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2021年10月1日発行 No.640

人生の邂逅

                            金田 佐久子

 9月23日(秋分の日)、『21世紀のエステル会』「代表・金田佐久子 (川口がん哲学カフェいずみ 代表)、広報部長・田鎖夕衣子(がん哲学外来メディカルカフェひばりが丘代表)、企画部長・太田和歌子(がん哲学外来白鷺メディカルカフェ代表)、顧問・樋野興夫(一般社団法人がん哲学外来理事長、順天堂大学名誉教授、新渡戸稲造記念センター長、恵泉女学園理事長)」(以下「エステル会」)による「4周年記念シンポジウム」が開催されました。今回はコロナのためZoomによるオンライン開催でした。
 「エステル会」は月刊「信徒の友」の「がん哲学外来」連載記事がきっかけで樋野興夫先生をお招きし、メディカルカフェを開設した3名が、実際にカフェの運営を担う中で生まれる疑問や気づきを共有し、相互交流をしようと集まりました。それぞれのメディカルカフェの活動の実践から学び合い、直面する課題を分かち合うことによって、これからのメディカルカフェの在り方を共に考えたいと願っています。具体的な活動として、年に1度、9月にシンポジウムを企画しています。
 今回のテーマは『いい覚悟で生きる 〜コロナ禍でのがん哲学〜』。チラシには「がん哲学外来メディカルカフェを始められた時 そこには、どうしても始めたいと思う『覚悟』があったことでしょう。そしてコロナ禍でカフェを継続していく上では、これまでにない選択と覚悟を迫られているのではないでしょうか。…各地で活動するがん哲学外来メディカルカフェ主催者と参加者、そしてこれからカフェを始めたいと考えておられる方にも是非ご参加いただき、『誰もが集いやすいカフェづくり』を考えてみましょう」とありました。
 今回は「エステル会」のメンバーの他に、2人の方に発表していただきました。月岡邦彦さん(メディカルカフェ世田谷深沢代表)は、がん患者当事者であり、日本基督教団深沢教会員です。昨年、コロナ禍の中、教会を会場にがん哲学カフェを開設されました。感謝と使命に生きる熱い思いが伝わってきました。カフェは地域社会への貢献であり、教会の敷居をもっと低くしたいとのことで、大いに共感しました。海老澤規子さん(さいわいカフェin茨城筑西 代表)は、がんで家族を亡くしたがん遺族であり、医療従事者として、がん哲学カフェを運営しておられます。ユーモアたっぷりに、かつ的確な内容の発表に感銘を受けました。
 今回のテーマを受けて、樋野興夫先生の総括と講演がありました。質疑応答では、初参加の方(がん患者)より、主治医との関係に非常に心を痛めてつらいお気持を訴える切実な質問があり、月岡さんと樋野先生、参加者からの真摯な応答に心打たれました。こういう心の叫びが語られ、受けとめられる場所が、まさにがん哲学カフェです。
 心に残ったのは「人生の邂逅」という言葉でした。「邂逅」とは“①(しばらく会わない人に)思いがけない所で(機会に)会うこと。②(人生の途上において重要な機縁となる)出会い。めぐり会い”(「新明解国語辞典」)。樋野先生はしばしば「人生は出会いで決まる」と語り、「人生邂逅の三大法則は、良き先生、良き友、良き読書」と言われます。今回もしみじみ思いましたが、がん哲学カフェを始めていなかったら、この日の出会いはありませんでした。神から賜った出会いの贈り物。これからも大切に育てていきたいと思います。
 「親切な言葉は蜜の滴り。魂に甘く、骨を癒す。」(箴言16:24)

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