしなければ、お互いの絆は深くならないのだと思うよ。その点、僕の御主人は寒がりでも、一緒に雪の中を一緒に歩いてくれる。ありがたいね。御主人!!!

12月29日 ゆきがふったりやんだり
夕方散歩!!、雪が積もった田んぼ道は、よそのワンコの足跡で一杯だった。「わ〜い、わ〜い!!足跡の匂いを嗅ぎながらお散歩が出来るぞ」と喜んだ。犬は匂いを嗅ぐのが大好きだ。今朝は、すてきな匂いのするものを発見したので、身体をこすりつけて匂いを家まで持って帰ろうとしたのだけれど、御主人に「駄目!!」と、言われてしまった。僕達、犬がすてきだと思う匂いは、たいがい人間にとっては臭くて鼻が曲がるような匂いのようだ。でも、匂いなんて言うのは主観的なものだから、絶対的な良い匂いなどと言う物は有りはしない。犬と人間の匂いに対する感性のずれはどうしようもないようだ・・・・・

12月28日 ゆきがふったりやんだり
朝、雪降りの中を御主人と散歩をする。御主人は東京の暖かい気候にならされてしまったのか、「寒い、寒い」と言って完全防寒の出で立ちだ。そんな御主人に哀れみの目を向けながら、尻尾と耳をピンと立てて、風の中を堂々と真正面を向いて僕は歩いていった。実に快適な朝だったよ。

12月27日
・・・・・・・・、そろそろ御主人達の顔を見たくなってしまったな・・・でも、もっとわが
ままし放題の暮らしを楽しみたいなどと思っていたら、夜になって御主人達が帰ってきてしまった。一応ぴょんぴょん跳びはねながら「お帰りの踊り」を踊った・・・・

12月26日
おじいちゃんと、おばあちゃん、そして上のお兄さん達にかしずかれながら王様のような自由奔放生活を送る。

12月25日 
・・・・・・・・・と、言うわけで
御主人とお母さんは東京という所へ出かけていった。

12月24日 ゆき
朝散歩も無事終わり、トラクターによる除雪にも、うろたえることなく、大きく背伸びをしながら今日一日のスタートを迎えた僕だったが、トラクターから降りた御主人がやってきて「大切なお話がある」と言った。そんな話は聞きたくないので逃げ回っていたら、とうとう御主人は怒り出して「人の話を聞けっ!!」と怒鳴られた。僕は両方のほっぺを「ギュッ」と握られて、イヤイヤ御主人の顔の方に向かされてしまった。仕方なく、御主人のお話というのをうかがうことにした。「明日から、27日まで、大切な用でお母さんと東京に行ってくるからな」・・・・と、言うのだ。それを聞くと「何を言うんだ。そんなことはもっと早くお話ししてくれ!!」と文句を言った。「おまえが寂しがると思って話せなかったんだ」と御主人は言い訳したけれど、僕の了見は違っていた。誰もいなくなる時を見計らって、今まで出来なかった遊びやいたずらをやりたい放題と思ったのだ。しかし、どんなことをすれば楽しいのか考える時間が欲しかった・・・・犬の知恵では、明日まで良い考えが浮かびそうもない。御主人やお母さんがいなくなることより、楽しい遊びやいたずらを考えることに集中してしまっている僕なのであった。「猪突猛進」じゃなくて「犬突猛進」ってでも言うのかなぁ?そうそう、この「おまぬけ日記」もお休みだね。僕への監視が無くなるぞ!!、こりぁ、やりたい放題、自由奔放、活殺自在?・・・だね!!!!!!

12月23日 ふぶきのちくもりときどきゆき
やっと、吹雪は去ってくれた。でも、朝散歩の時はひどい吹雪だったよ。御主人はこの冬、初めての除雪をトラクターでした。僕は以前のようにトラクターの音でパニックに陥らなくなった。犬小屋の中で降り積もった雪がきれいに寄せられて、小さなお山が出来るのを冷静に見つめていたのだ。しかも、除雪が終わった後、犬小屋から出て、出来上がったばかりの雪のお山にオシッコをかけることも、淡々と行うことが出来た(雪のお山は新しい僕の領土、つまり所有物であるという印)。「近頃の僕は違う!!」なんだか、そう思えてくる今日の僕だった。きっと、生まれながら持っていた気高い品性が、じわじわと備わってきて、やっと今頃花開いたのかなぁ・・・?「秋田犬の品格」を汚さないように、これからも何が起こっても平常心を失わないようにしようと決心した!!

