むつ犬のおまぬけ日記
平成19年2月
2月28日 あめのちはれたりくもったり
この前、お話ししたけれど、ご主人は風邪を引いている。今日の午前中は、頭が痛くて熱があるというので寝込んでしまった。僕も飼い犬として心配なのである。なぜならば、僕の世話が滞ってしまわないかと心配なのである。御主人自身の事ではなく、飼い犬である僕自身の事が心配なのである。犬は常に自己中心的、かつ利己的なな考えで行動する動物なのであった。
ちなみに、午前中に寝込んでしまった御主人であったけれど、午後から会議があるとか、市役所へ行かなければ等々と、出かけていってしまったよ。少しは良くなったのかなぁ・・・・?

2月27日 はれ
今日の御主人は風邪を引いているというのに一日中、何処かへ出かけていってしまった。夕方になって帰ってきたので、やっと世話をしてもらえると思ってすり寄っていったら、また何処かへ出かけていってしまった。まったく・・・・ヤレヤレ・・・の御主人なのであった。

2月26日 はれ
今日も一日良い天気だったよ。ただ気温はあまり上がらないけれど、お日様の暖かさが毛皮の奥まで入り込んでくる一日だったよ。
さて、昨日は御主人が風邪を引いたお話をしたけれど、くしゃみは出るし、鼻水は止まらない、寒気がする。頭が痛い。等と僕にまで愚痴をこぼす。どうでも良いけれど、風邪を引いているなら、あまり僕に近寄らないで欲しい。人間の風邪と犬の風邪が同じ物かどうかは知らないけれど、近づかないで欲しい。御主人の鼻と僕の鼻をくっつけて親愛の情を表すのも止めて欲しい。でも、散歩と御飯だけは絶やさないように!!!、こんな状態の御主人なのだが、夜には会議があるとやらで、でかけていってしまったんだ・・・・処置無し、細かい性格並びに几帳面かつ義理堅いのも善し悪しなのである・・・・飼い犬から言わせてもらうならば、だけれど・・・

2月25日 はれ
今朝は、気温が氷点下6度近くまで冷え込んだ。この冬一番の寒さだ。さすがの僕も、寒かった。身体を丸めて、顔を自分の毛皮でくるむようにして寝たんだ。この寒さのおかげで、風邪を引いてしまった。・・・・・御主人がである。・・・・僕は何ともない、すこぶる元気である。朝散歩は御主人といってきたのだけれど、その後に鼻水が出て熱も出て来たとかで一日寝ていたようだ。それで、夕方散歩は上のお兄さんとおじいちゃんの所へ行ってきたよ。おじいちゃんのところでは「ふきのとうの天ぷら」が夕食のおかずだった。僕にも食べろと言ってくれたのだけれど生憎、犬にはふきのとうを食べるという習慣がないので丁重に断った。その替わりに「削った鰹節」をもらった。猫だね、まるで・・・と、いうわけで「御主人が居なくても僕の世話はどうにかなる」という事を実証できた貴重な一日であった・・・・

2月24日 はれたりゆきがふったり
今朝は「キリリン」とした寒さで、身も心も引き締まるような散歩だった。水たまりの水分はすべて凍って、それを「パリリン」と音を立てて割るのが僕の冬の楽しみになっている。今年は、そんな機会があまり無くて寂しい思いをしていたので、僕は大喜びで氷を割りながら散歩に行ってきた。しかし、日中は時々雪が舞う天気とは言いながらも、雪が降っているのにお日様が照っていて、幻想的な風景を醸し出している。早春を迎えるための「なごり雪」という前奏曲を奏でてでもいるかのようだ。僕は、そんな光景を眺めるために、寒い中に昨日お話しした「ぼろぼろのどろどろ足ふきマット」の上に座っていたんだ。風が少し冷たかったけれど、北国の犬ならこれぐらいの冷たさは気にならない。こうして、お日様の光にきらめきながら止めどなく舞い落ちる雪を見ていると、いつか御主人から話にだけは聞いていた。桜の花びらが舞い散る光景のようで、おかげで、心の中がほんのりと暖かくなったような気がしたよ!!

