むつ犬のおまぬけ日記
平成17年9月
9月30日 はれ
今日の夕方散歩は、上のお兄さんと行ったよ。御主人が稲刈りをしていて、お兄さんは刈ったモミ運び。その合間を縫っての僕のお散歩なので、たいへんせわしない。僕は御主人が稲刈りしているのを横目で見ながら、東側の山の下にあるため池まで行ったよ。今日はすこし暑かったし、溜め池の水は冷たくて気持ちよさそうだったのですこし入ってみようかなと思って前足をつっこんだら、「ずぶり」とはまりこんで、たちまち前足は泥んこ足になってしまった。自慢である僕の白足が台無しになってしまった。帰りは、御主人が僕を見つけて身体をナデナデしてくれた。白足を泥んこにしてしまったのはすこし叱られたけれどね。西の空には真っ黒な雲が広がっている。御主人は明日が雨だという事を知っていて、だいぶ遅くまで稲刈りをするらしい。僕は、これから散歩から帰って御飯をもらい、寝るだけだ。このようにして僕の退屈で平凡、かつ平和な一日は暮れていくのであった。

9月29日 はれ
今日付の「日刊犬新聞」は「腹ぺこ犬大集合、秋の味覚まんぷく食い尽くし特集」と題して、大々的な特集を組んでいた。ふむふむ、なんだって「秋は食欲の季節であると共に行楽の季節でもある。飼い犬の皆さんは飼い主と共にピクニックやハイキングに出かけて、思う存分、走りまわる機会が多い事と思う。走り回ればお腹が空くのは当たり前である。そこで今回は犬にも食べられる秋の味覚を盛りだくさんに紹介しようと思う」なんだって、僕はピクニックやハイキングなんて言う物は、その存在すら知らないぞ!!。どれどれ、その料理とは・・・なるほど、サンマ、すき焼きの肉だけ、豚汁の肉だけ、等々、様々な料理がずらりと並べられてある。でも、新聞だから写真だけなのだ。僕は、犬新聞の上によだれをぼたぼたとこぼしながら食べ物の写真を食い入るように見つめていた。我が家ではほとんど見かける事がない料理ばかりだ。いやいや、御主人達は食べているのかも知れないのかも知れないけれど、僕に隠しているって事もあり得る。記事はさらに続く「この季節の食べ物で注意して欲しいのはキノコ類である。キノコ類は消化に悪いので食べないようにした方が良い。ましてや毒キノコなどを食べようものなら、人間でさえ命の保証はない。ましてや犬などは「イチコロ」になること請け合いである。」うわぁ〜、最後に嫌な事を書いてある。まさに「ふぐはくいたし命は惜しし」という昔のことわざそのものだね・・・・「キノコはくいたし命は惜しし」でも・・・あんまり食べたいとも思わないけれどね。

9月28日 はれ
「今日は一大事件が起こってしまった!!」と、御主人が言った。何をそう、たいそうな事件が起こったのかとびっくりした僕ではあったのだけれど、よくよく聞いてみると「インターネット」に接続できない・・・と言う。「な〜んでか?」と色々考えたらしいけれど、結局は、道路を横断している光ファイバーの線を誰かが切断してしまったらしい・・・・・原因は不明のようだ。この所、おまぬけな事ばかりしている僕としては、この「おまぬけ日記」の話題をインターネット上に流されないだけでも「よかったぁ」と思っていたんだ。けれど、夕方になって復旧したらしい。夕方頃、NTTの人が光ファイバー復旧の確認に我が家にやってきた時に僕は「わんわんわん」と吠えたんだ。きっと、その時は復旧していたんだね。おかげで昨日今日の僕のおまぬけぶりを御主人は喜々として、この日記に書いているに違いない。やれやれ・・・・ぬか喜びだったなぁ・・・・

9月27日 はれ
午前中、見慣れないトラックが家にやってきたので「わんわんわん」と吠え立てたんだ。すると、それは刈り取ったモミを運ぶ箱を乗せた我が家のトラックだった。運転するのは御主人・・・・。僕御主人に向かって吠えた事になる。「仕事熱心だな」と、皮肉のように言われてしまったよ。おまけに田植機の下に寝ころびながら吠えてしまったから始末が悪い。こんな事も言われるはずだ。と言うわけで、心機一転して、午後からは気合いを入れて「番犬」のお仕事に励む事にした。小屋の前にある「土のお山」に昇り、百獣の王であるライオンすわり(犬の場合は伏せの体制になる)をして四方八方をくまなく見渡して「番犬」をした。おかげで、我が家はもとより、隣近所に怪しい人や物は現れなかったよ。今日も僕の献身的働きのおかけで近辺の安全と平和は守られたと言っても良い!!

