むつ犬のおまぬけ日記
平成18年11月
11月30日 あめのちくもり
「豚の骨」にまつわる因縁はまだ続いている・・・・その2
トラックの荷台から「豚の骨」を取り戻した僕は、御主人から奪われないように、すぐさま犬小屋の中へ引っ込んだ。僕は安心とうれしさのあまり、「豚の骨」を床に置いて「歓喜の踊り」を踊った。どういう踊りかというと、骨を獲物に見立てて襲いかかるというシーンを再現する踊りである。二本足で立ち上がり、前足の爪で獲物に襲いかかる。(もっとも犬小屋の中では外のように立ち上がる事は出来ないけれど、少しのジャンプぐらいは出来る広さと高さにはなっている。)それをしたところ、この前、御主人が床に敷いてくれた「防寒マット」がずたずたに破れてしまったのだ。しかし、犬にとっては気にならない。今現在、骨に襲いかかる事こそ世の中のすべてだと思っているからだ。やがて、ずたずたに破かれた「防寒マット」を見つけた御主人によって、こっぴどく叱られる事になるわけだけれども、そんな事はどうでも良いのだ。リサイクルセンターで定価1280円のものを480円で買ってきたものであろうと、又480円が僕のおやつである「犬ビスケット」2週間分の値段であろうと、関係ないのだ。今が楽しければ犬はそれで良いのだ。と、言うわけで後ほど、こっぴどく叱られた僕は叱られた後「ふふん」と鼻を鳴らし、なぜ叱られたのかと不思議に思いながら御主人の側から逃げるように立ち去るのであった。
さて、「豚の骨」にまつわる因縁はまだまだ続くのだろうか・・・?

11月29日 あめのちくもり
「豚の骨」にまつわる因縁はまだ続いている・・・・この前、密かに御主人の元から取り戻した「豚の骨」は地中深く埋め隠しておいた。そして数日・・・・僕も御主人も「豚の骨」のことなど、すでに忘れてしまっていたのだ。ところが、今日、御主人が僕が「豚の骨」を埋めているあたりの草刈りを始めたので、僕は「はっ!!」と思い出してしまった。「たしか、あそこら辺に骨を埋めたような気がする。」と・・・・財宝(豚の骨の事を言う)が奪われてしまうかも知れないと不安になった僕は、御主人が畑でお仕事をしているすきに土の中から骨を取りだして口にくわえて、何処に隠そうかと思案しながらうろうろしているところを御主人に見つけられてしまった。すぐさま御主人は僕の頭を押さえつけて、「離せ」だの「よこせ」だのと勝手な事を言う。僕は唸り声を上げて抵抗したけれど飼い犬の悲しさで、結局は御主人に奪い取られてしまった。御主人だって僕から骨を取り上げて、どうしようと言うつもりはない。ただ、僕が抵抗するのをおもしろがっているだけなのだ。その証拠に、僕から取り上げた骨は、犬小屋の前に止めてあるトラックの荷台に置いたのだ。そして荷台から、僕が苦労をして骨を取り出すのを見て楽しもうという御主人の腹づもりなのだ。なんという陰険なたくらみなのだろうか!!あまりに悔しいのでやり返したいのだけれど、なんとか御主人を「ぎゃふん!!」と言わせるたくらみがあったら、この日記で募集するから、どんどんアイデアを出してもらいたい。待っているよ!!

11月28日 あめ
昨日、今日の僕は「冬ごもり」つまり「冬眠状態」だった。犬小屋の中へ閉じこもりっぱなしで居眠りばかりしている。北国の犬にとっては、そんなには寒くはないけれどコンクリートの床の上に寝るには冷たすぎる。だから犬小屋の中に入り込む。犬小屋は防寒シートで覆われているので中は「真っ暗」に近い。中にいると、今がいったい一日の内のいつ頃なのかまるっきりわからない。「うつらうつら」している内にいつの間にか夕方になってしまっているというわけなのだ。もっとも「冬眠」とは言っても、森の熊さんのように洞穴や木のウロを探し出して「冬眠」するわけではない。朝は散歩に行っておやつをもらい、夕方も散歩に行って御飯をもらう。そして、何もしない時はほどほどに暖かい犬小屋の中に入り込んでいる、そして退屈すると犬小屋から出て、そこら辺をうろうろするという生活である。森の熊さんがこれを見たらうらやましがって僕に襲いかかるだろう・・・まぁとにかく、やがて「シトシト」と降る雨は雪に変わって、辺り一面は白一色の冬になるのだろう。そういえば御主人が「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう」という予報が出ていると、どこかの歌で聞いたような事を言っていたっけ・・・・