2月23日 くもりのちあめ
昨日の天気は気温が12度まで上がったという。どうりで外へ出て寝ていると、鉄板の上で焼かれる夢を見るはずだ・・・・天気の変動が極端なのは、もう慣れっこになってしまったから、僕は悠然と構えて、昨日は暑いからと土のお山の所へ放り投げてあった。僕専用の足ふきマットをくわえて持ってきた。何をするのかというと、今日は昨日に比べて気温が低いので、地面の上に直接寝ると身体が冷えてしまう。そこで「ぼろぼろのどろどろ足ふきマット」を下に敷いてお昼寝するんだ。えっ?、そんなに寒かったら犬小屋の中に入ればいいじゃないかって?・・・・・でも〜、犬小屋の中は「暗い」、「狭い」、「寂しい」の三拍子がそろったところだからね。夜は別としても、日中ぐらいは広い世間を見回しながらお昼寝をしたいと思い、それを実行している僕なのであった。

2月22日 はれ!はるっ!!
御主人は電車が好きである。乗るのも好きだし、電車そのものも好きなのである。我が家のすぐ側を通っている「羽越本線」という電車の通り道があって、御主人は、通り過ぎていく客車を見ただけで今の時間がわかってしまうぐらい好きなのである。(それだけ特急やローカル線の本数が少ないって事だけれどね。)
で、何を言いたいのかというと、今日の御主人は僕を置いて秋田市と言うところへ出かけていってしまった。何でも「講習会」というものが秋田県庁と言うところであるらしいのだ。僕は「自動車で行った方が便利で帰りも早いのではないか」と、忠告したのだけれど御主人は、電車に乗りたいために駅まで20分もかけて歩き、電車に乗っていってしまった。当然の如く、御主人の乗った電車は我が家の前を通って秋田と言うところへ行くのだ。帰りは、また駅から我が家まで歩いてくる。おかげで、僕の夕方散歩は無し、御飯も遅くなる・・・・困った趣味というのか好みというのか・・・・ヤレヤレなのである。
ちなみに、御主人の年代の人々は「電車」とは言わない・・・・「汽車」なのである。しかも「ディゼル機関車」でもなければ、「電気機関車」でもない・・・「蒸気機関車」なのである。学校時代に通った乗り物は、ノスタルジーとアナクロニズムを渾然一体化しながら、いまだに記憶の奥底から浮かび出て昇華しようとしないのであった・・・・合掌

2月21日 はれのちあめ
なんとまぁ〜、今日のお天気は極端なのだろう。朝散歩は機気持ちよく春の朝日を浴びながらの散歩だったけれど、お昼前には雨が降ってきて、御主人があわてて洗濯物を取り込むような事態になってしまった。しばらく時が経ち、午後になったら、また晴れてきたんだ。一体お天気は何を考えているんだ。・・・っていってもお天気は頭脳を持っているわけもないのだけれど・・・・
ところで、この所毎日のように白鳥さん達が北へ帰っていく姿を見る。我が家の真上から何時も散歩へ行く東の里山までの間が白鳥さん達の通り道である。これは毎年変わる事がなく続いている。昨日はたった二羽で北東の方へ元気な鳴き声を上げながら飛び去っていった。一昨日は、たった4羽で同じ方へ飛び去っていった。今日は、雨降りなので姿は見えなかったけれど、元気な鳴き声が時を置いて2度ほど聞こえてきたんだ。とてものどかで、それでいて勇壮な光景だったよ。
ところで・・・・昨日の夜の星のきれいだった事!!今にも天空の星がすべて我が家に降ってくるような美しさだったったよ。もっとも、我が家に星が実際に降ってきたら困るけれどね・・・・

2月20日 はれ
今日は、昨日にも増して暖かいお日様の元でお昼寝が出来た一日だった。御主人は朝から出かけてしまった。「お留守番」を頼むぞと言い残して・・・・・後に残された僕はごろんと地面に横たわる。暖かいお日様の光が地上に降り注ぎ、毛皮の奥まで暖かさがしみ通っていく。洗濯物が春のそよ風にひるがえり、ふるさとの霊峰鳥海山だけが雪の衣をまとって高くそびえている。僕は「ふぁぁ〜、春だなぁ〜」と思いつつ、寝ころびながら大きなあくびと背伸びをするのであった・・・・

