はじめて手にした「土」の教科書の冒頭に、私には忘れることのできない一節があります。「構造物はほとんどすべて土に接してつくられる。我々の住宅をはじめとして、橋・道路・鉄道などその例にもれるものはない。人生と土の関係は、水・空気についで深いものである。…」昭和37年3月、「純粋なコンサルタントに徹したい」との主旨で、中堀ソイルコーナーがスタートいたしました。
以来、「土」に取り組み、「土」を知るほどに、この一節に語られる意の深さが思われます。「砂上の楼閣」という言葉がありますが、物事の基礎がいかに大切であるかを示すものだと思います。
わが国の建設事業は日を追って大規模になっており、「土の力学」「基礎工学」の建設事業への応用もますます盛んで、「土」を知らずして建設を語ることのできない感を深めるばかりです。まして狭くて急しゅんな国土、多様な生活活動というわが国の条件を合わせると、それらの実態を十分に把握した建設行為が求められるのはいうまでもなく、基礎を支える「地盤」の実像を正しくとらえることの重要性を、今さらながら痛感しています。