11月27日 あめ
雨降りである。暖かい雨がシトシトと一日中降り続けた。おかげで散歩に行く事が出来なかったよ。でも、風もないし気温も暖かいので少しばかりの雨降りなので行こうと思えばいけたんだ。御主人は「散歩に行けないかもね?」と、微妙な言い方で散歩の中止を告げた。僕は怒りと哀しみのあまり、犬小屋の中に潜り込んで、敷いてあったマットに襲いかかり八つ当たりをした。
ところで、僕をつないである紐が千切れたり、すり切れたりしたので、だいぶ短くなってしまっている。新品の時は10メートルあったのが、今は5メートルしかない。そのせいで、柿の木やグミの木の根本にオシッコが出来ないでいた。そこで、散歩に行けないお詫びと言っていいのかわからないが、御主人が新しい紐を買ってきてくれた。新品の10メートルである。僕は20メートルが欲しかったのだけれど、あまり長いと、そこら辺の草木に引っかかって、犬小屋に帰り着く事が出来なくなるだろうという御主人の配慮で、10メートルという事になってしまった。それでも快適だよ。前より行動半径が倍になったんだからね。

11月26日 はれのちくもり
今日も小春日和の一日だったよ。でも、午後からは曇ってきたんだ。お腹を出してお昼寝をしたんだよ。ところで・・・・・・
僕の御主人は「犬の作法」という事をやかましく言う。犬が生きていく上での品性とでも言うのだろうか、人や犬に対して失礼にならないような行動の事を言う。しかし「猫さん」にだけは犬の品性を見てもらう必要はない。ところで、どんなときに「犬の作法だぞ。」と言われるのかというと、食事の時である。食事は犬が生きていくための一番大事な事である。犬は食べたいと思うあまりに犬の品性を失い本能だけで行動してしまう。そこで「犬の作法」である。どんな事なのかというと、ごく一般的でこれを読んでいるみんなが知っている事だ。「犬の作法」、この言葉が御主人から発せられると、僕はまず「お座り」をして、次に「伏せ」をする。よだれが数滴、僕の口からこぼれ落ちたところで、御主人が「タッチ」と命令を出すのだ。すると、僕は「わん!!」と勢いよく声を出して、フセの状態からオスワリの状態になる。やがて「よし!!」の号令とともに僕は勢いよく御飯の入った食器に突進するのである。後は、もう戦闘状態。目の前の敵(御飯の事)を殲滅するのみであるから、御主人の存在などすでに頭にはない・・・・無我夢中で御飯を平らげ終わった後は、「満腹」という安らかな平和を迎えているのだった。これが、僕の日常的風景なのである。・・・・・

11月25日 はれ
今日は「小春日和」の、とても穏やかで気持ちの良いお天気だった。腹を出して寝ていても寒くない。逆に暑いぐらいである。今日は、とうとう「豚の骨」を取り返した。犬小屋の屋根に乗せてあったのを見つけて、土のお山の中に埋めたんだ。しかし、鼻を泥だらけにしていたので、すぐ「骨を埋めたな」と見破られてしまった。おまけに御主人が僕の近くにいる間中、骨を埋めたところへお座りをして見張っているんだから、人間なら誰でも「おかしい?」と僕を見て思うはずだ。ここが犬のおまぬけなところなのだが、本人(僕の事)は、至って大まじめな行動をしていると思いこんでいる。
所で、今日はとても好い陽気だったので、15時半頃、御主人とトラックで山にいった。紅葉などはとっくに終わり、すっかり葉を落とした木が並んでいるだけである。何処か見晴らしの良いところを探したけれど無かった。真下に工事中の高速道路が見えるだけである。「まさか熊さんなんかと遭遇しないだろうね。」なんてビクビクしながら、早々に家に帰ってきたというわけなんだ。

