平成19年 11月
11月30日 はれ
さて、昨日の続きなのであるが、夕方散歩に出かけた僕と御主人は、走ってくる人を見つけた。いや、見つけたという表現は適当ではないかも知れない。いきなり僕達の目の前に現れた。と言っても良い。何しろ黒ずくめの恰好の人が、いきなり暗闇から現れるのだから、犬でもびっくりする。思わず後ずさりしたぐらいである。話は変わるけれど、最近夕方から夜にかけての交通事故が多いんだよね。その一因として黒っぽい服装でこんな時間を歩くので車が認識しにくいらしいんだ。だから事故が起きやすいと言われている。この、暗闇から突然現れた人も少しぐらい目立つ服装をすればいいのにと思った僕なのであった。僕の御主人も、どちらかと言えば暗めの服装である。一番目立つ恰好なのが、この僕である。真っ白な下半身と明るめの赤いというか薄茶色の上半身、交通安全ファッションショーがあったら絶対僕が優勝すると思うな。でも僕の場合は生の毛皮だから服装とは言えないのかも知れない・・・と、言うわけで、まだ僕がうらやましく思った話にはたどり着けそうもない。長々とお話をしたので眠くなった。だからこの続きは、又今度ね。
11月29日 はれ
今日は雲一つ無い快晴の一日だった。ただ寒い。午前中はお日様の光を一身に浴びながら地面に横たわってお昼寝をしていたのだけれど午後になって日が陰ってくると寒いのである・・・だから、午後は犬小屋の中で過ごした。作業小屋にいる御主人が「出てこい!!」と怒鳴るのだけれど決して外へは出なかった。でも、さすがに夕方散歩の時間が近づくと身体がウキウキして来て、犬小屋の中でなんか、くすぶっていられないので外へ出た。そして夕方散歩になったので僕と御主人は出かけたのであった・・・・そして、僕をうらやましがらせることが起こった。でも・・・・今日はお昼寝をし過ぎて疲れ、眠くなったから続きは後でね。悪しからず・・・
11月28日 はれたりくもったり
今日は、雲が多いながらも良い天気だった。でも、少し風が冷たい。そのせいか、空気中の湿度が35%しかなかったのだという。犬に、そんなことを言われてもわからないので、なるべく可愛く見えるように首をかしげると、御主人は僕に説明をしてくれた。「空気の中に水分を蓄えることが出来て、その水分量が空気が暖かいと、多くの水分を持つことが出来て、空気が冷たいとあまり水分を持てない性質がある。今日は天気のぐあいで湿度が下がったのだろう」等々と長々と説明してくれたのだけれど、犬には3分の1も理解が出来なかった。でも、その後に僕は実体験として空気中の水分が少ないと言うことを感じ取った。鼻が乾くのである。僕の鼻は何時も湿っている。寝いてるときは乾いているけれどね。それが、今日はやたらに乾くのである。だから「鼻水が垂れている」と言われるぐらい僕は鼻に水分を体内から送らなければならなかったのだ。おかげで、水の入った器は空の状態に近い。喉が渇くからである。「ははぁ、なるほど、湿度が35%しかないとはこの事だったのか!!」と、御主人の説明よりわかりやすかった僕なのであった。
今日の教訓「百聞は一見にしかず!!」の僕なのであった。
11月27日 はれたりくもったりかぜがつめたい
今日の僕は、ちょっと嬉しかった・・・わかりにくいので、犬のすべての脳細胞をフル回転させて理路整然と説明しよう。
