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2015年 12月 1日発行 No570 

マリアを見つめて

                            金田 佐久子

 主の年2015年もここまで守られました。神に深く感謝いたします。主イエス・キリストのご降誕を祝うクリスマスが近づいてきました。わたしたちの救い主の誕生を共にお祝いしましょう。

 さて先日、ある先生に悩みを相談にのっていただきました(牧師でも悩みはたくさんあるのです)。まことに親身になって、ねんごろな助言をくださいました。焦って進めることなく、時間をかけて、忍耐強く取り組むように励ましてくださいました。最後に「神様だって天地を創造されるときに、一瞬で形作られたのではなく、少しずつ、六日かけて、世界の秩序作りをされました。」と言われました。それを聞いて「ああ、そうです! 自分の力で動くのではない。神様のなさることに従っていけばよい。それをすればよい」と心から思いました。
 この温かい励ましを大切に受けとめながら、近づいてくるクリスマスの出来事を思い巡らしました。
主イエスがこの地上にお生まれになるまでにも、神は少しずつ事を運ばれました。静かに、世の人々が目に留めることもないほどに隠れた仕方でした。それは神が一人の若い女性をお選びになったところに始まりました。主イエスの母とされたマリアを見つめます(ルカによる福音書第1章26〜38節より)。

 都エルサレムから遠く離れたガリラヤのナザレの町に、天使ガブリエルが神から遣わされました。ヨセフのいいなずけのマリアは、ガブリエルから神の言葉を聞きました。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。…マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は…いと高き方の子と言われる。…」その言葉を聞いてマリアは尋ねます。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」すると、今まで歴史の中で誰も聞いたことのない神の言葉を、天使が告げます。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。…神にできないことは何一つない。」マリアは完全な服従をもって神に応えました。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで天使は去って行きました。

 マリアはたった一人で神の前に立たされ、恐れながらも、そこから逃げることをしませんでした。理解を超える言葉を聞きながらも、知性は決して曇らされることなく、自分の生活がまったく変えられることをも引き受け、その存在をもって神の言葉に「はい」と応えました。そのとき、マリアの信仰の応答を知る人はだれもいませんでした。神は静かに、しかし、確かに、隠れた仕方で御業を進められました。マリアは身ごもって、男の子を産みます。救い主の誕生です。
 
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