平成19年 6月
6月30日 くもり
お母さんと御主人が午後から街へお買い物に行ったようだ。当然のように僕に「お留守番」を言いつけていく。まぁ、僕のお仕事だから仕方ないけれど、犬に義務を遂行させようと思ったら、飼い主が飼い犬に対する義務も果たして欲しいものである。と、いうのも御主人達が帰ってきたのが夜の7時半頃だったからだ。散歩にも行けず「腹ぺこ犬」の状態でじっと耐えながら家族が帰ってくるのを待っていたんだ。腹が立ったので帰ってきたら噛みついてやろうと思っていたんだけれど、いざ帰ってくるとうれしさのあまり、立ち上がり「お帰りの踊り」を踊ってしまった。おまけに「尻尾ぐるぐる」もしてしまったよ。おかげで散歩も無事行けたし、御飯も戴く事が出来たよ。今日は「ヤレヤレ・・・」の一日だったよ。
注1・・「お帰りの踊り」とは?。御主人及び家族が帰ってきた時にうれしさのあまり、そこいら中をかけずり回る事
注2・・「尻尾ぐるぐる」とは?。興奮した時に自分の尻尾をくわえようとして、ぐるぐると身体を回転させる状態を言う。
6月29日 あめ
今日は久しぶりに雨がたっぷり降った。僕は心の底からのんびりとお昼寝する事が出来た。御主人は午後から何処かへ傘をさしてお出かけのようだった。ところが、2時間後にかえってきた御主人は頭から足の先まで濡れている。「傘を差して行ったのにどうして?」と思ってしまった。
雨が降ると紫陽花がきれいに見える。我が家の紫陽花もやっとうす緑色の花に赤や青、それに白の色が付いてきて楽しめるようになってきた。と、言うわけで今日は花を愛でながら雨音を聞いていると、自然に上下のまぶたが仲良くなってしまう僕なのであった。
6月28日 はれ
最近、トンボが我が家の周りを無数に飛んでいる。「いったいどんな異変が起きたんだ」と、御主人に聞いたら「今は赤とんぼの羽化の時期なので田んぼの水の中から青々と育った稲にはい上がって羽化するのだ」という。そういえば我が家の両隣は田んぼである。東側に行けば田んぼしかない風景が広がっている。・・・・なるほど、数え切れないぐらいのトンボが乱舞するのも道理である。このトンボたちは「赤とんぼ」なのである。赤とんぼと言えば秋だけれど、赤とんぼは、今頃田んぼで羽化して、涼しい山の中へ飛んでいって夏中避暑をする。そして、秋にはまた田んぼへ帰ってきて稲刈り前の稲に卵を産み付けて一生を終わるのだ。思えば、トンボたちはわずか1年の命ながらも、中身の濃い生き方をしているんだね。犬の命も十数年・・・・毎日お昼寝ばかりもしていられないね・・・
6月27日 はれ
今日も暑い一日だった。夕方散歩は18時半頃自転車で行った。僕はもう暑いので自転車を引っ張る気力もなくて、自転車に引っ張られ、中場引きずられるように散歩に行ってきたんだ。ところで、今日の夕方散歩は、今まで足を踏み入れた事がない「県立大学前公園」に行ってきた。と、言っても広い敷地の中のほんの一部を散歩したに過ぎない。でも僕に取っては未開の地である。怖々と足を踏み入れてみたけれど、親子連れが犬の散歩をしていたり、女子高生がベンチで休んでいたりと至って穏やかな風景が広がっていた。建物も色々あって、中には「動物ふれあい舎」なるものがあって興味津々でのぞいたけれど、動物は一頭もいなかった・・・・僕が中に入って人間達とふれあってみようかなって思ったけれど、人見知りな僕の事なのでうまくいかないだろうなと思う。と言うわけで意外とおもしろかったよ!!
