むつ犬のおまぬけ日記
平成19年 4月
4月30日 はれ
今日は暑いぐらいの一日だったよ。なんと、気温が20度を超したのだ。気温20度が僕の「シャンプー指数」になっている。本当を言えば、今日は絶好の「洗濯日和」ならぬ、「シャンプー日和」だったのだ。ところが、今日はあいにく風が非常に強い。それに御主人も忙しそうである。本当のところは御主人も僕のシャンプーをしたかったのだろうけれど、お仕事が詰まっているのでやむなく、そちらを優先したというわけなんだ。それを良い事に、僕はのうのうと地面に寝ころんで、「我が世の春」を満喫したというわけなんだよ。

4月29日 はれ
「風誘う 花よりもなお 我はまた 春のなごりをいかにとはせん」と言う和歌は、赤穂浪士で有名な殿様の詠んだものだと言われているが、僕の場合は「風誘う 花よりもなお 我はまた 花見だんごを いかに食さん」である。
と、いうわけで僕達の住んでいる由利本荘市の花見は今日で終わりである。城跡がある「鶴舞公園」と言うところでやっていたのだけれど、あらかた散ってしまい「サクラ吹雪」になっていることだろう。何しろお城の跡と言っても、たかだか2万石の小藩。そんなに広い公園ではない。本丸の周りをぐるりと回ると、ほんの10分程度で出発点にたどり着く。これが全国的に有名な「角館の武家屋敷の桜」だと、今の大型連休が花見の見頃で、一日いても飽きが来ない・・・・・と思う。こう言うのも、僕はもちろんの事、御主人も「角館のサクラ」などは見た事がないからだ。
この後、僕達の城跡公園では、「つつじ祭り」という「ささやかなお祭り」が始まるのである。

謹告!!・・「城跡公園と初代まる(大雲女号)の思い出」が御主人から開かされるよ。御主人にとっては懐かしい思い出かも知れないけれど、飼い犬の僕としては、大あくびを連発しながら聞かなくちゃいけない事になるかもしれないなぁ〜。まぁ、あまり期待しないで待っていて欲しい・・・・


4月28日 はれ
久しぶりに暖かさが戻ってきた。春の花々も今を盛りとばかり咲き誇っている。今日の僕は一日中外で活動していたんだ。活動していたと言っても、寝ころんでばかりいたのだけれどね。日向で寝ころんでいると暑いぐらいで、御主人から「ホットドッグ」になってしまうぞ」と脅された。そんな事もあるんだろうなと思って日陰へ避難したのだけれど、暖かい日和とはいえ、しばらく寝ころんでいると日陰は冷える。だから、日向と日陰を行ったり来たりして温度調節をする今日の僕なのであった。

4月27日 はれ
我が家の100坪もある大型ビニールハウスの中には約1000枚ほどの稲の苗が整然と並べられてある。4月14日に種蒔きをしたものが青々と芽を出して、まるで芝生のようだ。ハウスの中は閉めっぱなしにしていると40度にもなるので、開けて外の空気を入れ、25度前後にしてある。まるで初夏だ。
ところで、その青々とした稲の苗であるが、「美味しい」のである。秋に実ったお米も美味しいけれど、苗も美味しいのである。僕は毎年、この苗を食べるのが楽しみなのである。「ぱくぱく、もぐもぐ」と、まるで牛や馬が牧草を食べるように犬である僕がそれを食べる。「はぁ〜、春の味だねぇ〜、」と言って食べる。と、いうわけで飼い犬である僕にも隠されたグルメ趣味があると言う事をお話ししてみたよ。でも、これを食べる事については、一つ難点がある・・・食べてしまった後に御主人から叱られてしまう事である。それはそうだろう。これから田んぼに植える苗が台無しになるのだからね。かといって、田植えが終わって余った苗を食べろと言われても、老化苗だし、葉っぱも少し堅くなって、若い苗と比べたら味が落ちてしまうのでいただけない。やっぱり「稲の苗」を食べるのは田植え前の苗に限るのだ!!