2月19日 はれ
今日も一日中、晴れの良い天気だった。犬に取っては最良の一日だった。
ところで、雪国の人間、犬もそうなのだけれど普段は雪をつらい物、寒い物、難儀な物、等々と嫌いながら、今年のように降らないと、おかしなさみしさを感じる物なのである。それは北国生まれの秋田犬の僕もそうだし、御主人もそうなのである。東京都やらにいる下のお兄さんも「雪景色が見たい」などとメールとやらで訴えてくるらしい。雪国にまれた業というのか、原体験というのか、あれほど嫌がっていた雪が愛しい物に思えてくるから不思議だ。我が家では、この冬除雪という作業を一度もしていない。せっかちな御主人は「春作業」を始めようか、などと先走った思いでいる。ええっと?僕は、こんな春の陽気な中で何をしようかなぁ〜・・・やっぱりお昼寝しかないよね!!

2月18日 はれ
今日の夕方散歩の時、御主人から「ほら、遠くによそのワンコが見えるぞ」と言われた。僕は、何処にいるのか右を見たり左を見たり、あるいは、後ろを見たり前を見たりしたけれど見つける事が出来なかった。何度も何度も「ワンコが見える」と言われ、そのたびにあちらこちらを見たけれど、とうとう家に帰るまで「ワンコ」を見つける事が出来なかった。「くやしいっ!!」オオカミさんを先祖に持つ僕が・・・・狩りのプロであるオオカミさんを御先祖にもつ、この僕が・・・・・僕もついに、ただの飼い犬に成り下がってしまったのかと思うと、とても悔しい!!今日の春爛漫の陽気のせいで頭が「ぼぉぉぉ〜っ」としてしまったのだろうか?
しかし、御主人に言わせると、僕のあちらこちらを見る動作に問題があったのだという・・・・それは何かというと、四方の前後左右は見たけれど、八方あるいは十二方、つまり斜めの前後左右は見ていなかったのだという・・・・はぁぁぁ〜、やっぱり僕は御先祖であるオオカミさんの血を汚すただの飼い犬になってしまったのだ〜・・・・

2月17日 はれ
今日はよい天気で、僕は今日一日、外に寝ころんでいたよ。
ところで、今日の夕御飯は何時もと違っていた。と言っても、だいたいは同じメニューなんだけれど、上に何かがのっていた。よく見ると、僕が朝散歩から帰った時にもらう「おやつ」が載っている。クズ肉を練り固めてステック上にした物が4本、犬用ビスケットが3枚である。これだけでは腹の足しにもならないけれど、御飯粒1粒、ビスケット1枚でも、量が多いとありがたく思える。そう思えてしまうほど、僕は「腹ぺこ犬」なのであった。

2月16日 ゆきのちくもり
台風並みの、ものすごい風はやっと治まったようだ。しかし、寒さは冬なんだけれど、辺りを見回すと早春の淡い墨絵のような風景が一面に広がっている。御主人はもちろん完全防寒体制である。
ところで、10年以上、愛用してきた「作業用防寒具」兼「犬散歩用防寒具」であったのだけれど、この度、めでたく新調した。中に羽毛が入っていて、見た目は立派な物でとても暖かいらしい。僕のように毛が身体全体を覆っているのでそれは暖かいはずなのである。
僕の毛皮より暖かそうなので「高いのか?」と、聞いたら「日本犬用ドックフード10s、二袋分ぐらいだ。」という、つまり2万円でこの家に引き取られた僕の身体の金額で、この防寒具が6着買えるぐらいだというのである。けっこう安上がりな買い物をした物である。でも、考えてみれば、僕の身体もけっこう安上がりな買い物だったのである・・・・・

