2023年4月23日(日) 復活節第3主日
礼拝順序
黙 祷
招 詞 詩編124:8
賛 美 58
主の祈り
交読詩編 詩編84篇
祈 祷
使徒信条
聖 書 使徒言行録第13章13~26節
説 教 「救いの言葉は送られた」
賛 美 509
感謝祈祷
頌 栄(讃美歌) 24
祝 祷 (コリント二13:13)
説教要旨
バルナバとサウロ(パウロ)が、シリアのアンティオキア教会から送り出され(使徒13:3~4)、キプロス島での伝道から始まったこの旅を「パウロの第1次伝道旅行」と呼びます。パウロたちはキプロス島を後にして、地中海を船で渡り、現在のトルコにあるパンフィリア州のペルゲに移動しました。ところが助手として同行していたマルコ・ヨハネはエルサレムに帰ってしまいました(13節)。
パウロとバルナバは伝道の旅を続け、内陸に入り、ピシディア州のアンティオキアに着きました。2人は安息日に会堂に入りました。会堂長たちが、パウロとバルナバに「何か会衆のために励ましのお言葉があれば、話してください」と使いを通じ、説教を依頼しました(15節)。会堂長が何人もいるほどユダヤ人が数多く居住していたのでしょう。ここでバルナバではなく、パウロが立ち上がり、手で人々を制して静粛にさせて、説教を始めました。
本日はパウロの説教の前半部分を見ていきます。
この説教の中心は26節です。「兄弟たち、アブラハムの子孫の方々、ならびにあなたがたの中にいて神を畏れる人たち、この救いの言葉はわたしたちに送られました」。「救いの言葉」とはイエス・キリストそのものであり、キリストの救いの出来事です。
パウロの呼びかけの言葉に「神を畏れる方々」(16節、26節)とあります。ユダヤ人ではなく、割礼も受けていないけれども、律法を重んじ、礼拝し、献げ物をしていた人々です。パウロは、同胞であるユダヤ人だけでなく、神を求める異邦人のためにもキリストの救いがあることを確信して説教しているのです。
「この民イスラエルの神は、わたしたちの先祖を選び出し…」(17節)。神の選びの信仰は、旧新約聖書を貫いています。私たちも、神に選ばれたからこそ、今ここで礼拝ができるのです。「強大なものとし」(17節)とは、神が民の数を増やされたということです。神は命の神です。「高く上げた御腕をもってそこから導き出してくださいました」(17節)。民は神に担われてエジプトから脱出しました。力強い神の救いを体験したにも関わらず、民が神の選びに応える歩みをしなかったため、「神はおよそ四十年の間、荒れ野で彼らの行いを耐え忍」んでくださいました(18節)。神は忍耐の神です。神は民を滅ぼすことはなさらず、荒れ野で彼らを養ってくださいました。私たちのためにも、神は忍耐し続けてくださっているのではないでしょうか。「カナンの地…を彼らに相続させてくださった」(19節)。神は、約束の地に民を導き入れてくださいました。その後、神は民のために裁く者たち〔士師〕を立て、サムエル以降は預言者を立てて民を導かれました。民が、周辺諸国同様に王を求めたので、神はサウルをイスラエルの初代の王とし、その後ダビデを王とされました。
「神は約束に従って、このダビデの子孫からイスラエルに救い主イエスを送ってくださったのです」(23節)。パウロがこう語ったとき、会堂で説教を聞いていた人々は、驚いたのではないでしょうか。次いでパウロは洗礼者ヨハネを紹介します。悔い改めの洗礼の運動をして、民に悔い改めを求めた人です。「その方〔救い主キリスト〕はわたしの後から来られるが、わたしはその足の履物をお脱がせする値打ちもない」(25節)。主人の足の履物を脱がせるのは奴隷の仕事です。ヨハネは、自分は奴隷以下であり、キリストの前に出ることすらできない、と語りました。私たちも、この洗礼者ヨハネの謙遜に倣いたい。パウロが語った神の選び、神に担われていること、神の忍耐、約束を実現する神、すべて神の一方的な恵みです。本当なら神の前に立てない罪人の私たち。ただ恵みによって生かされ、恵みに応えるばかりなのです。