20回全国環境研協議会東海・近畿・北陸支部酸性雨情報交換会に参加して

北村洋子(宮城県保健環境センター大気環境部)

 

 私が、14年ぶりに宮城県保健環境センター大気環境部で主に酸性雨の担当をすることになった2000年からこの東海・近畿・北陸支部酸性雨情報交換会に参加させて頂き、今年で早5年目になりました。年中行事の一つとして毎年とても楽しみにしているのですが、他支部からの参加ということもあり、気楽な気分で(主催者の方々には大変失礼な物言いですね、すみません)参加しております。特に講演会の後に訪れる自然観察会の場所は、私一人では、絶対に訪れることは無いが、訪れた後は何度でも行ってみたいと思う所ばかりですので、とても楽しみです。

 今回は豊橋市商工会議所での講演会の後、バスで30分くらいのところにある石山荘での懇親会に参加しました。石山荘は石山頂近くの豊橋市街地や太平洋を一望できるとても眺めの良い場所にありましたが、そこから海の方に沈む真っ赤な夕日を眺めてとても不思議な気分になりました。翌日は午前中に石山周辺散策と葦毛(いもう)湿原視察、昼食後には豊橋市自然史博物館見学が予定されておりました。

 朝食後に石山荘の裏にそびえる(!?)標高358mの石巻山に登りました。片道20分を、途中、日本ミツバチの巣や、「蛇穴」を見ながらうっそうとした木立の間を登っていきますと、突然視界が開け、そこが石巻山の頂上でした。岩ツバメが舞う定員10人くらいの広さの頂上でしたが、そこからの眺めは絶景でした。しばし、汗を沈めながら360度のパノラマを堪能した後、途中の石巻神社山上社を参拝し下山しました。ちなみに宮城県第二の都市は石巻市なのですが、これは「いしのまき市」と呼びますので、「いしまき山」という呼び方に慣れるのにちょっと時間がかかりました。 

 葦毛湿原は暖地でしかも標高6070mという低地にもかかわらず中間湿原の植物が生えているということで愛知県指定天然記念物に指定されているところです。ここでは伊勢湾要素植物や貧栄養状態に適した食虫植物や氷河期の遺存植物などが見られ、また、ミカワバイケイソウ等ミカワ(三河)と言う文字がついた植物も育生しており学問的にも貴重な湿原だそうです。宮城県にも栗駒山の麓、ブナの原生林の中に広がる世界谷地という高山植物の宝庫であるすばらしい湿原があります。しかし仙台市街地からそこへ行くのには高速道路を使っても約1時間以上はかかります。それに比べて、葦毛湿原は豊橋市の市街地の近くにあり、市民が手軽に自然に接することができる自然学習の場としての優れた面も兼ね備えているすばらしい所です。この葦毛湿原では参加者約5人に一人の割合でボランティアのガイドさんが付き案内して下さったのですが、私のグループにはお二人もついて下さいました。葦毛湿原のプロムナードを歩いていくと、ひんやりとしてきてとても猛暑の豊橋市街地に近いとは思えませんでした。ほとんど植物を知らない私が一人で歩いたのでは絶対に見つけられないであろう本当に可憐な、でも恐ろしい(!?)食虫植物のトウカイコモウセンゴケやミミカキグサ等が咲き誇っており、とても印象的でした。また、葦毛湿原の自然を守るために「葦毛湿原保護の会」の人々による植生回復作業としてヌマガヤ群落除去を行っているそうですが、この作業については賛否両論があるとの事でした。難しい問題ではあると思いますが、私は必要な事だと思います。

 昼食後には豊橋市自然史博物館を見学しました。予備知識が無く、何が展示してあるのか全く分からない状態で訪れたのですが、まず、入り口にある実物大の恐竜に驚きました。そして地球誕生から恐竜誕生直前までの歴史を学芸員の方の分かり易い説明を聴いたり、最新のデータや豊富な標本を見ながら館内を回っている内に、この年代の歴史にはほとんど興味の無かった私でも、いつしか興味が湧いてきて、もし近くにあるのであれば度々訪れたいなと思うようになっていました。さらに帰りの新幹線の都合で説明の途中で抜け出さなければならなかった時は後ろ髪を引かれる思いでした。

 後日、テレビの天気予報の番組で「葦毛湿原でサギソウが満開です。」という映像が映し出された時にはうれしくなって家族に「この間、私が行ってきたところよ!!」と大騒ぎをしてしまいました。この様なすばらしい機会を与えて下さいました愛知県の方々、並びに支部の関係者の方々に深く感謝いたします。来年もよろしくお願い致します。  

 

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