11月24日 くもり
今日は、御主人から「犬の習性」を禁じられてしまった。どんな習性を禁じられたのかというと、「食べ物を土の中に埋める事」である。犬はオオカミさんだった御先祖の時代から食べ物を食べて残ると土の中に埋めて、後々になって食べ物がない時に掘り出して食べる習性がある。僕もその習性を受け継いでいる。今日は、またまた豚の骨をもらったので、さんざんに「ぺろぺろ、かみかみ」して遊んで飽きたので土の中へ埋めようと、うろうろしているところを御主人に見つけられてしまった。そして、骨を取り上げられてしまった。いつもなら、取られそうになると唸り声を上げて抵抗するのだけれど、今日はそんな気もなくてあっさりと取り上げられてしまった。と、言うよりくわえていた骨を「離せ!!」と命令するので渡してしまったといった方が良いかも知れない。「どうせ、土の中へ埋めてもしばらく立つと忘れてしまうだろうから」とも言われた。そうかも知れないね。飼い犬は本当に死ぬほど空腹になるなんてありえないだろうから、土の中に埋めた食べ物を掘り返して食べる事なんて無いだろうしね・・・そんなわけで、夕食は腹一杯食べた僕なのであった・・・・

11月23日 はれたりくもったり
この日記を読んでくれているみんなは、ほとんどが知っている事と思うのだけれど、僕を喜ばすと、うれしさのあまりはしゃぎ、そこら辺を無我夢中になって駆け回る。・・・のである。主に喜ばすのは御主人である。僕を喜ばしてくれるのはよいのだけれど、困った事が一つある。僕がはしゃぎ廻ると、足の裏がすり減ったり、時々、滑って転んだりしてすねをすりむいたりする事がある。「それ!!むつ、ボール遊びだ。」とか「さあ、ムツ散歩に行くぞ。」などと言う言葉に僕は敏感に反応するので、はしゃぎ方もものすごい。すると怪我をする確率も高くなるというものである。だから御主人にお願いしたい事は、犬の習性を熟知した上で、飼い犬をあまり刺激的に喜ばせないで欲しいのだ。特に、これからは地面に雪が積もって滑りやすい季節を迎えるので、肝に銘じてもらいたいものである。

11月22日 あめのちくもり
散歩に連れて行ってもらい、御飯を食べさせてもらったら、もう飼い犬にとって浮き世の義理は存在しない。つまり、飼い主にはいっさい愛想を振りまいたり、こびを売る必要がないと言う事だ。飼い犬は、この2つの事柄に満足すると、後はどうでも良いと思うようになる。この世の義理から解放されると、あの世の義理が気になってくる。あの世の義理とは夢の中の世界の事を言う。犬も夢はたしかに見るのだ。たとえば、昨日の夜こんな夢を見たとする。犬同士が会費制の宴会を開き、さぁ、いよいよ「食い放題飲み放題」にかかろうという時に「むつ、朝散歩の時間だぞ!」と御主人が起こしに来るとする。僕は「はっ」と、飛び起きて、もう少し御主人が起こしに来るのが遅かったら僕はあのごちそうを食べられたのに、しかも会費は前払いだったのに・・・と、悔やむ事になる。いくら夢であっても悔やむ!!だから、今日は、又あの宴会の夢を見て、「今度こそ腹一杯食べるのだ。」と思う。つまり、これが「あの世の義理を果たす」という事になる。ところが、今日の夢見は、ごちそうがすでに食い散らかされて、宴会場に、ただ僕一頭がたたずむ夢だったりしたら悲惨である。そして、「勘定が足りないから払ってくれ」と店主に恐い顔で言われたら、悪夢である。「早く、御主人、僕を起こしに来てくれ〜!!」と、願うに違いない。ここら辺が夢という矛盾した空間というのか、バーチャルリアリティの世界なのだ・・・・

