トップページに戻る西川口だよりに戻る

2012年 5月 1日発行 No527 

あなたの父母を敬え

                            金田 佐久子

あなたの父母を敬え。そうすればあなたは、あなたの神、主が与えられる土地に長く生きることができる。(出エジプト記 20・12)
  
  ある牧師の言葉から
 わたしが参加している近隣の牧師会で、時々教会付属幼稚園の話がでて、わたしは興味深く聞いています。幼稚園長でもある牧師からこんな話がありました。「親が『今日は幼稚園で何を教えてもらったの?』ときいたら、その子が十戒を暗唱して『あなたの父母を敬え』と教えてくれた。その親が驚いて『園長先生、この幼稚園では、こんなすばらしいことを教えてくださるのですね!』と言いにきてくれた。とても感謝されたのですよ」。他にも、聖書のお話をじっと喜んで聞くことが人の話をきちんと聞く教育となるし、お話を聞く喜びの体験になりますね、と語り合いました。
 技能や知識を増やす教育に人が集まる時代ですが、こうして魂に届き、基本となる人格を健やかに形成する教育の大切さと尊さを感じました。

  人間関係の基本
 十戒とは、神に救われた民がどのように生きるべきかが教えられています。言い換えると、神が人に望んでおられる生き方です。この第五の戒め「あなたの父母を敬え」には、わたしたちが一緒に生きている人々(隣人)と、どのように生きていくのかが語られています。
 人間にとって一番近い人は、父と母です。わたしたちは父と母との関わりの中に命を授けられ、母の胎内で養われます。この世に生を与えられ、育てられます。自分にとって一番近い隣人は父であり、母です。「敬え」と訳された言葉は、相手に重みを与え、その相手にふさわしい重みをきちんと自分がわきまえている、その重みにふさわしいようにその人を扱う、という意味です。父と母はそのような重みのある存在ということです。

  あなたが長く生きるため
 興味深いのは、戒めに続く聖書の言葉です。この戒めはあなたが長生きするため、というのです。「あなたの神、主」は、わたしが神に従って長く生きることを求め、願っておられるのです。そのために父と母を敬うのです。「主が与えられる土地に」とは、神のご意志による、という意味です。わたしたちは、父母の考えによってで生まれたのではなく、神がこの父と母にわたしを「子」として生まれさせてくださったのです。ですから、神の自分に対するそのご意志を重んじ、自分の生活を大切にし、父と母を大切にします。父母を軽んじることは、自分を軽んじることです。父母を重んじることによって、自分を重んじて生きられるのです。
 しかしわたしたちはそれが容易でないことを知っています。「親がこんな自分にしたのだ!」と、若い人も、またずいぶん年を重ねた人でも、そう思っている人が多くいます。かつてわたしもそうでした。この親に育てられたから自分がこうなったと思い込み、心が曲がっていました。さらに「だから父や母は重んじるに値しない」と思い、それを当然としていました。それが、神の前における罪だと知らないでいました。
 神は、すべての人を、そしてわたしを、キリストにあってどこまでも愛してくださっています。この愛の中で自分の罪が見えました。神に立ち帰るとき、容易ではないと感じながらも、それに耐え、父と母を敬って生きていくことができるようにされました。わたしたちは、この戒めに生きる信仰を与えられます。

トップページに戻る西川口だよりに戻る