4月26日 くもり
寒い!!。犬の僕が寒いぐらいだから、人間は、特に御主人はまるで冬が来たように感ずるのではないだろうか。今年は「春っ!!」と言うような暖かさが少ない。ましてや「花冷え」と言うには寒すぎる。僕なんか、日中はお日様がいくらか顔を出したにも関わらす、犬小屋の中に一日中寝ていたんだからね。この事実を考えても「寒い」というのがおわかりの事と思う。何でも、御主人のお話によれば、明日の朝は0度近くまで冷え込むという・・・・・今夜は防寒シートで犬小屋に完全な防寒対策をしてもらわなくちゃいけないかなぁ・・・・?

4月25日 あめ
何だか、周期的に晴れたり雨が降ったりしている。きっと冬に雪が降らなくて晴れの日が多かったから、今頃になって雪の変わりに雨を降らせているのに違いない・・・・なんて事を、春先から繰り返し言ってきた僕なのであった。それもこれも、農家である御主人の事を思えばこその心配である。天候に左右されやすいお仕事なので、そのまま作物の出来不出来につながってくる。飼い犬の僕としても心配するのは当然の事である・・・・・とはいうものの、本音は「晴れの日が少ないのでお日様の下で日向ぼっこが出来ない」というのと、「雨の日は散歩に行けない」と言うのが不満なだけである。

4月24日 はれ
今日の散歩は強引だった。動物愛護法違反ではないかと思う。と、言うのは。御主人が夕方散歩に連れて行ってくれるというので、喜び、はしゃぎ、御主人の乗った自転車をぴっぱったんだ。ところが、途中まで来ると、先に進みたい。走りたい。草むらの匂いをかぎたい。と言っている僕を引きずるように家に帰ってきてしまったんだ。きっと、途中で散歩をするのが嫌になったんだね。「帰りたくない」と嫌がる僕を叱りつけ、散歩紐をぐいぐいと引っ張りながら、「ずるずる」と砂袋を引きずるような恰好で家に帰ってきたというわけなんだ。ひどい!!!!!

4月23日 くもりのちはれ
久しぶりに晴れたので、僕は一日中外へ出て地面に寝ころんでいた。御主人も一日中、家の側のハウスの中でお仕事をしていたので「番犬」のお仕事はしなくても良いようなものだ。それでも、一応仕事をしているふりをしなくちゃいけない。でも、人がやってくると「わん、わぉぉぉ〜・・」と、気のない吠え方ですませてしまったりする。いつもだと「わんわんわん」と際限もなく、その人が家を立ち去り見えなくなるまで吠え立てているのだけれど、今日は御主人が家の近くにいるので楽をさせてもらったよ。しかし、これから農繁期に入り御主人も田んぼの方に行ってしまう事が多いので、これからは気を引き締めて「番犬のお仕事」をこなさなければいけないなぁ〜、と思っている今日この頃の僕なのであった。

4月22日 あめ
僕の所へお手紙が来たという。ちゃんと郵便局から届いたんだって。誰から来たのかと、わくわくしながら御主人のお話を聞くと「動物病院からヒィラリアの薬のご案内」だった・・・・それでも僕の所へ郵便なんて、滅多に来ないので嬉しい。それに、このお知らせは1年に一度の季節の便りでもある。「ああ〜、もう春が来たんだなぁ〜、桜が咲き始めるのだなぁ〜、蚊が出て来るので薬を飲まなければいけない季節になったんだなぁ〜」と思う。そして、今年も、あの暑い夏を乗り越えなければならないのかと思う・・・・もっとも、今年は異常気象傾向なので、暑い夏になるかどうかはわからないけれどね。・・・・・

4月21日 あめがふったりやんだり
お仕事に、お仕事以外や犬の世話まで、なかなか忙しい御主人ではあるけれど、おまぬけな事がある。昨日は「天気が良くて洗濯物も良く乾く」と言うわけで外に干した洗濯物を夕方に取り込むのを忘れてしまい。夜半から降り始めた雨にすっかり濡れてしまったのだ。よっぽど「わんわんわん」と、吠えて「洗濯物を忘れているぞ」と、教えようと思ったけれど、昨日は僕の世話もしないで遅くなってかえってきた御主人に少し腹も立っていたので、あえて知らんぷりを決め込んだ。これで少しは性根を入れ替えるに違いないと思いこんでいる僕なのであった。

