平成20年 2月
2月29日 はれのちくもってあめ
今日は朝からお日様が見えたりして春めいた天気になった。ところが散歩に出かけると、道路が泥んこになっている。自慢の白い毛が台無しである。かといってシャンプーしてもらうには時期が早すぎる。・・・・・
朝は日射しが出たけれど、だんだん曇って雨が降ってきた。昨日の僕は曇っていたけれど降り積もった雪の上に寝ころんでいたのだけれど、今日は、いくら暖かいからと言ってもシャーベット状になった雪の上には寝ころぶ事が出来ない。と、言うわけで犬小屋の中から外の様子をうかがいながら一日を過ごした僕なのであった。
2月28日 ふぶきのちくもり
昨日よりは、幾分か「良いかな?」と言った天気になった。でも、朝起きて犬小屋から出ると、新たなる雪が降り積もっていた。御主人も「除雪しようかどうしようか」と悩んだらしいのだけれど、「寒いから」という理由だけで止めたようだ。その降り積もった雪も午後になるとぺったりとしてグズグスになってしまった。どうやら、今日の気温は少し高めらしい。何でも、明日は雨の予報が出ているらしい。これは!、もしかすると!、雪消えの予兆なのだろうか?。春の訪れをわくわくしながら待ちわびる、今日この頃の僕なのであった。一方の御主人は、春になると忙しくなると、顔をしかめるのであった。がんばれ!!御主人!!
2月27日 ふぶきのちくもり
朝散歩へ出かける時は「猛吹雪」だった、一寸先も見えないぐらいの吹雪だったんだ。僕が目を覚まして犬小屋から出た時は無風で雪がチラチラと舞っていただけなのに、御主人が家から出て犬小屋へ向かったとたんに、この吹雪なのである。こんな現象は、御主人と生活を共にしていると珍しい現象でもなんでもない。日常茶飯事の出来事と言って良い。たぶん、・・・・僕の口からはあからさまに言えないけれど、御主人は「お天気に呪われているのだ!!!」(キッパリッ!!)
かくして、吹雪は、時々お休みをはさみながら午前中いっぱい荒れ狂ったのであった。
2月26日 くもりのちあめ
今日は日本人の歴史上、重大事件が起こった日だという。まぁ、犬にはどうでもいい事だけれど、犬にとって重大な出来事と言えば、今日は雨降りになってしまったと言う事だ。「なってしまった」という言い方は、あまり嬉しくないような言い方ではあるけれど「春」めいてきたという事でもある。と、同時に暖かくなって雪が消えるのだという証にもなる。では、なぜ雨降りになってしまったという言い方を僕がしたのかと言えば、雨が降ると雪が消えて道路が泥んこになって、僕の自慢の白い毛が真っ黒になってしまう事を憂えたためだ。春になるのは嬉しいけれど、お腹が泥んこになるのは困る。「痛し痒し」とはこんな風な時に使う言葉・・・なのだろうか?
2月25日 はれたりくもったり
今日は、何となく春先のような天気になった。特に暖かいわけではないけれど日射しが柔らかいのだ。真冬に日の光が射す事があっても、どことなくよそよそしい感じがするのだけれど、今日のお日様の光は、ふわりと僕の身体に暖かい薄布をかぶせてくれるような優しさがあった。
御主人は、昨日まで降った雪の除雪である。病は相変わらずなのだが、することをしないと身動きが取れなくなる。と、言うわけでトラクターが動き出し、外に寝ころんでいた僕は、いつものように犬小屋の中に引っ込む。お日様の光がもったいない・・・除雪が終わると、御主人がプラスチックの植木鉢を使って遊んでくれた。御主人が放り投げた植木鉢を僕が拾ってくると言った単純な遊びである。でも、お日様の光を浴びながら遊んだので楽しかったよ。!!
