平成18年6月
6月30日 はれのちあめ
「今日は夜になったら雨が降ると天気予報でいっていた。」と、御主人が言った。たしかに言った。だけど、低気圧、あるいは梅雨に、どんな事情があったのかは知らないけれど、午後の4時を過ぎたあたりから本降りになってきた。御主人は、ちょうど大豆畑の除草を終わったところだったので「グッドタイミングだ」と喜んでいたのだが、この後に散歩に行く予定の僕としては、グッドタイミングだ、と喜んでいる御主人に冷たい目を向けざるを得なかった。「あんたは、グッドタイミングかも知れないけれど、僕としては、散歩の時間の都合もあるので雨を降らせる予定は厳格にして犯すべからず」と言いたい。でも、散歩の時間になったら雨が小降りになってきたので、僕は少しだけだけれど、散歩に連れて行ってもらったんだよ。結局は、途中で激しく降ってきた雨に打たれて、びしょ濡れになってしまったんだけれどね。やっぱり、御主人はグッドタイミングからはほど遠いって事が、この散歩でもわかるよね。
6月29日 はれ
「梅雨」にもお休みがあるらしい。今日はお休みらしくて、朝からお日様がまぶしい。風もさわやかな風が吹いてきて、人間にとっては、今頃の季節がもっとも過ごしやすいのかも知れない。犬?・・・犬にとっては、この「梅雨」が明けると本格的な夏という「灼熱地獄」がやってくるかと思うと憂鬱になってしまうけれどね。
ところで、今日は御主人が「ドッグフード」と「犬の缶詰」、「犬の薬(フィラリアの薬)」を買ってきてくれた。ドッグフードは「すき焼き味」だと言うから、どんな味がするのか今から楽しみである。たぶん、明日の御飯の時に食べる事が出来ると思うよ。そして問題の薬だ・・・別に問題でもないのだけれど、これを毎月飲むにあたっては、一悶着あるので、御主人にとっては、一応、飼い犬チエック事項になっている。さて、7月はどんな手だてで飲まされる事やら、乞うご期待というのか、戦々恐々としていると言ったらいいのか・・・・・?
注釈・・・一悶着とは?・・・薬を飲ませたい御主人と、あまり飲みたくない僕との攻防戦の事である。
6月28日 くもりありはれあり、のちきりさめ
今日は、午前中は晴れていたのだけれど、午後になって霧が出始めた。夕方になると、なんと霧雨が降って来るではないか・・・・「月様、雨が・・・」、「春雨じゃ、濡れていこう」などと、芝居のしゃれた文句じゃないけれど、夕方の散歩は、細かい雨とも霧とも知れないものに身体を濡らしながら行ってきた。もっとも、いつものように2qのコースを行くと、しっとりどころか、どっぷりと濡れてしまいそうなので、手短に行ってきたんだ。本当は、もっと歩きたかったのだけれど、ここで「だだ」をこねると、僕の毛皮の中までで濡れてしまいそうなので、ほど良いところで妥協して帰ってきたんだよ。今日は、そんなに運動量も多くなかったし、寝てばかりいたので御飯の食があまり進まないかも知れないなぁ・・・
6月27日 あめのちくもり
今日は「梅雨らしい空」になった。昨日よりはだいぶ涼しい。それなのに、僕はいつもの習性でトラックの下に潜り込んだ。トラックに限らず、トラクターなどの農機具の下は、いつの間にか僕の憩いの場になってしまったようだ。大げさに言うなら「母親の胎内」みたいなものだ。お母さんのお腹の中にいると、どんなつらい事でも苦しい事でも安らげるものだ。僕はそのトラックの下で、ぐっすりと寝込んでしまったよ。御主人がやってきて、身体をナデナデしてくれると、あまりの気持ちよさに「ごろんごろん」と何度も身体をくねらせる。今日は、本当に気持ちの良い日だったよ。気温は24度ぐらいあったというのだけれど、日射しが弱かったからね。でも、気を付けなければいけないのは「犬の熱中症」である。犬は気温が20度を超えると要注意なのだ。僕なんかの毛は、比較的短い方だけれど、「むくむく犬(毛が非常に長い種類の犬の事)」達は夏になったら外へは出られないだろうな。だから、夏は冷房の部屋、冬は暖房の部屋で飼われているんだろうなぁ・・・・でも・・・?夏は毛が長いから暑さに弱い・・・っていうのは理解できるけれど、冬は毛が長いから外で暮らしても僕よりは暖かく暮らせるのじゃないだろうか・・・なんて思うんだけれど、僕の考えは、何処か間違っているかなぁ・・・?