11月21日 はれたりくもったり
朝、御主人がやってきたらしい足音がしたので、犬小屋から出ていって「散歩に行くのか?」と聞いた。すると、驚いた事に、「おまえをつないでいる紐が切れている」という。すると僕は、たぶん一晩中、自由の身だったわけだ。「しまった!!」と悔やんだがもう後の祭りである。御主人はしっかりと切れた紐をつなぎなおし、僕の首輪に結わえ付けてしまった。自由の身になったら「あれもしよう、これもしよう」と、常日頃から夢に描いていた事が、実現できなくなっってしまった。千載一遇のチャンスだったのに・・・・自分の愚かさに「豆腐の角へ頭をぶつけて死んでしまいたい」気分である。一方、御主人の態度はと言うと・・・・紐が切れているのを見つけた御主人は、一瞬「逃げられた!!」と、思ったそうである。ところが、のっそりと防寒シートをかぶせた犬小屋の中から現れた僕を見て、「ああっ良かった!!」と言って僕に抱きついて来たんだ。御主人は良かったと思うかも知れないけれど、僕にとってはこんなおまぬけな話はない。御主人は僕の身を心配したのか、探す手間が省けてうれしいのか知らないけれどね・・・・

11月20日 あめ
昨日は、あんなによい天気だったのに、今日は一日冷たい雨が降り続いた。と言うわけで、今朝は散歩に行けなかった。夕方になったら御主人から「雨降りなので夕方散歩にも行けない」と最後通告をされてしまったので、僕は怒りと絶望が渾然一体となり、怒髪天をつく勢いで、ぐるぐると「お回り」をしながら唸り声を上げて尻尾に噛みついた。尻尾に噛みつく行為というのは、僕の場合は不満や期待を表す行動なのである。それを一くさり御主人の前でやった後、犬小屋の中に入り、もう、いくら御主人が呼んでも出ていかなかったし、返事もしなかったんだ。とうとう御主人は、僕の御飯を作るために家に戻っていってしまったというわけなんだ。もっとも、御主人が御飯を持ってきた時は、よだれを流しながら御主人にまとわりついたんだけれどね。犬の気持ちなんてこんな物なのである。だから「犬の気持ち」を例えた言葉に「風の中の羽」という言葉があるぐらいだ・・・・・

11月19日 はれ
御主人から豚の骨をもらった。上のお兄さんがどこからか、もらってきたものだ。僕は大喜びで骨にかじりついた。食べた・・・と言うよりは遊んだと行った方が正しい。骨は硬いので、なかなかお腹の中には入っていかない。なめたりかじりついたりしてしばらく楽しんだ。でも、飽きてきたので「又、後で楽しもう」と、僕はその骨を土の中へ埋めた。両前足で一生懸命にカリンの木の根本に穴を掘って、骨をそっと横たえて鼻の頭で土をかぶせてやった。おかげで鼻が泥んこになってしまった。ところが、その作業をしっかりと御主人に見られてしまい、「取り替えされてしまう!!」という危機感から不安になった僕は骨を掘り返して、又別の場所に埋めた。こうなるといたちごっこである。「僕の楽しみを奪うな!!」と、ばかりに近づいてくる御主人に唸って見せたけれど、鼻先をぶたれてしまった。所詮は「飼い犬」なのであった。とうとう、骨は御主人の手によって掘り返された。泥だらけになっていたそれは水洗いされて、犬小屋の屋根に置かれてしまったよ。又、そのうちに僕に下げ渡される日が来るに違いないと思うから、楽しみに待っている事にするよ。

11月18日 はれたりくもったり
いゃあ〜、参ってしまったよ。久しぶりにおまぬけな事をしてしまったんだ。どんな事かというと、僕をつないでいる紐が柱にぐるぐる巻きになってしまい、犬小屋の中へはいる事が出来なくなってしまったんだ。日中なら、身動きの取れなくなってしまった僕を見て解放してくれるのだけれど、夕御飯を食べてしまった後だから始末が悪い。僕は、どうしても犬小屋の中にはいる事が出来なかったので、コンクリートの床の上に寝そべった。しかし、今の季節は寒い。腹が冷える。そこで僕はひらめいた。どうにかして犬小屋の中に敷いてあるマットをくわえて持ってくる事が出来ないものかと・・・・僕は必死になって犬小屋の中へ首をつっこみ、やっとの思いで1枚のマットをくわえ、持ち出す事に成功した。マットは2枚ある。我が家で足ふきマットに使われていた物が少し汚れてきたので僕に下げ渡されたという代物だ。それをコンクリートの床に敷いて、僕は一晩中そこで寝ていたというわけなんだ。

