むつ犬のおまぬけ日記
平成19年3月
3月31日 くもり
少々、退屈をしてきた。御主人から受けるストレスも退屈しのぎの一つなのだと思えるようになってきた。そこで、夕方5時の市役所のチャイムに合わせて、大声で歌ってみた。(遠吠えの事)すると気持ちがすっきりとした。

3月30日 くもり
快適である。気を遣う人間(御主人の事)がいないので一日中、のびのびすることが出来る。

3月29日 あめのちはれ
御主人夫婦が東京へ花見に行くという・・・毎年の恒例となっているので驚きはしないけれど、いつもの事ながら、一体僕の世話は誰がやるのか気になったので聞いてみた。おじいちゃんやおばあちゃんがやるのだそうだ。僕は、それを聞いて「ホッ」とした。「これでしばらくはのんびり出来るぞ!!」と思った。そう思ったら心がわくわくしてきて、僕は「ごろん」と地面に大の字になって寝ころび、お昼寝を始めたのであった。そして、夜になって御主人夫婦がタクシーで駅へ出かけていく時も、振り向きもしなかった・・・(おことわり・・・犬は肉体的構造上、大の字に寝る事は出来ない。あくまでも、のびのびとした心持ちで寝ころんだという文章表現上のたとえなのである。)

3月28日 はれ
朝、犬小屋を出ると背伸びをして辺りを見回していたら、庭の片隅の梅の木に白梅が「ポツ、ポツ、ポツ」」と、明かりを灯すように花開いていた。そして、霞のかかったような空を見上げると、白鳥さん達が8羽で元気な声を上げながら北東の空へと、飛んでいった。僕は思わずため息をついて「春だなぁ〜」と、心の中でつぶやいた。
そこで、久々に一句詠んでみた・・・

「白鳥(しらとり)や 飛び行く空の 霞かな・・・禄食」

3月27日 くもり
今日は気温が高いけれど、馬鹿に風が強い一日だった。外に寝ころんでいると、僕の側にホコリやゴミが集まってくる。さしずめ僕は「自在に動く生きた集塵機」になったようなものだ。全身がホコリだらけなのである。「春は三月サクラの舞」などと「がまの油売り」という啖呵売の口上があるけれど、僕の場合は「春は三月ホコリの舞い・・・」って所だね。また、「たたけば埃の出る身体」という慣用句もある。しかし、僕にはなんのやましい事もないから安心してね。でも・・・ヤレヤレ、なのである。かといって、薄暗い犬小屋の中には寝ていたくないし・・・困ったものなのである。

3月26日 はれ
今日は午後から家に誰もいなくなったので、僕はのんびりと過ごしたんだ。御主人が居ると気を使わなくちゃいけないからね。でも、夜になっても帰ってこないんだ。幸いな事に、今日は暖かいので外へ座り込んで家族の誰かが帰ってくるのを待っていた。でも地面がだんだん冷えてくる。日中はお日様の光で暖まっていた地面が夜の冷気で暖かさが奪われていったんだ。しばらく我慢をして座っていたけれど、とうとう我慢が出来なくなって犬小屋の側にかけてあった僕専用のバスタオルをくわえてきた。そして、それを地面に敷いてその上に座ってみるといくらか暖かい。もちろん僕の大きな体全体を暖めるには小さすぎるタオルだけれど、お腹のあたりに当てて冷たさをしのいだ。ややしばらくするとお母さんが帰ってきたので、僕は大喜びで出迎えて、御飯を要求したというわけなんだ。