6月26日 はれ
今日は真夏のような暑さだった。僕は朝散歩が終わると、すぐさまトラックの下に潜り込んだ。(今まではトラクターの下だったのだけれど、トラクターがきれいに洗われて小屋の奥の方に行ってしまったのでトラックの下に潜り込んでいる。)御主人は大粒の汗を垂らしながらハウスのビニールをはいでいる。長さが45メートルの一枚物なので、さぞや重い事だろうと思う。僕はトラックの下から寝ころびながらのぞき見ただけだけれど、御主人は汗みずくになっていて、まるで水を浴びせられたような格好になっている。ビニールをはいだのは良いけれど、丸めて小屋の奥にしまい込むのも大変そうだ。僕は寝ころんでみていただけだけれどね・・・・とうとう、重くて一人ではもてないのでトラクターで持ち上げてようやく小屋の中へしまわれた。「やれやれ、一安心だ」と、僕は寝ころびながら大きなあくびをして、御主人をねぎらったんだ。めでたし、めでたし!!
6月25日 はれ
今日は暑い割には気持ちの良い風が吹いてしのぎやすかった。でも、御主人が地面に水をまくとたちまち湯気が上がって乾いてしまうぐらい地面の上だけは灼熱地獄のようだった。僕は、「そんなに暑いのかなぁ?」と半信半疑で地面の上に寝転がってみたけれど、ものの5分と寝てはいられなかった。ホットドッグが出来そうなぐらい熱かった。
ところで、今日の午後、上のお兄さんが作った魚の干物をもらった。僕の顔より大きなカレイなのかヒラメなのかわからないけれど、五枚におろした残りを干物にしたものだ。お母さんがそれを1枚のママ僕にくれたのだけれど、御主人が、「一度に食べると腹をこわす」といって、取り上げられてしまった。御主人は、それをはさみで切って小さいのを2枚ほど僕にくれた。とてもおいしかったよ。「残りは後のお楽しみ」というわけで、それは犬小屋の真上につり下げられてしまった。僕の背丈が、もう一メートル・・・いや、五〇センチ高かったら、ジャンプして丸ごと手に入れる事が出来るんだけれどなぁ・・・・残念!!