11月17日 くもりのちはれ
昨日までの雨や雷、それにあられなのか雹なのか知らないけれど、うるさい音を立てて降ってくる。僕はあまりに恐かったので、身体をぶるぶる震わせながら犬小屋の中で丸くなっていたんだ。今日は、そんな悪天候も終わり、風が冷たいながらもお日様が顔を出してくれたよ。「お日様、会いたかったよ〜!!」と、お日様にほおずりでもしたいような気持ちだったよ。もっと、本当にそんな事をしたら僕の身体が燃え尽きてしまいそうなので、たとえばというお話をしている。そんなわけで、僕は犬小屋へ入ったり、外へ出て日向ぼっこをしたりと、なかなか忙しい一日を送ったんだ。夕方散歩は、普段僕達が行かないような所へ御主人とトラックで行ってきたよ。東側のため池の上に、今、高速道路が出来つつある。そこへ行ってきて、出来つつある高速道路を見てきたよ。僕は嬉しくて、はしゃぎ過ぎてしまったので御主人に何度も叱られたんだけれどね。とにかく楽しかったよ!!

11月16日 あめがふったりやんだり
秋田では冬の雷がおおい。一般的に放つに雷が多いと思われているけれど、日本海側は冬の方が断然多いのだ。秋田では雷が鳴ると、ハタハタという魚が海岸に押し寄せてきて豊漁になるのだという。ハタハタは秋田の味の根元をなすものだと言っても過言ではない。そのハタハタを僕はもう食べたのだ。御主人さえ、まだ食べていないものを僕が食べたのだ。しかも「ブリコ」と言って卵を抱いているものをだ!!なぜ、そんな事になったのか、くわしく説明しよう。
土曜日にお母さんの実家の結婚式があって、お母さんのお姉さん夫婦が我が家へ泊まったのだ。その時に出たごちそうが「ハタハタの焼き物」だった。でも、一つ余ったので、今日までそのままにしてあったのを僕の御飯にそえてくれたというわけなんだ。もっとも、秋田でのはたはた漁はまだ本格的ではない。僕が食べた「ハタハタ」は北海道産だったのだ。しかし、ハタハタには変わりはない!!僕は我が家で一番始めに冬の初物を食べた生き物になったのだ。これで受めょうが75日長くなったような気がするよ!!
だって、初物を食べると75日長生きするって言うじゃない・・・?

11月15日 はれ、あめあられ、はれ
今日は、久しぶりにお日様が顔を出した。それで、朝はめっきりと冷え込んだんだ。僕も犬小屋から出るのが億劫になって、御主人がやってきても出ていかなかったんだ。もっとも、御主人は、今日は「交通安全日」なので交差点に立たなければいけないから僕の散歩は中止になった。なにしろ、ここら辺の小中学生は登校が早い。朝の6時半になると出かけていく。学校まで歩いて1時間ほどかかるのだ。僕も散歩が1時間だったら嬉しいのにと思うとうらやましい気がする。でも、子供達は大変なんだろうなぁ〜。一度、紐がいつの間にかはずれて、自由散歩をした時があった。この時は朝だったので登校する子供達と一緒に歩いたんだ。車は頻繁に通るし、信号機はあるし、なかなか大変だったとかすかに記憶している。たんぼ道を1時間ぐらい散歩するのとはわけが違うのだなぁと思う。町中の散歩は、あまりのんびりとは出来ないのかも知れない・・・

11月14日 あめ
5日も雨降りが続いている・・・・こんな天気は近来まれに見る天気だね。もっとも、僕は、まだ数えで7年ほどしか世の中に生きていないから、僕の言う「近年まれに見る」というのは、この7年間でと言う事なんだ。本格的な夏を前に日本は「梅雨」というものがある。これば「梅雨前線」というものが日本列島に居座ってしまって、長々と雨を降らせるものなんだ。そして、秋も中頃になって、太平洋高気圧の勢力が衰え始めると「秋雨前線」というのが威張り始める。これを「梅雨」という言葉に対して「秋霖」というらしい。秋の長雨である。しかし、もうすぐ冬を迎える今頃になって、長々と雨降りが続くなんて考えられない・・・もしかすると、本当は、この雨が雪に変わっていなければいけないのだけれど、暖かいので雨になってしまったという、落語で言えば「オチ」の様なものなのかも知れない・・・