4月20日 はれ
御主人は、田んぼの耕起に大忙しである。今朝も5時前に田んぼへトラクターといっしょに出かけていってしまった。でも、御主人の偉いところは忙しくても、きちんと朝散歩に連れて行ってくれた事だ。もっとも、午後からはお仕事を放り出して、首に布きれをぶら下げてきれいな服を着て出かけていってしまったんだけれどね。しかし、御主人を許せないのは夕方遅くになっても帰ってこない事である。お母さんも帰ってこない。お腹が空いて心細くなった頃、なんと、お母さんと御主人がいっしょの車に乗って帰ってきたのだ。デパートで待ち合わせをして買い物をして帰ってきたらしい。僕は「御飯がもらえるぞ!!」と少々不審に思いながらも、お腹が空きすぎていたから大はしゃぎをしてお迎えをしたのだった。

4月19日 はれ
今日は、陽気が良いので外に寝ころんでいた。御主人も田んぼの耕起に忙しいらしく、夕方になっても帰ってこない。日が暮れかかってきたので田んぼの方を見ていたら、やっと御主人が帰ってきた。そして、僕にお仕事を言いつけたんだ。「今からトラックを取りに行くので立ち会い犬として付いてこい」と言う・・・なんの事はない。散歩に行くついでに、田んぼに置いてきたトラックを取りに行き、帰りにそれに乗って帰ってくるだけなのである。犬にとっては散歩時間は短いし、狭いトラックの助手席に押し込められるので、あまりありがたくない・・・しかし、御主人の命令は「絶対」なので従わざるを得ない。と、言うわけで不承不承、いってきたというわけなんだ・・・

4月18日 はれ
今日は御主人が午後から何処かへ出かけていってしまったので。夕方散歩は上のお兄さんと言ってきた。上のお兄さんは僕を散歩紐から離して「自由散歩」をさせてくれる。こんな散歩機久しぶりなので、僕は嬉しくなってお兄さんからどんどん離れて、本当に1人散歩をした。つまり、お兄さんを置いてケ堀」にしたのである。僕は嬉しくて気持ちよく色々歩く事が出来た。しかし、一方のお兄さんは、僕に逃げられたと思いこみ、方々を探したらしい。おじいちゃんの家まで訪ねていったらしい。しかし、僕の行方は知れなかった。・・・おじいちゃん、おばぁちゃん、それに上のお兄さんが僕を心配して探し回っている頃、僕は、家にたどり着き、犬小屋の前でオスワリをして、家にいる誰かが御飯を運んでくるのをじっと待っていたのであった。つまり、僕はあちらこちら歩き回るのに飽きてきたし、おなかもぺこぺこなので家に1人で帰ってきたというわけなんだ。もっとも、お兄さんには、こっぴどく叱られたけれどね・・・逆に「良く一匹で家まで帰ってきた。」と誉められた。お叱りとお褒めの言葉を同時にされたのは生まれて初めての事だよ!!

4月17日 はれ
市役所の後にある城跡の公園では「観桜会」が始まったという。だけど、桜はまだ咲いていないらしい。でも家のサクラは花がポツポツと咲き始めたよ。今年はサクラの苗木を御主人が買ってきて植えてから5年の間、一度も花芽を附けた事がないのが今年はたくさんの花芽を附けたので、御主人は大層喜んでいる。やっと、我が家の桜も「開花宣言」が発表になったというわけだ。僕は犬何ので「花見」をするという習慣がない。それに飼い犬だから、サクラを見ると言ったら家のサクラを見るしかない。あとは散歩の途中に咲いている堤の桜か山桜ぐらいなものである。けれど、美味しい食べ物や飲み物はぜんぜん与えられない。何でも、花見の会場である城跡の「鶴舞公園」に行くと、それはそれは良い匂いがただよってきて、飲食店も一杯並んでいるという。僕も出来れば一度、そんなところへ言ってみたいものだ、と思う今日この頃なのであった・・・・