それは朝のことであった。僕の耳を掃除しようとした御主人は、僕の首輪をしっかりと握り、僕がイヤイヤをして暴れないように万全の対策を施した。そして、耳の中にクリーニング液を注ぎ込もうとした時、僕は恐怖のあまり暴れ、「スルリ」と首輪が抜けて、僕は自由の身になったのだ。「しめた!!」とばかりに御主人の「待て!!」という声を無視して、一目散に駆けだしたのだった。自由を得た犬に向かって「待て」と言われて待つ様な馬鹿な犬はいない。僕は家を出て、大きな道路から踏切を渡り、目指すはおじいちゃんの家なのであった。しかし、御主人も然る者である。僕の行動はお見通しであった。トラックを小屋から出して僕を追いかけてきたのだ。しかし、僕はまだ気付いていない。途中から一緒になった、よそのおばあちゃんと一緒にバイパスの信号を渡ろうと思い、その人と一緒になって歩いていったのだ。だが目の前には、すでに御主人のトラックが止まっていた。僕は、「何処へ行く」と御主人から、にらまれ、首根っこをわしづかみにされてトラック、いや、この場合は護送車と言っても良いかも知れないけれど、それに乗せられたのであった。抵抗はしなかった。僕の性格は、あっさりとした江戸前のあきらめの良い犬なのである。ただ、逮捕されたときに近くにいた人に「脱走犬だ」と言われたのは少し恥ずかしかった。せめて「しばしの自由を謳歌した犬」とでも言って欲しかった僕なのである。ちなみに、僕が自由を得たのは5分か10分の短い時間だったのだ。それでも300メートルは家から走ったからね。途中で電柱の匂いをかいで、オシッコを引っかけなかったら、御主人から逃げおおせる事が出来たかも知れないけれど、今思っても後の祭りなのである。「今度こそは!!」と、密かに自分自身へ決意表明をしている今日の僕なのであった。
11月26日 はれ
今日も良く晴れた。だだ残念なのは、なかなか外でごろんと寝転がってお昼寝というわけにはいかなかったことだ。なぜかというと、御主人が外にある土のお山(お米の苗を作るための土)を作業小屋の中に入れる作業をしたためなのだ。この土は冬が来る前に小屋の中に入れて湿り気を寒ざらしにして、春までに乾いた土にしてしまおうと行う作業である。・・らしい?。だから僕はトラクターが土を小屋の中に運び入れるのでじゃまになるらしい。と、言うわけで天気が良いというのに犬小屋の中でトラクターの音におびえながら午前中を過ごしたというわけなんだ。この作業は午後から雨が降るというので大急ぎで行われたのだけれど、今日は一日晴れの良い天気なのであった・・・・
11月25日 はれ
久しぶりに晴れたので、僕は外へ寝ころんでお日様とお話をした。
「このまま、お日様と仲良くなれたらいいね。」と、僕が言えば「そんなわけにはいかないよ。これから寒い冬が待ちかまえていて、私の出番が無くなってしまうんだ。」、「やっぱり春までお別れなんだね。」、「春が来たら、又一緒に仲良くできるよ」・・・・と、言うわけで涙と感動のしばしの別れを惜しんだ僕とお日様なのであった・・・・
11月24日 はれたりくもったりのちあめ
今日は我が家に暖かい布団が入った。我が家と言っても犬小屋のことである。犬レベルの防寒対策がなされている犬小屋で中には「使い古した風呂場のマット」、「使い古した玄関マット」、「ぼろぼろになった布団カバー」などが敷かれている。そこに新しく「使い古した座布団」が仲間に加わった。しかもぼろぼろ・・・・中の綿がはみ出している。まぁ、僕の場合はほとんど飼い主達の使い古しが廻ってくる。だから、新しくといった場合でも新品ではないのである。どうせ、我が家は不要品の捨て場みたいなものだからね。ふんっ!!
