1月8日(日) 降誕節第3主日
礼拝順序

黙  祷
招  詞   詩編124:8
賛  美   271
主の祈り
交読詩編  詩編147:1~11
祈  祷
使徒信条
聖  書  使徒言行録第9章32~43節
説  教  「キリストは癒し主」
賛  美   449
聖  餐   81 
感謝祈祷
頌 栄(讃美歌) 27
祝 祷 (コリント二13:13)

〔礼拝音声では聖餐部分は割愛〕

説教要旨

 本日の聖書箇所では、私たちが正面から向き合わなければならない「病」と「死」に、教会がどう向き合ったかが語られています。2020年から始まった新型コロナ感染症によって、私たちは揺さぶられました。今もなお、教会活動は制約されています。私たちの歩みにおいても、思いがけない病が自分や家族を襲っています。病や死は、私たちを悲しませ、痛みを与えるものです。
 使徒言行録第9章32節から、再び初代教会の使徒のペトロが登場します。ペトロは各地のキリストの弟子の群れを訪ねて周り、エルサレムの西の地域にあるリダにも行きました(32節)。その群れには中風で8年前から床についていたアイネアという人がいました(33節)。おそらくアイネアは病床洗礼を受けており、仲間の弟子たちが「ペトロ先生、アイネアに会って、祈ってやってください」と執り成したのでしょう。ペトロが、「アイネア、イエス・キリストがいやしてくださる。起きなさい」と言うと、アイネアはすぐ起き上りました(34節)。奇跡が起きました。主イエス・キリストの御名に力があります。ペトロではなく、キリストがアイネアをいやし、立ち上がらせてくださったのです。
 使徒言行録の著者は、ルカによる福音書を書いたルカです。このアイネアのいやしの出来事は、主イエスがなさった中風の人のいやしの出来事と響き合います。主イエスは、ガリラヤで神の国の福音を宣べ伝え、病気をいやしておられました。主イエスはご自分のもとに連れた来られた中風の人に「わたしはあなたに言う。起き上がり、床を担いで家に帰りなさい」(ルカ5:24)と言われ、彼をいやし立ち上がらせてくださいました。ペトロはすでに弟子とされ、そこに居合わせておりました。
 ルカによる福音書第9章1~2節にこうあります。「イエスは十二人を呼び集め、あらゆる悪霊に打ち勝ち、病気をいやす力と権能をお授けになった。そして、神の国を宣べ伝え、病人をいやすために遣わ」されました。弟子たちは、イエスによって力を与えられ、イエスによって病んで苦しむ人のところへ遣わされ、イエスと同じ業を行うのです。
 リダにいたペトロのもとに、近隣のヤッファにある弟子たちから使いが来たので、ペトロはヤッファに向かいました(38~39節)。ヤッファの教会には、タビタと呼ばれる婦人の弟子がいました(36節)。タビタはやもめたちのために奉仕をしていましたが、病気のため死にました。ヤッファの弟子たちは、ペトロが近くのリダに来ていることを聞き、彼女を埋葬せず、ペトロの来訪を待ったのだと思います。ペトロが到着すると、タビタが世話をしていたやもめたちが泣きながら、彼女が作ってくれた着物をペトロに見せました。タビタを失った悲しみ、これから自分たちはどうなるのだろうか、という不安があったかもしれません。ペトロは皆を外に出し、亡くなったタビタと二人だけになり、ひざまずいて祈り、遺体に向かって「タビタ、起きなさい」と言いました。彼女に命の息が戻りました。奇跡が起きました。
 この出来事も、主イエスがなさったヤイロの娘のよみがえりの出来事と重なります(ルカ8章49節以下)。イエスが娘の手を取り、「娘よ、起きなさい」と呼びかけられると、娘の霊が戻ってきて、起き上がったのでした(ルカ8:54~55)。ペトロが、ひざまずいて祈ったとは、「主よ、御心ならば、タビタの息を戻してください」という祈りだったのではないでしょうか。
 「あなたがたの中で病気の人は、教会の長老を招いて、主の名によってオリーブ油を塗り、祈ってもらいなさい。信仰に基づく祈りは、病人を救い、主がその人を起き上がらせてくださいます」(ヤコブ5:14~15)。