2023年6月18日(日) 聖霊降臨節第4主日
礼拝順序

黙  祷
招  詞   詩編124:8
賛  美   51
主の祈り
交読詩編  詩編1篇
祈  祷
使徒信条
聖  書  使徒言行録第15章36~第16章5節
説  教  「主の恵みにゆだねられ」
賛  美   402
感謝祈祷
頌 栄(讃美歌) 26
祝 祷 (コリント二13:13)

説教要旨

 今日の聖書の箇所は「パウロの第2回伝道旅行」と呼ばれる伝道の旅が始まるところです。この旅は紀元50~52年頃と考えられています。使徒言行録を読めば、この旅がヨーロッパまで行くことになったと知りますが、始まりは「前に主の言葉を宣べ伝えたすべての町へもう一度行って」というものでした。(36節)。聖霊のお働きは人間の計画を越えていくのです。私たちも伝道の計画を立てますが、教会は人間の計画だけで終わりません。
 しかもこの旅を始めようとするところで、マルコを連れて行くかどうかで、パウロとバルナバの間に激しい意見の衝突が起こりました(39節)。マルコは第1回伝道旅行で、キプロス島まではパウロとバルナバに同行しましたが、パンフィリア州に着いたときに帰ってしまいました(使徒13:13)。バルナバは今度もマルコを連れて行きたかったのですが、パウロは反対し、二人は別行動をとることになりました。意見の相違や衝突は、昔も今も教会に起こりますが、パウロとバルナバは伝道の旅は止めていないのです。指導者同士のいさかいも聖霊の働きを止めることはありません。かえって、キプロス島とシリア州と、2方面へ伝道の旅が始まり、伝道力は2倍になったと言ってもいいと思います。
 パウロはシラスを同行者として選びました。シラスはエルサレムの使徒会議の結果をアンティオキア教会に報告に来てくれた人です。エルサレム教会の指導者の一人であり、預言をする人でもありました。恐らく、パウロはエルサレム教会の許しを得て、シラスを伝道の旅に招いのでしょう。シラスはエルサレム教会の権威を与えられているユダヤ人キリスト者であり、またローマ市民であったので(使徒16:37)、離散しているユダヤ人への伝道においても、異邦社会への伝道においても、シラスの賜物が活かされることになりました。パウロとシラスはアンティオキア教会の「兄弟たちから主の恵みにゆだねられて」出発しました(40節)。私たちも、主の日の礼拝が終わると、平和の挨拶を交わしますが、それはお互いを主の恵みにゆだねていくことです。
 パウロとシラスは、陸路で現在のトルコ東部の各地の教会を訪れて、デルベやリストラも再訪しました。リストラでは、伝道の旅の助け手を得ました。「信者のユダヤ婦人の子で、ギリシア人を父親に持つ、テモテという弟子がいた」(16章2節)。パウロの第1回伝道旅行のとき、イエスをキリストと信じて弟子になったのでしょう。テモテは、兄弟の間で評判の良い人でした(2節)。「パウロは、このテモテを一緒に連れて行きたかったので、その地方に住むユダヤ人の手前、彼に割礼を授けた。父親がギリシア人であることを、皆が知っていたからである」(3節)。エルサレムの使徒会議では、異邦人に割礼を求めないと決めたのに、なぜパウロはテモテに割礼を授けたのでしょうか。コリントの信徒への手紙一第9章19節以下を読みます。「ユダヤ人に対しては、ユダヤ人のようになりました。ユダヤ人を得るためです。…すべての人に対してすべてのものになりました。何とかして何人かでも救うためです」(コリント一9:20、22)。この思いから、パウロはテモテに割礼を求め、テモテもそれを良しとしたのではないでしょうか。その根源は、主イエス・キリストです。神であられる方が人となられて、この世に来てくださったことです。キリストの謙遜が、私たちの奉仕の根源です。
 パウロとシラスは、テモテという助け手を得て、町々を巡回して、エルサレムの使徒と長老たちが決めた規定を守るように人々に伝えました(4節)。この規定の根底には使徒ペトロの発言があります。「わたしたちは、主イエスの恵みによって救われると信じているのです…異邦人も同じことです」(使徒15:11)。


(後日アップします。)