11月23日 くもり
少し早い夕方散歩に行ってきた。早いといっても15時過ぎた頃なのであるけれど、御主人にはもくろみがあるらしい。あえて「何かあるのか?」とは聞かなかった。まぁ、それはよいとして、少し早い夕方散歩に行くと田んぼの真ん中に大きな鳥が2羽いたので興味深げに見ていたら「白鳥だ」という。そういえば、今年は白鳥さん達の大群が大空を南西の方角へ元気良く飛び去っていく姿を見なかったなと思った。「でも、なぜ2羽だけ?」・・・・一羽は真っ白な身体だけれど、もう一羽は身体全体が灰色をしている。御主人の話によると、灰色なのは、まだ若い鳥なのだそうである。二羽で田んぼの中の落ち穂でも拾って食べているのだろうか?・・・・「でも、なぜ2羽だけ?」僕は何度も同じ事を御主人に質問してみたけれど、答えてはもらえなかった。そして「はたっ!」と思ったのであった。こればかりは白鳥さんに聞いてみないとわからないことなのであった・・・・
11月22日 ゆきがふったりやんだり
はぁぁっ・・・冷房だの、氷だの、御主人のティシャツ一枚でのお散歩、だのと言っていた頃が懐かしい。トラクターや田植機の下で避暑をしていた頃が遠い思い出となってしまっている。そんなことを防寒対策がなされた犬小屋の中でうつらうつらと舟をこぎながら思っていたりした今日の僕なのであった。御主人もお出かけだし、外の吹雪の音はうるさいぐらいなので、誰かが我が家にやってきてもわからないし、わかっていながら万が一、何かあったとしても吹雪の音で聞こえなかったと言うことにしても良いと思った僕なのである。・・・・・・・
注・・・犬小屋の防寒対策とは、あくまでも犬が耐えうるレベルでと言うことである。ちなみに秋田犬自体の防寒レベルは人間よりもはるかに高いこと忘れないように!!
11月21日 ゆきがふったりやんだり
今日の御主人は、視察研修という名目で、松尾芭蕉の「奥の細道」で有名な象潟と言う所へ行った。なに、研修視察とは銘打ってはいるけれど、懇親会に決まっている。朝から出かけていったのだけれど、夕方に帰ってきた時は、身体から温泉の匂いとごちそうの匂いがしたから、まず間違いはない。それで、いつもは面倒くさがって僕を散歩に連れて行かないのに、今日は研修視察名目が実は!!、と言うのが僕の口からばれないためか、僕の機嫌を取って夕方散歩に連れて行ってもらったのだ。でも、吹雪の中だったので少し行っただけで帰って来たけれどね・・・・
注・・・僕は別に御主人を鵜の目鷹の目で監視しているわけでは決してない・・・かも?
11月20日 はれのちあめ
今朝は雲一つ無く晴れたので、あちらこちらに氷が張っている。御主人が、朝散歩へ行こうとやってきたので、僕はうれしさのあまり、そこいら中を駆け回った(いつものことだけれど)。すると、氷に足を取られて「ツルン」と滑ってしまったのだ。そして、左前足の、人間で言えば親指の爪が折れてしまったのだ。人間に例えれば、「生爪をはがしてしまった」とでも言うのだろうか?。少し痛い・・・御主人が「見せろ」というのだけれど、痛いので「イヤイヤ」をする。血がにじみ出ている。やれやれなのである・・・・そして、御主人から「おまえも若くないのだから、あまりはしゃぎすぎないように」と注意された僕なのであった。御主人も同様だけれどね。
11月19日 ゆきがふったりやんだり、
まさか、初雪がいきなり積雪になろうなどとは、いくら犬でも考えもしなかった。オオカミさんだった頃の野生時代の本能を駆使すれば事前に予測は出来たはずなの・・・飼い犬になってしまった犬族は駄目になってしまったものだ。それは人間にも言える。天気予報などで「雪が降る」と言っているのに何も準備をしようとしないのである。おかげで、今朝の御主人はお母さんの車や自分の軽トラックのタイヤをあわてて取り替えなければならないことになってしまった。自然を軽視しすぎてしまった人間に対して自然が手痛いしっぺ返しをしているのだと思う。飼い犬も反省しなければならないのだけれど・・・
11月18日 あめのちゆき
