むつ犬のおまぬけ日記
平成19年 7月
7月31日 こさめのちはれ
家の前のガス工事はまだ出来ない・・・・僕は工事の音がうるさいのでトラクターの下に潜りこんで、一日中寝ている。
ところで、犬はなぜ一日中寝ているのかについて疑問に思っている人もいるだろうから、ここは一つ、飼い犬の口からその理由を明かしてしまおう。退屈だからである。飼い犬は御飯を自分で探さなくても時間になれば目の前に出てくる。だから何もしなくて良い。番犬なども「お仕事」と格好を付けていって居るけれど本当は「退屈しのぎプラス習性」なのである。本当は飼い主や家族と遊んでいたいのであるけれど、一日中家族が飼い犬に付き合っているわけにも行かないから、誰もいない時は寝ている。だって飼い犬が1人で遊んでいるなんてつまらないから・・・
犬にも遊びたがる犬と、そうではない犬がいる。遊びたがる犬から順番に言うと、子犬、若犬、成犬である。また、メス犬の方がよく遊び、オス犬は少々無精でそんなに遊ぼうとは思わないようだ。だから僕は何時も「愛想がない」って言われるんだね。成犬のオス犬だから・・・

7月30日 はれたりくもったり
御主人が午後から街へ行った。市役所、JA、本屋等々色々廻ってくるのだという。その中に動物病院というのもあったから、僕は嫌な顔をした。そういえば月の終わり頃は動物病院から例の薬を買ってきて来月の月初めに僕に無理矢理呑ませるのだ。僕は御主人に悟られないように、ひっそりとため息をついた。夕方近くに帰ってきた御主人は、僕を呼び寄せた「ムツ、こい!!」と命令調である。いきなり買ってきた薬を飲まされるのかと、怖々と御主人の方を見ていたのだが、犬の写真が付いている買い物袋から取り出したのは「真新しい布製の首輪」であった。「誕生日のプレゼント」だという。しかも2日遅れの・・・「3日遅れの便りを乗せて〜・・」という歌は聴いた事があるけれど、2日遅れというのは郵便局でも宅配便でも例がない・・・でも・・・まぁ、お誕生日プレゼントって言う事なんだから、「ありがとう」って言っておくよ!!

7月29日 はれ
今日は夏にしては涼しいような天気だったよ。僕が外へ寝ころんでいても多少暑いかなと言った感じだ。御主人なんかは長袖長ズボンを着ている。今年は「暖冬」の反動を受けて「冷夏」になってしまうのだろうか?僕としてはその方がありがたいような気もするけれど。何しろ僕達の地方は「梅雨明け」をしていないので「梅雨寒」という事もある。8月になってからのぬくみに期待したい・・・と、御主人は思っているようだ。今年は雨が少ないので「小雨の冷夏」なんて言う事になったら悲惨だね・・・・

ところで・・・・飼い犬の身分でこんな事を言うのもなんだけれど、「今日は僕の7才の誕生日なんだよね」人間で言えば小学校1年生だ。でも、毎年なんかお祝いを期待しているのだけれど、未だかつてもらった事がない。強いて言えば今日は朝散歩、夕方散歩そして御飯を通常通りもらえた事かなぁ?「日々平凡な事が一番の幸せ」っていうのが僕に対するプレゼントかも知れないなぁ・・・?単なる手抜きとも、出し惜しみとも思えてくるけれど、色々考えると御主人不審になってしまうので、「まぁ、いいかぁ」って事にしようと思う。

7月28日 きりさめがふったりやんだり
この所、晴れの天気が続いていたのだけれど、梅雨のさなかにこれでは梅雨としての威厳が保てないと天が思ったのか、地が思ったのか、今日は一転して梅雨空になってしまった。梅雨空と言っても、雨がざぁざぁ降っているわけではない。申し訳程度にどんよりと曇り、時々パラパラと雨が降り辺り一面が霞がかかったような風景になっている。おかげで僕の毛皮もしっとりとしてきて、湿気をたっぷりと含んでしまっている。皮膚の湿疹も一段と進行する事だろうと思う・・・・夕方散歩も御主人が田んぼの水のかかりぐあいを見に行くというので、たんぼ道を行ったり戻ったりと犬にとってはめまぐるしく、迷惑な散歩になってしまったんだよ。