2月24日 ゆきがふっている・・・かぜがないている・・
今日は、紛れもなく冬型の気候なのである。何処にも春の気配を感じさせない、厳しい冬型なのである。
ところで、毎日「寒い、寒い」と泣いている御主人である。しかも病人である。そして、どうやら、決まって毎年2月の今頃に患う風邪が、どうも今年の風邪は違うぞ・・・と思い始めたようだ。熱が下がらず、咳も痰も頭の重さも相変わらずなのである。そんな具合なのに僕の世話をする。僕としてはありがたいけれど、なんだかなぁ・・・・気が引けるよ・・・
2月23日 ぼうふうせつはろうけいほうはつれい
朝散歩に出かけると「これは、コチフカバニオイオコセヨ・・・だな」と呪文のような言葉を御主人が言った。「コチ」とは東から吹く風の事を言う。この風が吹いてくると天気が悪くなるのだという。又、今頃の季節に吹くと暖かい風の東風が春を運んで来るとも言われている。その昔、太宰府に流された管原道真公が京都を偲んで詠んだ和歌だという。「東風ふかば 匂いおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」がそれである。「京都にある梅の木よ 東風が吹いたら、その花を開いてくれ、主(管原道真)がいないからといって、春を忘れないで必ず花開いてくれ」という意味らしい。自分自身の境遇と将来に対する希みを梅の花に託した名歌である・・・・と言われている。
と、長々と説明したけれど、僕が何を言いたかったのかというと、朝散歩に出かけると、東よりの風が吹いてきて少々暖かかったのだ。そこで「これは、コチフカバニオイオコセヨ・・・だな」と、言ったのだ。和歌に託して「春の兆しだな」と言おうとしたのかもしれない。ところが・・・・朝散歩からしばらくして、僕達の地方には暴風雪波浪警報が発令されて、雪が時折吹雪のように降り、思いっきり冬型の天気になってしまったのであった。
2月22日 はれのちくもりいちじあめ
今日の御主人は病人のくせに朝から何処かへ出かけていって、夜遅くまで帰ってこなかった。今頃の季節になると様々な総会が開かれるので、それの対応に当たっているらしい。総会とは犬にはなんの事かわからないけれど、煩わしいものだけれど、きっちりと対処しなくてはならない物事らしい。「ほどほど」、「適当」を信条としている犬には出来ない事だ。さすが人間である。その心がけに賛同する事はないけれどね。
さて、夜遅くなって帰ってきた御主人だったが、珍しくお土産を持ってきてくれた。懇親会で余ったお酒のおつまみである。鳥の唐揚げ、ハタハタの唐揚げ、ハム等々である。脂っこいものばかりだったが、食べた。・・・・まぁまぁ、おいしかったよ。ところで、御主人は病人だったので酒は1滴も喉を通らなかったらしいのだ。かわいそうに・・・・
2月21日 はれたりくもったり
今日は、何だか春めいたような感じだった。うまくは言えないけれど、薄日が射して、何となく空気が柔らかく感じられる。長い間自然と共に暮らしてきた、御先祖であるオオカミの感覚が僕にそう感じさせるのだろう。
一方、御主人の事である。風はセキがひどくなってきたらしい。熱は上がったり下がったりと忙しい。それでも、僕の朝と夕方の散歩には連れて行ってくれるし、御飯もちゃんと用意してくれる。実は、反省しているんだ。昨日は御主人の言葉に腹が立ってしまったけれど、病をおして僕の世話をしてくれているんだと思うと、そのありがたさに涙が出て、御主人に向かって両前足を合わせたんだ。もっとも、犬は、その肉体的構造上、両手を合わせる事は出来ないし、涙も流す事はほとんど無い。涙は目の調子が悪い時ぐらいなものだ。(心の中でね)・・・・・等と、犬の肉体的構造上と、たびたび言ってきた僕なのであったのだが、近頃の新聞の記事で、お寺に飼われている犬が後ろ足で立って、前足を合掌するように合わせて人気を呼んでいるのだという。これは、うかうかしていられなくなってきたぞ!!。何でも、お寺の住職が教え込んだら2〜3日で覚えたのだという。きっと、僕にも御主人の魔の手が迫り、僕に合掌の仕方を覚えるように強要するに違いない。今の内に何処かへ逃げるか、いいわけを考えておかなければ・・・・