2月15日 ふぶき
バレンタインデーも過ぎたというのに、僕の所へは何一つ届かない・・・・なぜって・・・?、犬だから・・・・
ところで、今日はひどい吹雪になった。全国のあちらこちらで台風並みの風が暴れ回っていて被害も甚大なのだという。そういえば、御主人が町内のゴミ集積所が倒れている話をしていた。季節はずれは風にまで影響を与えているようなのだ。昨日は東風が吹いていた。だいたい、今頃に東風が吹くなんて「しんじらんないぃぃ〜!!」と叫びたい気分なのだ。頼むから一度ぐらい10センチぐらいの雪を降らして欲しいものである。30センチとは言わない・・・・

2月14日 あめ
飼い犬も6年やっていると、飼い主の性質、性格、気質、くせなどと言うものがおおよそわかってくる。それは、飼い主も同じで、飼い犬の性質からなにから、ほとんどわかってしまっている。だから、散歩へ行く時、御飯をもらう時、遊んでもらう等々と言った飼い主とふれあわなければならない時は、お互いに腹のさぐり合いをする。犬の立場からすれば、散歩には行きたいので、御主人をどうすれば散歩へ連れ出せるかと、飼い主の顔色をうかがう。遊んでもらう時などは特に神経を使う。「ここまでは飼い主にしてはいけない」といった今はやりの言葉で言えばボーダーラインという物がある。これを飼い犬が超えてしまうと飼い主は今まで楽しかったのになぜかつまらなくなり遊びを切り上げてしまう。たとえば、じゃれ合っている時、うっかり飼い主の手に牙があたってしまった時、飼い犬がおもしろくてはしゃぎすぎた時、等々、時と場合によって数限りなくある。うまく言い表せないが、飼い主と飼い犬の腹のさぐり合いとはいっても、主に飼い主の腹を探っているのは飼い犬の方なのである。飼い主は、ほんの少し飼い犬に気を遣いながらも、最小的には犬を見捨てて自分勝手な行動を取ってしまうのだ。ヤレヤレ・・・・なのである。

2月13日 はれ
今日は春だった。毎度おなじみの文章なので、それだけを報告しておく・・・・
ところで、長い犬の歴史の中で「犬の友」と親しまれている「骨」の話である。もう、その話は飽きたと言わないで悲しい物語を語るのでどうか聞いて欲しい。で、その骨であるが、僕もおもちゃとして傍らに置いて楽しんできた。しかし、車にひかれてしまって、成仏してしまったのだ。粉々になった骨は、もはや骨と呼べるような状態ではない。プラスチックのかけらか、何かのように無機質同様である。骨は、骨をくわえている犬の絵にあるような形をしていてこそ「骨」と呼べるのだ。今となっては、粉々になった骨は、牛なのか豚なのか鹿なのかわからないけれど、骨には違いなかった・・・・生きていた時は生きていた時の骨の役割を果たし、死しては死してのちの骨の役割を果たす。そして今、骨としての役割を全うして、悠久の大地と一体となり、眠りにつくのであった・・・・合掌

野を肥やす 骨にかたみの ススキかな・・落語「野ざらし」より

2月12日 ゆき・・・・
朝、雪が「もそもそ」と積もり始めた。いよいよ冬の到来かと喜び、そこいら中を駆け回った。何しろ、この冬は「犬は喜び庭駆け回り」と、唱歌で言うような機会がなかったから僕の駆け回り様は尋常ではなかった。狂ったように駆け回った。辺り一面はおろか、遠くの野山まで真っ白な雪景色になった。
ところが・・・・僕達が夕方散歩に行く頃になると、雪はほとんど消えて、たんぼ道はぬかるんで、泥んこ道に変わってしまったのだ。おかげで自慢の白い毛並みでおおわれたお腹が真っ黒になってしまったよ。ヤレヤレ・・・・である。そこで一句、久々に詠んでみたよ。「春泥や 腹黒き犬の 散歩なり・・・・禄食」字余り

注・・・腹黒き犬とあるけれど、心の中が腹黒いのではなくて、泥んこになってしまったので腹黒いだからね。誤解しないでね。えっ?、普段から何を考えているのかわからない犬だから、内も外も黒いのだろうだってぇ〜、・・・「がうん、がるるるるる〜!!」