9月26日 はれ
今は「秋の全国交通安全運動」が実施されている。おかげで僕の朝散歩も夕方散歩も中止になる事がある。御主人が「交通安全指導」や「交通安全広報」などで朝と夕方に出かけていくからだ。日は決まっていないけれど、だいたい毎日のようである。もちろん交通安全は僕としても身をもって体験しているので、この運動自体は賛同したい。その体験とは、この夏におじいちゃんとおばあちゃんの所へ行こうと、僕をつなぎ止めているフックがはずれているのを良い事に一人で出かけていったんだ。ところが、踏切を渡ったのは良いのだけれど、国道のバイパスを渡る事が出来ない・・・信号の見方も知らない僕は道路をうろうろするばかりだった。よく車にひかれなかったと御主人は真っ青になってしまったよ。僕自身は、そんな危険な事をしているという意識はないから、どうとは思わないんだけれど、人間が僕の行動を見たら、「危ない!!」って思うんだろうなぁ・・・?ともかく、御主人は「交通安全」に携わっているので、みんなも気をつけようね。「交通安全は一人一人の気持ちから」だよ!!・・・・・あっ!側で御主人が「おまえが一番危ないんだぞ。まずおまえから交通安全だぞ!」って言っているよ。「もって肝に銘ずべし」だね。 「肝を持って口に入れたし」とも言うよね・・?

9月25日 はれ
最近、ちまたの噂を伝え聞く所に寄ると、何でも今は「動物愛護週間」なのだそうだ。へぇ〜・・・ちっとも知らなかったよ。僕は動物愛護週間だからと言って、「虐待」もされていないし「特にかわいがられている」というわけでもない。いつもと変わらずの毎日である。「動物愛護週間」って言うのは、だいぶ昔からある行事?と言うのか、決まり事というのかよくはわからないけれど、単純に考えれば、「動物に優しくしましょう」という事なんだよね。それが、飼われているものはもちろんだと思うけれど、野生動物も対象になるのかどうか、そこのところがわからない。同じ動物なんだから、みんな一緒に「かわいがりましょう」って言うのなら話はわかるんだけれどね。でも、最近のニュースを御主人から聞くともなしに聞いていると、最近、山で人間が熊に襲われたりする事件が起きていると言う。動物愛護の考えで「野生の熊さんもかわいがりましょう」と言うのであれば、熊さんの方でも、「人間をかわいがりましょう。愛護しましょう」となってもいいわけなんだよね。人間だって動物の一種なんだからね。なのに熊さんは人間を襲う・・・そこいら辺が熊さんの了見の狭い所なのかも知れないなぁ。「熊さん、人間ってそんなに悪い人ばかりじゃないんだよ」

※注・・熊さんって言っても落語に出てくる八つぁんや熊さんじゃないからね。
     当たり前の事かも知れないけれど・・・

9月24日 はれ
いよいよ、今日から我が家では「稲刈り」が始まった。と、言うわけで夕方散歩は上のお兄さんに連れて行ってもらったよ。秋風が心地よくて、僕達はぶらりぶらりと歩き始た。それからしばし歩いてから、やがて僕達は御主人の叔父さんの家に引き寄せられていったのだった。ここの家は常日頃から僕を引きつける強力な磁場が存在しているようだ。それはなんなのか・・・?と、いうと、ラブラドールのワンコ(メス)、そして我が家では絶対に食べる事が出来ない「高級犬用おやつ」この2つが僕を引き寄せるのである。まずメス犬ワンコに挨拶をしてから、おやつをもらったよ。満足するだけちょうだいしたよ。おかげで、僕は家に帰ってから、御主人が用意した「いつもの夕御飯」など見向きもしないのであった。その時の御主人の顔ったらなかったね・・・・・今日の夕方だけで、天国と地獄を行き来したような思いだったよ。

そこで、今日の一句「稲穂には 風あらあらし 夜半の月・・・禄食」
※夜半(よわ って読んでね)

9月23日 あめのちくもり
今日は「秋分の日」である。前々から決まっていた僕のシャンプー日が今日にあたる。ところが、今日は雨降りである。それに気温も低い。おまけにお母さんは仏壇やお墓、それに家族のお腹にお供えするための「おはぎ(お菓子のような物らしい?)」を作るのに忙しそうだった。御主人は物置からストーブを出してきたりしているけれど、こっちの方はあんまり忙しそうではないようだ。どうやら僕のシャンプーを強行するような雰囲気ではなさそうだった。だけど、僕は突然にシャンプー場へ引っ立てられないように用心して犬小屋の中へ引っ込んでいた。午前中は戦々恐々としていたんだけれど午後になってその心配は消え去った。僕のシャンプーは赤ちゃん時代から絶対に午後に行った事はないからだ。もう、後は安心して犬小屋の中でゆっくりとお昼寝する事が出来たよ。午後から「お留守番」を言いつかったけれどね。どうせ「お土産」も買ってこないんだから適当に・・・と言うより「熟睡」しながらの「お留守番」だったよ。