2月20日 あめのちゆき
雨が降ってきたので、これは少しでも雪が溶けるかなと思っていたんだ。すると午後も遅くなってから雨が雪に変わって、あたりが見えないぐらいの降りようになってしまった。どうやら、冬は春にいくらかでもその地位をまだ譲り渡す気はないようである。
ところで、風邪を引いた御主人である。熱は38度ぐらいだという。犬の平常体温と似たようなものだから大丈夫だろうと思っていたら大間違いだった。人間の平常体温は35度の半ばぐらいから36度なのだという。ちなみに御主人の平均体温とは35度の半ばから後半位なのだそうだ。まぁ、御主人は「冷血動物」みたいなものだからそんなものなのだろう・・・・それで、今日は調子が良くなったのか午後から出かけていったようだ。2時間ぐらいで帰ってきたけれどね。御主人は車から降りるなり、「又、熱が出て来たし、雨もミゾレになっているから今日の散歩は無し!!」と、病人のくせに威勢の良い声ではっきりと僕に告げた。僕はせっかく御主人が帰ってきたのでお出迎えしようと外へ出たとたんに、この言葉なものだから、腹が立って犬小屋へ引っ込んだ。そして、中にあるプラスチックの植木鉢に不平不満をぶつけるようにしてもてあそび、暴れたのだった。
そこで、心を落ち着かせるために一句詠んでみたよ。
2月19日 はれ
御主人が風邪を引いたらしい。昨日の朝から鼻水が止まらなくなったそうだ。その晩からは熱が出て、今日一日寝ていたのだった。おかげで僕は朝散歩へも行けなかったし、おやつももらえなかった。夕方散歩も駄目になった。御飯だけはもらえたけれどね。鼻水なら僕も常に出ている。鼻水が出たぐらいで参ってしまう人間とは不思議なものである。犬の場合は鼻水が出て鼻の全体が濡れていないと困った事になる。そういう性質を持った動物なのだ。反対に、人間が常時鼻水を流したりして鼻が濡れていると、どういう事になるのだろうか?・・・こういう状態が当たり前ならば別にどうという事もないのかも知れない。何時もと違った状態だから困るのである。
あっ!あまりこざかしい理屈を言うと体温(熱)が上昇中の御主人の頭が割れるように痛むらしいから、ここら辺で止めておくよ。願わくば早急に、御主人のご本復を願い奉りたいものである。
2月18日 はれたりくもったり
何だかお腹の調子が悪い。御飯を残してしまうのだから自分でも驚いてしまう。飼い犬は、出された食べ物はすべて食べるのがマナーなのだから、僕はマナー違反をしている事になる。でも、前の晩に残した御飯は次の日の朝に食べるのだから、結局は戴いたものはすべて食べてしまう事になるのだ・・・だが、それが悪循環になってしまい。又、夜になると食べる事が出来なくなってしまう。それの繰り返しが、ここ2〜3日続いているのだ。お尻からの落とし物は通常通りなので、「これは、ひょっとすると御主人が僕に出す食事の量を見誤ったのかも知れないぞ」と考えた。そう御主人に言うと、「今朝から残った御飯はすべて捨てる事にした」と言い渡された。ちょっともったいない事をしたかな、とも思ったけれど、お腹の調子が元に戻るのならしかたがない・・・・かなぁ?
2月17日 ゆきがふったりやんだり
きょうも雪が降り積もった。いつもの年だと、今頃になれば雨が降ったり、暖かい日があったりで雪が少しずつ消えていくものなのだけれど、今年は逆に降り積もっていくようだ。雪が降り積もるたびに僕の大きな足跡が雪の上に点々と付いていく、御主人は「雪の上に咲いた白梅のようだな」などと、のんきな事を言う、だが靴や靴下がはけない犬は、ただ黙々と雪道を歩く以外にない。もし、豚が雪の上を歩くと、真っ白な桜の花びらが雪の上に散っているように見えるのかも知れない。だって、ほら!豚の足ってそうなっているような感じがするじゃないか・・・
そこで、久しぶりに一句、
「雪白し 春待つ犬の 足の跡・・・禄食」犬のところを豚と置き換えてもいいかもね!