7月27日 はれ
さて、昨日の続きみたいなものであるけれど、御主人は数多くの秋田犬と接してきたけれど、散歩拒否をされた犬は二頭しかいないという。1頭目は「大雲女号」通称「初代まる」(僕の先代犬であるまるさんは2代目まるである)秋田犬の歴史の中に燦然とその名を残す犬である。その犬が御主人と散歩へ行くと、途中でぴたりと止まり、自分の行きたい方へ進むまで動かないのだそうだ。そして2頭目が僕である・・・・・・有名な秋田犬と散歩拒否で肩を並べようとは思わなかった。誇らしいのか、情けないのかわからないけれどね・・・・・

7月26日 はれ
我が家の歴代秋田犬で五代目である僕は「2番目に頭が良い犬」と御主人から言われている事はこの日記を読んでくれているみんなはご存じの事と思う。また、「一番わがままな犬」あるいは「一番人の言う事を聞かない犬」とも言われている事も知っている事と思う。耳が大きな犬は頭が良いというのが御主人の持論である。そして自分の主張を通してしまう、つまりわがままなのである。犬だから確たる主張など有るわけではないけれど、その日の気分や風向きによって考えが変わる。今日も朝散歩の時、家の前でイヤイヤをして、御主人に叱られてまた歩き出したけれど、どうにも嫌になってきたのでしっかりと足を大地に踏ん張って動かなかった。すると御主人も嫌になったのか僕の主張が通り、散歩の途中から家に帰ってきたというわけなんだ。だって暑いんだもん!!日が高くなってぎらぎらと照りつけている中の朝散歩なんて・・・・いゃぁぁぁ〜!!

7月25日 はれ
今日は、我が家の前のガス工事のせいで道路が両側から工事車両にはさまれてしまい御主人は身動きの取れない状態になってしまった。一時的にではあるけれど・・・・ところが僕の散歩コースは18時になっても通行不能になっている。つまり田んぼ方面への通行が出来ない状態なのだ。そこで御主人は「今日の散歩は無し」と宣言をした。「それはないよ〜田んぼ方面へ行くには遠回りだけれど、我が家を中心にして西へ歩いてから南(左)に曲がり、JRの踏切のある交差点を東(ひだり)にまがり、県立大学方面(東南東)へ歩く。途中の農道に入り真東に少し歩くと県立大学前公園と鳥海山を南に見ながら田園風景の中を散歩が出来る。こうやって文字にしてみると複雑な経路をたどるように感ずるけれど、歩いて見ると、どうって事はない。だから御主人、あまり物事を複雑に考えない方が良いと思うんだけれどなぁ・・・それとも、物事を短絡的に考えてしまって「即断即決」で「散歩中止」の宣言をするのかなぁ・・・?

7月24日 はれ
最近の僕は、たびたび「朝散歩」を拒否する。散歩紐を付けられるまではお出かけするうれしさでウキウキしているのだが、家の敷地から一歩、外へ出ると歩くのが嫌になってしまう・・・・そこを御主人に脅され、また甘い言葉で誘われつつ、無理矢理に引きずられ、散歩の足を動かしてしまう僕なのである。ところが、また途中まで来るとぴたりと足を大地に踏ん張って動かなくなってしまう。そこで御主人はあきらめて僕に従うか、もっと散歩を続けるか迷い始める。大概は義務で僕の散歩をしているので、ここで「家に帰ろう」と僕に言う。僕はその言葉に足取りも軽く家路をたどるのであった。そして家に帰るとたくさんのおやつを要求するのであった・・・