9月22日 くもりのちあめ
今日は雨が降ったので、僕は一日中犬小屋の中にいた。でも、時々退屈になると外へ出てきたりする。犬小屋の中は、今頃の季節は木のぬくもりで暖かいんだけれど、暗すぎる。ましてや、犬小屋の真ん前に「どどん」と田植機が置かれてあるので、犬小屋の中に入るにもじゃまになるし、それが外から入ってくる光を遮ってしまっている。おまけに、中には薄いシーツが1枚だけ敷かれているような状態だ。僕は、そのシーツを時々くわえて外に持ち出して、退屈しのぎにおもちゃにして遊んでいる。すると御主人が「せっかく敷いてやったのに持ち出すな」と叱るんだ。それはその通りかも知れない。僕は持ち出す事は出来るけれど、また中へ敷き直す事は出来ないからね。御主人は僕を叱りながら、シーツをまたまた犬小屋の中に敷いてくれる。全くありがたい飼い主だ。いやいや、この場合はありがたくて重宝な使用人だ・・・って言うべきかな?

9月21日 はれ
「秋は読書の季節」でもある。・・・・最近「秋は○○の季節」と言う題の日記が多いが、これは仕方がない。余りにも平凡で平和すぎて「ふぁぁぁ〜」とあくびを連発する日々なのだから。読書と言えば犬は人間が言う所の読書はしない。この前の日記で書いたように「オシッコ」の掛け合いによるお手紙交換が犬にとって唯一の読書と言っていいのかも知れない。また、秋は「食欲の季節」でもある・・・って、これは前に書いた事がある。けれど、一つだけ声を大にして言っておきたい事がある。それは、秋の代表的な味覚である「秋刀魚」を僕が一口も食べていない事である!!9月の初め頃、我が家に三陸地方から秋刀魚が送られてきていたのは匂いで察していた。また、それを焼いた匂いがただよってきて、よだれがだらだらと垂れて止める事が出来なかったのも事実だ。しかるに、僕の口は一切れの秋刀魚すら通過するのを認知することが出来なかった。もちろん胃袋もである。今はただ、秋刀魚を食べたい願望が妄想に代わり、夢でうなされるぐらいになってしまった。「さんま、さんま、さんま苦いか 塩つぱいか、そが上に熱き涙をしたたらせて・・・・・」と有名な誰かの詩にもあるように、うなされるほどの食べたい要求、大衆魚でありながらそのうまさは格別だ・・・・
と、思うんだ(まだ食べた事がないからわからないけれどね)去年は食べたかどうか覚えていないし・・・・もう秋刀魚の季節は終わってしまったのだろうか、今の季節じゃないと食べる事が出来ない秋刀魚、冷凍物なんか食べたくない・・・「はぁ〜、秋刀魚、秋刀魚、サンマ、その熱き汝をむさぼりて・・・・・」

9月20日 くもり
近頃「そろそろムツも・・・・」と、言う噂が僕の耳に聞こえてくるようになった。いったいなんだろうと耳をそばだてて聞いてみた。「そろそろムツにもお見合いをさせなくちゃ」という話だったら大喜びだったのだけれど、「そろそろムツにもシャンプーをやらなくちゃ」という話だった。・・・・シャンプーの話だとはっきりとわかったのは今日になってからだ。「ムツ、そろそろシャンプー・・・」という御主人に「まだ毛が白いから良いよ」と言うと、「胸のあたりが汚れているぞ」、「イヤイヤ、最近は運勢が良くないので」、「じゃあ、お彼岸の日なら良いだろう」、「その頃になると天気が悪くなるって言うし・・・」と、言い訳を考えるのも一苦労である。しかし御主人の事である。僕の主張に耳を傾けているようなふりをしているけれど、いざとなったら、犬の都合も何もあったものではない。思い立つと「独断専行、即断即決、即実行」である。やれやれである。当分眠れない日が続きそうである。