でも、この句って「季重ね」・・・かもね?
2月16日 くもりときどきふぶき
毎日、終日氷点下の日が続いている。「もう寒いのは嫌だ!!」と御主人は毎日泣いている。2月生まれのくせに寒いのが大の苦手なのだ。正反対に7月生まれの僕は暑いのが大の苦手と来ている。これは、この日記でもたびたびお話しした事なのだ。もっとも犬は大概暑いのが苦手なのではあるけれど・・・人間もそうかも知れないけれど、秋や春が一番過ごしやすいし、気持ちがよいから、大概の人がこの季節が好きなのだと思う。僕もそうである。でも、御主人は「夏」の方が好きだという。何処までもひねくれている御主人なのである。「なぜだ」と僕が噛みつくように聞くと、「農家にとって春と秋は忙しいばかりで季節を感じ取る余裕もない」という。たしかにそうである。それに、御主人は僕の「犬生7年間」でじっくり観察した所に寄れば、たしかに夏をおう歌しているようにも見える。やれやれ、性格も性質も体質も正反対の飼い犬と飼い主なのであったのか・・・・この先、上手くやっていけるのだろうか・・・?。でも、7年も一緒に暮らしたんだからね。きっと・・・
2月15日 くもり
暴風雪の峠は越したようだ。何しろ昨日などは列車が僕の家の前を通り過ぎる時のスピードが自転車ほどの遅さだったんだ。細かい雪煙を上げて、颯爽と通過していく、いつもの姿とはぜんぜん違っていた。それだけ風が強かったというわけなんだよね。いつかの強風による転覆事故を受けて慎重に運転しているらしい。
ところで、昨日は「聖バレンタインディ」という風習を行う日だと言う。何でも男の子が女の子からチョコレートなどをもらうらしい。だけど、僕は男の子だけれど、ひとかけらもチョコレートをもらえなかった。・・・・・でも考えてみれば当たり前なのかも知れない。僕は、もうすでに7才である。人間で言えば「中高年」の域である。子供とは言えない・・・・それに僕って犬だから・・・・
2月14日 かぜつよし、さむし
今日の御主人は、朝から軽トラックで何処かへ出かけていって夜になっても帰ってこなかった。いや?、夕方に一度帰ってきて、僕に御飯をくれると、トラックを置いて歩いて何処かへ出かけて行ってしまった。そして帰ってきたのは、先ほども言ったように夜の9時を過ぎた頃だった。外はすごい風と冷え込みなので出迎えもしなかったし、御主人も犬小屋へやってこようともしなかった。そんなわけで、今日は御主人と朝散歩の時に顔を合わせたぐらいなものなのだ。「すれ違い主従」とはよく言ったものである・・・・えっ?、誰が言ったって?・・・・・・・・?
2月13日 ふぶき
今日は一日中、冷凍庫の中で過ごしたようなものだ。冷凍庫の温度がいくらぐらいあるのか犬の僕には知るべくも無いのだけれど、ものが凍るらしいから零下の気温には違いない。僕の住んでいるここら辺も一日中ものが凍ったままである。もちろん、人や動物は凍らないけれど・・・・僕の飲み水なんかは底まで凍ってしまっていて、喉が渇いた時は雪を食べたりしなければいけないのだ。真っ白な雪は、一見きれいでおいしそうに見えるけれど、実際は何が混じっているかわからないから恐い。何処かの国の食品みたいなのである。ホコリやゴミ、空気中の有害物質等々、犬にはわからない何かが入っているらしい。
暴風雪警報が出されている僕達の地方なのだけれど、時々お日様が顔を出したりする。おかしな天気なのだ。なのに気温は−の4度ぐらいなのだ。とにかく、今日の僕は犬小屋の中で「冬ごもり」の一日だったのだ。
2月12日 ゆきのちふぶき
又、一転して、天気は「冬」に戻ってしまった。日中は「チラチラ」と、雪が舞っていたのだけれど、僕達が夕方散歩に出かける時刻になったら「地吹雪」のように細かい雪が煙のように北西から吹き付けてくる。「どこかで何か燃やしている煙じゃないかしら?」と思ったぐらい細かい雪が吹き付けてくるのだ。おかげで、夕方散歩へ向かう僕の顔に雪が張り付いて、顔だけ白犬になってしまった。江戸時代の女性が、真っ白な「おしろい」を顔に塗りたくったような状態になってしまったのだ。これで、僕がメス犬だったら「色白の秋田美人」とでも呼んでもらえたかも知れないなぁ・・・?