※飼い主の談・・・むつ犬は、トラクターの大きな音に茫然自失となり、立ったまま意識をなくして動けなくなってしまっていたのではないだろうか・・・?

12月22日 ふぶき
やっと、本格的な冬になったなって思った途端、いきなり吹雪の襲来だ。どうも、今年の天気は人や犬の意表をつくのが好きなようだ。
午後から、農協と言うところへ、用が有って出かけていた御主人が帰ってきて言うには道路はツルツルリンと滑って、とても恐いと言う。「おそらく、犬が爪を立てても滑ってしまうだろうな」とも言うので、「よし、それなら犬爪の底力を見せてやろう!!」と意気込んだ。しかし、道路は常に車が行き来している。犬が1頭、道路をうろうろしていたのでは、犬にとっても車にとっても危険きわまりない、と御主人が言うので泣く泣く止めることにした。こんな時こそ、僕の雄志を見せつけてやりたかったのになぁ・・・でも、夕方散歩の時、御主人がなかなかやってこないので、吹雪の中、雪の上に「伏せ」の格好をして待っていたら、やってきた御主人に「さすが北国の犬だ!!」ってほめられたよ。これで僕の面目躍如って所だね!!

12月21日 ゆき
昨日の雨が雪に変わってしまった・・・・積もるような雪ではないけれど、風景の所々が白く見える。朝、御主人がやってきたので、久しぶりに散歩へ出かけられると思って、はしゃいだら・・・・トラックで何処かへ出かけてしまったよ。僕は、しょんぼりして犬小屋の中に引っ込んでしまった。ややしばらくたって、御主人のトラックのエンジン音が聞こえた。「帰ってきた!!」僕は犬小屋を飛び出してお迎えしたんだ。でも、御主人は、僕が、嬉しくてそこいら中を駆け回るものだから、危なくてトラックをなかなか小屋の中に入れることが出来ないでいる。これもまた、ややしばらくして、どうにかこうにか、トラックも落ち着くところへ落ち着いた。「さぁ!!、雪の舞散るのを見ながらキリリンと冷えた朝のお散歩へお出かけだ。!!!」

12月20日 あめ
今朝の散歩は、御主人の公務で行くことが出来なかった。この前にお話をした「年末の交通安全運動」だよ。そして、今日は一日中、雨降りだった。退屈なので一日中、犬小屋の中で居眠りしたり、プラスチックの植木鉢を「カミカミ、ナメナメ」したりして遊んでいたよ。御主人も年末を迎えて忙しいらしく、午前中も午後も何処かへお出かけのようだ。やっと、夕方になって帰ってきたので「お帰りなさいの踊り」を披露すると、「今日は雨降りだから、お散歩は無し!!」と言われてしまったよ。「昨日の夕方散歩は1時間もしたので、今日はその分しなくても良いだろう」という・・・・それはないよ、御主人!!昨日は昨日、今日は今日!!、昨日1時間ほど散歩したからと言って、物事を数字で判断して処理するなんて、今の世の中の風潮に染まってしまったようなやり方だ!!物事や人生、犬生、等は数字だけで解決出来るような生やさしいものではないんだよ!!!「がうん、がるるるる〜!!」

12月19日 はれ
久しぶりの晴れ!!・・・でも、やっぱり今は冬だった。お日様が出たので外に出て寝ころんでみたけれど、冷たくて、すぐ犬小屋の中に引っ込んでしまった。お日様が出ると暖かくなる関東の冬とは違うようだと、ご主人は言っていた。ここら辺は風が冷たいからね!!毛皮を着ている犬の僕も寒さに抵抗性があるからと言って、わざわざ寒いところに寝転がるほど虚勢を張りたくはない。犬小屋のなかの柔らかい布団の上に横になってのんびりと昼寝がしたいに決まっている。でも、犬小屋の中の布団は、ちょっと湿気を含んでいるので、お日様が出ている内に乾燥して置いて欲しいなぁ。それにシーツと来たら汚れがひどくなっていて、元の色がわからないぐらいだよ。犬に使う物だからと言っていい加減な事はして欲しくないなぁ!!飼い犬としての僕からのきつい要求だよ!!