2月11日 ゆきがふったりやんだけ
今日は冬だった・・・・・・何だか2から3日ごとに冬と春が交互にやってくるような気がする今日この頃なのである。今日は雪がうっすらと積もったので、さすがに外へ寝ころぶわけにはいかない。だから、犬小屋の入り口の所に僕が以前にぼろぼろにした防寒シートを敷き、雪見としゃれ込んだんだ。

2月10日 はれ
はぁぁ〜、今日もお天気が良くて昨日と同じように外でお腹をお日様に向けてお昼寝をしたんだ。そして、昨日と同じように番犬のお仕事が忙しかった。暇な時には骨をもてあそんだりおやつ替わりにかじってみたりしたよ。
ところで、御主人は「退屈」とか「ヒマ」という言葉はないらしい。時間があると、好きな事をしたりしている。もちろん僕の趣味とは違うけれど、ただ一つ一致している趣味と言っていいかどうかわからないけれど、同じものがある。「お昼寝」である。もちろん僕のように一日中寝ているわけにはいかないけれどね。

2月9日 はれ
今日は、とっても良い天気だった。外へ出てお腹をお日様に向けてお昼寝したんだ。お仕事もいっぱいしたよ。今日は家へくる人、外を通る人がけっこういたからね。天気がよいからだよね。家の周りや近所まで僕の守備範囲なので家に来る人や物体(主に自動車)だけを見張っていればいいと言うわけではない。だから、ぐっすりと寝込んでしまうような事は絶対出来ない。今日は一生懸命にお仕事をしたので快い汗をかく事が出来たよ。仕事が終わった後の散歩、それに御飯は、また格別である。
毎日、こんな様な生活をしたいものだと思う。えっ、夏になれば出来るって?・・・夏は勘弁してもらいたい。秋田犬が快適に生活できる気温を遙かに超えてしまうので、僕としては活動が鈍ってしまうのだ。出来る事なら夏場に冬眠ならぬ夏眠したいと思っている僕なのだ。1年が、4月と10月だけだったら犬にとってはすこぶる快適なんだけれどなぁ〜・・・・・

2月8日 はれたりくもったり
今日は、御主人の誕生日なのだ。しかし、かわいそうなのだ。自分の誕生祝いのケーキを自分で買いに行かされたらしいのだ。
しかし、今日のお話は御主人の誕生日とはなんの関係もない!!・・・・と、犬も今日に関しては素っ気ないのだ。
それで、どんなお話かというと、僕が朝散歩から帰るとおやつをもらう事は、この日記を読んでくれている皆さんはよくご存じの事と思う。しかし、これは単なる「おやつ」ではない。朝食と言った方がよい。それは御主人も非公式に認めている。なぜなら、その「おやつ」の食べ方がすさまじいのだ。まるで3日も絶食していたように猛烈な勢いで食べるからだ。それだけ僕はお腹が空いているのだ。しかし、御主人は「あまりたくさん御飯を食べると、すぐお腹をこわす」と夕方散歩の後の御飯を絶対に多くしてくれない。だからお腹が空くのだ。「それだったら、朝ご飯と夕御飯、一日2食にしても良いのではないか」ともいった事がある。だが、「おまえの今の体型がどうなっているのか知っているのか?」と言われてしまった。「でぶでふの身体だ」とも言う・・・犬小屋の中には鏡がないし、冬枯れの水路には水が流れていないので、己の姿をそれに写してとっくりと見る機会はない。身体が重いなぁと感じるのはたしかだ。でも、それは冬の間、寒さに備えて皮下脂肪を蓄えているための体の重さなのだ。いわば命にかかわる重みである。このままで行くと、僕は一生「朝ご飯」という物を食べる事が出来なくなってしまう。子犬の頃、朝晩と御飯をもらっていた頃が懐かしい・・・・


2月7日 くもり
昨日までは暖かかったのだけれど、今日は、また馬鹿に寒くなった。まったくこの冬は・・・・・イヤイヤ、もう天候の愚痴は言わない事にしたのだった。あるがままの事実を素直に受け入れるのが犬の美徳なのである。と、いうわけで、昨日とほぼ似たような行動だった。ただ、寒いので犬小屋の中だったけれどね。犬小屋の中に入っていると、外が見えないから番犬の仕事で「わんわんわん」と吠えなくてもすむ。楽なものだ。しかし、あまり仕事をさぼると、逆に退屈になってしまう。だから時々外へ出ては、怪しい物体や人がいないか辺りを見回したりする。まぁ、ほどほどに仕事をして、ほどほどに退屈しのぎをしている今日この頃の僕なのであった。