6月26日 はれ
今日は期待していた雨の予報がはずれ、昨日よりはやや低いながらも暑い一日になってしまった。昨日の気温なんか31度にもなったんだからね。それを犬の僕が知ったら、ゆで上がっていたところだった。幸いそんな高温だった事は知らずに一日を過ごしたのでなんとか無事に過ごす事が出来たようなものだ。今日はトラクターの下で寝ていたのだけれど、御主人がトラクターを洗うというので仕方なく日向に出てみた。意外と涼しい風が吹くのでしばらく地面に寝ころんでみたけれど、お日様の熱で暖まっているので小屋の中へと早々に引っ込んでしまったんだ。梅雨も終わっていないのに、この暑さ・・・・「なぜそんなに犬をいたぶるのだ。お日様!!」
6月25日 はれ
やっと、今日の夕方散歩の時になって、僕のお腹は「普通列車」に戻った。「ヤレヤレ」である。あのまま御飯が食べられなくなったらどうしようかと心配した。やせ細って、骨と皮ばかりになっていたのじゃないかと想像するだけで身震いがする。えっ?、かえってダイエットになって良かったと思うよ・・・だって?とんでもない!!人間の世界でも警告がなされていると思うけれど、犬も過度のダイエットは死につながるので「犬類世界保健機構」では、それを戒めている。内犬の中には人間と同じカロリーの物を食べているので「デブデフ犬」が増えているという。その点、外犬は健康的な食事を心がけているので肥満はないのである。・・・・でも、ちょっとあるかも?内犬ほどではないけれど・・・
注・・内犬とは家の中で飼われている犬を言う。一方、外犬とは家の外で飼われている犬の事を言う。蛇足ながら、僕のこだわりが強い一項である。
6月24日 はれ
昨日から今日にかけて、僕のお腹は「新幹線」になっている。しかも「東海道新幹線」並みの超特急である。秋田新幹線は秋田から盛岡の間が遅いので僕のお腹とは比較にならない。・・・・って、僕は何を言おうとしていたのだろうか?
つまり、僕のお腹の調子が悪いので御飯を残している。御主人が心配するのだけれど原因は御主人にある。冷蔵庫の奥底にあった、何時焼いたのかもわからない鰺を僕に食わせたからだ。「犬だから大丈夫だろう」という安易な食べ物への考え、かつ飼い犬への愛の欠如が明白である。はぁぁ〜、食い意地の張った僕としても反省はある。味覚の鍛錬が未熟だという事である。古くなったものはすぐさま匂いや舌でわかるようにならなければいけないのだ。その前に、腐ったものを僕にくれる御主人が反省しなければいけないのだけれどね。これから梅雨の時期にはいるからくれぐれも食べ物については配慮して欲しいものである。
6月23日 はれたりくもったり
今日は二度も庭石や庭木に引っかかってしまって往生した。一度目はグミの木に絡まってしまったのだ。我が家では今頃になると大きくて真っ赤なグミが実る。僕は食べないけれど木にぶら下がっている様がきれいなので見とれていたら、その木に引っかかってしまい。悪あがきをしている内に、いっそう紐がからみついてしまって身動きが取れなくなってしまったのだ。この時はお母さんに助けてもらった。二度目は、性懲りもなく、またグミの木の根本に行ったんだ。そうしたら、今度は根本においてあった石に紐が引っかかって動きがとれなくなってしまった・・・・・この時は御主人に助けてもらったんだよ。わずか30分ぐらいの間に二度も引っかかるなんて・・・「おまぬけ犬の面目躍如」といったところかな?