3月25日 あめのちくもり
そういえば・・・昨日の朝散歩の時に白鳥さん達が40羽ばかり、2つの編隊を組んで北の空へ飛んでいった。今回の編隊はずいぶん低く飛んでいた。白鳥さん達の羽の1本1本が見えるような低さだった・・・・と、まぁ〜これは御主人の言う事だから話半分に聞いておいてもらいたい。
ところで、いつもは3月の始めから半ば頃にかけて白鳥さんの大編隊(百羽単位)が何組も我が家の上空を通過して北へ帰って行くのだけれど、今年はまとまった編隊を見たのは昨日ぐらいなものだ。僕達が見てない内に北の国に行ってしまったのか、この所の寒さで南の方で「いつ頃飛び立とうか?」なんて群れの中で相談しているのかわからない。はっきりしている事は、昨日の御主人はシャッターチャンスとやらを逃がしてしまったという事だけだ。夕方散歩の時はカメラを持ち歩いているのに、朝散歩だけは持っていかない。僕がつらつら鑑みるに、日頃の御主人の行い、言動、等々、精進の悪さに起因するものではないかと思う・・・・合掌

3月24日 はれたりくもったり
僕は、今日も忙しかったんだよ。本当に忙しかったんだ。昨日みたいな「おまぬけな忙しさ」とはわけが違う。今日の我が家は「お米の種をまく箱に土を詰める作業」を家族総出でやったんだ。僕もそのお仕事にかり出されて大変忙しく働いた。「犬のおまえが手伝える仕事などあるものか」と思っている人が大部分だと思うけれど、僕は肉体的なお手伝いではなくて、精神的なお手伝いをしたんだ。一つは「現場監督」、もう一つは「肉体労働をしている家族に応援を送る事」・・・・・つまり応援団長の役目なのだ。これがなかなか大変なのである。神経を細かく使い、家族それぞれに愛想を振りまいたりしなければならない。家族は僕の愛想に心が癒されて、肉体労働も軽々とこなす事が出来るというわけだ。精一杯働いたおかげで、舌を「ハァハァハァ」と出すほどの疲れようだったよ。後半になると、飽きてきて外に寝そべったり、外をうろうろしていただけだけれどね。でも、しっかりと「おやつ」はもらったからね。「バナナボート」、「サラミ」、「のど飴」、「だんご」等々・・・たくさんもらったんだ。役得って言う事だね!!
ちなみに、おやつに「のど飴」をもらったので、夕方の市役所のチャイムに合わせて歌ってみたよ。透明感のある良い声を出す事が出来たので僕としても嬉しいよ。

3月23日 はれたり、あめがふったり
今日は忙しい日だったよ。でも、僕の身体が忙しかったわけではない・・・お天気の事なのである。晴れていたかと思うと、雨が降り出したり、一日中こんな天気の繰り返しなのだ。おかげで僕も外で寝転がっていた身体を起こして犬小屋の中に駆け込む事を何度も繰り返した。考えてみれば、僕も相当忙しかった事になる・・・・
あれだけ降り積もった雪は吹きだまりになったところ以外はほとんど消えてしまった。だけど、寒い・・・・(注・・何度も言うけれど御主人がである。秋田犬には寒いなどと言う軟弱と言うか脆弱な言葉はないのだ!!)と、言うわけで、今日も元気いっぱいに骨を相手に暴れている僕なのである!!!
って、別に威張るほど大層な事ではないのだけれど・・・・

3月22日 おおあめ
寒さが過ぎたと思ったら、今度は大雨なのである。土砂降りなのである。御主人が困ったような顔をして小屋の中でお仕事をしている手を休めて空を見上げている・・・・僕にとっては、こんな雨などはどうと言う事はない。現に、今日の僕は土砂降りの中で土の中に骨を埋める作業をしたのだから・・・どうしたのかというと、犬小屋の中で骨を相手に「狩りのお稽古」をしていたのだ。「狩りのお稽古」の事は、たびたびこの日記でもお話ししていたのでご存じかも知れないけれど、骨に限らず、植木鉢、ペットボトルなどを獲物に見立てて、対象物に躍りかかり、爪を立てて、派手に獲物と死闘を繰り広げる・・・・まねをするのを「狩りのお稽古」と僕は呼んでいる。それを犬小屋の中でしたものだから「どたんばたん、がりがりがり!!」と、実にうるさい音を立ててしまった。「うるさいぞ!!」と御主人に叱られて、骨を取り上げられそうになったので、僕は土砂降りの雨の中へ出て密かに骨を土の中に埋めたというわけなんだ。ヤレヤレ・・・なのである。