7月23日 はれ
梅雨が明けたところもあるようだけれど、我が家がある地方は、まだ梅雨の真っ最中なのである。何しろ湿気が70%以上もあるのだ。だから僕の毛皮も湿気だらけである。純粋な秋田犬なので健康面では非常にデリケートで、僕は特に皮膚が弱い体質なのである。だから梅雨から真夏を過ぎて秋に到るまで湿疹が出てしまう。御主人も心配しているのだけれど、冬になるとけろりと治ってしまうから不思議なものである。まぁ、湿気と夏の暑さは犬にとっては天敵なわけなのだけれど、死ぬほどじゃないから我慢しなければならない。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という人間世界のことわざもあるしね。

7月22日 くもりのちはれ
今日は久しぶりに晴れたので、夕方五時の市役所の時報オルゴールに合わせて高らかに遠吠えをしてみた。久しぶりの遠吠えだったけれど、力強く美しく歌い上げる事が出来た。
ところで、市役所は我が家から2.5キロメートルほども離れたところにあるのだけれど、はっきりとその音が聞こえてくる。僕としてはありがたい事(パトカーや救急車のサイレンに合わせて遠吠えするより気持ちがよいから)である。でも、市役所の近くにいる犬たちは毎日どんな気持ちで聞いているのか興味がある。一度会って話を聞いてみたいものである。御主人が子供の頃、おばあちゃんの実家が市役所からちょっとの所にあって秋田犬がゴロゴロいたというお話を御主人から聞いたけれど、その犬たちが居た頃はお昼の合図に市役所のサイレンが大きなを音をたてたという。果たして犬たちは一斉に遠吠えをしたのだろうか?商店街地域で何頭もの犬が一斉に遠吠えをしたら迷惑だったのではないだろうか?・・・・それと、散歩コースが城跡の公園だったというのが優雅でうらやましい。少なくとも夏の暑い時期は葉陰の下を歩く事が出来るし、小高い丘になっているというので昇ったり降りたりするのも楽しそうだ。少なくとも僕の散歩道は平板で陽が最初から最後まで照りつけている。僕もたまには変わった散歩道を歩いてみたいと思っているのであった。

7月21日 あめ
近頃、家の前の道路でガス工事が行われているので家から出る事がままならない・・・その工事で人がたくさんいるけれど、一日中いるので「わんわんわん」と一日吠えているわけにもいかない。だから最近、番犬の仕事は「開店休業」といった状況なのだ。もっとも、普段から番犬の仕事を熱心にやっていたわけじゃない。それにしても、最近は「わんわんわん」と吠える機会が減った事はたしかである。このまま行くと吠え方を忘れてしまうのではないかと心配になってくる。番犬が吠えなくなったらおしまいだし、仕事が出来なくなったというので御主人からお払い箱にされてしまうかも知れない・・・・・捨てられたらどうやって暮らしていこうか、等々と終日雨降りの中、トラクターの下でうつらうつらしながら、妄想のような事を思う僕なのであった・・・・・

7月20日 あめ
今日は雨なので、御主人はたまりにたまった事務仕事に精を出している。近頃の農家は田んぼや畑の肉体労働をしていれば良いという時代ではなくなってきているようだ。雨のおかげで事務仕事ははかどったようであるけれど、次から次と事務仕事がたまって来る現実にうんざりする今日この頃の御主人なのであった・・・
ところで、最近のこの日記は御主人の動向ばかりが書いてある。「むつ犬のおまぬけ日記」改め「むつ犬の飼い主おまぬけ日記」とでも題名を変更したいぐらい話題が僕から御主人に移っている。ここはひとつ、「主役は僕なんだぞ!!」と叫びたくなってきた。「もっと僕の事を書け!!」と主張したい。でも・・・・湿気と暑さでまいってしまい、毎日寝てばかりいる飼い犬の姿をどう書けと言うのだという御主人のため息がかすかに聞こえてくるのであった・・・