でも・・・二度ある事は三度あるという人間の世界のことわざもあるから、もしかして犬の世界でも起こりうる事かもしれないなぁ・・・
6月22日 あめのちはれ
今日は散歩も御飯ももらえないで、「野良犬状態」になってしまった。いや、野良犬よりまだひどい状態である。野良犬なら自分で御飯を探しに出かけられるけれど、飼い犬は紐でつながれているのでそういうわけにはいかない。「わんわん、わお〜ん」と泣き叫んでみても、飼い主や家族が帰ってこないとどうしようもないのだ。これというのも、御主人が僕の世話をしないで夕方から出かけて行ってしまったからだ。と、言うわけで、僕はお母さんが帰ってくるまで「腹ぺこ犬」になって、ぐったりと地面に横たわっていたのであった・・・・哀れ
6月21日 くもりのちあめ
僕達の住んでいる地方が、やっと「梅雨入り」をした。今日は連日27.8度の気温が和らいで23度くらいで過ごしやすかった。でも、湿気が「ぬわぁぁ〜」っと僕にまとわりついてくるようで、相変わらずトラクターの下でぐったりと寝そべっていたのであった。小屋の中でお仕事をしていた御主人には、「おじゃま犬」扱いにされたけれど・・・・
6月20日 はれたりくもったり
夏が近づくと、この「むつ犬のおまぬけ日記」のネタもめっきりと少なくなってくる。時には御主人がおおぼらを吹いて無理矢理僕の行動のようにして書く事もある。僕は御主人に対して「あくまでもこの日記はノンフィクションである」と抗議をするのだけれど、ネタが少ないというのは苦しいもので、いっこうに止めようとはしない。なぜ、今頃の季節になるとネタが少なくなるのかというと、暑さでぐったりとなってしまった僕が、終日ピクリとも動かずにいるからだ。これでは僕の行動を書きようもない・・・・秋になって涼しくなるのを待ってもらうだけなのである。
6月19日 はれ
この前もお話ししたけれど、連日25度以上の夏日が続く。梅雨入りもまだしていないのに、このまま夏になってしまうのではないかという不安が、心の中にじわじわと真っ黒な雨雲のように広がっていく・・・・。梅雨になると抜け毛に湿気がべっとりとからみついて、時には皮膚に炎症を起こしたりするので困る。もっとも御主人に言わせると、「日本という国は梅雨がないと農業が成り立たないのだ!!」と力説する。たしかにその通りなのだけれど、犬にとっては梅雨はない方が良い。春と秋だけが有れば一生涼やかに快適に暮らしていける事だろう。そんな事になったら、この国は日本じゃなくなるだろうなぁ・・・なんと言っても日本は四季があってこその日本なのだ。もし四季がなくなってしまったら、僕は日本犬とは呼ばれなくなってしまう。その時、僕はなんという種類の犬としての代名詞をもらう事になるのだろうか・・・・?
6月18日 はれ
今日も晴れて暑かった。だけど、この所さわやかな風が吹くので、お昼を過ぎるとトラクターの下からはい出て、日陰に寝転がる。ここは風の通り道になっていてお昼寝をすると、気持ちよくてぐっすり眠ってしまう恐ろしい場所なのである。なぜ、そんなに恐ろしいのかというと、御主人が、こっそり僕の所へ忍んできて、僕の身体にいたずらをするからだ。御主人と来たら僕に対してどんな事をするのか予想も付かないので、僕は何時もビクビクしているのだけれど、ぐっすり眠る気持ちよさには勝てないから、つい恐ろしさも忘れて、この場所で寝入ってしまうのである。それで、今日もやってきたのである。御主人が。目一杯僕の身体をいじり廻し、自分で満足すると午後のお仕事に出かけていってしまったのだった・・・
6月17日 はれ
今日の夕方、御主人とお母さんが何処かへ出かけていった。しかも、僕の散歩もしないで、御飯もくれないで!!しばらくして帰ってきた二人からはおいしそうな匂いがぷんぷんしていた。様々な匂いが混ざっているので「ごちそう」の特定は出来なかったけれど、御主人からはお肉の匂いがした。お肉はぼくの大好きな食べ物なので、その匂いが第一番に僕の鼻の中に流れ込んできた。「わんわんわん」と僕は二人に文句を言ったけれどお土産はなかった・・・・その代わり御主人はすぐさま散歩に連れ出してくれて、帰ってからも御飯をすぐさま出してくれた。まぁ、普段の御主人の僕に対する扱いから比べたら迅速な対応だったので、まずまずの評価と言ったところだろうか・・・・?