12月18日 あめ
外は雨降り、退屈なのでお気に入りのプラスチックの植木鉢を「カミカミ、ナメナメ」して、犬小屋の中で遊んでいると、御主人がやってきて、僕が遊んでいる植木鉢をいきなり取ろうとした。せっかく楽しく遊んでいたのをじゃまされた僕は、ついうっかりと「ガルルルル〜」と、唸り声を上げてしまった。しかも、二度までもだ・・・・「あっ!!」と思った時は、もう犬小屋からひきづり出されて、頭を押さえつけられ、僕は冷たいコンクリートの床の上にはいつくばって「ごめんなさい」の格好をしていた。その後、ねちねちと小言を言われ続け、やっと解放された。・・・・・でも、よく考えると、なぜ僕が御主人に謝らなくちゃいけないの?、たしかに御主人に唸り声を上げたのはいけないことだったかもしれないけれど、楽しく一人遊びをしていた飼い犬の楽しみを奪うようなことをしでかすとは飼い主の風上にも置けないと言えるのではないだろうか!!無心に遊んでいる赤ちゃんや幼児からおもちゃをいきなり取り上げてしまうようなものだ。犬と人間がお互いに円滑に生活するためにある「飼い主との契約」に置いては、「飼い主は飼い犬の幸せと安寧を補償し、それを奪うことは厳しく禁ずる。飼い犬に置いては飼い主を尊重し、飼い主に安らぎを与えることを旨とするべし」と有る。もちろん人間界の法律にも犬に対する不当な行為、あるいは虐待などは厳しく禁じられている。御主人は、そのことを知っているのだろうか?
はぁ〜・・・犬が人間を裁いてくれる「犬裁判所」が欲しい!!!!

12月17日 ゆきのちくもり
朝、目が覚めたら一面真っ白とは言えないけれど雪景色になっていた。そして、チラチラと雪が舞っている。道理で寒いわけだ。犬小屋の中で丸まって寝ていたからね。御主人が朝散歩に連れ出しにやってきた時は、雪が降ったうれしさと散歩に行けるうれしさで、つい興奮して、はしゃぎすぎてしまい、コンクリートの床の上で滑って転んでしまった。左前足をしたたかに打ち付けてしまって痛かった。でも、このうれしさに比べれば痛みなど、どうと言うことはない。御主人は、雪が降ると「犬は喜ぶ」という昔からの言い伝えを目の前で見ることが出来て満足しているようだった。今度は、雪が降ると「猫はこたつで丸くなる」のを見たいという・・・僕が犬小屋で丸くなって寝ているのはよく見ているらしいけど、だいだい同じような格好なんじゃないの猫さんの格好と・・・?でも、犬はこたつの中へは入れないから、そこいら辺の所を御主人はよく見てみたいのじゃないのかなぁ・・・・?

12月16日 あめ
朝は雨が降っていなかった。御主人がやってきたので朝散歩に行けるかなって、はしゃいだんだけれど、いつもの格好と違う・・・「年末の交通安全運動」というのが始まっていて、どうやらそれに出かけなければならないらしい。そういうわけで、朝の散歩には行くことが出来なかった。それから一日中、犬小屋の中で過ごさなければならなかった。ちょっと欲求不満なので、御主人の信頼がないことを良いことに、干してあった洗濯物を引きずりおろしてゴミだらけにしてしまったよ。それも、御主人が、いつも着ている服だったよ。御主人は、僕の手(口)の届かないところに干したつもりのようだったけれど、そこは悪知恵というのか、こざかしい知恵が働くというのか、秋田犬の浅知恵を働かせて、どうにか洗濯物に飛びついて、口にくわえて引きずりおろしてやった。これで、少々、心のもやもやがすっきりしたよ。ところが・・・・夕方散歩も、強風と雨で行くことが出来なくなってしまった。「うう〜、わんわん、わお〜ん!!」またストレスがたまってしまったぞ!!、今度は何をして鬱憤を晴らそうか?、幸い、まだあそこに洗濯物が干してある。あれを今晩中に、ことごとく引きずりおろしてやろうか!!・・・・なっと?