2月11日 はれのちくもり
今日は、昨日にも増して暖かい一日になった。日中の気温が6度にもなったのだ。3月上旬並の気温と言って良い。昨日の暖かさで雪が溶け出して濡れた地面が、今日はお日様の光と暖かさで乾いて、僕が座れるようになった。そこで、早速外へ寝ころんでお昼寝を決め込んだのだった。もちろんお仕事もしたよ。「わんわんわん」と、隣のアパートに向かって何度も吠えたんだ。普段見かけない人を見つけたものだからね。それと、小さいハウスのほうれん草と春菊も徐々に大きくなっているようだと御主人が言っていた。犬には関係ない食べ物だけれど、ビニールハウスの中で一足早く春がやって来ているっていうのは、何だか僕の心までウキウキしてしまう出来事なのだ。「春よこい、早く来い」と童謡の中で「みいちゃん」が赤い鼻緒の履き物を履いて外へ出たくなる気持ちが犬の僕にもわかる今日の一日だったのだ。
2月10日 はれ
「ヤッホ〜!!今日も又晴れたぞ!!」と踊り出したくなるような上天気である。今日も外へ出てお日様と一緒に一日を過ごすぞ・・・と思っていたら、地面の雪が溶け出してグズグスになってしまった。このまま地面に寝ころぶと毛皮が濡れてしまうし、お腹も冷える。だから、防寒シートにおおわれた犬小屋の隙間から顔だけをのぞかせて、今日一日を外を見て暮らした。朝散歩、夕方散歩はつつがなくこなし、御飯も何時も通り、「可もなく不可もなく、平々凡々たる一日」が明け暮れていったのであった。つまり、御主人が理想とする一日なのである。まぁ、若犬の頃は、そのことに反発を覚えていたのだけれど、犬はマニュアルアニマルなので、規則正しく日々を過ごす事に無上の喜びと安心を得ている性質上、7才を過ぎた僕としては納得がいく理想なのである。
2月9日 はれ
久々に「晴れ」という天気をこの日記に書く事が出来た。今年になって初めてなのかも知れない。と言うわけで、僕は外へ出て、おもちゃである「プラスチックの植木鉢」を相手に雪の上で遊んだんだ。御主人も出て来て少しばかり遊んでくれたのだけれど「これから除雪をする」という。せっかく楽しく遊んでいたのに犬小屋の中に避難しなければいけないから「嫌だ」とただをこねたんだ。すると、御主人はなんにも言わずにトラクターに乗りエンジンを始動させて、いつになくエンジン音を大きくして僕に嫌がらせをする。大きな音が嫌いな僕は犬小屋の中に逃げ込まなければならなくなってしまったのだった。僕が犬小屋の中に避難したおかげで除雪は滞り無く終わり、犬小屋から出て、外に寝ころんで、お日様の光を思う存分浴びる事が出来たって言うわけなんだ。ただ、それだけの事なんだけれど、僕にとってはお日様と一緒に過ごす事が出来て嬉しい一日だったよ。
2月8日 ゆきがふったりやんだり
今日も御主人は、お昼前から何処かへお出かけである。帰ってきたのは、18時頃である。僕は17時前から外に出て、じっと雪の上にオスワリをして御主人を待ち続けたのだった。待ち続けるのは退屈なので側にあったサッカーボールを雪の上で、もて遊んだりしていた。でも、犬小屋の中には入り込まないで雪の中でじっと待ち続けたのだった。時々、あたりが見えないぐらいの雪が降ってくる。僕は雪だるまの様になってしまった。やがて御主人のトラックが家に入ってきた。僕はうれしさのあまり「お帰りの踊り」を踊ったのだった。なんと涙ぐましき感動的な僕の行動だったのだろうと、自画自賛している次第である。あの「忠犬ハチ公」に勝るとも劣らない御主人に対する「忠孝」なのではないかとも思っている。ただ「ハチ公」の場合は永遠に御主人が帰らなかった事である。その点、僕の場合は御主人が帰ってくるんだから幸せと思わなければいけないのかも・・・・ね?