なっ、なんと!午後から雪が降って来た!!午前中は冷たい雨がシトシトと降っていたので僕は犬小屋の中に閉じこもっていた。「昨日よりも冷えるな」とは感じていたのだけれど、午後になって雨の中に雪が混じってきたので驚いた。ちょうどオシッコがしたくなったので外へ出て雪が降っていることに気付いたのだ。「とうとう、やってきたのか・・・」という思いなのである。毎年の事とはいえ、雪が降るのはなるべく遅い方がよい。だけど雪が降らないと困るし、北国の犬としては雪の降らない冬は居心地が悪くて違和感がある。降っても困るし降らなくても困る。、雪は相矛盾する存在なのである。と、言うわけで季節は晩秋と言うより冬になってしまった我が故郷の秋田なのであった・・・・おっと!、僕は山形生まれの秋田犬なので僕自身の故郷ではないけれど、秋田犬の故郷って言う意味なのだ。くどいことを言うようだけれど・・・
11月17日 くもりのちはれ
最近の僕は赤犬になった。夏の間中、御主人から白犬と呼ばれ続けていた僕なのであったけれど、最近になって、ようやく僕が赤犬であることが認められたのだ。僕の身体というか毛皮は、不思議なことに夏の毛替わりになると白っぽく見えてしまうらしい。もっともアゴのあたりから、お腹から尻尾の下側は真っ白なので、表は赤犬で、裏は白犬なのだけれど秋田犬の血統書から言えば赤犬の分類に入るのである。なぜ夏になると白っぽくなるのか不思議なのだけれど、秋が深まり冬が近づくと、なぜか赤犬になってしまう。たぶんお山の木の葉と同じように僕の身体も紅葉するのではないかと僕は考えているのだけれど・・・・
11月16日 はれたりくもったり
今日はお向かいの工場が新しく建物を建てたというので竣工式に御主人が出かけていった。工場見学にはたくさんの人が来たようだけれど、僕は犬小屋の中に閉じこもっていたので「わんわんわん」と吠えることが出来なかった。そんな状態だったので、お向かいにやってきたお客さん達に、うるさく思われないで「ホッ」としている御主人なのであった。夕方になると、お仕事から帰ってきたお兄さんがホテルで開かれている竣工式祝賀会に出かけていった。御主人と二人でお招きされているのだという。やがて、お母さんがお仕事から帰ってきたので、僕も「ホッ」とした。なぜなら御飯をもらえるからなのである。そうしたら、今度はお母さんまで出かけてしまい。我が家のお留守番を一手に引き受けなければならなくなった。緊張が高まる・・・・(嘘だけど)しばらく経つと、お母さんの車が帰ってきて、御主人と上のお兄さんが乗っていた。どうやら祝賀会が終わったので、お母さんがお迎えに行ったらしい。僕は大喜びで尻尾を振ってお迎えをした。そうなのだ。僕は外へでて、フセの恰好で腹這いになり三人が帰ってくるまで待ち続けたのであった。「はぁぁ〜、寒かった!!」
11月15日 はれのちあめ
僕は御主人から、毎日のように遊んでもらっている。もちろん朝夕の散歩とは別である。でも・・・遊んでもらう場所が犬小屋の中というのが情けない・・・どんな遊びをするのかというと、僕のお気に入りであるプラスチックの植木鉢を犬小屋の中で御主人がころがして、僕がそれを獲物に見立てて襲いかかる。と言う単純な遊びなのだ。この遊びは、本当に誰もいなくて退屈をして居る時も1人でやる時がある。だから御主人も、こんな単純な遊びではなくて、共に楽しめるような遊びを考えて欲しいと思っている今日この頃の僕なのであった。
11月14日 くもり
何度も言うようだが、御主人は列車が好きなのである。だから下のお兄さんが住んでいる東京とやらへは決して飛行機では行かない。近くの空港へ1時間弱の時間を車を運転していくのも面倒なのだけれど帰りは又、面倒なのだという。それに、前述したように電車が好きなので電車に乗りたくて仕方がない。これはどうしようもない性とも言うべきものなのだろう。何でも、御主人の書斎(四畳半ほどで、僕の犬小屋の3倍ほどの空間)の本棚に列車コレクションが並べられてあるらしい(安物のお菓子のおまけなどであるのだけれど・・・)。それと同時に年代別のゴジラ人形?、旧日本海軍の戦闘機模型等々が同様に並べてあるらしい。さて、話は列車に戻る。このようにして列車好きの御主人なのであるから、我が家の近くに線路があって、列車の通過で家が揺れようが何しようがかまわないのだ。本当は家の中で鉄道模型を走らせたいと密かに思っているのだが恐くて出来ないでいるらしい。なぜなら場所がないのと、のめり込んでしまうかも知れないからなのだという。それに、今のめり込んでいる40年ぶりに再開した「笛吹き(フルート)」の練習がおろそかになってしまうこともおそれている。趣味があることはけっこうだけれど、「秋田犬を飼う」という趣味、もしくは義務も忘れないで欲しい飼い犬の僕なのであった。