7月19日 はれ
「飼い犬対飼い主のシャンプーに関する攻防戦」が一段落したと思ったら、御主人は新たな攻防戦に巻き込まれていたのであった。と、言っても僕との事ではない。カラスとの攻防戦である。御主人は畑にスイカとメロンを植えたのであったけれど、ちょうど今頃の季節は収穫できるかどうかと言ったところなのである。ところが、カラスがその収穫できそうなスイカを狙って畑に入り込み、主にスイカを食い荒らすのだそうである。すでに2個が被害にあったらしい。防鳥網を張っていても、わずかな隙間から入り込んでスイカを突っつくようだ。おかげで僕にもとばっちりが来た。「番犬のくせにカラスを追っ払う事も出来ないのか!!」というのである。僕は人間対犬の番犬なので、人間以下の動物は管轄外だと抗弁をした。御主人は犬に八つ当たりをしても仕方ないと思い。あらゆる隙間をテープや網でふさいではいたけれど、僕から見たら隙間だらけに見える。果たして「御主人対カラス」の攻防戦の勝者はどちらなのか?楽しみな一戦である。でも御主人・・・スイカは守れても、トマトにはなんの防衛策も施していないんだけれど・・・・

7月18日 あめのちはれたりくもったり
今日の御主人は、午前中は田んぼの草刈りのお仕事だったのだけれど、午後からはきれいな服を着てお出かけのようだった。しかも歩いていくらしい。「何処へ行くのだ」と聞くと、2.5キロほど離れたホテルで会議を兼ねてお酒飲みだという。僕はそれを聞いてうらやましく思った。お酒や美味しい物が食べられるからではない。往復5キロもの距離を歩けるというのか、歩かなければいけないというのか、そんな境遇の御主人を心底うらやましいと思ったのだ。何しろ僕の散歩の距離は1.5キロから1.2キロの範囲内である。朝晩も入れると2キロちょっとである。僕もそれだけの距離を歩きたいものだと思う。だって、今まで一度もそんな距離を歩いた事がないからね。しかし、夕方遅くに帰ってきた御主人を見て、そんな願いも「ちょっと勘弁してね」という思いに変わった。この夏の暑い日が落ちきらぬさなかに全身汗みどろになりながら歩いて帰ってきた御主人だったのである。何でも、ホテルの近くの百貨店でお母さんと待ち合わせの約束をしていたのだけれど、すっぽかされて歩いて帰って来たそうなのである。哀れである・・・御主人、往復五キロを歩くのは涼しくなってからにしようね。飼い犬ムツとのお約束だよ!!!

7月17日 はれのちあめ
今日の御主人のお仕事は「今年のお米の収穫に重大な影響がある肥料散布」である。僕はトラクターの下に腹を出して横たわりながら「行ってらっしゃい」とお見送りをした。今日は時々、日が陰り気温も高くないので重労働をするには最適の日和である。それでも、お昼に帰ってきた御主人は全身汗びっしょりになっている。「さて、午後からもう一がんばりだ!!」と勇んでいたのであったけれど、午後になって、いざ肥料を積んでトラックで出かけようとしたら雨が降ってきた。この肥料は雨が大敵で濡れた葉っぱに付くと焼けてしまう・・・・泣く泣く、午後のお仕事をあきらめた御主人だった。やがて雨は本降りになり道路に水たまりが出来るほど降ってきた。「降って欲しい時は降らないで、降って欲しくない時は降る・・・」と、御主人は恨めしげに空を見た。僕は午前中と同じくトラクターの下に寝ころびながら「人生なんてそんなものだよ」と聞こえないようにつぶやいたのであった・・・・

7月16日 くもりときどきはれ
今朝、目を覚ましたら曇り空だった・・・これは、てっきり今日のシャンプーはないと喜んだ・・・・さて、今日の僕はシャンプーされたのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と、言う事で僕はシャンプーされてしまったのだ。しかも、「いやいや」と抵抗する事もなく普段の僕としては珍しくシャンプー場に自ら進んで足を運んだのであった。そして、暴れる事もなくすんなりとシャンプーは終わったのである。つまりは、それだけ僕の身体が汚れていたって言う事なんだよね。自分でも気持ち悪いなって思っていたんだ。だって洗うと茶色い水が僕の身体から流れ落ちるんだよ。それにしても、洗い方が中途半端なのが気にかかる。僕の真っ白い胸の毛が、まだ少し茶色い汚れが残っているような気がするんだ・・・・御主人は来週もシャンプーするからって言っているのだけれどね・・・・