12月15日 くもり
朝散歩の時、御主人の従兄弟という人と、その飼い犬にあったよ。向こうはラブラドール犬で雌犬なんだ。まだ若犬だから僕よりはずっと年下なんだ。でも、年の差なんて関係ないよね。僕、ずっと前からお近付きになりたいと思っていたんだ。僕は「ガウン、カルルル〜」と挨拶を言って、尻尾を下げてぴよんぴょんと飛び跳ねながら彼女に近づいていったんだ。彼女も、ぴょんぴょん跳びはねて僕に近づきたいような様子を示した!!しかし・・・お互いの御主人達がそれを許さなかったのだ。接触すると喧嘩になってしまうんじゃないかって心配したんだね。大丈夫だよ。犬の雌と雄は滅多に喧嘩はしないんだから、喧嘩をするのは同性同士だけだよ。結局、僕達は何もないまま、すれ違ってしまったのだ。そして、夕方散歩・・・いつもの分かれ道(ラブラドール犬のお家へ向かう道)で僕は足を踏ん張って「彼女のお家へ行きたい!!」とだだをこねた。だが、非情にも御主人はそれを許さず、僕は彼女のお家の瞬く明かりを何度も振り返りつつ、家路についたのだった。そんな僕を見た御主人は、40年以上も前の懐かしの歌謡曲「青春の城下町」という曲を思い出したそうだ。「・・・明かりが窓にともる頃、見つめていたっけ会いたくて、ああ〜青春の思いでは・・・・」等々と・・・・

12月14日 はれ
どうも、僕は御主人から信用されていないようだ。冬になって洗濯物を外に干すことが出来なくなった。犬小屋の真上には以前から物干し竿がぶら下がっていて、天気が悪い時や夕方まで乾かないような時にはそこへ干すことにしていた。今日も御主人はその物干し竿に洗濯物を干した。・・・・・ところが、しばらくして、気が変わったのか、犬小屋とは反対方向の小屋の中に物干し竿をもう一本ぶら下げてそこに、洗濯したものを移動したのだ。僕は、そんな光景を眺めながら、「きっと、御主人は僕が洗濯物に飛びついて引きずりおろしてしまうに違いないと思っているのだ」と、思った・・・・「僕は、そんなにも信用がおけないのか!!!がうん、がるるるる〜」と、うなりたくなってしまった・・・・のだが、ふと今年の春か、夏の事をおぼろげながら思い出した。余りにも遠い昔の出来事なので深い霧の中にかすんでしまっているような記憶だったけれど、たしか、外にあった物乾し場にぶら下がっている洗濯物をおもしろがって、毎日のように口で引きずりおろしたことが、有るような、無いような気がした。
御主人は人間なので、そこら辺の記憶はたしかだと思うので、そんな過去の行状を心配して洗濯物を移動したに違いない。でも、僕にとってはそんなに深く考えるような問題じゃないけどね。そんなことより。早く散歩に行きたいよ!!

12月13日 くもり
夕方散歩の時、また御主人にだまされてしまった。大学のある方へ歩いていた僕達だったのだが、僕が気になる匂いを草むらからかぎ取るために下を向いている隙に、御主人はくるりと向きを変えて、お家の方へと向いてしまった。僕は匂いを嗅ぎ終えて、そのまま歩き出したのだけれど「なんか、おかしいなぁ・・・」と感じては居た・・・けれど、そのまま歩いていくと、なんと!!お家がだんだん近づいて来るではないか!!この時、初めて僕は御主人にだまされたことに気付いたのだった。こんな風な単純なだましに僕はたびたびやられている。犬の思考というものは単純そのものなので、「えっ?こんな事でだまされるの!!」と人間から見たら驚かれるような単純な手口にだまされてしまう。この散歩の時の「向きの入れ替え詐欺」は、御主人が散歩に行きたくない時などによく使われる手口だ。犬の散歩は御主人が飼い犬に対する義務なので仕方なく行きはするけれど、自分が行きたくない時は適当なところまで散歩に来て、良くこの手を使う。僕は僕で、この単純な手口に毎度毎度ごまかされてしまう・・・犬ってほんとに損な動物だ。これからは犬の知能と知識向上のために奮励努力しなければいけないようだ・・・と毎度思う僕なのであったのだが・・・・(沈黙)

12月12日 はれっ!!
12月だというのにこの陽気!!これから寒い雪景色を迎える北国の犬にとっては貴重な一日だ。だから、今日は一日中、お腹を出して地面の上に寝ころんでいたよ。時々、御主人が、ちょっかいを出しに来てお昼寝のじゃまをされてしまったけれどね。でも、その後、ボール遊びをして一杯遊んでくれたから「良し」と言うことにしよう。どうも、僕はボールの弾む音を聞かされると、居ても立ってもいられなくなり、ボールを持っている御主人に襲いかかってまでもボールを奪おうとしてしまう・・・・もちろん、そんな僕に簡単にボールを奪われてしまう御主人ではないけれど、それほどまで、ボールに執着してしまうと言うことだ。他の犬はどうなのかは知らないけれど、野生の本能がそうさせるのか、赤ちゃん犬の頃からボール遊びにならされてきた記憶がそうさせるのかは定かではない・・・・