むつ犬の注・・本来であれば、僕の言う事を御主人が聞き取って、この日記に書かなければいけないのだけれど、最近は、雨続きで僕は犬小屋の中に閉じこもってばかりいるので、御主人は勝手に自分の思うままに書き込んだらしい。あしからず・・・後で御主人を叱りつけておくよ。あくまでも、この日記の主人公は僕なんだという事を身をもって知らしめなければいけないと思う今日この頃の僕なのであった。

11月13日 ごうう
お母さんのお姉さん夫婦と、実家のおばぁちゃんは朝の9時前に我が家を出発した。僕は、ちゃんと外に出て「正しい犬お座り」をしてお見送りをしたよ。9時半頃の特急に乗るらしい。新潟周りとやらで、そこで新幹線と言って、日本で一番速い列車に乗って横浜へ帰るのだそうだ。おばあちゃんは、お姉さん夫婦を駅に送っていった後、実家へお帰りである。お母さんも今日は半日お休みをして午後からお仕事に出かけたよ。御主人も、この前やり残したモミガラ運びを始めた。ところが・・・・午後になると豪雨である。バケツをひっくり返したような雨降りである。それでも、仕事を終えてしまおうという御主人は、雨降りの合間を縫ってモミガラを運んでいく。どうやら、ぬれねずみになりながら午後いっぱいかかって終わらせたようである。だが、僕の散歩は中止になってしまったよ。しょうがないなぁ〜・・・・

11月12日 くもりときどきあめ
今日も御主人とお母さんは出かけていった。今度は3時間ほどして帰ってきたよ。お母さんの実家へいってきたんだって。車には、横浜のお母さんのお姉さん夫婦と、実家のおばぁちゃんがのっていた。僕は久しぶりに会ったので、珍しそうに、みんなを見つめていたんだ。これから、家の中に入ってお話ししたり、何か美味しい物を食べたりするに違いない。僕は、一人寂しく犬小屋の中でお昼寝するのであった。なんか、外は雨、時々白いものも混じって降ってくるようなお天気なのだ。でも、御飯と散歩だけは、定時にもらえたけれどね。(今頃の季節だと、17時から18時の間ぐらいかな?)

11月11日 くもりのちあめ
今日はお母さんの実家の結婚式なので御主人と二人で出かけてしまったんだ。お兄さんはお休みらしいけれど、家にいるかどうかはわからない。と、なると僕は、今日も一人寂しくお留守番をしなければいけないという事になる。午前中に出かけていった二人だったけれど、夜になっても帰ってこない。上のお兄さんは何処かへ出かけていってしまい、僕は途方に暮れた。散歩がまだだし、僕の命の元である御飯がまだなのだ。僕は「腹ぺこ犬」になってしまっていた。そして・・・・夜の9時頃、やっと二人は帰ってきた。僕は大喜びで・・・と言うより、必死の形相で二人にまとわりついて御飯を要求した。二人が出ていって約12時間、僕にとっては「長い、長〜い、長すぎる一日」だった。はぁぁぁ〜

11月10日 あめがふったりやんだり
朝、冬の使者である白鳥さんが元気な鳴き声を上げながら12羽の編隊を組んで我が家の真上を飛んでいった。ところが、南西から北東の方角へ飛んでいったのだ。このコースは春先のコースなのに、なぜか今頃飛んでいった・・・・?きっと、冬が来そうだというので南下してきた白鳥さん達は、今頃の季節にしては、まだまだ暖かい気候にびっくりして、又北の方へ戻っていったのかも知れない。山沿いの所では雪の噂も、ちらほら聞こえてきてはいるけれど、僕達の住んでいる所では、「寒いっ!!」と感じる日は、いまだに無い・・・・いつまでも秋の中頃の気温のままなのである・・・・