7月15日 くもり
何だか、今日は雨が降るというので予定していた僕のシャンプーをしないまま一日が終わってしまった。ところが雨は1滴も降らず風が強いけれど、時々お日様が顔をのぞかせる始末である。台風の影響があるようだけれど雨は降りそうもないようである。これは、ひょっとして?明日はシャンプーなのか・・・?幸いというか不幸というか、明日もお休みなので、たぶん・・・・果たして僕の運命は?僕の身体はどうなるのであろうか?明日の「おまぬけ日記」を乞うご期待と言った心境の僕なのであった。

7月14日 くもり
今日の御主人は、朝から夕方まで何処かへお出かけのようだった。やっと夕方に帰ってきたのでお出迎えをしたら、また何処かへ行くという・・・・「飼い犬を置いて何処へ行くのだ」と唸り声を上げながら言ってみた。(12日もこんな事をしたような記憶がかすかにある・・)と、言うわけで、夕方散歩はお母さんといってきたというわけなんだ。お母さんとの散歩は自転車散歩と違って穏やかに歩けるので心地よい。だけど・・・途中でお知り合いにあって立ち話になってしまったんだ。そこで、僕はお座りをしてじっとお話が終わるのを待っていたというわけなんだ。こんな風に「じっと耐えて待つ」というのも飼い犬が我慢しなければならないものの一つなのであった・・・

7月13日 はれ
今日は13日の金曜日なのである。西洋ではこの日が厄日になっているぐらいは犬の僕でも知っている。しかし、我が家は仏教の浄土真宗の家系であるので飼い犬もそれに従わざるを得ない。もっとも犬は基本的に無宗教であるので生活していて特に感じる事はないのだけれど、我が家の宗教観もいいかんげんだなとは思う。御主人はクリスマスにはケーキを買うし、お母さんは風水だのを信じているようだし・・・・・ぼっ、ぼくは「自分自身しか信じない!!」が信条なのだ。どどのつまり、これしかないと思うよ!! 我が家の家族の皆さん!!!!

7月12日 くもり
夕方、御主人が藍染めのティシャツにウサギがプリントされたものを着て出て来たので、「これは、きっと何処かへ出かけるのだな」と思い、「飼い犬を置いて何処へ行くのだ」と唸り声を上げながら言ってみた。すると市役所へ会議に行くのだという。「公用」だというので僕は唸るのを止めた。「公用」という言葉の響きはパトカーや消防車がサイレンを鳴らして赤信号を通過するのに似ている。結局、僕の夕方散歩や御飯は他の家族に依存するより他はなかったのであった・・・

7月11日 あめがふったりやんだり
今日は雨降りなので御主人も暇なようである。何しろ久しぶりの雨なので畑の野菜達が水をほしがっている。僕には野菜達の喜びの声が聞こえてくるように思った。だけど、実際に聞こえてきたのは、雨降りを喜ぶ「カエル達の合唱」であった。僕ものんびりとしてしまって作業小屋の入り口の真ん中で腹を出して寝ていた。そこへ御主人が忍び足でやってきて、いきなり僕の腹を突っついたものだから、僕はびっくりして飛び起きた。「なんだ御主人か・・・」でも、あまりにもびっくりしたので、少しオシッコを漏らしてしまったよ。御主人、悪ふざけはほどほどにして欲しい。びっくりしてオシッコを漏らすぐらいならどうと言う事もないけれど、びっくりした飼い犬に噛みつかれたらどうするの・・・?