6月16日 はれ
長年の習慣というものは恐ろしいものである。御飯が目の前にあって、舌先をちょっとのばせばそれを食べる事が出来るのに「オスワリ」をしてしまう。条件反射というものなのだろう。それに、御飯を見ると、「よだれ」が次から次へと流れ出てしまう。これが昔から言われている「パブロフの条件反射」とか「パブロフの犬」とか言われている現象である。学者であるパブロフという人の実験台になった犬はかわいそうである。食べ物を目の前にしても、じっとよだれを流しながら、それをなかなかもらう事が出来なかったに違いない。その点、僕は「オスワリ」をして、ちょっとした芸を御主人に見せるだけで御飯がもらえるのだから幸せと言わなければならないだろう。それでも、ちょっと待つだけでも、あれだけたくさんのよだれが流れるのだから、実験台になった犬たちは、どれぐらいよだれを流したのだろうか。きっと身体の中の水分が足りなくなって「脱水症状」を起こす寸前まで行ったのかも知れないなぁ・・・・
6月14日 はれのちくもってあめ
久しぶりに雨の中の夕方散歩になった。と、言っても「ポツ、ポツ・・・」とした降りなので濡れると言うほどでもない。このように前置きした事についてはわけがある。散歩に行く前から雨が降り始めていた。御主人は「雨降りだけれど散歩に行くか?」と、一応僕の意志を確かめるふりをする。「散歩に行かなくても飼い主の責任ではありません」という事を正当化しようとする、ずるいやり方である。一方、飼い犬である僕の方はと言うと、犬は寡黙な性格であまり自分の意志というものを表に出さない。特に秋田犬である僕は「寡黙、謙虚」等々の「和の心の詰め合わせ」のような存在なので、「散歩に行く、行く!!」という意思表示はしなかった・・・すると御主人はにっこりとして、「散歩はなし」・・・と、言おうとしたその時!!お母さんがお仕事から帰ってきて、「むっちゃん、散歩の時間だよ」と言ってくれた。その一言で、僕は雨降りの中を散歩に行く事が出来たって言うわけなんだ。こうして文章にすると大仰の様な感じがするけれど、実際の出来事としては、どうと言う事もない事柄なんだけれどね。はぁぁぁ〜、ヤレヤレ、なのである・・・・
6月13日 はれ
ひぇぇぇ〜、今日の気温が29度を超えた!!僕は暑さでぐったりとなりトラクターの下で身体が溶けてしまった。そのうち水蒸気になって空気の中へ取り込まれ空へ舞い上がってしまうかも知れないと思った。そうなればなったで、空の上から地上を眺める事が出来て楽しいだろうなぁとも思った。やがて、御主人がやってきて、僕の身体を「つんつん」と、突っついてみても、僕の身体はすでに溶けているので、当然ながら身動きできない状態なのである。意識はあるのでかろうじて生命を保っている事は僕自身も自覚できるし、御主人も感じているらしいので特に騒ぐ事もしなかった。こうして僕は一日中「ピクリ」ともしないで一日を過ごしたのであった。夕方になると、日が陰ってきたので外へ出てみたけれど、相変わらず暑い。でも、散歩の時間だし、夕飯の時間でもある。外へ出て御主人を待っている体勢でいないと、面倒くさがり屋の御主人の事だから「散歩抜き」って言う事にもなりかねない。「雨ニモマケズ、風ニモマケズ、夏ノアツサニモマケズ、カイヌシノオウボウニモマケズ」っていう所である。飼い犬はつらいのである。・・・・・・
6月12日 はれ
昨日の夕方散歩は夕食後だった。いわゆる「夕涼み散歩」である。例年であれば、この「夕涼み散歩」は梅雨が明けて、田んぼのそこここに蛍が淡い光を発しながら飛び交う時期に行っている。ところが、今年は暖冬の影響を引き継いでいるのか、今から連日の夏日、つまり最高気温が25度を超えているし、今日などは27度を超えた・・・・すでに「盛夏」なのである。
でも、「夕涼み散歩」は御主人ものんびりと歩くので、距離が短いとはいえ、味わい深い散歩である。暑い夜などは、たびたびこんな散歩に連れ出して欲しいものである。でも、御飯は何時も通りの時間で頼むよ!!
