京都議定書シンポジウム(04/11/27)報告

                 谷尾桂子(京都府保健福祉部)

11月27日の午後、「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」が開催され京都議定書が採択された国立京都国際会館で、「京都議定書シンポジウム」が開催されました。採択から7年経過後、ロシアが京都議定書を承認し、来年、議定書を発効することになりますが、温暖化防止対策は遅々としたものです。

環境大臣の講演のあと、シンポジウム、2つのパネルディスカッションが続きました。出席者からは、語り尽くせないことも多かったようですが、傍聴して印象深かったことのいくつかを紹介します。

           温暖化防止対策に効果を上げている英国の現状:行政のリーダーシップとともに、英国系石油メジャーのBP(British Petroleum)が産業界のリーダーとしても温暖化防止に方針を出し、業界を引っ張っている。

           先進例、成功例の収集と共有化:「本当にCO2排出抑制は出来るのか?」という懸念も多いのですが、地域単位、企業単位では、すでに十数〜数十%の排出減を達成しているところがあります。世界的規模で、この情報共有化を図ろうとするNGO(The Climate Group)もあります。

           説明を尽くすこと:先の、情報共有化とも関連しますが、根拠を明確にして、「つっこみに耐えられる」方針・対応案をそれぞれが持つ必要性、「クリアー」な議論を進め、関係各パートのネットワークがますます大事かなと思いました。

            企業の出来る環境対策:島津製作所の大瀬さんの話では、事業所内の環境負荷要因を低減することが第一ですが、それに満足せず、自社の取り組みを外へ伝えることが必要。自社の環境対策は進んでいるという自負のもと、それを見て欲しいということから、学校の先生の研修受入、地域学校への出前講座を実施しているとのことでした。当然取引先企業へも環境対策を求めますが、環境対策は新たな負担ではなく、電力料金の節減などの企業利益につながることでもあると言っているとのこと。

            カラッと、たのしく、かっこよく:最後の比較的「若い」世代のパネルディスカッションでの話です。アルピニスト野口健さんの発言「登山、清掃とくれば、二重に暗いイメージがある。最初集まった登山、環境保護の団体の人たちもそれぞれ熱心でまじめなのですが、他の人からみたら寄りにくいイメージがあった。そこで、自分自身がバラエティー番組などを利用して、若い人に入っていった。5年目を迎えた今年の富士清掃登山の参加者は、2800人で、平均年齢は19才でした。気が付いたら、5合目よりも上のゴミはほとんど見あたらないようになっていた。」 京都R代表の学生さんも、「かっこいいこと」が、結果的に「環境によい」ことになるようなとりくみを提案されていました。パネリストからは、環境活動は特別なことではなく、「ヨン様」や、「浜崎あゆみ」に集まるような感じで、環境の取り組みにも人が集まれば良いなという意見が出ていました。運動を進める上ではしんどく危険なこともあるそうですが、皆さんはポジティブな発言に努めておられました。

           (おまけ)野口さんの話ですが、「ヒマラヤに行って、ゴミを残さない登山隊は、ドイツ、オランダ、スウェーデン。ゴミを置いて帰ってゆくのは、日本、韓国、中国。80年代の日本隊のゴミは登山道に沿って転々とあったが、90年代になると、ゴミは岩陰やクレバスなど人目に付かないところに残してあって、2000年以降はあまり見あたらなくなった。」そうです。

 

このほかの参加者はこちら。 http://www.wanokurashi.ne.jp/work/kyoto/index.html

 シンポジウムの詳細は、のちほど京都新聞に掲載されるそうです。

 

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