3月21日 くもり
やっと寒さは過ぎたようだ。御主人の話によると「今朝の気温は3度」だという。だいぶ暖かいような気もするけれど、春の気温とはまだまだ言えない・・・
ところで、今日は「春彼岸」というので人間の世界にはお墓参りをして、犬には禁断の食べ物である「甘いもの」を食べる風習がある。「ぼた餅」、「だんご」、「お赤飯」等々・・・・でも、犬の僕がいくらよだれを流したところで口に入るものではない。せめて、今日のような特別な日は「犬にとって禁断ではない食べ物」を豪勢に持ってきて欲しいとひたすら願う飼い犬の僕なのであった。

注・・・そんな事を思っていたら、お墓参りからかえってきた御主人夫婦に「おせんべい」を1枚だけもらったよ。「ケチっ!!」

3月20日 ゆきのちはれたりくもったり
きょうも雪が一杯積もった。見渡す限りが雪に埋もれているような状態なのである。午前中などは一寸先が見えないほど雪が降ってきた・・・・僕は犬小屋の中でお昼寝をして、御主人は作業小屋の中でお仕事である。時々、退屈をすると犬小屋から出て、御主人のお仕事ぶりを監督に行ったりする。でも、あまり長く仕事ぶりを観察していると、ほっぺをつねられたり、尻尾をつかんで左右に振り回したりされるから、すぐに退散する。午後になって雪も止んでお日様が出て来たので、外へ出て寝そべったりした。下はまだ濡れているけれど、お日様の光を浴びる事の方が嬉しいからそうやって過ごしたんだ。さて、問題はお散歩である。雪が消えた泥んこ道を歩かなければならないかと思うと、少々億劫である。なぜならば、僕の自慢の白い毛が泥んこになってしまうからである。こう言う時こそ「犬用レインコート」が必要だと思うな。だいぶ前に買ったのがあるけれど、今は「ボテボテのぶくぶく犬」になってしまった僕の身体だから、サイズが合わなくなっているだろうなぁ〜・・・・新しいのを買ってくれないかなぁ〜

3月19日 ゆきがふったりやんだり
今朝も、この冬の積雪記録を更新した。もっこりと綿帽子をかぶったように降り積もっている。例年で言えば1月か2月の様な積もり方なのである。
そんな雪が降り積もった道を僕と御主人は朝散歩に行ったんだ。キリリッと冷えて、さすがの僕でも、いささか寒い・・・こんな朝は匂いをかぐのも一苦労である。犬は草むらや電柱にの頃匂いをかぐのがとても楽しみだ。しかし、こんなに寒い日は、なかなか匂いが蒸散してこないのでかぎ分けるのに苦労する。でも、なかなかわからない匂いをかいで推理するのも楽しみの一つでもあるけれどね。

3月18日 くもり
やはり、夜から今朝にかけて雪が降り積もった。こんな事は異常でもなんでもなくなってしまったので、ことさらには騒がない。でも、北西の風が冷たいので御主人がかわいそうである。そう、御主人は2月生まれのくせに寒がりなのである。もっとも、7月の末に生まれた僕は暑さ嫌いなのではあるけれど・・・・今日は寒いせいか雪がなかなか消えないで夕方まで残っているようだ。僕達は北西の風をしのぎながら消え残った雪を踏みしめて、お散歩に行ってきたんだ。マァ、いつもと変わらない行動、風景と言えばそれまでだけれど、何だか、お正月の頃にお日様に「ごろん」とお腹を広げてお昼寝をしていた頃が、無性に懐かしいような気がする、今日この頃の僕なのであった・・・・