注・・・「お帰りの踊り」とは、御主人や家族が家に帰ってきた時に、うれしさのあまり飼い犬が、そこいら中をかけずり回る事を言う。
2月7日 ゆきがふったりやんだり
この所、雪が降ったり止んだりする日が続いている。そんなに多くは積もらないけれど、一時的に前が見えないぐらいの雪の降りようである。ここ、2,3日は御主人も家を留守にするために、僕に全責任がかかってくる。かといって、犬がトラクターを運転して除雪できるわけでもないし、穴掘りのように両前足で雪かきをしても、たかが知れている・・・困ったものである。今日の御主人は、朝から何処かへ出かけていって夕方帰ってきたと思ったら、又何処かへ出かけてしまった。幸い御飯だけはもらったけれど、楽しみにしていた散歩には行けなかった。あんまり腹が立ったので、犬小屋の上にのせてあった、僕の身体を拭くタオルが入った紙袋を引きずりおろして、食いちぎり、中身を雪の上にぶちまけてやった!
2月6日 ゆきがふったりやんだり
この前、比較的暖かい日が続いたので、てっきり「このまま春がやってくるのじゃないかしら?」と思ったものだったが、それは、北国に住む人や動物なら誰しも思う「春」に対するあこがれが生む幻想だったようだ。季節は、いまだに冬なのだから・・・。今日は、雪が「もそもそ」と降ってきて、夕方散歩の時などは、向こう先が見えないほどの降りになった。そして、いつの間にかぴたりと止む。キリの良い降り方なのだ。でも・・・・明日の朝に目を覚まして犬小屋を出るのが恐い。明日の朝になったら、僕の背丈が隠れるぐらいの雪が積もっていたりして・・・・
注・・・秋田犬品評会の審査規定で言うと、犬の背丈とは、頭からお尻の所までとなっているのだ。いわゆる体長である。ところが、僕の言う背丈とは、、つまり前足の先から頭の先までを言うので、誤解しないように願いたい。ちなみに、僕の言う背丈とは、僕の場合は50から60センチぐらいかなぁ?
2月5日 くもり
今日は一日中、曇りの天気だったけれど風が寒かった。僕は朝散歩の時間になると外へ出て「オスワリ」の姿勢をして御主人を待つのだ。じっと待つのだ。夕方散歩の時は、その時間が来ると外へ出て、やはり「オスワリ」をする。そして、市役所の5時の時報に合わせて「遠吠え」をする。こうすると、12月頃には御主人が家から飛び出してきて僕を散歩に連れて行ってくれたものだったけれど、今は5時になっても明るいので、5時を15分ほど過ぎないと御主人がやってこない。その間、僕は雪が降り積もって固まった、冷たい地面の上でオスワリをして、じっと耐えて待つのである。仕方がない、犬というものはマニュアル通り、時間通りに事が進まないと気が済まない動物なのだから・・・・はぁ〜、つくづく犬の習性が疎ましく、猫さんの気ままな習性がうらやましく思える。えっ?、「隣の芝生は青い」だって・・・何、それ?
