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2023年10月1日発行 No.664
死に打ち勝つ慰め
金田 佐久子
今年の「西川口だより」6月号(660号)の巻頭言について珍しく(?)たくさんの反響がありました。小3の男の子の率直で根源的な問いかけ「人間は生まれる前にはどこにいたのか。人間は死んだらどこへ行くのか。やりたいことをやっても、どうして死んでしまうのか。考えると暗い気持ちになります」に、心を動かされたからだと思います。ある方は「私もずっと同じように思っていたけれど、大人はだれも応えてくれなかった。高校生の時に神に出会って救われた」とコメントをくださいました。またある方は「この子の問いに人間の罪を見る」とおっしゃっていました。
説教塾でご一緒している平野克己先生が、2022年11月に『使徒信条 光の武具を身につけて』を刊行されました。これは、月刊「信徒の友」の2021年度の連載に加筆されたものです。連載当時も毎月楽しみに読んでおりました。素晴らしいと思ったのは、共に生きる教会の仲間の方々が、キリストの証人として紹介されていることです。その証人の中に小学生の女の子がいます。
“ある日曜日、礼拝後の挨拶のために玄関に立っていると、小学生が満面の笑顔で話しかけてきました。「わたし、礼拝で信仰を告白したい」。
礼拝が大好きな少女でした。おとなばかりの礼拝に、母親といっしょに出席していました。家から教会まで電車を乗り継いで約1時間。小学生にはずいぶん長く感じる距離でしょう。それでも娘のほうが母親を励まし、連れてきてもらえる日には必ず礼拝にやってきて、説教卓の正面に座りました。
しばらくの準備ののち、長老会を開き、幼児洗礼を受けていた彼女に「堅信礼試問」を行いました。洗礼そして堅信礼(信仰告白式)は教会にとって最も大切なことの一つです。ですから私の教会では、必ず長老全員がそろい、志願者に面接して決議することになっています。長老たちは少し戸惑いながら集まりました。堅信礼にはまだ早いのではないか、と考えたのです。彼女はまだ10歳。当然の心配でした。
その日、彼女は12人の長老たちを前に、準備してきた作文を読みました。神への愛を、飾らない自分の言葉でしっかり伝える短い文章でした。その真剣さから、時間をかけて幾度も書き直し、朗読の練習もしてきたことが伝わってきました。
最高齢の長老が尋ねました。
「イエスさまの言葉で、あなたが好きな言葉は何ですか?」
少女はきっぱりと答えました。
「『体を殺しても、その後、それ以上何もできない者どもを恐れてはならない』です」〔ルカ12・4〕。
思いがけない答えに心を打たれ、目に涙を浮かべる者もいました。聖霊降臨祭〔ペンテコステ礼拝〕の日、信仰告白式が行われました。”
聖書にこうあります。
「子らは血と肉を備えているので、イエスもまた同様に、これらのものを備えられました。それは、死をつかさどる者、つまり悪魔を御自分の死によって滅ぼし、死の恐怖のために一生涯、奴隷の状態にあった者たちを解放なさるためでした」(ヘブライ2・14~15)。
私たち人間は死の恐怖の奴隷の状態にありました。主イエスは、私たちをそこから解放するため、自ら死の力の中に入って、死の世界(陰府)にまで降り、死に打ち勝って復活されました。死は、体を滅ぼすことしかできないのです。死に打ち勝った主イエス・キリストが、共におられます。
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