シャンプーを厭う我が身を哀れんで詠める一首
「秋の夜は 眠りも浅き 照る月に 
   禊ぎたまいし 我が身なりけり・・・禄食」

えっ?、何を言っているのかさっぱりわからないって・・・?それはそうだろうと思うよ。僕だって自分で何を言っているのかわからないんだから・・・・ 

9月19日 あめのちくもりはれまあり
「秋はスポーツの季節」と、言うわけで、今日は御主人とボール遊びをしたよ。でも・・・?御主人が退屈したから僕をおもちゃ代わりにボール遊びをしたような気もするんだ。もっとも、めいっぱい楽しんだから、そんなに疑い深く考える事はないのだけれど・・・・?
さて、普段からボール遊びに使っているのは「皮のサッカーボール」である。このボール、僕のおもちゃに買ってきたわけではない。二人のお兄さん達が子供の頃に遊んだ物でもない。実は御主人が川から拾ってきた物だった。そして延々と・・・・?いつ拾ってきたのかわからないほどの年月を経て、いま僕の遊び道具になっているというわけなんだ。ボールも歳をとるのか、僕が子供の頃は、いつも空気がぱんぱんに入っていて、おもしろいように弾んだ物だったけれど、いまは使うたびに空気を入れなければ弾まなくなってしまったよ。僕だってもう5才だから、このボールも僕の倍から3倍ぐらいの歳をとっているわけだ。すこしはいたわってあげないといけないなと思った。そして、「お年寄りサッカーボール」のことから、僕の父母の事を思い出した。父母は当然、僕よりは年寄りになる。と、言っても1才か2才ぐらいの違いでしかないけれどね。いわゆる「お年寄り」と呼ばれる歳ではないけれど、普段、父母へ孝行も出来ない飼い犬の身なので、心の中で生まれ故郷の山形へ無事を願って手を合わせたよ。もつとも、母親は山形にいるけれど、父親は秋田にいるらしい・・・しかし、これは不確かな情報なのではっきりした事はわからない・・・ともかく、無事で日々生活している事と思う。つい、ボールの話から僕の父母の事に話が流れてしまったけれど、犬は「てきとう」とか「ほどほど」、「それなりに」を信条にしているので、「親不孝犬」とか「不遜な言動」などと非難される事はないだろうと思うよ。
そこで一句、詠んでみたよ
「白萩や 風やわらかに 通りけり・・・禄食」

9月18日 はれのちくもり
今日の夕御飯はお母さんが調理した。御主人はと言えば、本莊祭り(大名行列や山車が街中を半日かけて練り歩く、僕たちの街では最大のお祭りだ。)の交通整理に出かけていってしまった。だから散歩もお母さんと行ってきたんだよ。こうして御飯をもらったんだけれど、すこし残してしまったんだ。夕方も薄暗くなって、やっと御主人が帰ってきて「御飯は?」と聞かれたので、僕は急いで残してしまった御飯のところへ駆け寄った。御主人は、僕が御飯を食べ残したと見ると、すぐ捨ててしまうからだ。だから、こうして御飯のところへ素早く行って食べ始めるんだ。こうすると捨てられるってことがないからね。飼い犬も長くやっていると、変な生活の知恵が付いてしまう。この行動も、その一種だよ。犬は「もったいない」という言葉を信条としているので、自然にこんな行動をとってしまうんだよね。

9月17日 はれ
毎日同じメニューのごはんではあっても、調理人が変わると味が微妙に違う。お米を炊いた物に犬の缶詰とドックフードを入れて牛乳でかき混ぜた物なのだけれど、何処か違う。やはり僕、専任の調理人が作ったものが舌やお腹になじむようだ。専任の調理人とは御主人の事だ。いわば僕のお抱え調理人って言うわけだ。だいたい、飼い主というものは、飼い犬にあれこれちょっかいを出したり命令をしたりする権利を持っているが、飼い犬の世話を誠心誠意やり遂げなければいけない義務もある。だから、御主人は飼い主であると共に僕の使用人でもあるわけなのだ。
今日の御飯は御主人が出かけてしまったので、お母さんが作ってくれた。御主人の作った御飯より牛乳が多すぎるし、ドッグフード、犬の缶詰、共に量が少ない・・・・この所、2日も、御主人の作った御飯を食べていない。果たして、明日は誰が僕の御飯を作るのでしょうか・・・・?

9月16日 はれ
「秋は食欲の季節」などと人間の世界では言うようだが、犬の世界にも当てはまる。この所、お腹が空いてたまらない僕なのである。夏の間は暑さのせいか食欲が無くて御飯を残したりしたが、涼しくなると「ペロリ」と平らげてしまう。おまけに、お母さんや御主人が、時々持ってきてくれるおやつも楽しみになってきた。また、秋は「運動の季節」でもある。これも人間の世界と共通しているようだ、。昨日の夕方散歩の時は、200メートルの道路を一気に走り抜けてしまったんだ。夏の間の「のろのろ歩き」が嘘のようだ。僕達犬属は毛皮を着ているので、夏は受難の季節なんだよね。やっぱり犬は秋から冬にかけての季節が一番似合うようだ。「よし!!、いままでぐったりだらだらと過ごしていたのを改めて、心機一転して元気に青空の下を駆け回るぞ!!」そういえば、「天高く犬肥ゆる秋」なんても言うよね。・・・・えっ?違うの?・・・・