11月13日 くもりいちじあめ
無精な御主人が、やっと重い腰を上げた。僕の公徳を広めるためのホームページが長い間、更新されていなかったのだけれど、今日やっと更新された。と、言ってもメインのページと僕の「おまぬけ日記」だけだけれどね。御主人も歳をとったせいか、だんだん無精になるね。あまり飼い主のことはいいたくないのだけれど・・・・なんて陰口をきいていたら、「誰の公徳を広めるためのページだって?、おまえの間抜けさ加減を全世界に知ってもらい。こんなおまぬけはしないようにと言う、いわばイソップ童話のような教訓に満ちたページなのだ!!」・・・等という。年を取ると、陰口に対してだけ耳がさとくなって、言うことが説教じみてくるから困ってしまう・・・・
11月12日 ごうう
「今日も外は雨、だけど傘がない・・・」なんて言う歌が人間世界にあったような気もするが、犬は肉体的構造上傘が持てないようになっているので、例え傘があったとしても外へ出かけることが出来ない。だから、今日の僕は犬小屋の中へ引きこもっているのだ。午後になって、おばぁちゃんがやってきたので、ぴょんぴょんとうれしさを表しながらまとわりついてみたけれど収穫はなかった。御主人は、雨だというので今までにたまりにたまってしまった事務仕事を片づけてしまおうというのか、外へはまるで出てこない。僕としても朝散歩と夕方散歩「、それに御飯とおやつをもらうことが出来れば、あとは御主人なんて必要ないのだけれどね。
11月11日 あめ
今日は一日中雨だった。一日中犬小屋の中である。この雨も「夜更け過ぎに雪へと変わる・・・」はずもない。まだまだ雪の便りは耳に入って来ない。霊峰鳥海山は五合目当たりまでは雪の薄化粧をしているけれど、麓は、まだまだなのである。でも、これから雪の季節になってくると終日犬小屋の中に閉じこもる日々が続く・・・このまま秋の小春日和が続くか、早く春が来て欲しい僕なのである。
11月10日 はれ
人間世界には古典文学というのがあって、その中に「枕草子」という、今で言えばエッセーのようなものがある。「春は曙・・・云々」というあれである。今は秋。枕草子の中で秋はどういっているのかというと「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、からすの寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。」と、ある。
ところで、犬にも古典文学というものがあり、この枕草子と似たような作品もある。さて、犬の文学作品から見た秋はどうなのだろうか、「秋は日だまり、腹を出して地面に横たわるも心地よし、時々、起き出してうろうろするも、いとおかし。等々と、人間世界のパロディが犬文学の神髄なのである。と、言うわけで、お日様の下で、ぬくぬくと熟睡した僕なのであった。
11月9日 はれ
今日は良く晴れた。午前中は暖かいぐらいの日射しだったので外へ出て地面に寝ころんでいた。すると、御主人が「じゃまだ!」と怒鳴る・・・お米を包んでいたモミガラを田んぼへ運ぶお仕事をしているのだ。僕がトラックの通るところの真ん中へ寝ころんでいるものだから、小さいハウスの中からモミガラをトラックに乗せて運んでいる御主人にとって僕は邪魔者なのである。どかないで、そのまま寝ているとトラックにひかれてしまいそうなので、不承不承、脇にほんの少しだけよってやった。せっかく日の当たる最良の場所でお昼寝していたのに・・・ほんとに飼い主ってわがままだよね!!