4月16日 はれたりくもったり
今日は年に一回だけの市役所生活環境課主催の「狂犬病予防注射の日」だ。午後になって、御主人が散歩紐を持って僕に近寄ってきた。今は散歩の時間ではないはず、きっと嫌な事が待ちかまえているに違いないと思い逃げ出した。しかし、逃げ切れるものではない。トラックの助手席に載せられ「注射会場(地区の公民館)」へまっしぐらに運ばれてしまったよ。注射自体は毎年の事なので慣れている。「ちくん」とするけれど、鳴き声を上げるほどでもない。注射される前は少し緊張して、オシッコが出そうになったけれど一瞬で終わってしまったので晴れ晴れとした気持ちになった。別に暴れもしなかったし、興奮して忙しなく動き回ったりもしなかったよ。神妙に注射を打たれただけなんだ。だけど、注射料が3070円もするのだ。ドッグフード10キロ入れの袋が2袋も買える金額だ。ヤレヤレ・・・と思うけれど仕方がない。でも、このあとは楽しい事が待っていたよ。おじいちゃん、おばぁちゃんの家に寄ったんだよ。なんと、その家は「注射会場」の目の前なのである。勝手知ったる家なので、御主人の制止の声も聞かず堂々と居間まで上がり込んでいったんだ。鰹節、牛乳、アイスクリームまでごちそうになって、満足して家に帰ってきたんだよ。はぁぁ〜、注射は楽しい!!

4月15日 くもりいちじあめ
この所、天気が悪いものだから洗濯物を犬小屋の真上に干すようになった。僕が子供の頃や、若い頃は「ぴょん」と飛び上がって干されてある洗濯物をくわえて引きずりおろして、おもちゃ替わりにして遊んで、良く叱られたものだった。近頃では「今は昔、男ありけり・・・」で始まる古典の世界になってしまったなぁ・・・あのころが懐かしい。何にでも好奇心旺盛でいられたし、色々ないたずらもした。今は、ただただ枯れ果てて、禅僧にでもなったような気持ちになっている。僕も今年の誕生日が来ると7才になる。人間で言うなら「シニア」、とか「初老」とか言われる年代である。もっとも、御主人もそうだけれどね。人間の歳で言うならば、僕は今年から小学校に上がる年齢なんだけれど、犬の歳では、もう初老になってしまったよ。でも、かけっこでは御主人には負けないもんね。今日だって僕は一生懸命に御主人の乗る自転車をひっぱんたんだからね。御主人は自転車をこぐだけで息を切らしている。しょうがないねぇ〜人間の年寄りは・・・・

4月14日 ふうう
さて、今日は待ちに待った「種蒔き」の日である。種蒔きにはちょっと不向きな大雨、強風などと言った生憎の天気である。でも、一家総出で一日中お仕事をしたんだよ。僕も「泥んこ犬」になって働いた。汚れ具合を見れば僕が一番働いたように見える。もっとも犬が出来る仕事は限られている。疲れが見えてきた家族に愛想を振りまいて励ましたり、時々、おまぬけな事をして笑いを誘う。等である。是でたんまりとおやつがもらえるのだから、ありがたい。でも、さっきもお話ししたけれど、泥んこになってしまうのがつらい。種蒔きは大量の水を使うので、辺り一面が水浸しになって、それが土と合わさって地面がどろどろになっている。そんなところを僕がうろうろするものだから、僕の白い毛の部分はまるでなくなってしまった。背中は「赤犬」、腹は「黒犬」という感じになってしまった。このようにして僕は労働をして報酬を得たのであった。満足、満足!!(午後は疲れたので、適当にさぼっていたけれどね。それに、午後はおやつが出ないようだったし・・・・)

