トップページに戻る西川口だよりに戻る


2002年9月1日発行 No.411
巻頭言より
「高齢者のケアと開拓伝道の可能性」
                                         島  隆三


 恒例の敬老祝福式と愛餐会の月を迎えた。この日を楽しみにしておられる方もおられるに相違ない。日本は急速に高齢化社会を迎えているが、今、役員会で話し合われているのは高齢者への教会の対応である。礼拝の送迎一つを取り上げても、考えねばならない課題がいくつもある。送迎も大事であるが、高齢者一人ひとりへの配慮はより大切であり、高齢社会における教会の避けて通れない課題になっている。
 千葉県の佐倉に「ゆうゆうの里」という立派な老人ホームがある。経済的に恵まれた人でなければ入れない施設と思うが、私たちの先輩のI牧師が弟さんのお世話で入居された。その頃I先生はまだお元気だったので、ホームの方々を誘って佐倉教会へ出席され、また牧師にホームに来てもらって、讃美歌を歌う会なども開いておられた。そこで信仰に導かれた方も天に移されたり、先生ご自身も健康優れず教会出席も困難になり、信仰の友のない淋しさを訴えておられた。そこで先生に示された幻は、親しい牧師たちが引退後に共に暮らすホームを建てたいということだった。これはもちろん簡単なことではない。しかしこのことを聞いて、大阪のN牧師などもわざわざ佐倉を訪ね、最近各地に少しずつ増えてきたグループホームのことなどをI師と話し合われたとお聞きした。N牧師は早くから高齢者のケアについて関心を持ち、北欧の施設を訪ねたり、日本のモデルホームと言われる施設の見学などもしておられる。東北と北海道の施設を見学に行くとき、私にも声をかけてくださったが、日程の調整がつかず諦めたという経緯もある。
 さて、問題は私たちの教会のことである。ここ10年余りはヤング伝道に力を入れ、若い伝道師を招聘したり、ヤング礼拝を試みたり、今もそれは大切だという考えは少しも変わらない。しかし牧師も60代になり、若い魂との距離を痛感するようになった。ヤング伝道は若い伝道師にお任せの状態になってきたが、これからの私たちの使命は高齢者の伝道牧会ではないかと思っている。
 そこで、教会の将来を展望しながら、心にあることを以下に少し記してみたい。
 西川口教会が桶川伝道に使命を感じて10数年これに取り組んだのは皆さんもよくご承知であろう(50周年誌参照)。色々な経緯から桶川伝道は埼玉地区に委ねることになった。私たちの教会は開拓伝道の困難を痛感して、桶川伝道以後、伝道所を開こうという積極的な声を聞かない。しかし、あれから10年余りが過ぎて、もう一度開拓伝道に踏み切っても良い時を迎えているのではないか。しかも、今がチャンスではないかと思わせられている。
 ただ、私が今まで躊躇していたのは、私は横山先生のような開拓伝道の賜物がないという自己診断だった。それは客観的にも当たっていると思うが、私は私なりの開拓伝道があっても良いのではないかとも思う。その一例が高齢者のケアと絡んだ開拓伝道である。
 初雁教会では「初雁ビジョン21」を早くから発足させて、会堂問題や牧師の交代等を教会の中で率直に話し合っている。率直な話し合いなら私たちも引けを取らないと思うが、今こそ積極的に、開拓伝道の可能性や、高齢者の伝道牧会について皆で知恵を出し合う時ではなかろうか。この秋には、この問題で教会全体懇談会を開いてはどうかと役員会でも声が挙った。皆さんは如何でしょうか。
 

西川口だよりに戻る