9月15日 あきばれ
「赤々と お日様沈み ご苦労さん いずこも同じ 秋の夕暮れ」
などと、どこかで聞いたような、聞いた事がないような短歌を詠んでみたけれど、今日の僕は、ちょうどこんなお日様を見ながら、御主人と自転車散歩をしていたんだ。すると・・・?向こうからよそのおじいちゃんとその孫の女の子が歩いてくるのが見えた。そのまた後に、ワンコ発見!!僕は興奮してしまって、早くそのワンコに会いたくて自転車を引っ張ったんだけれど、御主人は慎重にそこへ踏みとどまった。向こうは僕達の方に向かってくる。だんだん近づいてきたのをよく見ると、御主人のお知り合いで、ワンコは柴犬だったよ。そして僕達は比較的友好的な対面をした。柴犬ワンコは、まだ4ヶ月か5ヶ月の赤ちゃんだという。平気で僕にじゃれかかってくる。恐い物知らずのワンコである。逆に僕の方がおっかなびっくり、及び腰で柴犬ワンコとお見合いだ。お見合いと言っても、僕も相手も雄犬なんだけれどね。まぁ、このようにして僕達は友好的に出会い、友好的に別れたんだ。今日はとっても良い日だったね。

9月14日 あめがふったりやんだり
今日も御主人は小屋の中の整理だ。僕もやっぱりこの間のように、身の置き所が無くなってしまった。しかも、雨が降っているので、この前より選択肢が狭められてしまった。「田植機の下」、「小屋の軒下」・・・・これしかない。僕のお気に入りのトラクターの下は、廻りが物であふれかえっていて、潜り込む事が出来なくなってしまったんだ。「きゅうい〜ん・・・」と泣き叫ぶしかないような有様だ。午前中は、こんな状態だったよ。午後からは御主人のお仕事も一段落付いたので、上の2つから僕のお昼寝する場所を選ぶ事が出来たよ。こんな僕を見て、御主人は不満そうな顔をしている。「どうしたんだ?」と寝ころびながら御主人の顔を見上げると、「立派な犬小屋がありながら地べたへ寝ているなんて・・・・」と言いたそうな顔だ。僕は、「なぜ、犬小屋の中に入らないのか?」などと言う議論はしたくないので、御主人と視線を合わせないようにして、雨に煙る外の風景に目を転じた。台風15号崩れの低気圧がやってきて大雨を降らせている。「これもまた、秋の風情なんだなぁ〜」と思った。そして雨音が眠りを誘い、上のまぶたと下のまぶたが、仲良くなってしまう僕なのであった。側では、御主人が「人の話を聞け!!」と怒りに燃えた顔をしているのだろうけれど、僕は犬だから細かい事は気にしない事にしているし、複雑な話も苦手だ。だから、あえて無視をした。かくして、またまた、おそろしく平凡で平和な一日は暮れていくのであった。

9月13日 はれたりくもったり
犬はよく「マーキング」という行為をする。わかりやすく言えば「犬が電柱などにオシッコを引っかける」行為である。これは、犬が他の犬に出す手紙のような物だと思ってもらってもよい。でも、「拝啓 初秋の候、犬の皆様におかれましては夏の暑さもようやく遠のき、ほっと一息されている時期かと思います。さて、私こと、秋田犬のムツは・・・・云々」などと、長ったらしい内容の手紙ではない。犬は常に「迅速かつ適切」、あるいは「単純明快」をモットーとしているので、オシッコで伝える手紙の内容も短い。「私は、こんな大きさの犬で、性格はこういうぐあいです。この場所は私の行動範囲内なのでむやみに立ち入らないでください」ぐらいの内容は、このオシッコの一かけによってわかってしまう。それに対して、返事(同じ場所へオシッコを重ねて引っかける)を出す場合もある。内容はこうだ。「私は、こんな大きさの犬で、性格はこういうぐあいです。(ここまでは同じだ。)あなたはこの場所を自分の行動範囲内だとおっしゃいますが、私の方が早くからこの場所を散歩場所などで利用しているので、私に占有権があると主張します。」と、言うぐあいだ。これが毎日毎日、延々と続くのだ(どちらかが負けを認めるまで)。しかし、これは力関係が伯仲する犬同士が手紙のやりとりをするのであって、相手より自分の方が弱いなと感じたら、返事は出さない「ご無理ごもっとも、おっしゃるとおりでございます」と尻尾を巻いて、逃げ出してしまう。と、まぁ犬の日常的対犬関係はこんなぐあいなのだ。