4月13日 くもりときどきあめ
明日は「お米の種蒔き」だというので、御主人は、その準備に忙しそうだ。何しろ「種蒔き」は、我が家の一大イベントなので一家総出でお仕事をする。その時は、おやつやらお茶やら、僕が普段見た事がないようなものがでるので、僕は毎年楽しみにしている。もちろん、僕もお手伝いをするので当然の権利としておやつをもらえるからだ。でも・・・・・困った事がある。僕は夏に向けてダイエット中なのだ。おやつを食べたら、また「ボテボテ犬」だ。しょうがないけれど、ダイエットは明日以降に実行しようと思っている僕なのであった。

4月12日 はれ
今日はNHKの「お母さんといっしょ」という番組にお母さんの甥っ子の娘さんが出演するというので我が家では話題になっている。御主人などはビデオに予約してDVDとやらに記録して永久保存をするなどと言っている。犬にはなんの関係もないけれど、すごい事なのだと思う。僕の話題に上る事と言えば、どこそこの草むらの匂いが興味深かった・・・とか、この間の食べ物をもう一度食べたい。・・・とか言うものである。そして、その日に興味を持った事がそのまま話題になるけれど、問題は「話題」と言いながらも、誰とも語り合う事が出来ないのだから困る。だだ僕1頭で自問自答というか、僕1人で2頭、あるいは3頭分の会話をしなければならなくなるので、見る人が見たら、二重人格ならぬ「三重犬格」ではないかと思われてしまう。それが今のところの悩みなのである・・・・簡単に言えば「独白」つまり独り言をぶつぶつと言っているのである・・・

4月11日 はれ
今日の夕方散歩は、久しぶりに自転車散歩だった。どうやら御主人は歩くのが面倒になったらしい。そして、僕に「一生懸命に走れ!!」と、命令をする。自分は楽して僕の引っ張る自転車に乗っているくせにいい気なものだ・・・・しかし、この自転車散歩には、さらに深い謎が隠されていたのだった。それは、僕のダイエットだったのである。寒い冬も終わり、身体の中に蓄えた寒さ防止用の皮下脂肪を燃焼させなければならなくなったらしい。今ダイエットしておかなければ、暑い夏を無事過ごせるかどうかわからない・・・等と御主人が脅かすので、僕は一生懸命に走らざるを得ない・・・不本意ではあるけれど走らなければならない。けれど、いきなりは無理だった。身体を慣らしてから走るのは良いけれど、いきなり一生懸命に走れ等と言われて走れるわけがない。夕方散歩のおしまいの方になると、僕は御主人のこぐ自転車に引きずられるように家路をたどったのであった・・・・・

4月10日 はれのちあめ
今日は、僕の使っている食器についてお話をするよ。落語に「猫の皿」という演目がある。何時かこの日記でもお話ししたけれど、飼い猫に高価な骨董品であるお皿で御飯を食べさせていると、時々、猫が3両で売れる。と言うお話である。僕の場合は「犬の皿」である。「猫の皿」に出てくるのは、咄家によって様々だけれど、大概は「高麗梅鉢」と言われるものである。何十両、何百両もするものだそうだ。僕の食器は「産地不明志野風深鉢」である。でも、こうして漢字を並べて食器の名前を書いてみると、それなりに高そうなもののように見える。一応古道具、いわば骨董品である。なにしろ、リサイクルショップから千円で買ってきたものだからね。ところが、この食器、ひびが入ったり、シミが付いたりと、長い間使い込んだので妙な風格というのか、味わいが出て来てなかなか良い。このまま骨董品店に出したら、誰かが何万円の値段を付けて買っていきそうな気がする。そしたら、そのお金で大きなお肉の塊を買ってもらって腹一杯食べたいなぁ〜・・・・首輪も立派なのが欲しいし・・・犬小屋の敷物もビロードのじゅうたんにしたいし、等々と「取らぬ狸の皮算用」をする僕なのであった。ひまだから・・・・飼い犬だから・・・