6月24日 はれときどきくもり
「梅雨寒や 散歩の犬は 舌も出ず・・・禄食」
「梅雨寒」という俳句の季語がひったりと当てはまる、今日この頃の天気なのである。ティシャツ一枚だった御主人が重ね着をした。僕なんか、ちょっとぐらい散歩で歩いても舌を「ハァハァハァ」と出して体温調節をしなくてもすむ。でも、散歩の途中で、よそのワンコを見つけたり、猫さんを見つけたりすると興奮して、たちまち真夏の炎天下を長時間走ったように舌をこれ以上伸びないぐらい出して、息が荒くなってしまうけれどね。昨日は草むらに猫さんを見つけたので夢中になって追いかけていったら、自転車に乗った御主人を引き倒すところだったよ。今日は、遠くにワンコの姿が見えたので興奮してしまい、しばしば足を止めて見とれていたら御主人に叱られてしまったよ。このように、犬は普段見慣れないものを見たりすると興奮するのである。こんな事から、いかに普段の犬の生活が退屈なのか良くわかると思うよ。
6月23日 らいうのちはれたりくもったり
今朝は僕の大嫌いな雷が鳴って、雨が降ってきた。僕はトラクターの下に避難した。ものすごい音と光がして本当に恐かったんだよ〜
所で、この所、食事制限をしたおかげで、だいぶ体型がスマートになってきた。これなら夏の暑さを乗り越える事が出来るのではないかと思っている。何しろ僕の食事と来たら、子犬時代から今まで、ずっと同じメニューなのだ。犬の缶詰にご飯、ドッグフードに牛乳をかけ回したものである。湖南メニューが冬の間続いたものだから、デブデフの身体になってしまった。近所のおじさんにも「太っている」と言われてしまったし、近所の奥さんにも「大きいね」と言われてしまった・・・それで、梅雨に入る前からダイエットし始めたのだ。御飯を食べない僕を心配した御主人が、メニューを変えてくれた。ドッグフードに御飯、煮干し、犬ビスケットが3枚、それにみそ汁の薄めたものをかけ回して、冷たいまま僕の所へ持ってくるのだ。これが、そこそこおいしいし、側で御主人が全部食べるかどうか見張っているので、食べざるを得ない。それに、なんと言っても僕は「みそ汁」がおいしいと思う。日本人・・・イヤ、日本犬である秋田犬だったら、なんと言っても「みそ汁」だよ!!!
6月22日 はれ
今日は、久しぶりに「だだ」をこねてみた。毎日毎日、御主人の思う通りに引きずり回されていては、犬としての自主性というか、主体性がないような気がして、だだをこねてみた。だだをこねると言っても、僕の場合は、おやつのもらいが少ない場合は、玄関先に足を踏ん張って動かない。とか、散歩の途中で行きたくない方向に連れて行かれそうになった時、大地に足を踏ん張って動かない。そんな程度なのである。今朝は散歩の途中で足を踏ん張って、「そっちへ行きたくない!!」と、頑張ったのだけれど、御主人に両方のほっぺをつねられて、「お家へ帰るんだ!!」とにらまれてしまった。それでもしばらくは踏ん張ったのだけれど、「泣く子と飼い主にはかなわない」という犬の世界のことわざ通り、とうとう負けてしまい、家に帰ったのだった。このように、「だだ」とか「ごねる」などというのは犬の世界に限らず、必ず成功するとは限らないのだ。失敗する方が多いと思う。僕自身の経験から言うとね・・・・
6月21日 はれたりくもったり
「犬は犬らしく」というのが御主人の主張である。最近の飼い犬は犬らしくなくなったという。「それじぁ、何らしくなっんたんだ」と聞くと「犬が猫らしくなったのだ」という。犬の形はしているけれど、行動が猫そのものだという。日中、ゴロゴロと寝ころび、あくびを連発して、飼い主に愛想を振りまかない。言う事を聞かない、等々といくらでも犬らしくない事柄を上げてくる。それに対して僕は、反論の言葉もない・・・・「うっ、うぅぅぅ・・・その通りです」と言うしかない。反論のしようがないら、逆に「犬らしい事はなんだ」と犬の僕が聞いてみた。飼い主の命令に忠実である事、勇敢な事、飼い主の危急存亡の時は犬の命に替えても守る事、序列を守る事、等々・・・「だめだぁ・・・守れそうにない。」。御主人の危急存亡の時みたいな危ない目にあったら、僕自身が真っ先に逃げ出しそうだ。でも、犬の社会は軍隊と同じ縦割りの組織なので、普段は犬らしくない事をしていても、いざとなると御先祖だったオオカミの本能がよみがえり、無意識うちに行動するに違いない!!・・・等と、お気楽な考えでその日その日をのんべんだらりと暮らし、猫さんのように寝そべり、大きなあくびをする僕なのであった。
6月20日 くもりいちじあめ