11月9日 はれ
大荒れの後は、一転して「小春日和」の一日になった。日中は暑いぐらいである。僕は地面にごろんと横たわりお昼寝をした。午前中は家に誰もいなくなったので、誰にはばかる事もなくお昼寝を楽しむ事が出来た。お昼前に農協からお米を取りに来たけれど、たった16袋だからどうと言う事もない。「わんわんわん」と二声、三声、吠えたら、もう積み終わっていってしまったよ。でも16袋と言っても、我が家の家族6人と1頭が一年かかっても食べきれないだけのお米なのである。
ところで、小春日和で気持ち良くお昼寝をしていた僕だったのだが、午後になると「農協のお米はこび」のお仕事に行っていた御主人が帰ってきて、モミガラ(お米を包んでいた殻の事)を田んぼに捨てに行くお仕事を始めたんだ。ちょうど、僕が寝ころんでいるところをトラックで行ったり来たりするものだから、僕は土のお山(来年のお米の苗を作る時に必要な土の山の事、育苗用土とも言う)の上に避難したんだ。でも・・・・このお山も、11月の末頃には小屋の中にしまい込まれて無くなってしまうんだよね。寂しくなるけれど、せいぜい今の内に土のお山への登山に励んでおこうと思っている僕なのであった。登山って言うほどの高さもないんだけれどね。(高さが一五〇センチって所かな?)

11月8日 あめがふったりやんだり、かぜつよし
昨日の夜から今朝にかけては驚いたね!!外に置いていた物が、みんな飛んでいくんだから、バケツは飛ぶし、ポリカンは飛ぶ。おまけに作業小屋の雨樋が飛んでいった。そしてバラバラに壊れてしまった。幸い西側だけだったので、僕がいる東側には影響がないから不幸中の幸い・・・とか言うものだろう。とにかく、色々なものが飛んでいくので恐いのを通り越しておもしろいぐらいだった。僕も、常日頃から白鳥さん達が飛んでいくのを見て「空を飛びたいなぁ」などと夢想する事があるけれど、今日ばかりは僕が外へ出ると本当に飛んでいってしまうのじゃないかと思うぐらいの風のすごさだった。台風よりもまだひどい。我が家では、台風の被害で大損害を受けた事はないけれど、暴風で被害を受けた事が何度かある。ビニールハウスが倒壊したのが2度ほどと、今日の被害である。どうも家の御主人は、そういう巡り合わせになっているのかも知れない。僕も、暴風などに飛ばされないように、丈夫な首輪と、丈夫な紐に付け替えてもらいたいものだと、この暴風を目の当たりに見た、僕の心の底からの願いなのであった。

11月7日 ふうう、らいう、
今日は台風並みの風が吹いて、雨もたっぷり降った・・・・と言うより、まだ降り続けている。雷は鳴るし、風は不気味な唸り声を上げて吹きまくる。雨はバケツをひっくり返したように降ってくる。今日は一日中、犬小屋の中で過ごした。こんな天気じゃ、夕方散歩には行けそうもない・・・・唯一の慰めは、夕方になって真っ黒な雲が少し切れてお日様が差し込んだんだ。すると、東の空に虹がかかった、淡い色だったけれど、見えた、その一瞬、雲がお日様を隠してしまい、たちまち虹は消えてしまった。小屋にいた御主人は虹を撮そうと写真機を取りに家にいっている間に消えてしまったんだ。
ふぁぁぁ〜・・・今日は寝てばかりいたのでくたびれたよ。御飯をもらったら本格的な睡眠にはいる事にしようと思っている僕なのである。

11月6日 はれのちくもってあめ
夕方散歩の時、毛がふさふさで小型のコリー犬のような犬に出会った。相手のワンコの御主人は女の人だったし、連れのワンコもすてきだったので、僕は、つい興奮して息も荒くなってしまったよ。僕がワンコに見とれてしまって動かないので御主人が僕をせき立てる。それで、仕方なく未練を残して歩き始めたものの、僕は後ろを何度も振り返ってばかりなのだ。「男はつらいよ、寅さん」の様に、そのワンコに出会った途端にひとめぼれしたのかも知れない・・・・。もっとも、夕日も落ちて、あたりは黄昏時になっていたので、相手のワンコがオス犬だったのか、メス犬だったのかはわからないのだけれどね・・・・・