4月9日 くもりときどきあめ
昨日とはがらりと天気が変わり、雨模様の天気になってしまった。それでも気温がけっこう高いので僕は今日は一日中、外で過ごしたんだ。近くで工事をしているのでうるさいけれど、犬小屋の中で閉じこもりのような暮らしをするのはいやなので、明るい外で過ごした。ところで、昨日はお祭りというので「にぎり寿司」の出前を取った。そのカラになった入れ物を回収にお店の人がやってきたので、「わんわんわん」と吠えた。ヒマだったので、けたたましく吠えてやった。しかし、このことに関してはヒマだったという他に理由がある。ごちそうを家族で食べておきながら僕に対してなんのご挨拶もないというのはどういうわけか?。普通だったら「ムツさん、お食べなさい」と言って何かしらのごちそうを僕の所へ持ってくるものだ。僕だって町内の神社である「飛鳥神社」の氏子である。ごちそうを食べる権利があるはずだ。それをまぁ、知らんぷりをしている。だからうるさいぐらいに吠えてやったんだ。やってきたお店の人には悪気はないので勘弁してもらいたい。僕はビニールハウスの中でお仕事をしている御主人に対して「食い物の恨み」がこもった吠え方をしただけなのである・・・・

4月8日 はれ
今日は町内の春祭りである。朝から太鼓や笛の音がにぎやかである。御主人は交通整理で出かけていってしまった。僕は天気も良くて穏やかな日和なので地面に腹を出して寝転がっていた。すると、そこへお祭りの「お獅子」がやってきた。毎年の事ながら僕は、この「お獅子」が恐い。空元気を出して「わんわんわん」と吠えてみたけれど本心はオシッコを漏らしそうなほど恐かったのだ。御主人のお話に寄れば、我が家の先代秋田犬である「まるさん」は、この春まつりに、このお獅子がやってくると本当にオシッコを漏らして怖がったそうである。しかし、まるさんはメス犬。僕はオス犬だから、そんな事はみっともなくて出来ないから必死に我慢をした。「あくまはらい!!」という言葉を残してお獅子が去っていった時は、本当にホッとした。僕は耐えに耐えていたオシッコを大きな庭石に向けて盛大に引っかけたのであった。めでたしめでたし!

4月7日 はれ
今日は、昨日にも増して良い天気で気温もぐんぐん上がった。と言っても14度ぐらいだけれどね。でも、春の草花が咲き始めている。辺り一面によい香りが漂っている。犬は鼻が敏感なので花の種類によっては耐え難い匂いを発するものがあるけれど、これも季節の到来だと思えば、しばしの我慢というものである。ところで、今日の御主人はハウスの中を耕起して、お米の種の芽出しをして、なかなか忙しそうだった。しかし、お昼に誰もいないのを良い事に、こっそりと街へおそばを食べにいったのを僕は知っている・・・・なぜならば、帰ってきた時に御主人は満足そうな顔をしていて、身体からおそばの汁の匂いがしたからね。もう少し僕の敏感な鼻が感じ取った匂いを分析して推理をするならば、刻みネギと、ワサビの匂いがしたので「ざるそばの大盛り」を食べてきたんだよ。たぶんだけれどね・・・・

4月6日 はれ
久しぶりに気温が上がり、暖かい一日になった。でも気温は10度ぐらいだという。僕にとっては快適な気温でお腹を広げて地面に寝ころんでいた。時々、暑いので日陰に避難したりした。
ところで、昨日の朝はさんざんな目にあった御主人であったけれど、一晩「沐浴潔斎」をして今朝、再度ビニール張りに挑戦した。おかげで無事に張り終える事が出来た。飼い犬としても喜ばしい事である。張り終えた後には朝散歩にも連れて行ってもらったし、今日は主従ともに、なんて良い日なんだろうと喜んでいる。そして、先ほどもお話ししたように一日中「うららかな一日」を過ごした僕なのであった。