今年の「梅雨」は、ずいぶん正直者のようだ。僕達の住んでいるところが「梅雨入り宣言」をした今月の15日から、ずっと曇りのような晴れのような天気で時々雨が降ってくる。何だかすっきりしない天気が続いているのだ。僕達犬にとっては少し涼しいぐらいの気候なのでしのぎやすいのだが、じめじめするのが困る。毛替わり時期なので古い毛が湿気を吸ってしまって何だか気持ちが悪い。特に僕の毛替わりは、だらだらと長く続く質なので始末が悪い。御主人が一生懸命に僕の身体にブラシをかけて毛替わりを促進してくれるとありがたいのだけれどね。もっとも抜けない毛まで抜こうとするから「きゃい〜ん」と痛さのあまり悲鳴を上げてしまう事もしばしばである。早く、さっぱりとした夏の毛皮をまとい、今流行のファッションで散歩をしたい今日この頃の僕なのであった。
6月19日 あめのちはれたりくもったり
夕方5時の時報に合わせて、僕はいつも遠吠えをする。御先祖だったオオカミの野生の血がうずいて時報のチャイムの音が仲間の遠吠えのように聞こえて、僕に何かを訴えているように聞こえるのだ。だから、僕も遠吠えをして相手に返事を返す。「どんな返事をするのだ。」と、聞かれても困る。僕は本能のままに行動するので、そこに知恵とか知識とか言う頭脳を働かせるものは介入しない。今日の「遠吠え」は久しぶりに良い声だった。声がよく伸びて、僕がもし秋田民謡を歌えたならプロにもなれるぐらいの良い喉だった。自分ながら、本当にほれぼれするほどの良い声だったよ。御主人にじゃまをされないで良かったよ。御主人は、僕が遠吠えを始めるといつもからかうんだよ。
6月18日 くもり
僕が寝ころんでいると、よく御主人が近寄ってくる。僕は反射的に飛び起きるのだけれど、御主人は「そのまま、そのまま寝てて良いぞ」という。御主人が近づくと、なぜ僕が飛び起きるのか?・・・御主人が来たうれしさで飛び起きるのではない。近寄ってきて、寝ている僕にどんな事をするかわからないので警戒して飛び起きるのである。だから「そのままでも良いよ」などと言う言葉をうっかり信じ込んでしまったら、どんな事をされるかわかったものではない。大概は身体をなで回されたり、口を開かされたり、ほっぺをつねられたりと、様々である。警戒して飛び起きて逃げたりすると、それは又それで機嫌が悪くなるし、寝ころんだままでいるとさっき言ったような事をされる。僕のお昼寝を一言で言い表すならば「下も見えないほどの深い谷川の丸木橋の上に僕は立っていて、丸木橋の両側から魔物が僕に近づいている。」といった情景なのである。飼い犬のつらいところである。少しぐらいは愛想を振りまけばいいのかも知れないのだけれど、そんな事はしたくないっ!!!
6月17日 はれのちきり
今日は久しぶりに通常の生活リズムだったよ。朝、目をさますのは何時でも良いのだけれど、御主人は、いつも僕の朝散歩を6時半から6時45分頃に行う。朝散歩は短めのコースなので7時頃に家に帰ってきておやつをもらう。日中は僕が自由に行動しても良い時間帯だ。でも、番犬のお仕事もあるし、紐でつながれているので、そんなに自由を満喫できるってわけじゃないけれどね。夕方散歩は季節によって時間が違う。今頃の季節だと、18時から18時半頃という事になる。20分から30分の散歩兼運動を行って家に帰る。程なくして御飯がやってくる。別に御飯が僕の口前まで一人で歩いて来るわけではない。いわゆる「上げ膳据え膳」というものである。これが飼い犬の特権と言われるものである。猫さんもそうかも知れないけれど・・・・このようにして飼い犬の平々凡々たる日常は終わり、やがて眠りについて明日を迎えるのであった。
6が16日 あめのちくもり
僕が御飯をあんまり食べないのは、この日記でもお話をしている。僕自身がダイエットをしているのではないかとも思われていたのだが、ここに新たな疑惑が浮上してきた。こんなに御飯を食べる量が少ないのに元気なのは、僕が家族以外の誰かに飼われているのではないか・・・と言うのだ。もちろん市役所に飼い犬登録をしているのは、我が家の御主人ではあるけれど、誰かが夜中にこっそりと僕の所へやって来て、僕となじみになって、餌をやったり、時には紐をほどいてやって自由散歩をさせている第三者がいるのではないか・・・?と、そういう疑問が御主人の頭の中に浮かんできたというのだ。どういう発想で、そういう考えが浮かんでくるのか知らないけれど、真相は我が家の人間達の間では藪の中である。真相を知るのは僕だけ・・・うふふふふ・・・家族にも知られない秘め事を持つって言うのは快感と共に優越感を感ずるね!!。誰にも教えない、僕だけの秘密だよ!!