6月11日 はれ
昨日はお母さんと「夕方散歩」にいった。御主人が夕飯の支度をするというので交換条件としてお母さんに僕の散歩が任されたというわけなんだ。お互い「義務の交換」という感じになったようだけれど、御主人と散歩に行くと、「義務!!!!」って言う感じが散歩紐を通してひしひしと感じ取れるんだ。ところが、お母さんや上のお兄さんと散歩に行くと、「ゆるゆる、のびのび散歩」って言う感じがするんだよね。と、言うわけで、昨日とは打って変わり「天国と地獄の違いの夕方、義務散歩」へ御主人といってきた僕なのであった。
6月10日 はれ、とおりあめあり
御主人とお母さんが買い物に行っている間に「通り雨」があって、洗濯物が濡れてしまったんだ。買い物からかえってきた御主人は「なぜ洗濯物を取り込まないのだ」と僕に言った。「犬は肉体的な構造上、洗濯物は取り込めない事になっている」と、言うと、「では、なぜ洗濯物に飛びついて引きずりおろしたり出来たのだ」と、子犬や若犬だった頃の僕のいたずらを例に引き出して理詰めで僕を追いつめてくる。ぼくは反論できなくなって「わんわん、わお〜ん」と捨てぜりふを残して、トラクターの下に潜り込むのであった・・・・・おわり
6月9日 くもり
日本人の風習に「衣更え」というのがあることは知っていた。でも、僕は「そんな風習なんか、ふん!!」と言って馬鹿にしていたのだ。6月にはいると着る者ががらりと変わるから、何も杓子定規に冬物からいっぺんに夏物へ替えなくても良いじゃないかと思っていたのだ。ところが、犬も「衣更え」をするのだという事に、今更ながら気付いてしまった。そう、「毛替わり」である。まさに冬の毛から夏の毛に生え替わる生理的現象である。もっとも、犬の場合は一日違いでがらりと生え替わる事はない。毛替わりの期間が何ヶ月もだらだらと続くのだ。飼い犬の場合は御主人に手伝ってもらって比較的早くすます事が出来るけれど、野生の時代の犬たちは「どうだったんだろうなぁは手な」などと思ってしまう。木や岩に身体をこすりつけて毛をそぎ落とすようにしていたのだろうかなどと考えてしまう。つまり、飼い犬は飼い主がいないと生きていけないという事を暗に飼い主に対して訴えたかっただけなのだ・・・
6月8日 はれたりくもったり
すっかりトラクターの下が我が家として定着してしまった僕なのではあるけれど、ただ一つ困った事がある。風が吹き込んでくるとみんなトラクターの下にホコリがたまるような仕組みになっているらしい。だから僕もホコリだらけである。先週シャンプーしてもらったのだけれど、リンスの香りもさわやかに・・・までは良いのだけれど、毛皮のあちらこちらにゴミが付着し、毛の隅々までホコリが入り込んでしまっている。見るに見かねた御主人が、「シャンプーしてから一週間目だけれど、また明日シャンプーしようか?」といってくる始末である。そんなに飼い犬に気を遣う気があるのなら、オールシーズン対応の「快適な犬用住宅」を建築してもらいたいものである。
6月7日 はれ
御主人は、僕が夜に犬小屋の中で寝ないと機嫌が悪い・・・なぜなのかは僕自身良く承知をしている。そもそもこの犬小屋は、僕がこの家の家族になってから1年ぐらいして完成したものだ。上のお兄さんのお友達である大工さんが作ってくれた本格的な「犬用住宅」である。その値段が5万円。僕がこの家の家族になるために親元へ結納金として納めたのが2万円・・・つまり、家の方が僕より2.5倍も高いのだ。だから、御主人は僕が犬小屋の中で過ごさないと損だと思うらしい。どういう発想でそうなるのかわからないけれど、とにかく御主人は、何かにつけて僕を犬小屋に入れたがるのだ。でも、寒い冬ならいざ知らず「夏も近づく八十八夜」の今日この頃は、犬小屋の中なんて暑くて入っていられるものではない。ただいまの僕の住居はトラクターの下になっている。夜も昼も、この下で暮らしているのだ。だから、僕にお手紙を出す時は、いつもの住所ではないので気をつけて欲しい。「犬小屋付け ムツ様」で出さないで、「トラクターの下内 ムツ様」で出してね。頼んだよ!!