11月8日 はれのちあめやらかみなりやら・・・
朝方は晴れていたのだけれど、だんだん曇って雨が降り始めてしまった。おまけに、すさまじい雷である。昨日は一日、犬小屋の中に閉じこめられたので、今日はお日様の下でお昼寝をしたいと思っていたのだけれど、そうも行かなくなってしまった。と、言うことで早々に犬小屋の中に引きこもってしまった。でも一日、何もしないのに夕方になるとお腹が空く。御主人が御飯を持ってくるのが待ちきれない今日この頃の僕なのである。今日の御飯はごちそうだった。ごちそうと言っても、いつもの御飯の上に半分に切ったゆで卵が2つ、そしてゆでたブロッコリーがいくつかのっている。僕の場合は、こんなメニューでもごちそうと呼ぶ・・・普段の食生活がうかがわれる、なさけないような言葉である。と言うわけで、僕がこのブロッコリーを食べたのか、はたまた残したのか非常に興味深いと思う。では、この結果は後日!!
11月7日 はれ
以前から、「僕は犬小屋の中に一日中閉じこめられてしまう」という予言が流布されていたのだけれど、まさか、その日が今日だとは思いもしなかった・・・・朝散歩に行く前に御主人が作業小屋のシャッターを開けて、あちらこちら整理していたので僕は普段しないことをしているな?と、不思議に思いながら見ていたのだけれど、散歩に行った後、「今日は犬小屋の中だ」と御主人から言い渡されてしまった。今日は農協でお米を取りに来る日なのだそうだ。だから、僕は犬小屋の中に閉じこめられる。お米をトラックに積み込む人達に僕が危害を加えないようにと言う御主人の勝手な思いこみからである。・・・・と、言うわけで、御主人は大豆の刈り取りに出かけてしまい。僕は午前中一杯、犬小屋の中に閉じこめられた。ところが、午前中はお米を取りにやって来なかったのだ。お昼に帰ってきた御主人に一時的に犬小屋の中から解放されたが、午後になって御主人は、又大豆の刈り取りにお出かけである。そして、僕は又犬小屋の中に閉じこめられたのであった・・・・幸い、上のお兄さんが帰ってきたので、僕はやっと自由になったのであった・・・・ヤレヤレ・・・の一日になってしまったのであった。お日様の下でぬくぬくとお昼寝をしたかったよ〜!!
11月6日 くもり
家の御主人は、せっかちであると同時にのんびりしているという矛盾した性質の持ち主である。自分に対してはのんびりとしているが、人や犬に対してはせっかちである。一緒に散歩をしていると、そのせっかちさが矢のようにびしびしと僕に突き刺さるような感じを受ける。今日もそうなのだ。僕は草むらの匂いをかいで、この匂いの上にオシッコをかけようかどうしようかと、しばらく迷っていると、御主人が「早くしろ!!」という。まようことも楽しみの一つだというのに、是非を確実に、しかも即断即決を求める御主人なのである。これはたぶん、何時も僕が言っていることだけれど、犬の散歩を義務としか考えていないので、早く「散歩」という義務から解放されたいという飼い主の心理が飼い犬に対して、素早い判断と行動を求めるのではないかと推察する・・・・おぉぉぉ〜、今日は犬の僕にしては珍しく理論的に御主人分析をしている。こんな事は1年に数えるぐらいしかないのに!!