6月15日 はれのちあめ
御主人は、僕の紐がほどけて、僕が自由に散歩するのを「逃亡」という。これは飼い主側の立場でしか物を考えていないから、こんな言い方になる。僕から言わせたら「自由散歩」あるいは「一人散策」なのだと言いたい。なぜ、こんなお話をするかというと、今朝は紐がどういうわけかほどけたので、おじいちゃんの家に行こうと思い、歩き出したのだ。ところが「恐い国道のバイパス」を渡りきった途端、町内の人に捕まってしまい、御主人に通報されてしまった。早速御主人がやってきて、僕のほっぺをつねりながら「おまえは何処へ行こうとしていたのだ?」と聞く。「もちろん決まっているじゃないか!!」と、自由散歩を阻害された腹立ちもあって、噛みつこうかとも思ったけれど、そんな事をしたら後が恐いので、黙って御主人に従う事にした。とうとう、後少しでおじいちゃんの家なのに、その場から我が家へ連行されてしまったのだ。
帰ってくるなり、紐があまりにもきれいにほどけていたので、御主人は僕に向かって「おまえは前足を人間みたいに使えるのじゃないか?」と言う。前足を人間の手のように使って、僕自身が紐をほどいたのじゃないかと疑っているようだ。でも・・・・まさか・・・・?本当の事は僕だけが知っているんだ。でも、内緒だよ!!
6月14日 はれ
御主人は、ここのところ毎晩のように会議だのなんだのといなくなる。僕の世話はお母さんと上のお兄さんの合同作業である。お仕事をした後に出かけるので疲れると思うけれど、ご主人は何も言わない。帰ってくると、必ず僕の所へ来て、御飯を残しているかどうかをチエックする。僕はそのたびに飛び起きてお出迎えをする。寝ているのを起きて愛想を振りまくのは少しつらいけれど、まるっきりうれしくないわけでもない。これで、お土産でも持ってきてくれたら、本気になって大喜びでお出迎えをするんだけれどなぁ〜・・・
6月13日 はれたりくもったり
今日は、人間にとってそんなに暑くなかったけれど、犬にとっては暑かった。気温が22度ぐらいだったけれど、僕はトラクターの下に潜り込んだ。僕にとってトラクターの下は、「避暑地」になっている。軽井沢みたいな本格的な避暑地とは違うけれど、外より幾分涼しいので毎年夏が近づくと、この下に潜り込む事になる。そこで気持ちよく、たっぷりとお昼寝である。御主人は田んぼの草刈りで全身汗だらけになっている。僕は涼しい顔でお昼寝。呼びかけられたって振り向きもしないし、返事もしない。僕は僕だけの世界に入り込んでしまっているのだから、じゃまはしないでおくれ!!