2月6日 はれたりくもったり
今日も暖かだった。外へ出て「うつら、うつら・・・」と舟をこいでいた。と、行っても川に出て僕が舟をこいでいたわけではない。だいたい犬の肉体的構造上、舟をこぐ事は出来ないのだ。だからお昼寝をしながら舟をこいでいたのだ。はぁぁぁ〜、あくびばかり出てくる。暇な時は骨をかじり、寝そべってばかりだと身体が痛いと行っては立ち上がり、あまり広くもない僕の行動範囲内を用もないのに行ったり来たり、あちらこちらの匂いをかぎ、日がな一日仙人のような暮らしである。これが飼い犬の現実という物なのである・・・・

2月5日 はれ
昨日は冬だったのに、今日は春だった・・・・もっとも旧暦で言えば昨日がお正月だったわけなので「新春」、つまり「春が来た」と言えなくもない。しかし、現在の暦の上でも、現実的な問題として考えても「今は冬なのだ!!」と、僕は力説した(誰に言うともなく・・・)。しかし、現実問題としての冬は、今日の夕方散歩に出かけていった時に見た物が僕の力説する「今は冬なのだ!」という説をもろくも打ち砕いてしまったのだ。
まず、その経過からお話ししよう。夕焼けに染まる鳥海山を仰ぎ見ながら夕方散歩へ行った僕達主従であったのだが、ふと、東側を見ると誰かがやってくるのが見えた。僕は人見知りをする達なので、農道をそれて田んぼの畦畔を歩く事にした。田んぼの真ん中当たりまで来ると、御主人が立ち止まり畦畔の上から何か取っている。「何を取っているのだ?」と聞くと「ふきのとうだ。ここら辺ではバッケとかバンケとか言っている。山形の庄内ではなんというのだ?」と言うから山形県庄内地方生まれである秋田犬の僕としては、ふるさとの事を知らないとは口が裂けても言えない。・・・・とはいうものの、本当に知らないので御主人の話を聞かなかった事にした。しかし、この畦畔に生えている植物が例年であれば早くて3月の初め頃にならないと芽を出さない物である事は子犬の頃から知っている。だから、それを見て愕然としたわけなんだ。「今は冬である」という事実があっけなくも目で見た事実によって覆されてしまったのだ。天動説を信じていた人類が「地球は動く、廻る」という地動説の事実を目の前にしたのと同じ驚きを僕は味わったのだった。

はぁぁぁ〜、疲れたぁ。回りくどい説明だったような気がするよ〜。


2月4日 ゆきがふったりやんだり
昨日から今朝にかけて雷様が鳴りやまなかった。ご承知のように、日本海沿岸地方では夏の雷よりも冬の雷の発生率が高い。雷が大嫌いな僕としては、ひどく迷惑な一晩だった。うるさい、ピカピカと明るい、等々である。何しろ、雷というやつは窓にカーテンがあろうが、犬小屋に防寒シートがかけてあろうが、それを通り越してまぶしいぐらいの稲妻の光を差し込んでくる。それと、もう一つやっかいなのが風である。昨日から今朝にかけて風速10メートルという風が犬小屋の中に吹き込んでくる。防寒シートで犬小屋全体を覆っているとはいうものの、すきま風が入り込んでくる余地は、あちらこちらにある。北国原産の秋田犬だからこんな犬小屋の中に住んでいられるのだ。エジプト原産のイビザン・ハウンドと言われる犬が、こんな環境に住んだら一晩たりとも生きていられないだろうと思う。もっとも、こんな犬は「家犬(家の中で飼われている犬の事、ちなみに外で飼われているのを外犬という・・・・)」だろうけれどね。
と、言うわけで、今日は「冬」だった。今まで雪が降った日は幾日かあったけれど、雪が降って寒い日は、この冬にあったのかどうか記憶にないぐらい珍しいので、今日は「冬」だったという文章表現になった。だけど、御主人の天気予報に寄れば、明日は一日中晴れらしい・・・・果たして、この予報は当たるのか?、あたらなかったら噛みついてやろうと、今から楽しみにしている僕なのであった・・・・