12月11日 くもり
今日のお話は、僕の身体のことなんだ・・・・などと意味深長に間を置くほどの話でもないんだけれど、実は僕の身体の毛のことなんだ。冬になって、僕の毛はふわふわの柔らかい毛になった。夏の頃はごわごわした固く太い毛だったので、空気が通りやすく、いかにも涼しげって言う感じだったんだ。今の僕の毛は、さっきも言ったけれど「ふわふわ柔らか」になっている。これは身体の中の熱が外へ逃げにくくなるようになっている。お日様の暖かさもたっぷりと毛の中に取り込める。こんな毛だから吹雪の日でも氷が張るような日でも、外で寝ることが出来るんだ。最も、そんなことはしたいとも思わないけれどね。やっぱり寒い日は犬小屋の中で寝るに限る。それと、もう一つ、僕の身体の色も白いところと赤い所がはっきりと分かれて見えるようになってきた。夏の間は、白いところの毛が目立ってしまって、御主人に「白犬!!」などと呼ばれることがあった。赤犬なのに白犬などと呼ばれると赤犬を自称している僕としては自分自身の尊厳に関わるので腹が立ったのだけれど、やっと胸を張って赤犬と言えるようになったよ。ようやく「りりしいねぇ、かっこうがいいねぇ」などと言われ、最後に「秋田犬らしく見えるねぇ」とまで言われてしまった。ちょっと、ちょっと御主人!!何度も言っていることだけれど、僕は元々秋田犬なんだってばぁ!!

12月10日 かいせい
今朝は昨日よりも冷え込んだ。水たまりの氷も昨日よりは大部厚いのが張っている。それよりも何よりも、すごいと思ったのは、一面真っ白の霜だ。御主人は、「まるで高級霜降り牛肉のようだ」と言った。僕は、そんなものを見たことも聞いたこともない。ましてや味わったことなど無いので御主人の話を半分まで聞いてから、草むらの匂いを嗅ぐことに集中した。御主人は、「人の話を聞け!!」と怒ったが、僕は、そんな御主人を鼻先で笑い、「飼い犬の知識と教養を深めるために、高級霜降り牛肉とやらを食べさせてくれ!!」・・・・と、心の中で怒鳴りつけてやった。飼い犬は本音を直接、飼い主に言うことが出来ないのでつらいよ・・・・

12月9日 かいせいっ!!
朝から雲一つ無い空だった。青黒い夜の闇から東の山の稜線がだんだんオレンジ色になって日の出を迎えようとしている。僕は、日の出前から御主人が散歩に連れ出しにやってくるのを「今や遅し!」とばかりに犬小屋の中で待ちかまえていた。やがて、御主人がやってくる足音が聞こえてくると、すぐにでも飛び出せる姿勢を取って待ちかまえた。「ムツ!、散歩だよ」という声を聞くやいなや、御主人の居る方に向かって飛び出していった。そして、御主人の側を通り越して、辺りをかけずり回り、お気に入りの場所にオシッコをした後、御主人の側にすり寄っていったのだった。今朝の散歩は薄氷の張った水たまりを踏みしめながらの散歩だったよ。この冬一番の寒さだったのかなぁ?でも、日中は風が冷たかったけれどお日様も一日中、僕達の住んでいるところを見守ってくれていて、まるで御主人が昔住んでいたという関東の冬景色のようだったとご主人は言っていたよ。