6月12日 はれ
昨日は久々のごちそうだった・・・・と言うより豪華なおやつだったと言った方が良いかも知れない。昨日の夕方に御主人達家族は僕の散歩と御飯を義務的にすませて、そそくさと車で何処かへ出かけてしまったんだ。3人でおいしいものでも食べにいったに違いない、と、にらんだ僕は、うらやましそうに見送った後で、さっき少し食べ残した御飯に再び挑戦をした。ややしばらくして帰ってきた家族は、僕にお土産を持ち帰ってくれた。もったいぶって、お座り、待て、等と、次から次に命令が下されるのをじれったく思いながら、そわそわしながらお土産が出てくるのを待ちかまえた。紙に包まれたそれは、トンカツだった。この街で一番有名なトンカツの店のものだ。お母さんの手からそれを受け取ると、「ペロリ、ゴクン」と飲み込んでしまったんだ。だけど、久人ぶりのごちそうを一のみにしてしまってもったいない事をした。もっと味わって食べれば良かったよ。でも、餌を一のみにするのは犬の習性だから仕方がない・・・・
6月11日 はれ
最近、食欲がない僕に御主人が気を遣って、今までのメニューを考え直してくれた。まず、ドッグフードと犬の缶詰は変わりがないのだけれど、おつゆ替わりに牛乳を混ぜていたのを止めて、味噌を水で薄く溶かしたのに変えてくれた。さらに、犬用栄養剤というのを買ってきてくれて、それを御飯の中に数滴たらして僕に与えてくれるのだ。「犬用栄養剤」の中身は、ニンニクエキス、まむしエキス、ビタミン各種、等々、様々な栄養が入っているらしい。それが何に良いのか犬の僕にはわからないけれど、とにかく身体に良いらしいのだ。毛替わりに良し、夏ばてに良し、と良いところずくめのようなのだ。実際、僕の食欲が戻ってきたのには驚いている。みそ味が良いのか、栄養剤が効いているのかは、良くわからないけれどね・・・・
6月10日 あめのちくもり
梅雨にはまだ入っていないのだけれど、梅雨寒とでも言うのだろうか、少し肌寒い今日の一日だった。(人間にとっては)・・・僕は終日する事もなく犬小屋の中で足の裏をなめていた。
と、言うわけで一句ひねってみた。
「梅雨寒や 閑居して 足の裏をなめる・・・・禄食」
6月9日 あめがふったりやんだり
久しぶりに雨が降った。朝散歩は行ってきたんだけれど、日中は本降りになってしまった。涼しくてとても気持ちが良い。僕達の地方は、まだ「梅雨」とやらには入らないようだけれど、時々は雨が降って欲しいものである。なんと言っても涼しく過ごせるのがうれしいからね。それに御主人も田んぼの稲が成長期に入っているので時々、田んぼに新鮮な雨水が入ると生育も良くなるし、わざわざ水路から水を田んぼに引くお仕事をしなくてすむから、無精な御主人にはありがたいはずだ。ともかく、今日はそんな天気だったので、一日中ひんやりとしたコンクリートの床の上で寝ていたんだ。ところが、身体が冷えすぎてしまった。そこで、久しぶりに犬小屋の中に入ってお昼寝をしたというわけなんだよ。
6月8日
御主人は、鼻炎なのか花粉症なのか、今それを患っている・・・・激しいくしゃみの連続と鼻水の垂れ流し、目の猛烈なかゆみに悩まされているらしい。僕は御主人がくしゃみをする度に驚いていたけれど、近頃では慣れっこになってしまって、少々のくしゃみぐらいでは平気で昼寝をしている。「いったい、なんなのだ」と、僕は御主人に聞いてみるけれど、御主人はつらそうな顔をするだけでなんにも答えなかった。最初は「ふふん!」と、僕は小馬鹿にしていたのだけれど、最近は御主人がくしゃみをすると、僕までがくしゃみをしてしまう。飼い主と飼い犬は似るものだと言うけれど、ここまでは似なくても良いと思う。ああっ〜まただ「はは・・・くしゅん!くしゅん!」・・・・はぁぁ〜なさけない・・・・
6月7日 かみなりあめのちはれ
今日は朝から「ゴロゴロゴロ・・・」と雷が鳴っている。雨は降ってくる気配はないけれど、西の空が暗い。それで、朝散歩に行こうとしたら雨が降ってきてしまった。残念ながら散歩は中止という事になった。雨はそんなに強い振りでもなかったので、行こうと思えばいけたんだ。でも、僕も御主人も雷が恐いのでいけなかったんだ。
でも、午後からは晴れたよ。
6月6日 はれ
「のほほんと 若葉の風に 吹かれおり・・・・禄食」
と、まぁ、今日一日こんな感じで、誠に平和で平凡、かつ退屈な一日だった。まるで、猫さんの一日のように気ままな一日を過ごさせてもらったよ。これも飼い犬ならではの生活の仕方である。基本的に犬は集団行動での生活なので上下関係の厳しい世界では、なかなか「のほほん」と暮らしてはいられない。ところが飼い犬になると上下関係は、御主人、お母さん、上のお兄さん、下のお兄さん、おじいちゃんにおばあちゃん、そして僕という序列になる。ところが、この人達は四六時中家にいるわけではない。だから、家に誰もいない時は、僕がこの家の主だというような顔をして、のうのうと暮らしているのだ。はぁぁぁ〜、飼い犬で良かったよぅ!!
