平成16年1月1日施行 有期労働契約 解雇のルール 裁量労働制 |
1. 有期労働契約 | |||
1.契約期間の上限 「1年から3年に」「特例は5年に」 (契約期間等 第14条 第1項) 2.有期労働契約の締結、 更新及び雇い止めに関するルール 3.有期契約労働者 労働者からの期間途中の解約申し入れ・・ (暫定措置 附則第137条) |
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2.・解雇のルール | |||
1.解雇権濫用 ( 第18条の2) 2.解雇理由の明示 (法22条2項) 3.就業規則への解雇の事由の記載 (法89条3号) 4.労働条件の明示・契約時に 「退職に関する事項」として「解雇の事由」を明示(則5条4号) |
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3.裁量労働制 | |||
1.専門業務型裁量労働制 (苦情処理措置の導入 第38条の3) 専門業務は19業種が対象業務になった 2.企画業務型裁量労働制 労使要件の緩和 選任要件:労働者の過半数の信任不要に 決議要件:5分の4以上の多数決に ( 第38条の4) 企画業務型:対象事場の拡大、定期報告事項の簡素化 |
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36協定の特別条項 | |||
1.36協定の特別条項協定の要件「特別な事情」は「臨時的なものに限ることが明確にされました」 (平15告示355号) | |||
1.契約期間の上限の見直しをした | |||
改正の要点 契約期間の上限の延長〔第14条第1項〕 1. 労働契約の上限は、原則3年 (改正前は1年) 2.一定の高度で専門的な知識等を有する者については、5年 (改正前は3年とする) 3.満60歳以上の者については、5年 |
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高度で専門的な知識等を有する労働者とは? ・博士号の学位を有する者、 ・国家資格を有する者 弁護士、公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士 ・次のいずれかの能力評価試験の合格者 システムアナリスト試験合格者、アクチュアリー試験合格者 ・次のいずれか 特許法上の特許発明の発明者、意匠法上の登録意匠の創作者、種苗法上の登録品種の育成者 農林水産・鉱工業・機械電気・土木建築・システムエンジニア・デザイナーであって一定の学歴実務経験を有し年収が1,075万円以上のもの、 システムエンジニアとして実務経験を5年以上有するシステムコンサルタントで年収が1,075万円以上のもの ・国等により、その者が有する知識、技能、経験が優れたものであると認定されている者 |
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2.有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準を法律に基づく告示にした | |||
「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」を定め、当該基準に基づき、労働基準監督署が必要な助言・指導を行う。 〔第14条第2項、第3項〕 | |||
厚生労働大臣の告示 有期労働契約の締結 及び更新 雇止めに関する基準 (平成15年厚生労働省告示357号) |
「 雇止め 」 解雇とは、雇用契約期間中に使用者の一方的な意思表示により「労働契約を解除」することをいいますが、雇い止めとは 有期労働契約が更新されずに期間満了をもって終了することをいいます。 |
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今回の改正では 有期労働契約をめぐる労使間のトラブルを未然に防ぐため 厚生労働大臣が「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」を定めることを法律に明記し、告示で示された。法律上の根拠規定を設けた。 | |||
基準(告示の概要) @ 契約の締結時に、次の事項を明示しなければならない ・更新の有無 ・判断基準 ・契約締結後変更の場合はその旨 A 1年を超える継続勤務者について契約を更新しない場合は30日前までに予告をしなければならない。 B 1年を超える継続勤務者について契約を更新しない場合に労働者がその理由の証明書を請求したときは交付しなければならない C契約を1回以上更新し、かつ、1年を超える継続勤務者について、更新の際、契約の実態や労働者の希望に応じて、契約期間をできるだけ長くするように努めなければならない。 |
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2.有期契約労働者の退職 | |||
有期契約労働者は、一定の場合を除き(注)、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、いつでも退職することができる。〔第137条〕 | |||
労働者からの契約期間途中の解約申し入れができるための要件 @1年を越える有期労働契約を締結している労働者であること A当該労働者が、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後に使用者に申し出ること 注 以下のイ、ロに該当しないこと イ 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約の労働者 ロ 5年間までの契約期間が認められている有期労働契約の労働者 (専門的知識等を有する者、満60歳以上の者等をいう) 改正法附則第3条〔政府は この改正法の施行後、3年経過した場合において有期労働契約について定める14条の規定についてその施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとした。つまり有期労働契約の暫定措置である。) |