4月5日 きょうもいろいろ
今朝は、驚いた事に辺り一面が雪で真っ白になった。どうも、このところ暖かいという日がない。北風が寒いので、お日様が出て来ても外でなかなかお腹を広げて寝るという事も出来ないでいる。
ところで、今日も朝散歩には行けなかった。ビニールハウスにビニールを張るというのである。なるほど、風が全くなくて張るには都合がよいようだ。僕は仕方なく外でうろうろしていた。ところが、ビニールを屋根の上に広げた途端、雪がパラパラと落ちてきて、ものすごい風が吹き始めた。あまりの天気の激変に御主人はあきれ顔・・・・とうとう、今日のビニール張りは中止という事になってしまった。でも、今まで風もなく穏やかだったのに、御主人がビニール張りを始めた途端に突風が吹くなどという事は、よっぽどの事がない限りありえない。きっと、御主人は、よほどの悪い事をしたか、それとも精進が悪いのか、巡り合わせが悪いのか、こんな天気にあたりやすい体質というのか・・・・・・・いわば「天罰が下った。」といえるかもね。宝くじは末等しか当たった事がないくせに、途方もなく悪いくじには当たりやすいという御主人・・・まぁ、めげずに頑張る事だ。飼い犬の僕としては何もしてやる事は出来ないけれどね・・・ちなみに僕の朝散歩も中止という事になってしまったんだ・・・

4月4日 いろいろ
今日は不思議な空模様だった。晴れたり曇ったり、雨が降ったり雪が降ったり、と忙しい天気だったんだよ。
ところで、朝の五時に御主人が犬小屋をのぞきに来た。僕は大あくびをしながら犬小屋を出た。朝散歩に行くのだと思ったからだ。しかし、御主人は僕の家をのぞいただけで、ハウスにビニールを張るためのお仕事を始めてしまったよ。仕方なく、僕はその作業を寝ぼけ眼で見ていたんだ。まさか、御主人がお仕事をしているのに飼い犬が犬小屋の中で、ぐっすりと眠っているわけにはいかないからね。ただ「ぼ〜っ」と見ていたら退屈になったので、プラスチックの植木鉢にじゃれついて遊んでいたら「手伝え!!」と言われた。しかし、犬は肉体的な構造上、人間のお手伝いは出来ない事になっているので御主人の言葉は無視をした。ところが、ビニール張りはビニールを屋根の上に上げただけでやめになった。風が出てきたためだ。おかげで僕は朝散歩に行ける事になった。時間としては何時も通りだったけれどね。このようにして、僕の平凡で退屈な春の一日が始まったというわけなんだ・・・

4月3日 あめのちはれたりくもったり
今日もあまりすっきりしない空だった。冬に晴れの日が続いた分、春になって雨降りの日が多い。御主人もお仕事がはかどらなくて困っている。このままでは田んぼが乾かなくて、耕起が出来ない事態に鳴りかねない。ここは一つ、人間の神様だろうが、犬の神様だろうが種別、周波にとらわれずに「神頼み」をするしかない。もっとも、犬の場合は、宗教という概念がないし、神様というのがいるのかどうかは知らない。人間の考えを犬に当てはめただけの事なのである。だから僕としては、人間や犬の力が及ばない「何か」に対して手を合わせてお願いするしかないのである。でも、犬は肉体的構造上、両手の平を合わせる事は出来ないのであった・・・・

4月2日 はれたりくもったり
今日は小屋の雨樋が2月頃の大風で飛ばされて壊れてしまったので、新しいのを付け替えるための工事の人がやってきた。僕は恐かったので懸命になって吠えた。すると、御主人は僕を犬小屋へ入れて扉を閉め、掛け金をかけてしまった。つまり、僕は犬小屋の中に押し込められてしまったというわけなんだ。仕方がないので中でおとなしくしていたよ。しばらく・・・と言うよりはだいぶ立って工事が終わり、僕は、やっと犬小屋から解放された。オシッコを我慢していたので、弾丸のように犬小屋から飛び出して、大きな庭石の角にオシッコを盛大に引っかけてやった。「はぁぁ〜、さっぱりした!!」

4月1日 くもり
朝、おやつをもらう事が出来なくて一日中腹を空かせている。早く御主人が帰ってきて、朝散歩におやつとなって欲しいものである。・・・・と、思っていたら夜の7時頃になって二人は帰ってきた。愛想もないような態度でお迎えしようと思ったのだけれど、身体が言う事を聞かなかった。僕は、うれしさが身体の中から自然にわき上がってきて、そこいら中をかけずり回ってしまったのだった。