6月5日 はれ
最近「ボテボテ犬」などと御主人から呼ばれたりする。太っているのだという。でも、大きい身体だと秋田犬らしく貫禄が付いて見える。これがやせていたりすると、「ずいぶん大きな柴犬ですね」等と言われてしまう。でも、あまり太っていると夏を乗り越える事が出来ないと思うので、ダイエットをしようと心に決めた。朝のおやつはもらって食べても良いけれど、夕方の御飯を少なくしようと思ったのだ。だから御主人が心配するほど御飯を残してしまう。残った御飯は捨てられてしまうので、間を置いて食べることができないから「追い食い」の心配はない。それに、この頃、犬の缶詰とドックフードの種類が変わったので、あまりおいしくないのだ。御主人は、以前のものより値段が高いのだと言っているけれど、味の善し悪しは値段じゃないんだよね。とにかく、マンネリ化したメニューを何とかしてもらいたいよ・・・
6月4日 はれ
今日は天気が良かったので、朝散歩から帰った僕は、お気に入りの場所である大きな庭石の前で、ぐっすりと寝込んでいた。そこに家の中から植木鉢を出して玄関の脇に並べるお仕事をしていた御主人が通りかかり、ぼそり・・・と、つぶやくように「シャンプー・・」と言った。僕の身体は全身に水を浴びせられたように「ぞぞぞーっ」と寒気が走った。僕はいつでも逃げられるように御主人の行動を油断無く監視していたのだが、いつまで経っても僕をシャンプー場に連れて行く気配はなかった。少し安心して寝ころんでいたら、しばらくして、いきなり僕を捕まえて「シャンプー」と言った・・・・僕は嫌々をして、足を大地に踏ん張って抵抗したのだけれど、結局はいつものように引きずられるようにシャンプー場に連れて行かれたのだった。この後の事はいつもの通りなのでくわしく言わないけれど、暴れた事だけはたしかである。シャンプーが終わり、これ以上御主人とは関わり合いたくなかったので、すぐにトラクターの下に潜り込んだ。すると、大豆畑を耕起し終わったばかりのトラクターは泥だらけである。その下に潜り込んだ僕も「泥んこ犬」になってしまったのだった。「なんのためにシャンプーしたんだ!!」と御主人は怒ったけれど、顔だけは泥んこにならなかったから、お母さんに「男前の犬になったね」と誉めてもらったよ。
6月3日 はれたりくもったり
今朝は気持ちの良い朝だったので、ちょっと早起きをして紐が届く範囲をうろうろしていた。すると、どういうわけか首輪のフックがはずれ、僕はたちまち自由の身になってしまった。幸い、まだ誰も起きては来ない。この自由な身体をどうしようかと、あれこれ迷ったけれど、やはり、あそこへ行くのが一番楽しいのじゃないかと思い家を出た。あそことは「おじいちゃんの家」である。御主人はあまり連れて行ってくれないけれど、上のお兄さんは、しょっちゅう連れて行ってくれる。行くとおやつを豊富にもらえるので楽しみにしているんだ。家を出て、広い道路を通り、踏切を渡る。一番の難関は国道のバイパスである。この前、自由の身になった時は登校する子供達と一緒に信号が青になった時に渡ったのだけれど、僕は犬だから交通信号というものが理解できない。だから車が来ないのを見計らって急いで渡ったんだ。この前は、この道路を渡った途端に迷ってしまい、うろうろしてしまったんだけれど、今日はきちんと「おじいちゃんの家」にたどり着いたんだ。