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2020年12月1日発行 No.630
クリスマスを前に
金田 佐久子
その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」(ルカによる福音書2・8〜12)
2020年のクリスマスが近づいてきました。今年のクリスマス礼拝は12月20日です。今年は新型コロナウイルス感染拡大という事態に直面させられた年でした。2020年は西川口教会創立70年の記念の年で、いくつか記念の行事を予定していましたが、コロナ感染拡大防止のために、やむなく中止や延期となりました。私たちは感染予防の「新しい生活様式」を受け入れて、日々暮らし、教会活動を続けています。そういう中でクリスマスを祝うとは、つまり、救い主イエス・キリストの誕生を祝うとはどういうことなのだろうかと思い巡らしています。
ルカによる福音書第1章、第2章を読みますと、天使が遣わされて神の御計画を告げる場面が続きます。改革者マルティン・ルターが書いた子供向けの説教集「クリスマス・ブック」には「天使があらわれたとき、マリアはたぶん家事にいそしんでいたでしょう。天使は人が与えられた仕事につき、さだめられた役目を果たしているときに、このんであらわれます。羊の番をしている羊かいのもとに・・・」とありまして、私の心に留まっている言葉です。
旧約聖書の世界では、創世記に登場するアブラハムをはじめとして族長たちは羊飼いでした。出エジプトの指導者モーセも羊飼いでした。イスラエルの王ダビデも羊飼いでした。聖書は、主なる神がイスラエルの牧者であると教えています。主イエス・キリストはご自身を「わたしは良い羊飼いである」(ヨハネ10・14)と言われています。これらのことは、羊飼いが、聖書の世界では、町や村のどこにでもいる見慣れた人たちであり、普通の仕事であったということです。
救い主の誕生の知らせが最初に羊飼いたちに告げられたことは、救い主の働きが、特別な場所や時間の中で行われるのではなく、ごく日常の生活の営みの中にあることを伝えているのではないでしょうか。コロナウイルス感染拡大防止のため、新しい日常を過ごすことになった私たちです。それぞれが、置かれたところで、家庭で、地域で、学校で、職場で、暮らしています。喜びも悲しみも、思いがけないことも起こり、私たちはその日常の生活を抱えて、いろいろな思いを携えて、教会の礼拝に行きます。それは、羊飼いがベツレヘムの野で天使から聞いた「大きな喜び」のメッセージを、私たちも聞くためです。毎週の礼拝はベツレヘムの夜の再体験であり、私たちは現代の羊飼いでもあるのです。
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