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2010年 1月 1日発行 No.499 

「向こう岸に渡ろう」

                            金田 佐久子

その日の夕方になって、イエスは、「向こう岸に渡ろう」と弟子たちに言われた。  (マルコ4・35)

 主の年2010年を迎えました。
 本年は、西川口教会創立60年の記念の年です。
 日本の文化では60歳を「還暦」と呼び、一つの区切りとしています。現在、日本は高齢社会となりましたが、昔は60歳まで生きられたことを感謝したと思いますし、今でも、心や思いを新たにするときとして大切に過ごす人は多くいます。
 教会の場合は人の一生とは違います。けれども60年は決して短い年月ではないと思います。その年月を主が守ってくださったのです。
 詩編にこのような賛美があります。
  主をたたえよ
  日々、わたしたちを担い、救われる神を。(詩編68・20)

 主なる神が一瞬たりともわたしたちを見捨てず、日々担ってくださったから、今日まで西川口教会は存在することができたのです。
 教会は常に主を賛美する群れですけれども、西川口教会創立60年の年、さらに賛美の歌を高らかに主にささげたいと願っています。
 そして、この主の守りの中で、教会形成をこれからの10年に向かって、教会の歩みをどのように整え、どのようにして主から委ねられた使命を果たしていくのかという課題に直面している西川口教会です。
 教会の歩みは主に担われていく歩みです。教会の主はイエス・キリストです。教会はキリストを頭として、キリストの体として地上に置かれています。キリストがこの西川口の地で、西川口教会の歴史をつくり、西川口教会を通してご自身が救いを果たしていかれます。今までの60年も、これからの年月もそうです。わたしたちは互いにキリストの体の部分とされた一人ひとりであり、主イエスの弟子です。キリストに招かれたわたしたちは、ただ主の救いの働きに参加させていただくのです。
 今年は主日礼拝でマルコによる福音書から、主イエスを仰ぎつつ、御言葉を一つ一つたどります。主イエスの教えと行い、お姿が鮮やかに記されている福音書です。そのようにしてどこまでも主に従う弟子としての自覚を深め、成長したいですし、主にあって、信仰の足腰を強くさせていただきたいと願っています。
 そして今年の教会の御言葉は、マルコによる福音書第4章35節を選びました。聖書に親しんでいる人はご存知の、主イエスが嵐を静める出来事の冒頭にある御言葉です。
 主イエスはガリラヤ湖の舟の上から、一日中群衆に教えておられましたが、夕方になったとき、弟子たちに「向こう岸に渡ろう」と言って、舟を出させられました。ですから、この船出の責任は主イエスにありました。弟子たちは主の言葉に従って、舟を漕いでゆきます。舟の中で主イエスは眠ってしまわれました。やがて舟は嵐に巻き込まれ、あまりの激しさに耐えかねて、弟子たちは主イエスを揺り起こします。主イエスは嵐と風を叱って静められ、また弟子たちの不信仰を問われました。
 主イエスに伴っていく歩みであっても嵐の中を通されるようなことがあり、そこで自分の不信仰もあらわにされてしまうことがあることでしょう。しかし舟は沈みません。主はわたしたちを伴い、信仰へ招き、向こう岸へと導いてくださいます。
 この年わたしたちは、主の御言葉に、そして、主が求めておられることにしっかりと耳を傾けていけるよう、祈りを合わせたい。

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