3月17日 ゆきがふったりやんだり
このところ、春と冬が入れ違いになったような天気が続く・・・・いや、本当に入れ違ったのかも知れない。もしかして、例年であれば夏の頃が今年の春だったりして、・・・・考えると恐ろしいような気がする。下手な怪談話より肝が冷える。今日も夜から午前中にかけて雪が降り積もり、夕方にかけて消えていく。これの繰り返しである。さすがの「北国の犬」である僕もあきれて、雪の上に寝転がったりする(注・・犬は自分が理解できない出来事に遭うと、突拍子もない行動を取る事がある。)。またこれは、遠い御先祖であるオオカミさん達が厳しい自然の中で耐え忍んだ労苦を忘れないための儀式でもある。僕はしばし、雪の上に寝ころんだ後は犬小屋の中に潜り込み、ぬくぬくと中でプラスチックの植木鉢を相手に暇をつぶすのであった・・・・そして、人間界ではその昔に有名だった歌謡曲が僕の耳に付いて離れないのであった。「春なのに〜、春なのに〜・・・・・・」

3月16日 はれたりくもったのゆきちらちら
「散歩を待つ僕の横で君は〜、5時のチャイムを待ってる〜、季節はずれの雪が降ってる〜、チャイムが鳴ると共に僕は〜、遠吠えを唸ってる〜・・・・・・・」と、気持ちよく今の季節にふさわしい有名な曲を替え歌で市役所が鳴らす夕方5時のチャイムに合わせて歌っていたら、本当に雪が「チラ、チラ、チラ」と降ってきた。夕日を浴びて降る雪はその光の中で輝いて、とても美しい。僕の美声(遠吠えの事)を披露するにふさわしい舞台効果である。きっと天の神様が僕の歌に聴き惚れて、こんな事をしてくれたんだと思うよ!!

3月15日 くもりときどきはれ
雪は止んだようだ。お日様も顔を出し始めた。風は相変わらず冷たいけれど、どことなく暖かさを感じるのは気のせいだろうか?。それにお日様の光も、どことなく柔らかい。やはり冬の終わりを感じさせる今日のお天気なのである。一面の雪景色は夕方頃には消えてしまった。春の草花が早く咲きたいような顔をして、本格的な春を待っているようだ。フクジュソウ。クロッカス、水仙、椿等々、北国の春の花たちは桜も梅も含めてすべてのものが、一度に咲くからにぎやかである。でも・・・・何時も僕が引っかかっていた梅の木が去年に枯れてしまったので寂しい。引っかからなくなったのは嬉しいけれど、長年引っかかっていたので、いざ無くなると何処か物足りないように気がする。でも、今度は梅の木の隣にある松の木に良く引っかかるようになってしまったのだ。ヤレヤレ・・・なのである。

3月14日 ゆきがふったりやんだり
雪がもそもそ降ってきた。この冬で最高の積雪になったようだ。吹きだまった所などは10センチから15センチぐらいある。もっとも風の強い場所などは積雪0と言うところもある・・・・僕は風が収まったので、犬小屋から時々出て行って雪景色を眺めた。これが、この冬最後の雪景色かな?・・・って思ったのでね。明日からはだんだん回復してくるらしいけれど、気温が低いのでそう簡単には雪が消えそうもないかなぁ。御主人もお仕事の予定が一頓挫してしまっているので困っている。一方、犬には予定とか計画などと言う概念はないので、のんびりと「なごりの雪」を見物している。美味しいものでも食べながらコタツの中でのんびりと・・・・と言うわけにはいかないけれどね。だって犬だから・・・・・

3かつ13日 ふぶき
昨日の様なひどい風ではないけれど、風は相変わらず強い。僕の家の前を走っている鉄道は、暴風警報が出たので列車がすべて止まってしまっているから静かなものである。鉄道好きの御主人は物足りなく思っているかも知れないけれど、この風と寒さでは列車が来る度に見物に出ては来られない・・・・だから、今日はおとなしく小屋の中でお仕事をしていたよ。僕にちょっかいを出すのも少ないぐらいだ。あまりに寒いので動き回って身体を温めようという考えのようだ。僕と言えば、防寒シートで覆われた犬小屋の中で、丸くなって寝てばかりいた。今日楽しかった事と言えば、朝晩の散歩に行けた事と御飯を食べた事だけだったよ。

