天津便り その10(05/1/12)       福山力

 

 またしばらくご無沙汰いたしました。年が変わり、年度末に向けて皆様お忙しい毎日のことと思います。前回の便りは昨年10月だったと思いますので3ヶ月ぶりです。実はつまらぬ作業にかかりきっておりました。

 一昨年こちらに来るとき、大学院の講義のためにと思って現役時代に学会発表や講演などで使った OHP のシートを大量に持参しました。ところが来て見ると中国ではすでに OHP の時代は終わっていて皆液晶プロジェクターを使っており、 OH プロジェクターは見当たらないのです。困って「何とかしてくれ」と大学の方に頼んだら、古ぼけて壊れかかったのを1台探してくれ、フォーカスもきちんとできないその機械を使って何とかやってきました。しかしどうも具合が悪いので、scanner があれば OHP の図を Power Point に取り込めるな、と思っていたところ、「デジカメでもできますよ。」と教えてくれた人がいて試して見ると結構うまく行くことがわかりました。というわけで、せっせと OHP の図を接写していたのです。一昨年7月私が日本を離れた時点で、日本ではまだ OHP → 液晶プロジェクターの移行が進行中だった思いますが、中国ではそれよりもかなり前に移行済となっていたようで、「進んでいる!」と感じました。

 さて全く脈絡を欠きますが、中国の方が「進んでいる」と思った点は他にもあります。その一つは銀行の窓口です。日本ではお金を引き出すとき、伝票みたいなものに記入してハンコを押して通帳と一緒に出しますが、こちらでは記入もハンコもありません。口頭で伝えて(私は発音に自信がないのでメモをわたしますが)から窓口に備え付けの小さなキーボードに6桁の暗証番号を入力すればよいのです。日本では印影の偽造で預金が引き出されるということが頻々として起こっているのに、何故ハンコみたいな原始的なものがいつまでも使われるのかわかりません。中国でもいろいろな事務書類にあまり意味のなさそうなハンコを押すのは日本と大差ないのですが、銀行窓口での支払いという実質的に重要なプロセスでは、日本のようにどこでも手に入る三文判を使うなどという馬鹿げたことはしないで暗証番号入力になっています。この点日本は旧態依然・頑迷固陋という感じがします。もちろん ATM もたくさんあります。ただ外国人にはカードを発行してくれないので私は窓口利用です。ATM と言えば、日本ではまだ大部分のものが夜7時ころまでしか使えないのではないでしょうか。こちらでは24時間使用可のものが多く、その点でも「進んでいる」と言えるでしょう。

もう一つは交差点の信号です。私が日本を離れたときつくばの道路の信号機は大部分がまだ電球使用のもので、新設されると LED になるという段階でした。しかし北京でも天津でも、信号はすべて LED になっています。しかも天津の信号は少し変わっています。長方形に LED が配列されていて「進め」では全体が青です。それが端の方から少しづつ消えていって2/3ほど消えると全体が黄色、次いで赤になります。赤はまた端から消え行き青に戻るというわけです(添付写真参照)。ですからあとどれくらいで信号が変わるか大体の見当がつきます。ところでこのように「先進的」な信号を持ちながら、歩行者や自転車はそれにおかまいなしに、車が来なければ赤でも平気で横断します。警官がいても何も注意しません。日欧米に滞在した経験のある人が言うには「信号が赤なら車が来なくても待つのは日本人とドイツ人くらいで、安全と思ったら赤でも横断する方が世界標準」だそうです。この点でも日本は「遅れている」のかもしれません。

 

  滞在期間の3/4が過ぎました。あと半年、最終クウォーターに入ります。それではまた。皆様お元気で。

 

天津の信号機の写真はこちらです。

http://album.nikon-image.com/nk/NAlbumPage.asp?un=57256&key=501898&m=0

 

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