2023年8月20日(日) 聖霊降臨節第13主日
礼拝順序

黙  祷
招  詞   詩編124:8
賛  美   205
主の祈り
交読詩編  詩編37:1~6
祈  祷
使徒信条
聖  書  使徒言行録第18章1~17節
説  教  「恐れるな、語り続けよ」
賛  美   417
感謝祈祷
頌 栄(讃美歌) 29
祝 祷 (コリント二13:13)

説教要旨

 使徒パウロは、アテネを去ってコリントに行き、信仰の仲間と出会うことができました。「ここで、ポントス州出身のアキラというユダヤ人とその妻プリスキラに出会った」(2節)。アキラとプリスキラは、すでにキリスト者であったと思われます。もしそうでなければ、パウロが洗礼を授けたであろうからです。このユダヤ人キリスト者夫妻がコリントの町に来たのは、「クラウディウス帝が全ユダヤ人をローマから退去させるようにと命令した」(2節)ためでした。それは人間的には不幸なことでしょう。私たちも「この町から出て行け」といわれたらどうでしょうか。皇帝の命令に逆らうことはできず、やむなくローマを後にしたのでしょう。しかしそこで、パウロと出会ったのです。
 パウロも、アテネにおける伝道が、他の町の場合と違って、救われる者が次々と起こされることはありませんでした。もしかすると人間的には失意の中にあったかもしれません。
 この彼らの出会いから、先輩の牧師の証しを思い出します。先生が高校生の頃、何のために生きているのか分からなくなり、自殺願望を持っていました。何かのきっかけでキリスト教のラジオ放送を聞いて「死ぬ前に教会に行ってみよう」と思い、地元の教会に行きました。牧師から「あなたは神様に祝福されているのですよ」と言われ、罰をくだす神仏しか知らなかったので、「祝福する神とはいったい何だ」と思い、礼拝に続けていくようになりました。その時のクリスマスに洗礼を受けました。クリスマスの祝いの後で、牧師夫人が自分に「ありがとう」と言うので、「お礼を言うのは私の方です」と答えたら、「実はね、夫はこの教会の牧師を辞めようと思っていたの。洗礼を受ける人がなかなかいなかったから。そんなときあなたが来てくれて、洗礼を受けた。ありがとう」。生きることをやめようと思っていた高校生の自分と、辞めようと思っていた牧師が出会って、主の福音によってそれぞれ新しく立ち上がらせていただいた。それが神のなさり方ではないだろうか。今、失意の中にある人がおられるかもしれません。神は御存じです。福音に招いてくださいます。
 パウロは、アキラとプリスキラの家に住み込んで、一緒に仕事をし、安息日には、会堂の礼拝に集い、会堂に集う同胞のユダヤ人や、神を求める異邦人に福音を語りました(3~4節)。
 うれしいことに、しばらく離れていた伝道の仲間であるシラスとテモテがコリントの町に来て、パウロと合流しました(5節)。パウロはますます力づけられました。恐らくマケドニア州の教会の支援もあったのでしょう。「御言葉を語ることに専念し、ユダヤ人に対してメシアはイエスであると力強く証し」しました(5節)。
 パウロの言葉に強く反抗する人々がいましたが、一方で、パウロの言葉を聞いて主を信じるようになった人もいました。「神をあがめるティティオ・ユスト」(7節)。さらに「会堂長のクリスポは、一家をあげて主を信じるようになった。また、コリントの多くの人々も、パウロの言葉を聞いて信じ、洗礼を受け」ました(8節)。主の恵みによって、多くの実りを得ました。
 「ある夜のこと、主は幻の中でパウロにこう言われた。『恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる』」(9~10節)。恐らく、いっそう激しいユダヤ人の反抗、憎悪があったのではないでしょうか。会堂長までがキリスト者になったからです。ユダヤ人の激しい攻撃に、パウロが恐れに捕らわれてしまったのではないかと考えられます。主はそれを見過ごすことなく「この町には、わたしの民が大勢いる」と語って(10節)、パウロを励ましてくださいました。だから「パウロは一年六か月の間ここにとどまって、人々に神の言葉を教え」ました(11節)。