3月12日 ぼうふうせつ
僕達の地方は冷凍庫の中に閉じこめられたような寒さである。小屋の中でお仕事をしていた御主人も、あまりの寒さにお仕事を早々に切り上げて家の中に入り暖かいストーブと仲良くなったらしい。僕もあまりの寒さに気が引けたけれど、北国の犬が「寒い」などというのはプライドが許さないので、吹雪の中を雪の上に座っていた。別にどうと言う事はない。御主人が「寒い寒い」とわめき立てるほどの寒さではないのだ。それで、紐が届く範囲であちらこちら歩き回っていたら、松の木に紐が絡まってしまった・・・・仕方なく松の木と仲良くせざるを得なくなってしまった。御主人は家の中に入ってしまいストーブと仲良くなってしまっている。「うお〜んうお〜ん」と、遠吠えをして助けを呼んでも風の音がものすごいので聞こえないだろう・・・僕は困ってしまい、しばらくその場にフセの恰好で座っていたんだ。しばらくして、御主人がいつもの散歩の時間よりは少し早いけれど、「散歩は飼い犬にたいする義務だ」とばかりにやってきた。僕は松の木と仲良くなっていたのを解放されて、暴風雪の中を散歩に行ってきたよ。あまりの風雪のすごさに御主人がたじろいで少し行っただけで帰ってきてしまったんだ。しょうがないねぇ〜、北国生まれの人間としてのプライドがないのかねぇ〜飼い犬にも劣るよ、御主人!!!

3月11日 ふぶき
冬が遅れを取り戻そうと必死になって雪を降らせている。けれど、風の強さが台風並なせいか、雪がみんな山の方へ吹き飛ばされていくので僕の家のあたりはそんなには積もらないようなのだ。例年であればこんな吹雪なんかは珍しい事ではないけれど、最近までお日様にお腹を向けてお昼寝していた僕としては、とまどうところが大きいし、一度暖かい日射しを味わっているので寒さが戻ってくると体調を調整するのに一苦労もする。御主人は、少しでも高いお山に雪が積もってくれると、夏の水不足の心配が少しでも遠のくと言って喜んでいるけれど、僕としては「冬さん、もう頑張らなくても良いんじゃないの?、あんたは出来るだけ雪を降らせようと頑張った事は認めるよ」と、言いたい。御主人は冬をひいきにして、僕は春を応援するといった図式の主従であった・・・・

3月10日 ゆきのちはれたりくもったり
朝は水たまりに氷が張るほど冷え込んだ。今まで暖かい日射しの中で芽を出していた「ふきのとう」や、野草がかわいそうに思えてくる。また、そんな草花にオシッコを引っかける僕も植物たちから見たら「地獄の使いケルベロス」か、「極悪非道な犬」に思える事だろう・・・・
さて、今日はこんな状態で寒いので犬小屋の中で過ごした。お散歩も「徒歩散歩」になってしまった。何しろ北西の風がさすように冷たいのだ。雪も所々消え残っている。御主人は、早々に春作業の準備をし始めた。いつもの年より10日から1週間も早い。でも、犬の第六感で言わせてもらうならば、とどのつまり寒暖の差はつじつまを合わせるように同じぐらいになり、いつもの年とそんなに変わらないのではないだろうかと思っている。「人生」然り、「犬生」も然り、「自然」もまた、然りなのである。この世の中は、どこかで帳尻が合うように出来ている物なのである。