9月12日 はれ
今日は御主人が作業小屋の機械や道具等々をあちらこちらに移動したので、僕の身の置き所が無くなってしまった。いつもはトラクターの下でお昼寝をしているのだけれど、トラクターは真っ先に移動されてしまった。仕方なし、涼しい風が吹いてくる外へ出て横になってみたんだけれど、お日様の光が暑すぎる。今度は外へ移動したトラクターの下に潜り込んだら、田植機を動かすためにトラクターがじゃまになったので、またまた僕も移動という事になってしまった。田植機とトラクターが所定の位置に納まったので、またまたトラクターの下に潜り込もうとしたんだ。ところが、いままで動いていたので、エンジンの熱で暑い・・・とても潜り込めた物ではない。そこで、田植機の下に潜り込んだんだ。田植機は、いままで動いていたと言っても、トラクターほどではない。そこでのんびりとお昼寝を始めると、今度はコンバインが動き始めたよ。あまりの音の大きさに恐くなって田植機の下からはい出したんだ。結局は土のお山の上に避難したんだけれどね。はぁぁ〜、今日の僕は、あっちへうろうろ、こっちへうろうろと忙しい一日だったよ。

9月11日 くもりのちはれ
今日の僕はお腹の調子が悪い。原因はわかっている。昨日の夜から今朝にかけて食べ慣れない物をたくさん食べたからである。食べ慣れない物とは・・・?、鶏の唐揚げだ。御主人が昨夜の「酒飲みの会」で余ったのをもらってきたものだ。昨日の夜、御主人が帰ってきた時に2個、今朝の散歩から帰ってから2個、計たったの4個で僕のお尻は急行になってしまったよ。「おまえはこんな肉の塊を丸飲みにするからいけないんだ」と、御主人にはいつも言われてはいるのだけれど、いつも言うように野生時代の本能が飼い犬になっても残っていて、「食べ物は迅速かつ的確に胃袋の中へ送り込まなければならない」事になっている。飼い犬の胃袋や腸は、野生時代の犬に比べて格段に進化と言っていいのか退化と言っていいのか、変化しているのは事実だ。でも、この習性だけは、犬がどう進化しようとも変わらないような気がする。
追記・・・こんな状態なのに、出された夕御飯はすっかりごちそうになったよ。

9月10日 はれのちくもり
日中はお日様の光が暑いぐらいだけれど、そよそよと吹く風の中にほのかに混じる涼やかさが気持ちの良い初秋の風に包まれながら地面の上でまどろんでいた。すると、「どけ!!」という御主人の声・・・・僕は「せっかく至福の時を楽しんでいたのに・・・」と舌打ちをしながら、のろのろと立ち上がり、トラックが小屋から出て行くのにじゃまにならないように移動した。御主人は朝から「集落の共同作業」があったようで、忙しそうに出て行ってしまった。その後、御主人は僕をかまう事はなかった・・・・夕方散歩は上のお兄さんと行ってきたよ。それでも、僕の御主人なので、夜遅くに帰ってきた時は尻尾を千切れるばかりに振って、そこいら中を駆け回り、「お帰り!!」と言ったよ。まぁ、夏の間はちょっと運動不足だったので、それをおぎなうためにかけずり回ったといった方が正しいのだけれどね・・・・

9月9日 はれ
今日は人間の世界で言えば「重陽の節句」という行事の日に当たる。「それはなんだ?」と、御主人に聞くと、乏しいくせに知識をひけらかすように「菊の節句だぞ」と言った。「菊の節句ってどんな事をするんだ。なんのための行事なのだ」と、重ねるように問いかけると、御主人は絶句してしまい。僕はほっぺをつねられてしまった。
ところで、風景はいつの間にか秋色に染まり始め、透明な心地よい風が吹くようになってきた。空はだんだん高く見えるようにもなってきた。夏の重圧感さえ覚えるような空の青は姿を潜め、風と同じように透き通った青になってきた。何処までも天空高く昇っていくような入道雲が消え、綿菓子のような雲が、あちらこちらに「ぽっかり、ぽっかり」と浮かんでいるのが見える。「はぁぁ〜、秋が来たんだなぁ〜」と実感できる今日この頃の僕なのであった。そこで一句!