玄関が開いていたので、「おはようございます」も言わずに土足で家の中に上がり込んだんだ。おじいちゃんとおばあちゃんはびっくりしたようだけれど、おやつをくれて歓待してくれたんだ。それで、おじいちゃんが御主人に僕の事を電話で連絡したから、僕の「逃亡」・・・いや、「自由散歩」を御主人とお母さんはやっと知ったというわけなんだよ。この後、迎えに来た御主人のトラックに乗って家に帰る事になるのだけれど、おやつをいっぱいもらったので、夕御飯の食欲が減退するのではないかと御主人は心配しているようだった。
6月2日 はれたりくもったり
この所、肌寒い日が続いている。人間にとっては・・・である。夜などはストーブを焚いていると言うから笑ってしまう。真冬じゃあるまいし、若葉がだんだん色濃くなってくる今頃ストーブだなんて・・・・毛皮を年中まとっている僕は、腹を抱えてのたうち回って笑い転げたいのだけれど、犬は基本的に「笑い」を顔に表せないような肉体的構造になっているので、いくらおかしくて笑っても笑っているようには見えない。ただし、尻尾を忙しなく振るので、機嫌が良いのだなとは思われてしまう。なぜこんなに笑いたくなってしまうのかというと、今日の午後、あまりの気持ちよさに小屋のコンクリートの上で熟睡してしまったからなのだ。御主人が近づいたのも知らず、足で「ポンポン」と蹴られたのも知らず、本当に「ぐっすりと」寝入ってしまっていたのだ。それもそのはず、あまりにも気温というか気候が、犬には最適になってしまったからである。2〜3度ぐらい蹴られて、やっと御主人だと気付いたけれど、起きあがるのも嫌なぐらい気持ちが良い。そして、僕はぞばに御主人が居るのを確認して、またまた、ぐっすりと寝入ってしまったのであった。今日の僕は「番犬失格」の烙印を御主人から押されてしまったのであった。これが、夕方の御飯の量に影響しないと良いのだけれど・・・?
6月1日 くもり
人間世界の習慣で言えば、今日は「衣更え」なのだという。犬は年中同じ毛皮を着ているので暑くなったからと言って着替える事は出来ない。その代わり、この時期になると「毛替わり」という肉体的な現象が起こる。僕の場合も徐々にではあるけれどそれが起こっている。まぁ、気長に抜け替わるのを待っているより仕方がない。でも、あまりのんびり待っていると、暑さが過ぎて寒さがやってくる。すると、今度は冬用の毛が生えて来るというぐあいになっている。
所で、今日は「1ヵ月に一度の薬を飲む日」なのだ。今日の御主人は「チョコπ」の中に薬を仕込んで僕の目の前にちらつかせた・・・僕は、うさんくさいものでも見るように、それを見つめたけれど、口に入れようとはしなかった。僕がなかなか、食べようとしないので御主人は無理矢理口の中に押し込みそうになったけれど、辛抱強く町、自分でも、そのお菓子を食べて見せたんだ。僕は怪しみながらも、「毒は入っていないようだ。」と思い、つい「パクリ」とくわえたのが運の尽き、・・・・すかさず、僕がお菓子を吐き出さないように口を押さえられてしまったので、僕は仕方なく、そのお菓子を飲み込んでしまった・・・と、言うわけなんだ。そういうわけで、今月の「薬のみ狂想曲」は終了という事に相成った次第である・・・・ヤレヤレ・・・