3月9日 はれ
久しぶりに穏やかな日が戻ってきたので、今日は一日中、外へ寝ころんでいたよ。御主人は相変わらず小屋の中でお仕事である。僕は犬小屋の中に持ち込んだプラスチックの植木鉢を外に持ち出して、例の如く「カミカミ、ペロペロ」と遊んでいたんだ。風は少し冷たいけれど、「早春」って言うにふさわしい天気だったよ。
ところで、今日は今年初めての「自転車散歩」だったんだ。僕は、もう嬉しくて楽しくて、馬車馬みたいに一生懸命に自転車を引っ張って走ったんだ。爽快な気分だったよ。汗を掻いた後に喉を潤す一杯は、また格別に美味しい物なんだね。ただの水だけれど・・・・

3月8日 ゆきのちくもり
昨夜から今朝にかけて雪が積もった。積もったと言っても5センチ程度なのでどうと言う事はない。けれど、午前中はもそもそと雪が降り始めたので、大雪になるのかな・・・と、期待したけれど、午後になって止んで時折お日様が顔を出す始末だった。
僕は午前中、雪も降っているし、外へ出てもおもしろい事がないので、犬小屋の中へプラスチックの植木鉢を持ち込んで「カミカミ、ペロペロ」とおもちゃ替わりにして遊んでいた。御主人は小屋の中でお仕事をしているけれど、「寒い寒い」と言っている。時々、暖まりに僕の家に入ればいいものを、「飼い犬の遊びをじゃましてはいけないから」と殊勝な事を言って遠慮している・・・・。そのうちに、僕も植木鉢の相手ばかりしていたので退屈になって外へ出てみたんだ。雪の上をうろうろしていたら、植木に引っかかってしまい、身動きが取れなくなってしまったよ。結局、だいぶたってから小屋の中にいた御主人が気付いて解放してもらったよ。今日一日は、何とも、ほのぼのとしたおまぬけな僕の一日だったよ。

3月7日 ふぶき
このところ、「春だ、春だ」と浮かれていたら、冬になった。昨日の夕方から本格的に雪が降り始め、今朝、犬小屋から出てみたら一面真っ白な冬景色。つい北国の犬の習性で、降り積もった雪の上を喜びの雄叫びを上げながらかけずり回ったよ。気温は零下だ。吹きすさぶ風は針で刺されるようにちくちくと肌に痛い。もっとも、これは御主人の事なのだ。僕としては突き刺すような風もなんのその、風に向かって、きりりっと顔を向けて堂々とお散歩をした。この雪も、そんなには積もらないと思うのだけれど、今のところ3センチぐらいの積雪なのかなぁ・・・・?夕方まで雪は降り続くと御主人は言っていたけれど、あんまり御主人の言う事は当てにならないからなぁ・・・

3月6日  あめ
また、寒さが戻ってきた。冬が「まだまだ、春になどはさせないぞ!!」と頑張っているのかも知れない。犬には犬の名誉と意地があるように、冬には冬の意地って言うものがあるのかもね。
朝散歩へ行く時は、ポツポツと雨が降っていたけれど、やがて気温が下がってきて雪がチラチラ舞うようになってきた。ふくらみ始めた桜や梅のつぼみも一休みと言ったところだ。僕も寒くなってきたので犬小屋の中で一休み・・・だったよ。えっ?、「おまえは何時も一休みをしている」だってぇぇ〜!!!{ガウンガルルルル〜」

3月5日 くもりのちあめ
久しぶりに雨が降ったので、珍しくて雨に打たれながら「ぼぉぉ〜」っと、空を眺めていたら、作業小屋の中でお仕事をしていた御主人から「濡れるから犬小屋へ入れ」と言われてしまった。犬は普通、少しぐらい濡れたからと言って毛皮の奥まで濡れる事はない。表面に生えている剛毛が水分をはじいてしまうのだ。御主人の着ている着物は安物なので、水分をはじく様な機能はない。だから犬も、そんなものだと思いこんで僕に忠告するのである。だが、僕の毛皮の場合「本革製品撥水処理済み一生品質保証」の優れものなのだ。そこいら辺のバーゲンで買った安物と同じ様に見ないで欲しいな!!

