2023年11月19日(日) 降誕前第6主日
礼拝順序
黙 祷
招 詞 詩編124:8
賛 美 472
主の祈り
交読詩編 詩編51:12~19
祈 祷
使徒信条
聖 書 フィリピの信徒への手紙第1章3~11節
説 教 「義の実に満たされて」
賛 美 346
感謝祈祷
頌 栄(讃美歌) 24
祝 祷 (コリント二13:13)
説教要旨
本日は、教団信仰告白の前半部分の第3段落の後半の文章を見ていきます「この変らざる恵みのうちに、聖霊は我らを潔めて義の果(み)を結ばしめ、その御業(みわざ)を成就(じゃうじゅ)したまふ」。「この変わらざる恵みのうちに」とは、信仰告白文の直前にある「神の恵みの選び」と、ただ信じることによって神に義と認められる、いわゆる「信仰義認」(信仰による義)の恵みです。この決して変わることのない神の恵みにとどまるとき、聖霊が働いてくださって、教会を潔(きよ)めて、義という果実を結ばせてくださるのです。神学用語では「聖化」といいます。
「義の果(み)を結ばしめ」は、おそらく、フィリピの信徒への手紙第1章11節の御言葉「イエス・キリストによって与えられる義の実をあふれるほどに受けて…」から、採用されたと思います。聖霊が教会に働いてくださる出来事を、特に、使徒パウロとフィリピの教会の関わりから見ていきたいと思います。
まず、使徒言行録第16章11節以下の、フィリピの教会が始まった出来事を読みます。パウロたちが聖霊の導きによってヨーロッパ伝道へ押し出され、最初に行った教会がマケドニア州のフィリピの町でした。そこに数日滞在して、安息日にはユダヤ人の祈りの場所であった川岸に行きました。集っっていた女性たちにキリストの福音を語りました。そのとき、集会に来ていたリディアという婦人の心を主が開かれたので、彼女は福音を聞いて信じ、彼女も家族の者も洗礼を受けました。彼女の家が、フィリピの教会の拠点となりました。生まれたばかりのフィリピの教会は、大変な試練を受けました。福音を告げ知らせてくれたパウロとシラスが投獄されてしまいました(使徒16:16以下)。監獄では、看守一家の救いという奇跡が起こりました。その後、パウロとシラスは釈放され、「牢を出た二人は、リディアの家に行って兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出発」しました(使徒16:40)。試練を通らされたフィリピの教会でしたが、その後、パウロを経済的に支援するほどにまで成長しました(フィリピ4:15~16など参照)。
フィリピの教会を思い起こすとき、パウロは感謝と喜びにあふれます。「わたしは、あなたがたのことを思い起こす度に、わたしの神に感謝し、あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています」(3~4節)。なぜならば「あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです」(5節)。最初の日とは、先ほどの使徒言行録第16章の出来事です。パウロは言います。「あなたがたの中で善い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までに、その業を成し遂げてくださると、わたしは確信しています」(6節)。教会が教会としてあるのは、良い業を始められた方、すなわち神の業であり、この神の業は、キリスト・イエスの日、すなわち救いの完成のときまで続きます。そのことを確信します、と言っているのです。
フィリピの教会のルーツとなったリディアを思うとき、私は西川口教会のルーツであったHさんを思い起こします。Hさんが浦和別所教会に導かれ、「川口に教会を」という祈りが積まれ、川口栄町伝道所の開設となりました。教会でもいろいろ試練がありますが、70数年福音にあずかってまいりました。パウロの祈りに心を合わせます。「知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられるように。そして、キリストの日に備えて、清い者、とがめられるところのない者となり、イエス・キリストによって与えられる義の実をあふれるほどに受けて、神の栄光と誉れとをたたえることができるように」(9~11節)。アーメン。