2月3日 くもりときどきゆき
さて、今日は節分である。昔で言えば大晦日である。その記念すべき今日、朝散歩に行ってきた・・・・・・別に記念すべき日でもなんでもないのだけれど、そんな事はどうでも良いのだ。この朝散歩の時、御主人から問題発言がなされた。新聞やニュースで日本国の大臣が問題発言をしたとかで話題になっているらしいけれど、不意をついて出た言葉が国の運命を左右する事になりかねない。我が家でも、この御主人の問題発言にどう対処するのかというのが大きな問題になってくる。それは、どんな発言なのかと言うと「ペットを捨てなければならない。」と、散歩の途中でぽつりと言った言葉だ。ペットと言えば、我が家では僕だけ・・・・作業小屋でたむろしているスズメや、ネズミはペットとは言えない。もっとも、ペットとは「愛玩用動物」のことであり、僕のように「番犬」としての仕事を与えられている動物は正確にはペットと呼ばないのかも知れない。けれど・・・僕は一応ペットなのである・・・「なぜ、僕が捨てられなければならないのか、僕に何らかの欠点でもあるのだろうか、あるいは飽きられたのか?」、等々と様々に思い悩んだけれど、わからない。いくら考えてもわからない事は「考えない」、「気にしない」と言うのが犬の基本的な生き方である。だから、もうどうでも良くなって、朝散歩を楽しんだ。
さて、察しの良い読者の皆さんは、すでに落語で言えば「サゲ」、あるいは「オチ」をすでに悟っているのではないだろうか?
そうなんです。「ペット」とは、愛玩用動物のペットではなく、ジュースなどの入れ物であるペットボトルの事だったんです。僕の町内では第1土曜日と第3土曜日がペットボトルの回収日になっている。それが今日だった。(注.ゴミなどの係は御主人なのである。)・・・・お粗末!!
恥ずかしいオチなので、穴があったら入りたい・・・今から穴を掘るよ。犬は穴掘りが得意だからね。

2月2日 ゆきがふったりやんだり
さて・・・、昨日お話しした、お腹の調子はと言うと・・・・特急列車を通り越して「新幹線」なのである。それも「東海道新幹線」の新型車両ぐらいの速さなのであった。
「御主人の、ばかぁぁぁ〜!!」
はぁぁ、ヤレヤレ・・・・なのである。
お腹の調子が良くないので、まずは報告のみとさせてもらうよ。
あっ、またお腹が・・・・

2月1日 ゆきがふったりやんだり
とうとう雪が降り始めた。降っては消え、降っては消え、あたりがうっすらと白くなるぐらいである。歌にもあるような「降っては降ってはずんずん積もり〜・・・・犬は喜び庭駆け回り」とは行かないようだ。降り方が12月の中旬頃に似ている。すると、今年は今頃になって冬の始まりと言う事になるのだろうか。しかし、2月も半ばを過ぎると、降る雪の量より消える雪の量の方が多くなってしまう。特に僕達の住んでいるところは海が近いので山の方よりは断然早い。今年はどうなるのか・・・・
と、言う事はさておいて。今日の夕食は変な物を出されてしまった。最近「ヨーグルト作り」をやっているお母さんなのだが、時々失敗をする。固まらないのだそうだ。昨日もやっていたけれど失敗をした。その失敗したヨーグルトもどきというのか牛乳の残骸というのか、そういった物を御主人が僕の夕食の中に入れて出してくる。何時もと違った味なのでおそるおそる食べたけれど、変な味・・・ヨーグルトだけだったらデザート替わりに、いくらでも食べられるけれど、御飯に混ぜたのだけは勘弁して欲しい。それに、ヨーグルトなのか、腐敗した牛乳なのかわからないものを、良く愛犬の食事に出せるものだ。果たして、僕のお腹は無事に明日を迎える事が出来るのだろうか!!結果は明日の日記で公表したいと思う。まて、しばし!!