11月5日 うすぐもり
稲刈りも終わり、モミスリも終わって「ホッ」と一息の御主人だったのだが、今度は大豆の刈り取りが始まった。このように書くと、毎日お仕事や公務などに忙しい御主人のように見えるが、本人が忙しがっているだけで、犬の僕から見たら飼い犬よりのんびりしているのじゃないかと思うぐらいなのである。もっとも、御主人は飼い犬のように朝っぱらからお昼寝などしないし、散歩と御飯だけを楽しみともしていない。一体御主人は、何を楽しみにしているのか・・・?ビールを飲みながら、この日記で飼い犬の悪口を好き放題に書き連ねて憂さを晴らし、朝の5時半から6時半までの間に笛を吹いて憂さを晴らすのか・・・・犬にはうかがい知れない人間の、と言うより御主人の心理状態なのであった。
11月4日 はれ
朝は、ひどい霧だった。一寸先も見えないぐらいで、風景の中に濃い牛乳を流し込んだみたいだった。これが牛乳だったら僕のお腹がパンクするぐらい飲めたのにと思ってしまう・・・ところで、僕の御飯は、ドックフードに犬カンと御飯を入れ、牛乳でおじや風にして食べている。しかし、このことに関しては前述の文章とはなんの関係もない。僕は、ただ文学的に風景を表現したかっただけなのであった・・・・・でも御主人は、食べ物的に表現をしたと言っている。だって犬だから・・・
11月3日 あめがふったりやんだり
雨の日が続く・・・一日、犬小屋の中に閉じこもる。外は夜なのか昼なのかわからないぐらい、犬小屋の中は暗いのである。暇を持てあますと中で骨とプラスチックの植木鉢を相手に暇をつぶしているのだ。御主人よ!!今日はお休みの日なのだから飼い犬の相手をしないか!!ガウンガルルルル〜!!・・・・と、唸り声を上げたいと思っている僕なのである。
11月2日 くもりときどきあめのちくもり
昨日は、お昼頃から土砂降りの雨だったのだけれど、御主人は、その土砂降りの雨の中をお出かけなのであった。トラックでである。そして、夕方になっても帰ってこない。幸い、お母さんが夕方になって帰ってきたので、御飯だけはもらえたけれどね。結局、御主人が帰ってきたのは21時頃だった。しかも、トラックで出かけたのにタクシーで帰ってきた・・・・傘を持っているのに、裾はずぶ濡れである。・・・・もっとも、半端な雨の降りようじゃなかったので、一応傘を持っているのに濡れていることに関しては納得したので深くは追求しない。納得できないのはトラックで行ってタクシーで帰ってきたことである。お酒を飲んだのなら代行車で帰ればいいのに・・・・と、単純な犬の頭で考えても、そう思う。でもトラックを何処かへ置いてタクシーで帰ってきたのであった。そして今朝、僕の散歩へも行かず、御主人は自転車に乗って、ものすごい勢いで家を出て行った。それが6時30分だった。そして、6時50分になったら御主人がトラックを運転して帰ってきたのだった。「なに、それ?」って思った・・・ここの家の飼い犬になって7年経っても、御主人の行動は、いまだに理解できない僕なのであった・・・・
11月1日 くもりのちあめ
御主人が、僕の大事な食器を転んで落とし、割ってしまったのは10月26日の日記で、すでに述べた。本当にきれいに真っ二つに割れてしまったのだ。長らく処理もされないまま、ほったらかしにされていたのだったが、この度、御主人が一日かけて修復して、又使えるようになったことは喜ばしいことである。いずれ写真でもお目にかけるかも知れないけれど、修復のあらましをここで述べてみようと思う。まず、割れた部分に「超他用途、高性能 セメ○イン」というのを塗り、かけらを貼り合わせて丸一日そのままにして置く。完全に乾いてくっついたら、ひび割れに「箔ピタ専用ノリ」というのを盛り上げるように塗っていく。1時間ほど置いて白濁していたノリが透明になった頃、「箔ピタ」という同じブランドの金箔の張り付いた紙をノリの上に押し当てると、「あら!!不思議!」ひび割れが隠されて、骨董品の修復によく見られるような、「金繕い」が出来上がるのである。でも、本当の「金繕い」は破片を接着した後のひび割れに漆を塗って、その上に本物の金粉を振りかけていくのだ。ところが、御主人の方法は、「金繕いもどき」とも言えないようなごまかしの繕い方なのだ。金箔も本物ではない。ホームセンターの文房具コーナーで売っている、一応それらしく見えるけれど、見る人が見たら、脱力してしまいそうな品物と、修復の仕方なのである。でも、一応、食器が治ったので、これ以上御主人を追求しないようにしようと思っている僕なのであった・・