夏往きて 恋初まりし 赤とんぼ・・・・禄食

9月8日 あめのちくもり
台風14号さんがおいでになった!!昨日の15時頃より風が強くなり、本日の0時を過ぎた頃には風はいよいよ激しさを増した。風は「ゴウゴウ」と獣が吠え立てるような音を発し、草木は「びゅうびゅう」と、いまにも折れそうになって悲鳴を上げているようだ。僕は犬なので、一応獣の仲間にはいる事になっている。でも、こんな吠え声は聞いた事がないし、自分でも発した事はない。どうしようもない哀しみと怒りが混沌とした状態になると、もしかするとあんな声になるのかも知れない。ただ、そんな事を思ったのは、台風が通り過ぎた後の事であって、その時は、ただ恐くて恐くてトラクターの下に潜り込んでいたんだ。それでも風は吹き込んでくるし、おまけに雨までも加わって否応なしに吹き込んでくる。朝になってあたりが明るくなっても風雨は止む事がなかった。そして、やっと御主人がやってきたので、「ホッ」として身体をこすりつけに行ったら、僕の事を心配してやってきたのじゃなくて、ビニールハウスがどうなったか心配でやってきたと言うんだ。「じゃぁ、飼い犬は心配じゃないのか!!」と怒ったら、「犬は自分で動けるから何処かへ避難をするだろう。だけど、ビニールハウスは自分で何処へも避難は出来ない。」と言われてしまったよ。それもそうかも知れないと、単純に納得してしまう僕も僕だ・・・・幸い、ビニールハウスはビニールを押さえている紐が2本切れただけだったし、田んぼの稲は、いままで傲慢に直立していたのが、すこし腰を折って、頭(稲穂)を深く垂れていたので、「稲もお米が実るような頃になると、礼儀正しくなるものだな」と、関心をした。僕達の住んでいる所ではこんな程度の台風一過と言った感じだったよ。

9月7日 くもりいちじあめかぜつよし
僕は犬だから、二本足では歩けない・・・当たり前の話ではあるけれど、二本足で立って歩けたら、遠くが見やすくなってどんなにか気持ちが良いだろう。番犬のお仕事をするにも、遠くまで広く見えた方が見張りが楽になる。でも、僕はオス犬なので二本足で立ってオシッコをすると、ちょうどアゴのあたりに引っかかってしまう。もしかすると顔中がオシッコまみれになってしまう。オシッコをする時は元の四つ足にならなければいけないようだ。もう一つ、四つ足になると困る事がある。人間より走るのが遅くなってしまうという事だ。四つ足で走るなら人間の何倍もの速さで走る事が出来る。しかし二本足で立つと、人間の赤ちゃんが「あんよは上手」ぐらいの遅さでしか歩く事が出来ないだろう。まして走るなんて事はとてもとても・・・・立って歩くのになれたとしても人間よりは早く歩けないだろうと思う。身体の形や手足の形を変えなければ人間と一緒に歩けないだろう。でも、それでは犬じゃなくなってしまう・・・犬の形のままで立って歩ける方法がないものだろうか?二本足で立つ便利さと不便さをよく考えた上で、「立たせてください」とお願いする事にしようと思う。・・・・・えっ?、誰にお願いするのかって?、決まっているじゃないの、神社へ行って神様にお願いするんだよ。野良犬のシロも神社へ行って願掛けをしたんだ。そうして人間になったんだよ。あっ、シロって言うのは落語に出てくる犬の事だよ。(今年の8月25日と2月27日の日記を見てね。落語「元犬」のことがすこしだけ載っているよ。詳しく知りたい人は、「落語 元犬」で検索してみてね。)

9月6日 くもり
何だか、明日か明後日に「台風さんがいらっしゃる」という噂が広がっている。その台風さんは、今年になってから14番目に生まれた台風なので「台風14号さん」という名前が付いているようだ。今のところ14人兄弟の末っ子にあたる。僕達の住んでいる所には14個の台風の中で一番最初の訪問になる。
御主人は、明日になったら「台風14号さん」をお迎えする準備で忙しいので、僕なんかをかまっている暇がないかも知れない。僕も
自分の仕事が「家を守る」という役目をも、になっているので十分警戒は怠らないつもりだ。ただ・・・僕は犬なので、どの程度守りきれるか自信がない。出来れば、来て欲しくない相手なのだけれど、向こうが「行く!!」と主張しているので拒む事が出来ないでいる。犬だから、すこし気が弱い・・・だから、台風さんの訪問も断り切れないのだ。誰か、気の強い人がいたら、他人にばかりその気の強さを振りまかないで、台風さんにも振り向けて欲しいものだと思っている昨日今日、さらに明日なのであった。