2月4日 ゆきがふったりやんだり
今日は又、雪が「もそもそ」降ってきた。この2日雪が降らなかった分を取り戻すかのように「降っては降っては、ずんずん積もる・・・」状態なのである。夕方までに10センチは積もっただろうか?。夕方になって御主人がトラクターで除雪を始めた。僕が若い頃はトラクターで除雪を始めると、その大きな音にうろたえてしまい、犬小屋を飛び出して右往左往したものだった。御主人に何度「じゃまだ!!」と怒鳴られた事か・・・。近頃では、僕も賢くなったのかトラクターが除雪している間は決して犬小屋を出ない。おかげで除雪もはかどるって言うわけなんだ。人生経験・・・、いゃ犬生経験が豊富になるって事は他の人や犬、猫に対しても、気を使えるって事なんだよね。もちろん、御主人や家族に対してもだよ。
2月3日 はれたりくもったり
今日は、昨日ほどはお日様の出番は少なかったけれど、薄日が射して昨日より暖かかった。そこで僕は一日中外で過ごしたんだ。と、言っても何かするわけではない。オスワリしたり、フセをしたり、あとは眠ったりしているだけなのだ。退屈そうにしている僕を哀れに思ったのか、午後になると御主人がボール遊びを一緒にしてくれた。久々のボール遊びである。こうして僕達主従?は、しばしの間、早春もどきの天気の中でさわやかな汗を流したのであった。実際僕は舌を出して「ハァハァ」言うぐらいの運動量だったのだ。また、夕方にはお母さんといっしょに散歩に行ってきたよ。たまには違った人と散歩に行くのは実に楽しい。御主人が一緒に付いてきて、あれこれ僕にちょっかいを出すのは迷惑だったけれど・・・・でも、今日は久しぶりに楽しい一日だったよ!!
えっ?、今日は「節分」だって?、「節分」の話はないのかって?。犬には「節分」の風習はないので「節分」の「せ」の字ほども関係がないのである。・・・御飯も、いつもの通りだったしね。
2月2日 はれたりくもったり
今度は3月の初め頃の天気になった。積雪量がわずかではあるけれど低くなっていくのがわかる。今日はお日様もたっぷりと顔を出したので、僕は午前中いっぱいは外へ出て雪の上に寝ころんでいたんだ。何でも、ご近所の犬の噂が聞こえてくる。寒くて寒くてつらいというような事が・・・・、「こちとらぁ、北国の犬だぃ!!寒波でも、豪雪でもやって来いてぇんだ!」と意気込んで啖呵を切った。すると御主人が「止めてくれ」と僕に泣きついた。この灯油や軽油などの値が上がっている時期に、豪雪や寒波に見まわれでもしたらお手上げなのだそうである。暖房の灯油、除雪のために動くトラクターの燃料等々・・・だから人間は脆弱なのだと犬の立場から思う。「僕を見ろ、5万円もした犬小屋だけれど、暖房などと言う物はいっさい使っていない!!」中にあるのは、汚れて家で使われなくなった「お風呂マット」、その上にぼろぼろになった「玄関マット」、だだこれだけで、この寒い冬を過ごしているのである。一度、毛皮のコートでも着て僕の犬小屋で一晩過ごしてご覧なさい。快適だから。あっ、でも「毛皮のコート」をわざわざ買うぐらいだったら暖房費に回した方が得策かもね・・・
2月1日 くもりときどきゆき
この前、お正月だと思ったら、もう二月になって「豆まき」の季節になった。もっとも犬には「行事」という概念というか風習がないので、毎日が同じようなものである。だから犬は行事ではなく気候で季節を判断する動物なのである。
さて、「降っては降ってはずんずん積もる」と唱歌にも歌われる季節なのだが、又夜中に雪が降り積もった。昨日は除雪した御主人だったが、今日はしないようである。5センチほどの雪などどうという事はないという。都会ではこんなに降ると大雪という事になってしまうから北国の犬たちは大きな声で笑う。しからば、僕の考える大雪とはどういった状態なのかというと、僕が散歩の時、泳ぐように雪をかき分けて歩くような積雪の事を言う。ところが、こんな事を山の奥に住んでいる秋田犬に言ったとしたら、大きな声で笑われて馬鹿にされるだろう事は目に見えている。もっとも、犬は肉体的構造上、声を上げて笑う事は出来ないのだけれど・・・・・
なぜ、山奥に住んでいる秋田犬に笑われるのかというと、ここら辺で30センチだの40センチで大雪だと騒いでいるけれど、向こうでは毎年1メートル2メートルの積雪地帯なのだ。雪の中を泳ぐと言うより雪の中を潜るように突き進んでいかなければならないのだ。すごいねぇ!!・・・・と感心する脆弱なる秋田犬の僕なのであった。