6月6日 あめがふったりやんだけ
今朝は少々蒸し暑かったので早朝から外へ出て地面に寝ころんでいた。すると、突然の土砂降り。おまけに雷が鳴り、「ザーザー、ピカピカ、ゴロゴロ、ドッシャーン」と、とてもにぎやかで町内の神社のお祭りよりにぎやかだった。そんな事で、僕は恐ろしさのあまり犬小屋へ戻る事が出来なくなってしまった。本宅の庇の下で恐ろしさに耐えながらぐっすりと朝寝をしていたんだ。・・・・?。そこへやってきたのが御主人である。僕がこの雷雨のさなかに変な場所に寝ているものだから、「死んでいるんじゃないか?」と、一瞬顔色が変わったそうな・・・あわてて僕を揺り動かすと、鈍い反応を返すので僕は犬小屋へ連れ戻されたというわけなんだ。そして、犬小屋の前で「今日はこんな天気なので散歩は中止」と言い渡されてしまった。僕はおもしろくなかったので犬小屋の中に入り、中にあったプラスチックの植木鉢に八つ当たりをして暴れ、それで、どうにかこうにか鬱憤晴らしが出来たというわけなんだ。めでたし、めでたし!!・・・・って、めでたくなんかないぞ!!
6月5日 はれ
今日も昨日と同じく暑かった。この日記も昨日と同じような気候なので「以下同文」として、終わりにしたいのだけれど、そうもいかないのが「我が家のセキュリティ犬」である僕のつらいところである。
今日の夕方、我が家の家の周りをうろうろしている者がいたので「わんわんわん」と吠え立てたら正体は御主人であった。御主人は何時も作業服を着ているので、ラフな服を着た御主人を怪しいものと見誤ってしまったんだ。まだ御飯をもらっていない時間だったので、あまり吠え立ててしまうと御飯の量に影響する。だから御主人かな?、と思われた段階で吠えるのを止めた。なぜ御主人が家の周りをうろうろしていたのかというと、明日は資源ゴミである空き缶の回収日だ。それで裏口においてある空き缶回収ボックスをゴミスティションに置きに行ったという、ただそれだけのお話なのであった・・・・ちなみに、御飯の量は何時も通りだったよ。
6月4日 はれ
今日は、今年最高の気温を記録したようだ。25度を超えたらしい。「夏日」である。僕は朝から暑くて暑くて、アイスクリームのように溶けてしまいそうだった。頼みのトラクターも畑の方に行ってしまった。そこで、小屋の奥の方に行ってみた。コンクリートの床はひんやりしていて居心地が良さそうである。そこに寝ころんでみた。すると、なんと心地よい事か!!地上の楽園とはこんな事を言うのかと思うぐらい、涼しくてお昼寝がはかどるのだ。御主人がやってきて、僕をつねったり引っ張ったりするけれど、僕はただただ気持ちよくて動きたくない。突っつかれると目は開けるのだけれど、自然にまぶたがたれてくる。反応のない僕に御主人は、ちょっかいを出しても動かないので、おもしろくないと思ったのか、西側の窓を開けて風の通りを良くしてくれ、そのまま家に帰ってしまった。その窓から入ってくる風の、また気持ちの良い事!!「はぁぁぁ、極楽、極楽!!」今が、一番良い季節なのだ。と、人間達は言
6月3日 はれ
