2023年9月3日(日) 聖霊降臨節第15主日
礼拝順序

黙  祷
招  詞   詩編124:8
賛  美   192
主の祈り
交読詩編  詩編145:10~21
祈  祷
使徒信条
聖  書  使徒言行録第18章18~28節
説  教  「神の道を正しく説く」
賛  美   564
感謝祈祷
頌 栄(讃美歌) 25
祝 祷 (コリント二13:13)

説教要旨

 使徒パウロは自分を送り出したシリア州のアンティオキア教会へ戻る旅を始めます(18節前半)。プリスキラとアキラも同行しました。もともと二人は、ローマ皇帝のユダヤ人追放の命令でローマを出てコリントに来たのですが(使徒18:2)、そこで使徒パウロと出会い、福音のために共に働くようになりました。信仰者は「旅人であり、仮住まいの身」(ペトロ一2:11)です。使徒パウロは巡回伝道者ですが、プリスキラとアキラもこの信仰に立って、パウロに同行して、共に伝道しようとしたのだと思います。
 「パウロは誓願を立てていたので、ケンクレアイで髪を切った」(18節後半)。民数記第6章にあるナジル人(聖別された人)の規定があります。パウロは、この規定に倣い、約束した期間、酒を断ち、髪を剃らないでいたのでしょう。これは想像ですが、パウロを恐れから解放した神の言葉「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる。…この町には、わたしの民が大勢いる」(使徒18:9~10)の約束を信じて、誓願を立てたのかもしれません。「ユダヤ人に対してはユダヤ人のように」(コリント一9:20)とあるように、同胞の救いのために、律法の規定に従ったのかもしれません。
ケンクレアイから船でエーゲ海を横断し、エフェソに行きました。ここでのパウロの滞在は短いものでした。会堂の礼拝で、福音に心を開いた人もいました。しかし、パウロは「『神の御心ならば、また戻って来ます』と言って別れを告げ、エフェソから船出」しました(21節)。プリスキラとアキラはエフェソに留まりました。「主の御心であれば、生き永らえて、あのことやこのことをしよう」(ヤコブ4:15)が、私たち信仰者の生き方です。
 パウロは「カイサリアに到着して、教会に挨拶をするためにエルサレムへ上り、アンティオキアに下った」(22節)。ここで第2回伝道旅行が終わります。「パウロはしばらくここで過ごした後、また旅に出て、ガラテヤやフリギアの地方を次々に巡回し、すべての弟子たちを力づけた」(23節)。第3回伝道旅行が始まります。
 24節以下は、パウロが不在のエフェソの町で、思いがけず、アポロという人が登場し、福音宣教者となるという、たいへん興味深い出来事が語られています。「アレクサンドリア生まれのユダヤ人で、聖書に詳しいアポロという雄弁家」とあります(24節)。教会の歴史において大切なことですが、エジプト北部の町アレクサンドリアには多くのユダヤ人が住んでおり、旧約聖書のギリシア語訳(七十人訳)ができました。新約聖書が旧約聖書を引用するときは、この七十人訳聖書からの引用です。アポロは「主の道を受け入れており、イエスのことについて熱心に語り、正確に教えていたが、ヨハネの洗礼しか知らなかった」(25節)。このヨハネとは洗礼者ヨハネで、主イエスの福音宣教の前に、悔い改めの洗礼の運動をした人です。「アポロが会堂で大胆に教え始めた。これを聞いたプリスキラとアキラは、彼を招いて、もっと正確に神の道を説明した」(26節)。アポロは熱心に語りましたが、プリスキラとアキラは、アポロの言葉を聞いて、欠けているものがあると分かりました。教会の信仰は、一所懸命にしたからそれでよい、というものではありません。洗礼者ヨハネ自身が語っていました。「その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる」(ルカ3:16)。二人はアポロにキリストの名による洗礼と賜物とを伝えたはずです。罪の赦し、神の子とされること、永遠の命をいただけること、聖霊を受けること。おそらくアポロは、父・子・聖霊の神の御名による洗礼を受けたのでしょう。やがてアポロはコリントの町もあるアカイア州に行きます。彼は「既に恵みによって信じていた人々を大いに助けた」のでした(27節)。