第18回  酸性雨東京講演会

テーマ「酸性雨問題をテーマとした国際貢献と環境学習」

 

(1)第18回 酸性雨東京講演会参加報告(2006/3/20)  

                      木戸 一博(宮城県保健環境センター)

平成18年3月2日に国立環境研究所東京事務所で開催された第18回酸性雨東京講演会に参加した。村野さんから事前に講演会の感想文を書くように押しつけられ少々緊張ぎみで会場に入った。酸性雨関連の講演会に参加するのは始めてで全く知った顔は無かったが,会場の雰囲気は思ったより和やかでリラックスして聞けた。

講演は酸性雨研究センターの佐藤二郎さんが「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)による国際貢献(広域大気環境管理対策の推進に向けて)」,(財)兵庫環境創造協会の玉置さんが「JICA酸性雨集団研修における9年間の成果」広島県保健環境センターの大原さんが「JICA研修と姉妹都市四川省の研修での酸性雨講義」茨城県霞ヶ浦環境科学センターの友部さんが「茨城県霞ヶ浦環境科学センターのとりくみ」東京都環境局の小山さんが「東京都環境局で市民と向き合って」と題しての講演であった。

最初の佐藤さんの講演ではEANETの設立までの経緯や活動,研修や研究活動の成果など多岐にわたる内容で,酸性雨の知識の乏しい私にとっては話を追っていくのが精一杯であった。東アジアネットワークといってもまだまだ参加国は少ないだろうと思っていたが,参加国が13ヶ国にのぼり東アジアで参加していないのは僅か3ヶ国と聞き正直驚いた。そのなかで,各国の測定技術に格差があることや測定体制が十分でないことがわかった。また,酸性雨削減対策は国によって姿勢に違いがあり,ヨーロッパのような枠組み作りが困難であり,緩やかな協定にならざるを得ないなど,問題点や苦労などがよく理解できた。  

玉置さんのJICA酸性雨集団研修の講演では,受け入れている研修生の酸性雨に対する認識が一様でなく技術にも格差もあるなかで,グループ研修を行う苦労がよくわかった。2ヶ月の研修期間では教えられることに限界があり,研修生が帰国してもコミュニケーションを図れるように,人と人との信頼関係を築くことに重点を置いているとのことであった。それにしても,限られた期間で出来る限り教えたいという熱心な姿には頭が下がる思いであった。

大原さんからは広島県における国際協力受け入れについての講演があった。広島県ではJICAと中国四川省から研修生を受け入れており,JICAの研修コースも「生活環境保全技術コース」「公害防止行政コース」「南西アジア地域公害防止行政コース」と4,5年で新たなコースを設定しているとのことであった。広島県保健環境センターは大気,水質,廃棄物に係わる部門を受け持っているとのことで,酸性雨の講義の状況や工夫をこらしたテキストやPOWERPOINT資料の紹介がなされた。玉置さんと同様にJICA研修に対して熱心に取り組む姿勢が伝わってきた。

友部さんの講演では昨年4月に開設された茨城県霞ヶ浦環境研究センターの紹介がなされた。霞ヶ浦環境研究センターは公害技術センターと霞ヶ浦センターとが合併して出来た機関で,環境保全に関する調査研究を行うとともに環境学習や市民活動の拠点として開設されたとのことであった。建物の半分が環境学習や市民活動の場として提供されており,研究者と市民の交流の促進や霞ヶ浦の様々な情報の発信の場として自然環境を守る活動の輪が広がっていくのではないかと思われた。ただ,月曜が休館日とのことで環境学習に携わる人は勤務態勢が変わって大変であろう思われた。また,県の研究機関の合併の話はよく耳にするところで,大半は人員削減や予算の削減を伴うものが多いと聞くが,霞ヶ浦環境研究センターでは人員の削減は無く,むしろ増員となったことや機器の更新がなされ研究環境の充実がはかられるなど羨ましく思った。

小山さんの講演は,悪臭の3点比較法の開発を始めとする研究の話や苦情処理など公害行政の話など,小山さんが歩んでこられた道を,色々な話を引用してユーモアを交えて話された。浅学無知の私にとって小山さんの話はあまりに高尚でしかも多岐にわたっているため,単純回路の脳みそがパンクをしてしまった。もっと勉強して今度お話しを聞く機会があったらもう少し理解できるようになりたいと思った。講演会から2週間が過ぎ,昨日のことを思い出すのがやっとの私にとってこうして感想文を書くのは至難のわざで,誤った記述が多分にあると思われるが,その点は平にご容赦願いたいと思いつつ終わりとします。

 

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第18回  酸性雨東京講演会

テーマ「酸性雨問題をテーマとした国際貢献と環境学習」

主催者:大気環境学会関東支部酸性雨部会

共 催:大気環境学会酸性雨分科会、酸性雨研究会

日時:200632〔木〕13:10〜17:30

場所:(独)国立環境研究所 東京事務所

(所在地:100-0013東京都千代田区霞ヶ関1−4−2 大同生命霞ヶ関ビル7階)

交通の便:銀座線「虎ノ門」9 番出口徒歩1分

千代田線・日比谷線「霞ヶ関」C2 出口徒歩2分

丸ノ内線「霞ヶ関」B3 出口徒歩3分

都営地下鉄三田線「内幸町」A4 出口徒歩3分

JR ・地下鉄「新橋」日比谷口徒歩10分

講演

(1)       東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)による国際貢献

-          広域大気環境管理対策の推進に向けて

佐藤二郎(酸性雨研究センター)

(2)       JICA酸性雨集団研修における9年間の成果

玉置元則(財・ひょうご環境創造協会)

(3) JICA研修と姉妹都市四川省の研修での酸性雨講義

大原真由美(広島県保健環境センター)

(4)       茨城県霞ヶ浦環境科学センターの取り組み

友部正志(茨城県霞ヶ浦環境科学センター)

(5)       東京都環境局で市民と向き合って

小山 功(東京都環境局)

  参加費:無料

資料代:酸性雨研究会会員:500円、非会員:1000円

参加登録:参加希望者は小山まで E-mail say-jo@ttv.ne.jp 

FAX(042-373-3744)

224日までに、参加者氏名、所属、連絡先をご連絡下さい。

*講演会後、懇親会を開きます。 多数、ご参加ください。(実費徴収)

 

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