3月4日 はれたりくもったり
今日は、穏やかに日が昇り、穏やかに暮れていった。誠に平和で退屈な一日だったよ。
ところで、この前に「ふきのとう」が芽を出し始めたというお話をしたけれど、それがもう花開いている。ふきのとうが花開くとパイナップルのような形を逆さまにしたように見える。それに「オオイヌノフグリ」という草の花が咲いているのを、今日の夕方散歩の時に見つけた。ちょうど、その草に気になる匂いが付いていたので、かいでいる時に見つけたのだ。可愛い透き通ったような空色をしている。やはり「春」は前倒しなのだ。桜の花も早く咲く事だろうと思う。我が家は地元の花見が農繁期の真っ最中なので、ここ何十年もゆっくりと城跡公園の花見はした事がない。だから「花見」も前倒しで、東京の桜を見たいというのが御主人の願望なのだ。今年もそんな計画をしているようなのだけれど、置いて行かれる僕としては迷惑である。もっとも、お土産の品によっては譲歩しても良いと考えているのだけれどね。
ところで、最前にお話をした「オオイヌノフグリ」という野草なのだが、犬にとってはあまりありがたくない名前なのだ。こんなに可愛い花なのに、なぜ、こんな名前が付いたのかと不思議に思う今日この頃の僕なのであった。

注・・・「オオイヌノフグリ」がなぜ犬にとってありがたくない名前なのかは自分で調べてね!!

3月3日 はれ
今日は「モモの節句」おひな様の日である。僕は男の子だから、なんの関係もない・・・・「おひな様を見に来てね。ごちそうもあるわ」などと誘ってくれる親しい女の子はいない。もっとも、犬には「モモの節句」などと言う風習はないのだけれど・・・僕は1頭寂しく御主人が広げた土の側でお昼寝をするのであった・・・・・けれど、今日は昨日にも増して暖かい一日だった。広げた土が、たちまち真っ白になって乾いていく。僕も地面に寝ころんでいたのだけれど、僕も乾いてきて、舌を出して「ハァハァハァ」と言わなければならなくなってきた。暑いぐらいの陽気なのだ。羽虫もたくさん飛び交っている。僕は、とうとう日陰に逃げ込み、そこで気持ちよくお昼寝をしたんだ。今日は「暑い日向」と「涼しい日陰」両極端な一日だったよ。

3月2日 はれ
春が「前倒し」で早くやってきたので、御主人の春作業開始も早まった。昨日と今日は小屋の中に入れておいた「お米の苗を作るための土」をトラクターで運び出し、天日干しを始めたのだ。土を細かく「ふるい」にかけるので湿っていると目詰まりするからだ。側で地面に広げられた土を見ていると、うっすらと湯気が立っているようにも見える。驚きだねぇ〜、海岸沿いの隣町では、もうツクシが出始め、菜の花も咲き始めたという。「春だ、春だ!!」と浮かれながら、御主人のお仕事のじゃまになると知りつつ、天日干しされた土の側で、ごろんと横たわりお昼寝にいそしむ僕なのであった・・・

3月1日 はれ
あまりの陽気の良さに、鼻から提灯を出して眠り込んでいたら、「シャンプーでもしようか?」という御主人の声に驚いて飛び起きてしまった。僕は「シャンプー」という人間の言葉には敏感に反応してしまうのだ。シャンプーされると身柄が拘束されてしまうし、御主人から叱られながら身体を洗ってもらうので嫌なのだ・・・こんなに陽気が良いので「シャンプーでもしようか」という気持ちになるのは納得するけれど、何せ風が冷たすぎる。こんな日にシャンプーなどしたら御主人の二の舞になってしまう(御主人は今、風邪をお召しになっている・・・)
もちろん、冗談で僕を単に脅かしただけかも知れないけれど、本気になって言ったのだとしたら、「動物保護法違反」と、なってしまう。人間の言葉で言ったら「馬鹿も休み休み言うもんだ」って所かな・・・・?