今日も一日中晴れの良い天気。日中は気温も上がってきたので、僕はトラクターの下へ避暑に行った。ここはひんやりとして気持ちがよいし、何時もいっているように「外敵」に襲われても防御が出来る。御主人は「外敵ってなんだ?」と、何時も聞くけれど、野生時代の習俗、つまり自分以外はすべて敵であるという習性がいまだに残っているのだ。犬は野生時代は集団で行動していたと思われるけれど、群れの中では弱いものは何時も標的にされて攻撃され、餌も奪われていたのだ。だから、仲間であっても、敵であるという意識が強い。「自分の事は自分で」という考えは犬の基本中の基本なのである。但し、飼い犬になってからは、餌は飼い主からもらわないと、どうしようもない。散歩もままならないし、だから、飼い犬の場合は、「命も含めて、飼い主にお任せ」というのが原則となりつつある昨今の犬世界なのである・・・・
6月2日 はれ
今日は、誠に過ごしやすい気候になった。僕としては大歓迎なのだが、少し心配な事がある。こんな良い天気で、しかも土曜日という日・・・・なんだか胸をざわざわさせる不安感・・・・そう!僕のシャンプーなのである。御主人が朝から、何処かへ出かけていったので僕はのんびりとお昼寝をしていたんだ。すると、昼頃に帰ってきて、僕の首輪をはずして、首に縄を附けてシャンプー場に引っ立てた。いきなりである。少し抵抗もしたけれど、抵抗しても無駄なあがきである事は子犬の頃から身体にしみ込んでいるのでおとなしく従った。それからが大変!!僕が動くたびにきついお叱りを受ける。僕もイライラしてきたので、少し唸ってみたけれど、そんな事で手をゆるめるような御主人ではない。シャンプーにはなんだかんだと準備を含めて1時間近くの時間がかかってしまったのだ。シャワーで泡が流されると、どろどろした半年間の身体に付いた垢が流れ落ちた。今まで、白いところと赤いところが垢まみれになって、全体が灰色に見えた僕の身体が、赤は赤、白は白と毛の色の違いがはっきりと美しく見えるようになった。これで、僕はやっと秋田犬らしくなったといえる。シャンプーは好きじゃないけれど、シャンプーが終わって解放される時の気分は何物にも代え難い。
6月1日 くもり
今日は「薬を飲む日」だと、前々からさんざん脅しつけられていたので、このところの僕はビクビクしていた。昨日も「薬を飲む」というのが気になって御飯を残してしまったほどだ・・・「薬」と言うのは一粒3000円もするという、例の「フィラリア」の薬である事は、長い間この日記をごらんになっているみんなには説明の必要もないと思う。
と、言うわけで、今日はその薬を飲まされてしまった。薬を飲む事に関しては毎度の事ながら、僕と御主人の攻防戦が展開されるわけなのだけれど、今日は見事にだまされて一気に飲まされてしまったのだ。僕の完敗である。その悪質な御主人の手口とは・・・まず、御飯の直前に、魚肉ソーセージの塊の中へ薬を巧妙に押し込み、御飯前でお腹が空いてたまらない僕の目の前に差し出して、「まて!!」と命令する。すると僕は食べたくてよだれを流す。さんざんじらした果てに「よし!」と来れば、僕はもう、目の前のソーセージに食らいつくしかない。腹ぺこ犬の僕は味も何もわからないうちに、ソーセージと中に仕込まれた薬は、新幹線よりも速く、リニアモーターカー並のスピードで、口から胃袋まで到達したのであった。「よし!、来月はごまかされないぞ!」と、心の中で誓う僕なのであった。でも、「薬を飲まないと、どうなるのだ」という御主人の疑問符を付けた言葉が耳に痛いのである・・・・