11月5日 はれ
いま、僕達が住んでいる「由利本荘市」と言うところでは「米祭り」、と言う行事が開催されている。わかりやすく言えば「収穫感謝祭」という事である。僕達の住んでいる地方は江戸の昔から「米どころ」として江戸にも「本莊米」という名が知られていたぐらいだ。僕達、秋田犬も「秋田米」を食べて育っているから、姿良し、性格良し、勇猛果敢にして、「マタギ犬(狩猟犬の事、主にクマを仕留める)」として全国にその名を知られている。現在では天然記念物第一号として名高い。いわば、人間国宝である江戸落語「故 五代目 柳家小さん」や、現在も活躍中の上方落語「桂米朝」と、肩を並べるぐらいの「秋田犬」なのである。でも・・・・僕は秋田犬だけれど、いつもお昼寝ばかりしているし、のほほんと、この世を暮らしている。僕達秋田犬は、だだ存在するだけでありがたい「仏像」のようなものなのである。世の中に何か伝えていくとか、芸をするとかは、いっさいしないのである。芸と言えば、「おて」、「おすわり」、「ふせ」ぐらいなものなのである。「ええ〜、毎度、馬鹿馬鹿しいお話を一席お付き合い願います。・・・」などと言う事は、犬が二本足で立って歩いた。と言う状態が「あり得ない〜」、のと同じような事なのである。

注・・・収穫感謝祭に関しての話をしようと思っていたのだけれど、天然記念物の話になってしまったよ。なんの話をしようとしていたのか忘れてしまったので、思い出したら、又お話をするね。たぶん永久に思い出しはしないだろうと思うのだけれど。・・・・

11月4日 はれ
僕のホームページが新しくなったよ・・・・と言っても、「むつ犬のおまぬけ日記」は毎日更新しているし、その他で変わったところと言えば、僕の動く姿を見る事が出来る「大人気のコーナー?」が変わったよ。題して「犬走る!!」だ。御主人の乗った自転車を無心に、ひたむきに力強く引っ張る姿が、感動的に映し出されている。でも、「待て、待て!!」と言われても犬は急に止まれないのだ。と、ここで書いても良くわからないだろうから、くわしくはホームページの動画を見てもらいたい。10メガバイトのサイズなので、少し重いかも知れないけれど、動画を見て僕を励ましてもらいたい、慰めてもらいたい「僕は、馬車馬のように酷使されているのだ」と、言う事を全世界の人々に認識してもらいたいのである。

11月3日 はれ、いちじあめふり
今日は「文化の日」らしいけれど、犬には文化など必要がない。御先祖から受け継いだ「本能的知識」があれば十分生きられる。文化より、僕はとても「腹ぺこ」なのである。やたらと物を食べたくて仕方がない。もっとも、冬を迎えてたくさん食べ、太らなければいけないのだけれど、いっこうに太ってくる気配も感じない。きっと御主人が御飯をあまりくれないせいなのだろう・・・・と、思っていたら、新たに新説が飛び出した。これは、御主人が考えたんだけれど、「雪が降って、散歩へいけない日や、歩く距離が短くなると、運動不足に陥り、自然に太ってくるのではないのか?」と言うんだ。僕は思わず、なるほどと感心してしまったのだけれど、僕としては、「御飯の量が足りないから太らないのだ」という犬側の論理を強く主張したいのであった・・・・

11月2日 はれ
我が家では、やっと新米を食べる事が出来るようになった。去年のお米も少し残っているそうだけれど、とりあえず食べてみようか、と言う御主人の決定によってみんなで食べた。僕も食べた。やっぱり新米は香りが違うね。おいしさも違う。これから、あちらこちらに、この新米を発送しなくちゃいけないのだけれど、御主人は、まだ大豆の草刈りに忙しい。のんびりと「小春日和の日だまりの中」でお昼寝をするのに忙しい僕が見ていても歯がゆい。しかし、御主人は、明日も仕事以外で忙しいのであった。はぁぁぁ〜・・・

11月1日 はれ
今日は、朝から御主人は何処かへお出かけのようだ。「何処へ行くのだ?」と聞くと、お米の出荷が終わったので、JAの中で僕達の地域の慰労会で温泉に行くのだという。しかし、お米の出荷が完全に終わったわけではない。仕事が遅い人など、のんびりとして人達がこれから本格的な出荷を始めるのだ。まだ、何千袋もあるのだという・・・・その中に御主人も含まれている。もっとも、御主人が出荷するのは、最後の10数袋ぐらいなものだけれどね。
それはともかくとして、山奥の温泉にのんびりと入って、美味しい物を食べてきたのは間違いがない。何しろ犬の鼻はごまかしがきかないからね。「御主人、お土産は?」・・・・「えっ?、何もない・・・」、ガウン、ガルルルル〜!!!