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「已むことを得ない事由:民法の原則」 民法628条が定める労働契約の当事者が契約期間の途中で解約することが出来るための、「已むことを得ない事由」とは、例えば、天災事変によって事業が不能となった場合や、労働者が怪我や病気で労務を提供できない場合などがこれにあたると考えられます。 また、同条では 契約解除の理由が契約当事者の一方の過失による場合は、相手方に損害賠償責任を負うことになる。 |
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1.解雇のルールが法制化された(今回最大のポイント) |
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「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」〔第18条の2〕 |
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最高裁判決における「解雇権濫用法理」の法律規定化。 昭和50年の最高裁判決(日本食塩製造事件)において示されたもので、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」とするもので、その後の判例においても踏襲され、確立されている。 今回に改正では解雇ルールの立証責任問題が大きな焦点になっている 整理解雇するときの4要件 @ 企業が人員整理をしなければならないほど、経営上やむを得ない事情があること A 使用者が解雇回避のための努力をしたこと B 被解雇者の選定が合理的でありかつ、その適用が公正になされたこと C 解雇の手続きが妥当であること(事前に充分説明し理解と協力を求める等、誠意ある対応がなされた) |
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2.解雇理由の明示 | |||
解雇を予告された労働者は、解雇前においても、使用者に対し、当該解雇の理由について証明書を請求することができる。〔第22条第2項〕 解雇前でも、労働者は、解雇の理由についての証明書を使用者に請求することができる。予告期間が経過しても交付する義務を負う。 |
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3.就業規則 | |||
就業規則の必要的記載事項に「解雇の事由」を含める。 〔第89条第3号〕 「解雇の事由を出来る限り明確に」 解雇事由について、少なくともどのような事実がある場合に解雇されるか明確になっていることが必要です。 就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」に「解雇の事由」を記載することを法律上義務付けたもの。 |
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1.専門業務型裁量労働制 | |||
労使協定により、健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の導入を要することとする。〔第38条の3〕 労使協定で定める事項 @ 対象業務 A 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと B 1日のみなし労働時間数 C 協定の有効期間(労働協約による場合を除く。3年以内とすることが望ましい。) D 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉確保措置 E 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置 F D及びEの健康・福祉確保措置、苦情処理措置として講じた労働者ごとの措置の記録を協定の有効期間中及び期間満了後3年間保存すること 専門業務型裁量労働制の導入にあたっては、労使協定でその内容を定めた上で所轄の労働基準監督署に届けることが必要です。 |
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2.企画業務型裁量労働制 | |||
事業場要件の廃止 〔第38条の4・1項〕 裁量労働制の対象となる業務(対象業務)が行われている事業所であればよろしい。つまり「事業運営上重要な決定が行われる事業場において」という限定はなくなりました。 対象業務とは? @ 事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項または当該事業に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画についての業務(追加された部分) A 企画、立案、調査および分析の業務 B 業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があると客観的に判断される業務 C 企画、立案、調査および分析という相互に関連し合う作業を、いつ、どのように行うか等についての広範な裁量が労働者に認められている業務 労使委員会に関する改正 〔第38条の4・1項2項、則24条2の4〕 企画業務型裁量労働制の内容を決定する労使委員会要件について @ 委員会の委員の半数については、過半数労働組合、そのような組合がない場合は過半数の代表者に任期を定めて指名されていること 「委員について労働者の信任を得ていること」は廃止されました。 A 委員会の議事について議事録が作成・保存されているとともに、労働者に対する周知が図られていること 決議要件 労使委員会の決議について、全員一致から委員の5分の4以上の多数決によるものとすることに緩和されました。 決議の有効期間 3年以内が望ましい 労使委員会の設置届 廃止されましたた |
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36協定の特別条項 8.36協定の特別条項「特別な事情」 | |||
限度基準において「特別の事情」とは臨時的なものに限ることが明確になりました。 特別の事情 時間外労働をさせる必要のある具体的事由の下において生ずる特別の事情をいうものであり、臨時的なものに限る。 特別の事情に関する届出 できる限り詳細に協定を行い、届出が必要である。 また、特別延長時間まで労働時間を延長することができる要件であることを明らかにする必要がある。 |
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