2026年1月1日発行 No.691
「一隅を照らす」人
金田 佐久子
先月、NHKの番組『新プロジェクトX~挑戦者たち』で、「75万人の命救った用水路~医師・中村哲 希望のアフガニスタン~」視聴し、大いに感銘を受けました。
ご存知の方も多いと思いますが、医師の中村哲先生は、日本から遠く離れたアフガニスタンで約35年間、人道支援活動を続けてきました。初めは、医療活動が主でしたが、干ばつが発生したことにより、「病気を治す前には、まず水が必要だ」と井戸掘りを始めました。やがて地下水の枯渇という事態に直面しました。農村の回復のため、地下水に頼るのではなく、大きな川から直接水を引く用水路を作ることにしました。中村先生は医師ですから、用水路を作ったことはありません。何年もかけて大規模な工事をしなければなりません。しかし、中村先生は土木の勉強をし、試行錯誤を繰り返し、粘り強く取り組みました。2003年に用水路造りを始め、多くの人々が力を合わせて、2010年に1本の用水路が完成。その後も、用水路を作り続け、砂漠が緑に生まれ変わりました。人々は水や食べ物に困らなくなり、安心して暮らせるようになりました。
中村先生は、2019年12月4日、何者かに銃で撃たれて急逝されました。73歳でした。
この番組では、中村先生亡きあと、先生の意志を受け継いだ人々の活動も紹介していました。用水路のおかげで、農作物が育てられるようになり、現地の治安も改善して、プロジェクトを進めることができる、と話しておられました。現地のアフガニスタン人リーダーは「中村哲先生は私の心の中に生きています」と言って、用水路の工事を進めていました。中村先生の活動を支え続けてきた「ペシャワール会」のウェブサイトには「中村哲医師が実践してきた事業はすべて継続し、中村哲医師の希望は全て引き継ぐ」とありました。
「西日本新聞」に中村哲医師特別サイトを見つけました。中村先生の歩みがコンパクトにまとめられています。子供向けのページもあり、多くの子供たちが見てくれると良いと思いました。このサイトで中村先生の「一隅を照らす」というお言葉を知りました。「一隅」とは「かたすみ」のこと。あまり目立たない場所かもしれません。「照らす」とは「光をあてて明るくすること」。それぞれが「今いる場所で希望の灯をともす」ことです。
2026年の西川口教会の御言葉は、昨年と同じく、ヨハネによる福音書第13章34節に決めました。「互いに愛し合う」とはどういうことかと、年末年始、改めて思い巡らしていたとき、番組とネットを通して中村哲先生の生き方を示されて、心を動かされました。
キリスト者であられた中村先生は著書『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』に、「現地三十年の体験を通して言えることは、私たちが己の分限を知り、誠実である限り、天の恵みと人の真心は信頼に足るということです」と書かれています。現地のイスラム教の人々に対して特別な違和感も持たず、誰とでも共に生きておられました。『天、共に在り』とはヘブライ語では「インマヌエル」。中村先生は、〝これが聖書の語る神髄である〟と書いておられます。
神と人、人と人、人と自然が和解すること。互いに愛し合う、生かし合う、仕え合うところに、私たちの生きる道が開かれていくと信じるものです。
主の年2026年の歩みに主の祝福が豊かにありますように!
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