9月5日 あめのちくもり
御主人は今日も旅行だ。何でも、聞く所に寄ると「会津若松」ってところへ行ったらしい。今日はお母さんも一日旅行でいなくなってしまった。お兄さんはお仕事・・・・僕は一日中お留守番である。天気もあんまり良くない事だし、適当に仕事をこなしながら寝ていた。夕御飯は、早く帰ってきた上のお兄さんに出してもらったよ。御主人は暗くなってから帰ってきた。19時ぐらいってところかなぁ?。お母さんはさらに遅くて20時過ぎぐらいかなぁ?。御主人が帰ってきた時、僕は一生懸命に、「ちゃんとお留守番をしたんだよ。」・・・・と、2日間の事をお話しようとしたんだけれど、僕は人間の言葉はわかるけれど、人間の言葉は話す事が出来ない・・・・犬だから。「わんわん、わおわおわおぉぉ〜・・・」としゃべってみたけれど、きっと御主人には何を言っているのかわからなかったに違いない。だけど、言いたい事だけはわかってくれたに違いないと思う。飼い主だから・・・

9月4日 くもり
御主人が朝早くに旅行へ出かけていってしまった。僕の散歩もしないでだ。でも日曜日だったので、お母さんがいる。色々世話をしてもらおうと思っていたのだけれど、結局、夕御飯をもらっただけだった。でも、御主人が居ないのでのんびりと一日を過ごさせてもらったよ。身体をなでられたり、小言を言われたりするのは鬱陶しいからね。

9月3日 あさがたあめのちはれ
9月1日は上のお兄さんの誕生日だった。そこで今日はお祝いも兼ねて、御主人達3人は何処かへおいしい物を食べに行ってしまった。僕はいつものようにお留守番だ。しばらくして帰ってきた御主人達の匂いを丹念に嗅ぎ廻ったけれど、僕には理解できない匂いだったよ。お肉でも食べてきたのならすぐわかるんだけれどね。それで、「いったい何を食べてきたんだ」と聞いたら「お寿司」という物だという。それがわからない。「いったいお寿司という物はなんなんだ?」とさらに聞くと、御主人は面倒くさそうに答えた。「御飯に酢を混ぜて握り、その上に刺身を乗せて食べる物だ。それが回転しているのだ。」・・・・「寿司が廻る?・・・回転する寿司、回転寿司・・・?」寿司がコマのように廻り、それを食べる人達は回転する寿司を追いかけながら捕まえなければいけないのだろうか?すると、寿司という物は生き物なのだろうか?でも・・・・御飯に酢を混ぜただけで御飯が生き物のように廻る事が出来るのだろうか?・・・・等々、疑問は疑問を呼び想像は広がっていく。つまりは、この事に関してだけに限らず「百聞は一見にしかず」であることがよくわかる。結局、理解出来た事は、「僕にはお土産がなかった」という事実のみであった。

9月2日 あさがたあめのちはれ
今日は一月に一度のフィラリアの薬を飲まされてしまった。今月の薬を隠すための食べ物は、なんと僕たちの街で評判のお菓子である。その名も「本莊銘菓 イチジク最中」なのであった!!果物のイチジクに砂糖を加えて餡にして最中の皮に包んである。とってもおいしいらしい。御主人は、犬にやるのはもったいないと思っていたらしいけれど、薬を隠すものが何もないので仕方なくこのお菓子を使ったのだという。「本莊銘菓イチジク最中」と言われても飼い犬の身で、そんな物は生まれてこの方、食べた事もない。目の前に出された時は、おっかなびっくりで、なめたり吐き出したりしてみたんだけれど、せっかちな御主人に口の中へお菓子を押し込まれてしまった。そこで喧嘩が始まってしまったのだ。「食べろ!」、「イヤだ!」とね・・・そこで僕は腹が立ったので「がるるるるる〜」とうなってやったんだ。すると御主人に頭を押さえ込まれて、「反抗するんじゃない!!」と鼻先を2,3度ぶたれてしまったよ。結局、薬はお菓子と共に飲み込んだのだけれど、その後が大変だった。御飯を食べるまで、犬の服従訓練を何度も何度もやらされてしまったよ。「やれやれ・・・」の今日一日の終わりだった。

9月1日 はれ
人間の暦の上では「秋」になった・・・・けれど、今日も日中の気温が31度にもなったという。犬に生まれた不幸は、なんと言っても夏の暑さがあるって言うことだ。最も日本ならではの事かも知れない。でも、アメリカ生まれの秋田犬もいれば、北欧生まれの秋田犬もいるという話だ。だとすると、同じ秋田犬でも、こんな死ぬ思いの暑さを経験しないで一生を終わる犬もいるわけなんだよね。
ところで、日中の暑さに比べて、朝晩はめっきり涼しくなったので、散歩の時は御主人の乗った自転車を引っ張れるほどになった。夏の盛りの時は自転車の後から「のろのろ」と、どうでも良いような気持ちで付いていったのだけれど、涼しくなると、こうも体力的に違うものかと我ながら驚いている。ただ、持続力がないので、すぐ舌を出してしまって歩きが遅くなってしまうけれどね・・・・