12月8日 あめがふったりやんだり
今日の夕方散歩は、16時半に出発した。まだうっすらと辺りが見える。黄昏時って感じかな?散歩の途中で大学の方から誰かが歩いてくるのを見つけたよ。僕は用心しながら近づいていった。大部近づいたところで驚いた。なんと、犬を連れている人だったのだ。その犬というのが全身真っ黒だった。だから、さすがの僕でも近くに来るまで犬に気付かなかったのだ。御主人と相手の人は知り合いらしくて、挨拶を交わしながら通り過ぎようとする。だけど、僕と黒いワンコは初対面だった。「くう〜ん、わんわん」と、僕は声を上げながら後足で立ち上がるようにジャンプを繰り返して相手の気をひいた。すると、向こうも僕と同じ事をする。向こうは声は出さなかったけどね。でも、僕が勝ったと思ったね。だって、尻尾を下げているのが見えたからね。僕の方は、二重巻き尻尾がクルクルンと固くきれいに巻かれたままだったよ。僕と黒いワンコはお互いを牽制しながらすれ違っていった。僕は、決して喧嘩をしようとした訳じゃないけれど、言うなれば、日本の犬と西洋の犬との意地の張り合いって所かな・・・・?ところが、後で御主人に聞いてみると、あの犬の種類は尻尾がクルリンと巻かないような犬なんだって!!それに、歳も僕より3才も下で赤ちゃんにやっと毛が生えた「若犬」なんだって!!僕・・・・大人の犬としてちょっと大人げなかったかなぁ・・・・

12月7日 あめ
僕はお肉が大好きだ。今朝も朝散歩から帰ってきて、お座りをしながらおやつが出てくるのを待っていた。すると、驚いたことに「鶏の唐揚げ」がお皿の上に乗っている。僕は、その匂いを嗅いだだけで、よだれが「だらだら」出始め、興奮して立ち上がり、思わずお皿にのっているお肉に食い付こうとした。その時!!、御主人の手が素早く動き、僕の鼻先を叩いた。「がるるるる〜」と思わずうなってしまったけれど、そんな僕の威嚇なんかに動ずる御主人ではない。僕に、きちんと「おすわり」をさせ、お肉を指でつまんで僕の鼻先に持ってきて、「まだまだ!!」と言うではないか!!「つらい!!、これは本当につらい!!」大好きなお肉が目の前にあるのに食べられないなんて・・・やがて御主人は、そのお肉をお皿に戻して、煮干しを僕に与え始めた。「違う!違うんだ!お肉を最初に食べたいんだ!」と僕は懸命に訴えたが聞き入れてもらえず。仕方なく、煮干しと犬ビスケットを食べ終わった後に、やっと「鶏の唐揚げ」をもらうことが出来たのだった。ほんとうに!!!性格の悪い御主人だ!!

12月6日 あめがふったりやんだりにじがでたよ
何度も言うようだけれど、僕は、はしゃぎすぎて人の言うことが聞けない犬だ。人間で言えば、「気持ちがすぐ行動に出てしまうタイプ」なのだ。人間の世界でこんな性格だったら、果たして生活していけるだろうかとつくづく思う。犬でよかったよ。
まぁ、こんなものだから、御主人が僕に、じっくりと言い聞かせる時は、まず、両方のほっぺをぎゅっ!と握って左右に引っ張られる。すると僕の顔が「お多福さん」のような顔になると同時に顔を動かせなくなってしまう。そして、御主人は僕の鼻に自分の鼻をくっつけて、じっと僕の目を見ながら言い聞かせるのだ。たとえば、今日の場合は「散歩へ出かける時の作法」を僕がしないものだから、さっき書いたようなことをやられてしまった。その作法とは、「散歩紐を付けてもらう時は、必ずお座りをしなければいけない」と言うことだ。僕は散歩へ行く時は嬉しいものだから、そこいら中をかけずり回って、ちっともじっとしていない。だから、御主人にこんな事をされる羽目になってしまうのだ・・・

12月5日 ぼうふうう
今日はお母さんの誕生日だったよ。何歳になったかは家族以外の人にはマル秘扱いになっていて、僕の所までは情報が廻ってこない・・・・同じ家族なのに・・・しゅう〜ん、そして、お誕生日のごちそうのお裾分けも僕の所へは廻ってこない。お母さんと御主人、それに上のお兄さんと実家のおばあちゃんがお昼に何処かへ出かけていったので、たぶんおいしいものでも食べに行ったのだろうと思う。でも、帰ってきても、なんの報告もなかった。飼い犬に対して、なんと思いやりに欠けている御主人であろうか!・・・・
所で、今日は「台風崩れの低気圧」とやらが僕達の所をおそった。台風崩れとは、「台風ではなくなった台風」のことを言うらしいけれど、すごい風と雨が僕の犬小屋をおそった。幸いビニールで覆われていたので中まで雨風が吹き込んでくることはなかったけれど、一日中、犬小屋の中から出ることが出来なくて、つまらない一日を過ごしてしまった。今頃「台風もどき」がこんな所にやってくるなんて絶対おかしい!!。でも、日本の政治や社会、日本に住んでいる人間達の意識そのものまでが普通じゃなくなっている今、気象もおかしくなるのも当たり前なのかもしれない・・・・なぁ?