7月10日 はれのちくもり
夕方になって、御主人が疲れたような恰好で大豆畑から帰ってきた。僕は嫌な予感がした。御主人は僕の前に偉そうに立つと「今日のお散歩は無し、御飯だけ!」と宣言した。思った通りである・・・・飼い犬の都合に合わせずに飼い主の都合に合わせてしまうのがいつものやり方である。こんなので動物を飼う資格があるのだろうか・・・やがて御主人は、僕に御飯を与えると何処かへ出かけてしまったのであった・・・・

7月9日 はれ
夕べは、まだお日様も沈みきっていないという中を散歩に連れ出された。夕日がぎらぎらと照りつける様というものは日中の暑さより強く感ずるものなのだ。僕は、これ以上に舌が伸びないと言うまでのばして、あらい呼吸をして自転車に引きずられるように足早で歩いた。帰って御飯をもらい、「ヤレヤレ、今日も一日終わった」とのんびりしていると御主人が暗闇の中から現れて「夕涼み散歩に行こう」と言いだした。「冗談ではない!!今何時だと思っているんだ」と思い噛みついてやろうと思った。夜の9時である。興奮していきり立っている僕をなだめるように、「たんぼでは蛍が飛び交っているという事だから見に行こう」となだめるように言う。そして「帰ってきたらおやつをやるから」という言葉につられて、一緒について行った。夜の散歩というものは御主人が自発的に行くので、義務感がないだけのんびりと歩く事が出来る。なるほど、田んぼのあちらこちらでうす緑色の光がゆっくりと瞬いている。夏の風物詩のようなものである。この光には暑さを和らげる働きがあるのか、僕は夕方のハードな散歩の時のように舌を「ハァハァ」と出す事もなく帰ってきたのであった。と言う事で、おやつはしっかりと戴いたのであった。

7月8日 はれ
「僕のシャンプーに関する噂」が絶えない今日この頃だけれど、いまだに実施されていない。僕のシャンプーは土曜か日曜の午前中に行われる。ところが、今年は6月から7月にかけて土曜日曜が天気が悪かったり、なんか行事や突発的な事が御主人の身の回りに起こっているため(いまだに進行中!!)、僕のシャンプーが実行できないまま今に至っている。その間、僕の身体の垢はたまりにたまり、シャンプーした当時(今ではこの前のシャンプーが何時だったのかもサダかではない・・・)すがすがしく香っていたシャンプー液の匂いも臭気に変わり、ボロぞうきんと同類の境遇になってしまった僕の身体なのである。ええぃ!!この際、シャンプーが恐いだの嫌だのとは言わないから、思い切ってばっさりと僕の身体を洗ってくれぃ!!御主人!!

7月7日 はれ
今日は人間の行事で「七夕」という日なのだそうだ。僕の家では特に行事らしい行事もしない。何でも天にいる恋人同士が1年に一度の逢瀬をするのだという。犬には関係ない事だけれど。今日は天気も良いのできれいな星空が見られると思うよ。もっとも、僕は夕方から夜になると外に出て寝ているからちょっと首を上に向けるだけで見る事が出来るはずだ。しかし、犬は習性上か肉体的構造上なのかはわからないけれど、首を空に向けて思いっきり上げるという行為はあまりしない・・・つまり、自分の真上にあるものは見えにくいのであった・・・・

7月6日 はれ
今日も午後から御主人がよそ行きの服を着てお出かけである。手には書類鞄のようなものを持っている。いつものように僕はお留守番を命ぜられた。そんな事は知った事じゃない。どうせ家に誰もいなくなったのだから僕が一生懸命に番犬のお仕事をしなくても誰も見ていないのである。それに犬の本能として知らない人が来れば、吠えたくなってしまうのだから・・・・だから涼しいトラクターの下でのんびりとお昼寝である。ところが、トラクターのタイヤに紐が引っかかり、僕は身動きが取れなくなってしまったのである。こう言う時に限って御主人やお母さんの帰りは遅くなるのだ。僕はオシッコを我慢しながら、じっと家族が帰ってくるのを待ち続けたのであった・・・・