12月4日 くもり
最近の牛さんや馬さん達は、飼い主にビールやワインを飲ませてもらって、クラシックの音楽まで聴かせてもらっているという。僕なんか、良い音楽と言えば、夕方の音楽時報ぐらいだ。御主人はクラッシックの「しーでー」とやらを何枚も持っているらしいので、ぜひ僕にも聞かせてもらいたいものだ。ワインやビールを飲ませろとまでは言わない。今、ちまたで話題になっている「もーつあると」という作曲家の音楽は、それを聴くと身体の悪いところが直ってしまうと言う。僕も、そんな音楽を聴くと、「人の言うことを聞かない」、「勝手な行動を取る」、「食い意地が張っている」等々、の悪いところが直るのかなぁ・・・?えっ、性格の悪さは直らないって!!「がうん!がるるるる〜」

12月3日 はれ
今日は、とてもすばらしいお天気だった。「小春日和っ!!」って言う一日だったよ。僕がお日様にお腹を出して寝ころんでいると御主人がお腹をなでてくれる。お日様の暖かさが身体の奥までしみこんでいくようだ。僕はあまりの気持ちよさに大あくびをして、ごろんごろんと身体を地面にこすりつけた。
ところで、「あくび」は、ほ乳類が急激に酸素を必要になった時に生ずる現象なんだけれど、主に人間の場合は眠くなった時などに発生する事が多い。犬にとっては、緊張するとあくびが出やすいのは、この日記でもたびたび書いたよね。この「あくび」という現象は犬にとって、誠に都合が良い。御主人に、注意されたり命令されたりすると、僕の場合、すぐあくびが出てしまうのだけれど、その、とぼけた「あくび」の動作に御主人は「緊張感のない犬!」と僕のことを見てしまうようだ。(本当は、すごく緊張しているから「あくび」が出てしまうんだけれどね。)だから、僕は、とぼけたような表情であくびをしながら、御主人の言うこと(命令やお叱り、注意等々)を聞かなかったことにしてしまう・・・・聞かなかったから、命令も注意も実行する必要がないわけだ。みんなも「あくび」を有効に使うと良いと思うよ!!

12月2日 はれたりくもったり
僕達、秋田犬はこれでも結構神経質で、繊細だ。それにせっかちでもあり几帳面でもある。暇があると、舌で毛並みのお手入れは欠かさないし、御主人の命令は几帳面にこなす(命令違反をした時に御主人のお叱りが恐いだけだという人もいる・・・)、それと、余りなでられたりべたべたとかわいがられたくないのは、神経質な証拠だ。それでは、何処が繊細なのか・・・?と、言われると何処がともいえない・・・秋田犬としての体型や性格的なものすべてを総合して繊細と言えるんじゃないかなぁ?なんと言っても僕達、秋田犬は日本国の天然記念物指定を受けているからね。未来永劫にこの体型を維持していかなければいけないのだ。だから、繊細かつ几帳面プラス神経質、えっ?、誰?、僕の場合はさらに「おまぬけ」が追加されるって言ったのは!!!

12月1日 はれたりもったり
朝、御主人がやってきて「今日から冬だ」と僕に宣言した。そして、散歩へ連れ出すこともなく「交通安全日」の街頭指導に出かけていってしまった。僕は、それを冷ややかに見送りながら「冬になったからどうしたと言うのだ」と、「がうん、がるるる〜」と歯をむき出し、うなりながら思った。冬になったからと言って、犬にとって特別変わったことはない。冬用の暖かい犬小屋、あるいは冬用の暖かい食べ物等々、有るわけがない。犬は、四季を通じてほとんど変化のない生活を送っているのだ。特に飼い犬はそうだ。野生の動物たちならば、四季それぞれの生活があるのだろうけれど、飼い犬は住んでいるところは一年中変わることがない。食べ物の不自由がないという条件と引き替えに、単調な生活に甘んじているわけだ。いつか大自然の中で、野生としての犬の生活をしてみたいと、かすかな夢を抱いている僕なのであった・・・