7月5日 あめがふったりやんだり
昨日からの雨で今日一日ぐずついた空だった。気温が低かったので久しぶりに犬小屋の中へ入ってお昼寝をした。僕の家は総体杉作りなので梅雨時の湿気を和らげてくれる。いくら涼しいからと行っても湿気を含んだ空気はベトベトして気持ちが悪い。だから犬小屋の中ではぐっすりといくらでも眠る事が出来た。あまりにもぐっすりと寝入っているので、御主人なんかは「死んでいるんじゃないか?」と怖々と犬小屋の中にいる僕をのぞく始末である。そして、身体を激しく揺さぶられて、やっと目が覚めた僕なのであった・・・

7月4日 はれのちくもり
御主人のお話によると、鉄道の線路の側の田んぼでお仕事をしていると「わんわんわん」と犬の吠える声が聞こえる。花咲じいさんの墓地かと思って、辺りを見回すと、なんと!!線路の向こう側で御主人に向かって吠えているようなのだ。僕はそのお話を聞いて感心した。番犬のお仕事を熱心にこなしている飼い犬もいるものだと思ったのだ。普段から居眠りばかりしている僕にとっては「飼い犬の鏡」だと思う。「僕も少し気持ちを改めなければ!!」・・・・等とは思わないけれどね・・・

7月3日 あめのちくもり
今日は1ヵ月に一度の「飼い犬対飼い主」の「だまし合い攻防戦」の開催日である。いつもだと月の一日目がこの日に当たるのだけれど、御主人が黒い服を着なければいけない都合があったので今日になってしまった。ここまでお話をすれば「一体何なんだ?」と疑問に思っていたこの日記の愛読者の皆さんは「なるほど、あれか!!」と疑問が氷解した事と思う。そうなのである。あれなのである。ここまで言ってもわからない方は、そろそろイライラしてきた事と思うので、「あれ」の正体を明かそう。一月に一度飲まなければいけない「フィラリアの薬」を呑む日が今日なのである。この日は「呑め」、「呑まない」と飼い主と飼い犬のお互いの主張が真っ向からぶつかり合って激しい攻防戦が繰り広げられるのだ。今日は「ジャムパン」の中に薬を仕込んできた。ところが、御主人の生来のケチな根性が祟ってか、ジャムパンながらもジャムはほとんど付いていなくてほとんどパンばかりである。これでは薬の味がすぐ知れてしまう。僕は口の中に押し込まれると同時に地面に吐き出した。御主人はそれを拾って僕の口を無理矢理こじ開けて放り込もうとするのだけれど、僕も意地があるので歯を食いしばって開けない。やがて御主人が、僕の隙を見計らい息をするために少しだけ開けた口の中に薬とパンを放り込み、口を開けないように手でがっちりと押さえ込んでしまった。こうなると僕としては薬を飲み込まざるを得ない・・・・。かくして、僕は薬を飲み込むと同時に御主人との攻防戦に敗北したのであった・・・いつもの事だけれど、なんと言っても一粒3000円なのでのませる御主人としても必死だろうからね・・・

7月2日 はれのちくもり
今日の御主人は忙しい。対する今日の僕はヒマである。もっとも飼い犬が忙しいなどという事はあり得ないのだけれど、御主人の場合は、朝から忙しい。1日が日曜だったので「県の交通安全日」が今日になった。だから交差点に立って交通安全指導をしなければならない。と、言うわけで僕の朝散歩は無し。午前中はまたまた、黒い服を着て出かけて行ってしまった。そして、午後もだいぶ過ぎてから大きな袋をぶら下げて帰ってきた。果たして、僕の夕方散歩と御飯はどうなるのだろうか・・・

7月1日 はれたりくもったり
梅雨に入ってからは、雲が多い空が続いているけれど、雨の切り上がり方はすっきりしている。激しく降ったと思うとぴたりと止んでしまう。どうも、今年の梅雨は気性がさっぱりしているようだ。
ところで、今日は午後から黒い服を着て出かけていった御主人に代わって、日曜日で家にいたお母さんとお散歩に行ってきた。御主人と行くお散歩は忙しないけれど、お母さんとならのんびりと、道中を楽しみながらいけるから嬉しい。何時もこうだと良いのになぁ・・・